7月15日(金)

ナノテク・キャリアアップ特論
大阪大学大学院・ナノ理工学プログラム
2016-07-15
登録施設利用促進機関
公益財団法人)高輝度光科学研究センター
SPring-8
常務理事 山川晃
1
画像の利用について:
この画像の当該資料以外への転載を希望する場合は、
JASRI広報室にご相談下さい。
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
本日の内容
放射光(SPring-8)について
・大型放射光施設SPring-8の概要
・放射光の発生と特長
・海外・国内の放射光施設
放射光(SPring-8)の産業利用
・SPring-8の利用分野
・SPring-8の産業利用と成果
SPring-8の利用制度
放射光のこれから
・X線自由電子レーザーSACLA
・SPring-8Ⅱ計画、東北放射光施設構想
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
2
ナノテクロノジーと放射光(X線)
Consumer
Product
X-ray
Development
Quality
種々評価手段
Characterization
Delivery
Cost
TEM
Process
Simulation
スパコン京
Safety
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
Environment
3
大型放射光施設SPring-8について
大型放射光施設SPring-8 Super Photon ring-8GeV
(1)
(2)
(3)
(4)
運用開始
施設所有者
運転・ユーザー支援
年間運転時間
(5) 年間実施課題数
(6) 年間累計利用者数
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
1997年(平成9年)10月
国立研究開発法人理化学研究所
公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)
蓄積リング運転時間
4,806時間(2015年度)
ユーザー利用時間
4,034時間(2015年度)
1,952件(2015年度)
15,281人(2015年度)
利用者数累計で 18万人以上
4
SPring-8はどこにある?
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
5
播磨科学公園都市
【都市の概要】
計画
現況(2015)
960ha
面積
人口
5,100人 約1,400人
SPring-8 / SACLA
(昼間 約6,300人)
戸数
1,800戸
約460戸
立 地: たつの市、上郡町、佐用町に
またがる県南西部の丘陵地
アクセス: JR相生駅から車で約20分、
JR姫路駅から車で約45分。
①兵庫県立粒子線医療センター
県道
上郡末広線
①
研究開発・
産業用地
県立西播磨総合
リハビリテーションセンター
兵庫県放射光
ナノテク研究所
大型放射光施設
SPring-8
住宅・都市機能施設
ニュースバル
住宅用地
ゴルフ場
②
播磨高原東小学校
光都プラザ
播磨高原東中学校
消防署
②兵庫県西播磨総合庁舎
播磨科学公園都市
まちづくり事務所
③兵庫県立大学
④兵庫県立大学
③
④
サンライフ光都
播磨理学キャンパス
播磨新宮I.C.
播磨光都 県立播磨ヘリポート
サッカー場
高度産業科学技術研究所
フジプレアム㈱
県西播磨
防災拠点
兵庫県立大学
附属高校
戸建住宅(光都21)
㈱ダイセル
一般産業用地
立地企業
県立先端科学技術支援センター内
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
㈱一宮電機
播磨自動車道
(至 山陽自動車道)
民間企業 約20社
県道
相生宍粟線
生活利便施設(光都プラザ)
6
放射光とは
蓄積リング棟の中には、電子ビーム
を周回させる装置、偏向電磁石と
挿入光源(光増強器)があり、
それぞれが放射光を発生させる。
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
7
SPring-8キャンパスと放射光の発生
JASRI
理研
シンクロトロン
原子力機構
兵庫県
発生した放射光
線型加速器
電子の流れ
蓄積リング
1秒間に20万回
一周1436mを周回しても同じ位置に戻る。
強固な岩盤 + 日本企業の技術力 = 高精度放射光
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
8
SPring-8のビームライン
・放射光を取り出して利用研究を行う装置であるビームライン(BL)を最大で62本設置可能
・利用研究分野や手法ごとに多種多様なBL設置が可能
・全てのBLに同時に放射光を供給でき、同時に利用研究を行うことが可能
BL種
稼働中
共用
★ 26
専用
● 19
理研
◆9
加速器
診断
■ 2
合計
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
建設、
調整中
◇ 1
56
1
57
ビームラインは以下の3種類
○共用BL: 広くユーザーに供する
目的で建設、使用
○専用BL: 大学、企業等が独自の
目的をもって建設、使用
○理研BL: 理研が設置し理研の研
究に使用
9
実験ホール
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
10
SPring-8放射光の特長
世界最高輝度【従来型X線発生装置の1億倍】
→ 格段に解像度の高い画像
