連続講座 「戦後 70 年」、 またわたしたちは、 ひとつの節目を越えました。 しかし、あらたな課題が加わることはあっても、 「何かがよりよく変わった」という実感を 持ちにくい時代に生きています。 ことしも、金権政治、気候変動、平和、農業、メディアや 他国のこととは思えなくなってきた「テロ」の問題ほか、 日本社会の様々な課題について学び、話し合います。 時:2016 年 4 月~2017 年 3 月 毎月原則第 2 土曜 13 時半~16 時(開場 30 分前) *2016 年度から 30 分拡大 所:婦選会館 渋谷区代々木 2-21-11 定員:35 名(要予約) 参加費:15,000 円(全 12 回) 当財団特別維持員は 13,000 円 1 回毎 1,500 円 学生半額 申込み先:(公財)市川房枝記念会女性と政治センター TEL 03-3370-0238 FAX 03-5388-4633 Email [email protected] *講師の都合などで変更がある場合はご了承ください。 アクセス JR 線 代々木駅北口・新宿駅南口下車徒歩 7分 小田急線 南新宿駅下車 徒歩 3 分 地下鉄都営新宿線・大江戸線 新宿駅 A1 出 口下車 徒歩 3 分 主催:公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センター No.1 2016 年 4 月 9 日(土)13:30~16:00 政治とカネ―金権政治脱却への処方箋 講師メッセージ:政治とカネをめぐるスキャンダルが後を絶ちません。金権政治からの脱却を目指して政治改革を 実現したはずにも関わらず、このような問題が続発することは、改革が不十分であったことを物語っています。しか し、政党や政治は、更なる制度改革には後ろ向きでしかありません。その結果、国民の政治不信は増すばかりで す。この講座では、最近の事件を手がかりに、政治とカネに関する制度のどこに問題があるのか、何故、政治にカ ネがかかるのか、現在の政治資金制度の問題点は何かなどを整理して解説した上で、金権政治から脱却し、政 治不信を払拭するためには、どのような処方箋があるのかについて皆さんと一緒に考えていきたいと思います。 岩井奉信(いわい・ともあき)さん 1950 年東京都生まれ。日本大学法学部教授。専門は現代日本政治。政治改革推進協議会委員、参議院の将来像を考える有識 者懇談会委員などを通じて政治改革に関わる。著書『政治資金の研究』(日本経済新聞社)、『立法過程』(東京大学出版会)、『政治改革 1800 日の真実』(講談社)他。 No.2 2016 年 5 月 14 日(土)13:30~16:00 気候変動と私たちの生活 講師メッセージ:気候変動・地球温暖化の影響は、既に、現在世代の脅威となっている。昨年 12 月、パリ協 定が採択され、すべての国が、今世紀中に二酸化炭素など温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることに合意し た。産業革命以来、人類の活動基盤であった化石燃料からの脱却を宣言したものである。 電力分野は二酸化炭素の排出削減の重点分野である。福島第一原発事故を経験したわが国はとりわけ、原 子力依存からの脱却も問われている。小売電力の自由化も始まった。電力需給両面での消費者・市民の選択 と行動が問われている。 浅岡美恵(あさおか・みえ)さん 1947 年徳島県生まれ。弁護士。70 年京都大学法学部卒。72 年弁護士登録。スモン訴訟、水俣病訴訟などの公害問題、消費 者問題が専門。98 年から気候ネットワーク代表として市民セクターから温暖化問題を中心とした環境問題に取り組む。『低炭素経済への道』(岩波書店、共著)他。 他。 No.3 2016 年 6 月 11 日(土)13:30~16:00 「平和国家」の誕生―戦後日本の原点 講師メッセージ:戦後日本の平和主義、「平和国家日本」という国家目標は、いまや対テロリズム世界戦争 の中で、深刻化する東北アジアの危機において、その重要性が日々明らかになっているのに、安倍政権の時 代錯誤的な現実誤認の政策により、押し倒されようとしている。この動きと闘うには、「平和国家」の目標がど のようにして戦後の日本に生まれたのかという原点に回帰して、そこから出発しなければならない。語られざる 物語を知っていただきたい。 和田春樹(わだ・はるき)さん 東京大学名誉教授。1938 年生まれ。東京大学社会科学研究所に 38 年勤め、停年退職。専攻はロシア近現代史、現代朝鮮研 究。