広い波長をカバー【赤外線~硬X線、γ線】
→ 原子核研究からナノテク、バイオ、産業利用や
科学捜査まで利用できる
高時間分解能【100億分の1秒オーダー】
→ 原子や電子の超高速運動などの観測も可能
高空間分解能【10億分の1メートルオーダー】
→ 物質の電子密度分布の観察も可能
種々の偏光の利用
→ 磁性の研究にも利用
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
11
X線と物質(電子)の相互作用
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
12
SPring-8の利用分野
バイオ・生命科学
産 業
(エレクトロニクス、素材、
環境・エネルギー、製薬・生活用品)
ラットの拍動する
心臓血管の観察
タンパク質(ウシロドプシン)
の立体構造解明
SPring-8
インテリジェント触媒の機能解明
考古学・科学鑑定
物質科学・ナノテク
地球・天体科学
マントルの構造とプレートの運動
アセチレン分子を吸着した
多孔性材料
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
三角縁神獣鏡の分析
13
教科書の記述が変わる:SPring-8が覆した定説
生命の設計図DNAは
規則正しく束ねられていなかった
地球のマントルは化学組成の
異なる2層構造だった
M.Murakami, et al.,Nature 485, 90-94 (2012)
Nishino et al.
The EMBO Journal (2012)
31, 1644-1653.
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
20
SPring-8における最近の学術成果
賞/章の名称
朝日賞
(朝日新聞文化財団)
恩賜賞・
日本学士院賞
年度
2009
2010
2012
2012
2011
2012
受賞者/受章者(受賞/章時の所属)
豊島近(東大・教授)
細野秀雄(東工大・教授)
神谷信夫(大阪市大・教授)
沈建仁(岡大・教授)
廣瀬敬(東工大・教授):学
難波啓一(阪大大学院・教授):恩、学
2015 細野秀雄(東工大・教授)恩、学
(日本学士院)
2009 細野秀雄(東工大・教授)
2010 大谷栄治 (東北大・教授)
紫綬褒章
2011 北川進(京大・教授)
(内閣府)
2012
2014
2015
2015
2015
国際生物学賞
(日本学術振興会)
豊島
公益財団法人
大谷
高輝度光科学研究センター
石川哲也(理研・播磨研究所長)
藤田誠(東大・教授)
入舩徹男(愛媛大・教授)
豊島近(東大・教授)
堀田善治(九大・教授)
2014 Peter Crane (イェール大学 教授)
(敬称略)
業績
カルシウムポンプ作動機構の解明
透明酸化物半導体・金属の創出
光合成における水分解・酸素発生の分子機構の解明
マントル最深部の物質とダイナミクスに関する研究
生体超分子の立体構造と機能の解明
無機電子機能物質の創製と応用に関する研究
透明アモルファス酸化物半導体という新しい物質の提案とそれを使った次世代
ディスプレイ駆動用の透明で曲がる高性能トランジスタの実現、セメント成分の透
明金属化、鉄系高温超電導物質の発見という3つの革新的な電子材料の創出
放射光を用いた地球内部物質に関する研究および高圧発生技術の開発
金属元素と有機物を利用して、設計どおりの大きさや形に分子を形作る新しい分
野を開拓
大型放射光X線光学系の開発
分子の機能的な集合体を自発的に構築する研究
超高圧実験技術に基づく地球深部科学の先端的研究
構造生物学研究
材料組織制御学研究
植物の系統、進化史研究における業績
細野
神谷
沈
廣瀬
難波
Crane
北川
石川
藤田
入舩
堀田
15
産業利用企業・利用分野の拡大
エレクトロニクス
半導体
情報通信
環境・
エネルギー
排ガス触媒
燃料電池
二次電池
記録媒体
EVモータ用磁石
光触媒
ディスプレイ
廃棄物処理
安全安心
SPring-8は
有機半導体
素材(金属、高分子)
幅広い産業分野での活用が
有機EL
表面処理
海外放射光施設(製薬中心)
鋼 材
超分子ゲル
との大きな違い
ゴ ム
ヘルスケア
繊 維
製薬
スキンケア用品
建築関連
ガスセンサ
建材
オーラルケア用品
たんぱく質
医薬品
ヘアケア用品
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
コスメテック用品
コンクリート
16
SPring-8での研究から生まれた製品
ひょうごSPring-8賞
自動車排ガス浄化触媒
(トヨタ自動車/豊田中央研究所)
第3回(2005年)
新規液体燃料電池自動車
(ダイハツ工業)
第12回(2014年)
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
ヘアケア製品(花王・P&G)
第6回(2008年)
むし歯予防ガム(江崎グリコ)
第8回(2010年)
低燃費タイヤの開発
(住友ゴム工業)
第10回(2012年)
タングステン高効率リサイクル技術
(住友電気工業)
第11回(2013年)
リチウムイオン電池の電子移動
を可視化(日産アーク)
第13回(2015年)
17
高性能な低燃費タイヤの開発
材料内部の三次元構造をナノ~マイクロメートルスケールで解析
 タイヤのゴム中のナノ粒子(シリカ)の三次元
配置を計測できる時分割二次元極小角X線散乱法
(2D-USAXS)を新たに確立
 時分割二次元小角X線散乱法(2D-SAXS)との2つ
のデータ解析結果に基づいて分子設計*をおこない、
新材料を開発
*4Dナノ・デザイン:スーパーコンピュータを活用.
今後は“京”も.
入射X線
 従来品に比べて転がり抵抗を39%低減、 燃費
オングストローム
ナノメートル
従来手法
WAXS
従来手法
2D-SAXS
サブマイクロメートル
今回開発した
2D-USAXS
原子(結晶構造)
分子(ポリマーなど)
ネットワーク構造
>数10度
散乱X線
透過X線
160mの長い距離が必要
検出器
性能を約6%向上させた高性能タイヤを製品化
従来のタイヤ
低燃費タイヤ
走行中のタイヤ表面の温度比較
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
2012年ひょうごSPring-8賞受賞
研究開発機関:住友ゴム工業(株)
18
低燃費タイヤへのニーズとタイヤ業界
2008年北海道洞爺湖G8サミット
国際エネルギー機関(IEA)は、 “低燃費タイヤ”普及の必要性を提言
世界のエネルギー消費の30%は運輸部門(日本は23%)
運輸部門のエネルギー消費の約80%が自動車
その約20%がタイヤの転がり抵抗による
→日本のタイヤ業界はこぞって低燃費タイヤの開発へ
2010年1月 タイヤのラベリング制度(統一マーク)
転がり抵抗性能の等級がA以上、ウェットグリップ性能の等級がa~dの範囲内にある
タイヤを「低燃費タイヤ」と定義
タイヤメーカー
合成ゴムメーカー
㈱ブリヂストン
住友ゴム工業㈱
横浜ゴム㈱
東洋ゴム工業㈱
日本ミシュランタイヤ㈱
日本グッドイヤー㈱
㈱ハンコックタイヤジャパン
クムホタイヤジャパン㈱
ナンカンタイヤ㈱
㈱オートバックスセブン
旭化成ケミカルズ
JSR
日本ゼオン
住友化学
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
19
タングステンの高効率リサイクル技術
2013年ひょうごSPring-8賞受賞
SPring-8のXAFS法でイオン交換法を最適化し、
廃超硬合金工具から希少金属のタングステンを
高効率・高品質で回収するプロセスを完成し、量
産工場を稼働
住友電気工業㈱+JOGMEC
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
20
希少金属(レアメタル)の確保(省資源・代替・リサイクル技術)
レアメタルは、自動車、IT製品等の製造に不可欠
な素材であり、我が国の産業競争力の要
(例)
ハイブリッド自動車用高性能磁石モーター:
レアアース(ネオジム、ジスプロシウム)
超硬工具:タングステン
燃料電池用、自動車用排ガス触媒:プラチナ
液晶パネルの透明電極:インジウム
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
21
自動車排ガス触媒
ダイハツ工業 田中裕久氏
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
22
自動車排ガス触媒の長寿命原因の解明
高輝度X線により精密構造解析に成功
研究・開発機関
ダイハツ工業+日本原子力研究開発機構
結晶に取り込まれる
貴金属微粒子として析出
貴金属ナノ粒子が酸化還元サイクル中で自己再生を繰返し触媒機能を持続
→触媒寿命延長、貴金属使用量減少
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
23
環境にやさしい高性能三元触媒を実用化
自動車排気浄化触媒の2大機構を解明
• 担体構造と酸素貯蔵・放出性能の関係
• 触媒貴金属粒子の成長抑制機構
殆ど全てのガソリン車に搭載され、
環境浄化に貢献
二酸化炭素
窒素酸化物
水
一酸化炭素
排気浄化装置
エンジンからの排気 (触媒コンバータ)
テールパイプ排出ガス
炭化水素
窒素
酸素を出し入
れして調節
酸素
大容量酸素貯蔵CZ担体
触媒(粉状)
セラミックス支持体
1nm
貴金属(白金(Pt))と助触媒としてCZ(セリ
ア:CeO2とジルコニア:ZrO2の固溶体)担体
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
排気流路
Pt白金
大容量酸素貯蔵CZ担体
その他触媒成分
蜂の巣構造
研究・開発機関:トヨタ自動車(株)
(株)豊田中央研究所
24
自動車駆動方式の棲み分けイメージ
出典:トヨタ自動車・アニュアルレポート(2014年3月期)
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
25
アニオン交換膜形燃料電池の開発
2014年ひょうごSPring-8賞受賞
SPring-8のHAXPES、XAFSを用いてアニオン(OH⁻イオン)を
移動させる燃料電池用非白金触媒の高性能化に成功。
液体燃料が利用可能となり燃料電池軽自動車の実現へ。
ダイハツ工業㈱
FC凸Deck@SACLA
従来型燃料電池
新燃料電池
カチオン (H+) 交換形
負荷
-
アニオン (OH-) 交換形
e
H2
H+
O2
H2 O
電極触媒
(白金)
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
プロトン交換膜
酸性
逆
転
の
発
想
N2
H2O
負荷
eOH-
測定セル→
O2
H2O
N2H4
H O
2
電極触媒
(白金フリー)
蛍光検出器
in-situ XAFS測定の概観
低電位↓
アニオン交換膜
アルカリ性
↓低配位数
in-situ XAFS測定結果
26
高容量リチウムイオン電池正極材の開発
2015年ひょうごSPring-8賞受賞
SPring-8での実測データーとスパコンのシ
ミュレーションを併用し、リチウムの離脱に
よる金属イオンの価数変化を正確に評価。
中性子も併用し高精度の構造決定により
高容量化の指針を示した 日産アーク㈱
公益財団法人
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
高輝度光科学研究センター
27
課題解決に向けた実践的専用ビームライン
BL03XU:
フロンティアソフトマター開発産学連合
H21年11月稼働
(FSBL産学連合体)
BL28XU:
革新型蓄電池先端基礎科学
H24年4月稼働
(京都大学 RISING)
革新型蓄電池先端科学基礎研究事業
RISING プロジェクト
NEDO, 8大学, 12企業
BL36XU:
先端触媒構造反応リアルタイム計測 H25年1月稼働
(電通大、 燃料電池イノベーションセンター)
NEDO「エネルギーイノベーションプログラム」
技術協同組合 FC-Cubic 産総研 6大学 5企業
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
28
ヘアケア新製品の開発
花王㈱
くせ毛の内部構造を
SPring-8のX線で解析
うねりを緩和しツヤを与える
効果のある有機酸を配合し
たシャンプー、コンディショ
ナー、トリートメントの開発
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
H20.12.1
読売新聞
(地域・30面)
29
うねりのある毛髪内の細胞分布
花王㈱
毛髪の構造
内部繊維が並行して並ぶ細胞(緑の
部分)と、内部繊維がねじれて並ぶ細
胞(赤の部分)が偏って分布
内部繊維が
ねじれて
並んだ細胞
SPring-8のX線小角散乱法で
得られた画像
左右に見られる黒い部分が毛髪内部繊維
の配列を反映する散乱パターン
内部繊維が
並行に
並んだ細胞
ほぼ直毛
メデュラ
コルテックス細胞
コルテックス
キューティクル
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
うねりの内側
うねりのある髪
30
X線CT・IRによる毛髪内部の解析
毛髪などヘルスケア分野でSPring-8利用は必須
花王、資生堂、P&G以外にも
X線微分位相顕微鏡で化学処理・加熱処理に
よる毛髪ダメージ(空隙)発生とトリートメントによる
補修効果を観察 カネボウ
赤外顕微鏡で毛髪成分タンパク質の劣化挙動と
分布を評価し美容室用ヘア化粧品の開発に適用
ミルボン
赤外顕微鏡で毛髪内部成分と毛髪ダメージ・
製剤の浸透成分を評価
クラシエ
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
31
インフルエンザ・ウィルス
表面に多くのスパイク状のタンパク質
ヘマグルチニン
(H1~H16)
人の細胞に侵
入する際に働く
RNA
ノイラミニダーゼ
(N1~N9)
人の細胞から放
出される際に働く
RNAポリメラーゼ
遺伝子増殖の際に働く
インフルエンザウイルスの模式図
インフルエンザの型
ヘマグルチニン(H1~H16 )と
ノイラミニダーゼ(N1~N9)の
組み合わせ
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
新型インフルエンザウィルス
• H1N1:豚インフルエンザウィルス
• H5N1:鳥インフルエンザウイルス
32
インフルエンザウイルスの増殖
インフルエンザウイルスは、細胞に侵入し、細胞のシステムを
利用して遺伝子を増やしたり、タンパク質を合成したりする。
人の細胞
ウィルスの侵入 ヘマグルチニン
(H1~H16)
増殖したウィルスの放出
ノイラミニダーゼ
(N1~N9)
RNAポリメラーゼ
インフルエンザ治療薬
核
ウィルス遺伝子
の複製
ノイラミニダーゼ阻害剤
翻訳
タンパク質合成
人の遺伝子複製系を利用してウイルスも遺伝
子を増やす。このときRNAポリメラーゼが働く。
[SPring-8 NEWS No.44より]
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
タミフル
33
インフルエンザRNAポリメラーゼのサブユニット構造を解明
SPring-8のビームラインBL41XUを使った結晶構造解析
RNAポリメラーゼ
・ウィルスの増殖を行うために有する自前の10個のタンパク質の1つ
・ウイルスの遺伝子の複製を行う重要なタンパク質(酵素)
PAのC末端部分の鍵穴の
ような構造(点線部分)に、
PB1のN末端81アミノ酸のう
ちの15アミノ酸(青)が入り
込んでいる。
PAとPB1サブユニット間の結
合を切って、RNAポリメラー
ゼが働かないようにする
(ウィルスの増殖を抑える)
物質の探索
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
インフルエンザの型に
依存しない新薬の開発
に期待
H20.7.28読売新聞(総合・2面)
H20.7.28日本経済新聞(科学・13面)、
他
E. Obayashi, Sam-Yong Park, et al., Nature advanced on line (2008)
34
犯罪捜査和歌山カレー毒物事件
再鑑定2000-09-14 BL08W
裁判官、検事、弁護人グループ立ち会い
中国産
韓国産
メキシコ産
東京理科大 中井教授提供
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
SPring-8で微量ヒ素中の、更に微量の不純物を検出
35
食品産地同定(オリーブ)への適用
日本オリーブ㈱
牛窓産
3.0
小豆島産
2.0
地中海沿岸産
第3主成分
1.0
0.0
-4.0
-3.0
-2.0
-1.0
0.0
1.0
2.0
3.0
-1.0
-2.0
-3.0
-4.0
第2主成分
5元素による主成分分析のプロット(主成分得点)
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
36
ひき逃げ事件への活用例
Bi L
6000
3000
Bi L
Bi L
Ce
4000
Escape
peak
(Bi L)
Cr
V
Hf
Sn
Cr
Cu
Sn
Mo
0
0
Zr
Mn
1000
Bi L
Bi L
2000
Cu
2000
Escape
peak
(Bi L)
Intensity / Counts
Intensity / Counts
Zn
Bi L
10
20
30
Energy/keV
40
50
60
0
0
10
20
30
Energy/keV
40
50
60
ひき逃げ事件で残されたガラスの微量分析
自動車用窓ガラスのセラミックプリント部分を放射光で分析
いずれもビスマス系だが左はCe 右は、Zr, Hfが特徴的成分
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
37
全国の土壌データベース作成
関東地方:320地点
近畿地方:120地点
全部で3000地点以上の土壌成分分析
(「日本の地球化学図」環境と汚染 有害元素を含む全国元素分布
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
http://riodb02.ibase.aist.go.jp/geochemmap/ より)
38
全国の土壌データベースの利用例
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
東京理科大学理学部応用化学科中井 泉教授
39
文化財(仏像)調査への活用例
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
40
三角縁神獣鏡の蛍光X線分析
微量元素分析で社会・文化貢献
(財)泉屋博古館、JASRI
三角縁神獣鏡
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
41
ゴッホ「見えざる絵」を見る
ESRF,Anal.Chem.2008
X線透過像
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
Vincent van Gogh, Patch of Grass(1887)
42
ゴッホ「Head of a Woman」の下絵
ESRF,Anal.Chem.2008
顔料成分のSb(アンチモン:淡黄色)
Hg(水銀:朱色)の分布分析から 絵
を再構成!
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
Head of a Woman,
winter 1884-1885,
Van Gogh Museum,
Amsterdam
43
共用BL及び専用BLの利用制度(概要)
共用BL
消耗品実費負担
定額分10,300円/8時間
+従量分
成果非専有
通常利用
年2回募集
審査(科学技術的妥当
緊急利用
随時受付
長期利用
最長3年利用可能
優先利用
年2回募集
131千円/8時間
通常利用
年2回募集
480千円/8時間
性、SPring-8の必要性、
実施可能性、安全性など)
成果公開
利用料免除
成果専有
安全審査のみ
成果非公開
利用料必要
専用BL
成果非専有
成果専有
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
時期指定利用
随時受付時期指定
720千円/8時間
利用料免除
(但し、BL維持費は設置者の自己負担)
312千円/8時間
( 同 上 )
44
SPring-8共用BL利用・支援の流れ
主な利用の流れ
ユ ー ザ ー 側
施
設
講習会等による
利用プロモーション
側
年間運転スケジュールに基づく
ビームタイム利用時期、配分枠調整
年2回の
利用期開始
半年程度前
課題公募(Web、学会誌等)
公募公示期間
(1ヶ月間程度)
ユーザー登録、課題申請
主な支援の流れ
SPring-8での
利用可能性等相談・検討
実地研修会
(基本的な利用技術習得)
公募締切
利用応募事前相談
利用者(利用研究課題)選定
BL技術審査、安全審査
科学分野別のレフェリー評価
利用研究課題審査委員会分科会審査
利用研究課題審査委員会選定
意
見
聴
取
選
定
委
員
会
の
選定作業
(1ヶ月間程度)
→ 採否決定、通知
利用実験事前相談
利用事前手続(放射線業務従事者登録、試料持込申請 等)
利用研究課題(実験)実施
データ解析支援
利用報告書提出
利用実験支援
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
論文等成果公表
45
共用BL利用研究課題応募・採択状況
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
46
共用BLにおける所属機関別利用研究課題数
※所属機関分類
●大学等教育機関 : 国公立大学、私立大学、高等専門学校等
●産業界 : 民間企業(海外企業の日本法人を含む)
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
●国公立研究機関等 : 独立行政法人、大学等共同研究機関、公益法人、特殊法人等
●海外 : 海外の全ての機関・法人等
47
X線自由電子レーザー施設SACLAについて
X線自由電子レーザー施設SACLA
SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser
SACLA
8 GeV、全長約700m
平成23年6月にX線レー
ザーを発振、平成24年3
月から供用運転を開始
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
建設期間
施設所有者・運転
支援
建設費用
運転時間
(7) 年間実施課題数
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
発振したX線レーザーの画像
2006~2011年【2012年3月供用開始】
(国立研究開発法人)理化学研究所
(公財)高輝度光科学研究センター
約390億円
(供用開始時)
6,258時間 、そのうち
総利用時間:3,600時間(2014年度)
57件(2014年度)
48
X線自由電子レーザー(XFEL)とは
これまで、質の高い光(=レーザー)、波長の短い光(=放射光)は存在していたが、X
線領域でその両方を兼ね備える光は存在していなかった。X線自由電子レーザーは、こ
れまで未踏領域であった波長が短く質が高い光を実現する唯一の方式である。
[光の質]
レーザー
光
レーザー
X
線自由電子レーザー
○ 波が揃った質の良い光(=高干渉性)
◎ レーザーと放射光の優れた特
○ 短時間の現象を捕捉(=短いパルス)
質を併せ持つ夢の光
× 短い波長の光(X線)が困難
放
射
○ 短い波長の光(=X線)を放射
○ 非常に強力(=高輝度)
× 必ずしも干渉性は高くない
普通の光
各種ランプ
10 mm 1 mm 100 nm 10 nm
THz光 赤外線 可視光
光
紫外線
1 nm
1Å
軟X線 X線 硬X線
長波長(低エネルギー)←[光の波長]→ 短波長(高エネルギー)
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
49
日本のオリジナルテクノロジー
の結集
SACLAは非常にコンパクトに設計され、かつ安定に運転が可能となるようにデザインされた。
このコンパクトかつ安定なSACLAのデザインは日本独自の技術によって支えられている。
SACLAを構成する装置群
電子銃の
電子源
熱電子銃が高品質な電子ビームを生み出す
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
SACLA apparatus
Cバンド加速管
真空封止型
アンジュレータ
Cバンド加速管で電子を効率よく加速 真空封止アンジュレータが強力なX線レーザーを生み出す
50
XFEL開発 ~国際比較とSACLAの特長
欧州
European XFEL
日本
SACLA
米国
LCLS
DESY:Deutsches
Elektronen-Synchrotron
SLAC:SLAC National
Accelerator Laboratory
ドイツ電子シンクロトロン研究所
理化学研究所
&
高輝度光科学研究センター
所在地
ドイツ ハンブルク
兵庫県播磨科学公園都市
カリフォルニア州メンロパーク
全長
約3.4km
約0.7km (最もコンパクト)
約4km (XFEL施設分としては約2km)
電子加速
エネルギー
10~20 GeV
8 GeV
14 GeV
レーザー
発振波長
0.1nm
0.06nm(最も短い)
2009年4月0.15nm
同年12月0.12nm
建設費
10.82億ユーロ以上
約390億円
6.15億ドル以上
SLAC国立加速器研究所
(低エネルギーでも発振)
(コストパフォーマンス最高)
完成
2015年
2011年
2009年
特徴
EU等12ヶ国共同プロジェクト
第3世代大型放射光施設SPring-8と
X線レーザー施設SACLAが共存
する、世界唯一の放射光研究拠点
既存施設の活用により、
3億ドル以上を節減
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
51
SACLAの課題公募・選定について
 JASRIが「SACLA」についても利用促進業務を実施
(平成24年3月7日供用開始:2012A期)
 SACLA利用に関するワークショップ開催
第3回:平成26年10月08日
 平成28年度SACLA産業利用推進プログラム(理研)
・
・
・
・
・
理研、東レ㈱、第一三共RDノバーレ㈱、味の素 ㈱
北大、トヨタ自動車㈱、京大
東北大、㈱豊田中央研究所
新日鐵住金㈱、大阪大学
住友ゴム工業 ㈱
5グループ
所属機関別の応募および課題選定の状況
大学等教育機関
国公立研究機関等
産業界
海外機関
合計
採択
応募
採択
応募
採択
応募
採択
応募
採択
応募
2012 A期
2012 B期
2013 A期
2013 B期
2014 A期
2014 B期
2015 A期
2015 B期
2016 A期
10
14
11
12
12
11
12
13
15
30
22
26
28
18
29
26
23
25
7
7
8
11
8
12
11
12
7
12
11
15
17
12
16
19
18
12
1
1
1
1
1
1
0
0
2
1
3
1
1
1
1
0
0
3
7
5
4
6
7
5
10
10
10
12
13
17
22
18
24
21
22
25
25
27
24
30
28
29
33
35
34
55
49
59
68
49
70
66
63
65
合計
110
227
83
132
8
11
64
174
265
544
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高輝度光科学研究センター
52
SACLAにおいて期待される研究成果
ライフサイエンス分野
膜タンパク質
老廃物
物質・情報
~ 膜タンパク質の構造解析 ~
膜タンパク質の構造解析は医療、創薬に極めて有用であるが、既存技術では長い
時間をかけて結晶化しないと解析することができない。
SACLAを使えば、大きな結晶を作らずともタンパク質の構造解析が可能にな
り、医薬品開発の鍵である膜タンパク質の構造解析に要する期間を従来の1
0年から半年に大幅短縮。
↑細胞外
細胞膜
↓細胞内
病因
生理変化
ナノテクノロジー分野
ナノサイズの穴を持つ物質
各国に先駆けて、革新的な創薬などライフイノベーションの創出に貢献。
~ 気体吸着素子の開発 ~
ナノ細孔に気体分子を取り込む物質がある事は分かっているが、既存技術で
は吸着・放出の際のメカニズムまでは解析できない。
:(平成21年5月末時点)
SACLAを使えば、細孔と気体分子の吸着・放出の仕組みが解析可能となり、
目的の気体分子を自由に吸着・放出できる機能性材料の設計が可能になる。
穴に取り込まれたガス分子
気体中の様々な有害物質を除去する材料や、燃料電池の燃料である水素を安
全に保管できる水素吸蔵材料等の開発により、グリーンイノベーションの創
出に貢献。
上記以外にも、生きたウィルスや細胞内オルガネラの構造解析や、高効率な
太陽電池・蓄電池の開発等、幅広い分野で革新的な研究成果が期待される。
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
53
世界の第3世代大型放射光施設
第3世代の放射光施設
放射光利用専用の加速器にアンジュレータ
を主体とした挿入光源を多数設置できるよう
設計された施設のことで、大型のものは
世界にSPring-8、APS、ESRF の3つある。
所在地:アルゴンヌ(米)
利用開始年
電子エネルギー
蓄積電流値
蓄積リング周長
最大設置可能BL数
SPring-8
所在地:播磨科学公園都市
利用開始年
: 1997年
電子エネルギー
: 8GeV
蓄積電流値
: 100mA
蓄積リング周長
: 1,436m
最大設置可能BL数 : 62本
:
:
:
:
:
1996年
7GeV
100mA
1,104m
68本
(Super Photon ring-8GeV)
所在地:グルノーブル(仏)
利用開始年
電子エネルギー
蓄積電流値
蓄積リング周長
最大設置可能BL数
:
:
:
:
:
1994年
6GeV
200mA
844m
56本
ESRF
APS
(Advanced Photon Source)
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
(European Synchrotron
Radiation Facility)
© ESRF
54
世界の放射光施設
2007
2007
3.0nmrad
仏 SOLEIL
2007
2.7nmrad
英 Diamond
7.1nmrad
豪 Australian
Synchrotron
上海光源
2009
12.1nmrad
2010
スペイン ALBA
2010 ALBA (スペイ
ン)
4.3nmrad
2014 台湾 TPS
2015
米 NSLSⅡ
2016
スウェーデン
MAX Ⅳ
ビームサイズを絞り、
現在の10~100倍の
輝度
1.6nmrad
公益財団法人
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1.5nmrad
0.33nmrad
55
日本の放射光施設
SPring-8 Ⅱ
SPring-8/SACLA
東北放射光
施設構想
NEW SUBARU:
兵庫県立大
AichiSR
愛知県
PF/PF-AR:
高エネルギー研究機構
HiSOR:
広島大学
UVSOR:
分子科学研究所
SAGA-LS
佐賀県
AURORA:
立命館大学
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
56
SPring-8次期計画(SPring-8 Ⅱ)
公益財団法人
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
高輝度光科学研究センター
57
より小さい対象・より早い反応を見たい
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
58
東北放射光施設計画(案)
東北放射光施設構想WEB
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
59
東北放射光施設の明るさ(計画案)
東北放射光施設構想WEB
公益財団法人
高輝度光科学研究センター
60
参考書とWEBSite
http://www.spring8.or.jp/ja/ https://twitter.com/spring8pr
放射光ビームライン光学技術入門
ISBN978-4-9900547-1-7 日本放射光学会
見学申し込み
http://www.spring8.or.jp/ja/about_us/site_tour
公益財団法人
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61
住友電工グループの概要
(2016年3月末現在)
従 業 員 約24万人
グループ 連結対象会社 389社(国内112社、海外277社)
業
績 連結売上高 2兆9331億円、連結経常利益1,657億円
【自動車】売上高 1兆5420億円
ワイヤーハーネス、防振ゴム、自動車用ホース、自動車電装品
事業分野
・
主な製品
【情報通信】売上高 1,847億円
光ファイバ・ケーブル、光関連機器、光デバイス、ネットワーク機器、交通
制御システム製品、情報通信エンジニアリング
【エレクトロニクス】売上高 3,120億円
電子ワイヤー製品、フレキシブルプリント回路、電子部品金属材料、化合物
半導体、電子線照射製品、フッ素樹脂製品
【電線・機材・エネルギー】売上高 6,595億円
銅荒引線、電力ケーブル・機器、電気・電力工事、巻線、ハイブリッド
製品、受変電設備・制御システム
【産業素材】売上高 3,121億円
切削工具、焼結製品、PC鋼材、スチールコード
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62
住友電工の研究開発
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63
住友電工グループのグローバル展開
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64
SPring-8/SACLAの活用を
よろしくお願いします
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65