著書『日露戦争 起源と開戦』上下(岩波書店)、『北朝鮮現代史』(同)、『平和国家の誕生』(同)、『慰安婦問題の解決のために』(平凡社新書)他。 No.4 2016 年 7 月 9 日(土)13:30~16:00 日本農業の今までとこれから 講師メッセージ:農業問題は、都市住民にとって遠い存在と思われがちですが、実は私たち消費者にとって切 実な「食料問題」です。安倍政権は、「農政新時代」の旗の下、「農業の成長産業化」を目指していますが、 一方、TPP、農業就業人口の高齢化・労働力不足…と農業を取り巻く環境は厳しさを増しています。農業・ 農村現場を歩き続けている立場から、農業と私たちの食のリアルな現状について語ります。 榊田みどり(さかきだ・みどり)さん 農業ジャーナリスト。明治大学客員教授。NPO 法人コミュニティスクールまちデザイン理事。農政ジャーナリストの会幹事。東京 大学大学院修士課程修了。学生時代から農村現場を歩き、消費者団体勤務を経て 1990 年よりフリー記者。共著に『安ければそれでいいのか!?』(コモンズ)など。 No.5 2016 年8月 20 日(土)13:30~16:00 放送の公共性とは何か-敗戦後の放送史から考える- 講師メッセージ:2010 年に ETV 特集『戦争とラジオ』、翌 11 年に『敗戦とラジオ』を制作しました。両者を 通じて考えたかったのは、放送の公共性とは何か、という問いでした。戦時中は軍・政府の宣伝期間に過ぎな かった放送は、敗戦を境に民主的なものに生まれ変わった、というのが一般に流布されている放送史の理解か もしれませんが、事実はそんな単純なものではありません。戦後の放送は、どう始まって、どのような道をたどった のか、放送と権力の関係が大きな問題となっている今日こそ、くり返し検証する必要があると思っています。 大森淳郎(おおもり・じゅんろう)さん 1957 年埼玉県生まれ。82 年 NHK 入局。主にドキュメンタリー番組の制作に携わる。主な作品に ETV 特集『モリチョウさんを さがして』『ひとりと一匹たち』、BS プレミアム『赤宇木』ほか。現在 NHK 仙台放送局シニアディレクター。 No.6 2016 年 9 月 10 日(土)13:30~16:00 アフガン・対テロ戦争とタリバンの復活 講師メッセージ:国際テロは、9/11 テロ事件をキッカケにしてアフガン・対テロ戦争が始まって以降、イラク戦争 から IS が誕生するなど今日の隆盛をみるに至りました。現在、アフガニスタンではタリバンが日ごとに勢いを増 し、将来はアフガン内戦が予想される状況です。何故そうなったのかの原因(主にアメリカの対テロ政策・戦略 の誤り)を考え、集団的自衛権の議論が盛んになっている今日、形式的な違憲論ではなく、日本の取るべき 道を考えます。 多谷千賀子(たや・ちかこ)さん 東京大学卒業。東京地検検事、法務省刑事局付検事、旧ユーゴ戦犯法廷判事、最高検検事などを経て、現在、法政大学法 学部教授。主な著書に、『民族浄化を裁く』(岩波新書)、『戦争犯罪と法』(岩波書店)、『アフガン・対テロ戦争の研究』(岩波書店)など。 No.7 2016 年 10 月 8 日(土)13:30~16:00 家族の法的責任 JR 東海認知症事故最高裁判例について考える 講師メッセージ:法的な責任能力のない認知症の人が他人に害を及ぼしたとき、その人を介護している家族 は、認知症の人に代わってどのような責任をどの程度負うのか? 今回の最高裁判例は実情に即した解決策 を提示した。しかし、家族でもさまざまなケースがある。また、認知症の人を介護している施設の人の場合はど うなるか? また、成年後見人については? 高齢社会においては、認知症の人、家族、そして社会のあり方を 考え直していく必要がある。 住田裕子(すみた・ひろこ)さん 1951 年生まれ。東大法学部卒。79 年東京地検検事、87 年女性初の法務省民事局付・人権擁護局付検事、90 年全省庁女 性初の法務大臣秘書官、96 年弁護士。現在、NPO 長寿安心会の代表。『住田裕子の老後安心相談所』『住田裕子の離婚相談所』などの著書・論文多数。 No.8 2016 年 11 月 19 日(土)13:30~16:00 731 細菌戦部隊・戦争責任・「責任の歴史学」を考える 講師メッセージ:ハルビン郊外の 731 部隊において人体実験をとおして開発・製造された細菌兵器を、日本軍 は 1940~42 年に中国の十数地域に散布し、多数の民衆を殺害した。戦後、731 部隊の石井四郎部隊長を はじめ部隊幹部、医者たちの戦犯免責と引き換えに、同部隊の研究成果はアメリカの入手するところとなった。 戦争責任をとらなかったのは日本では同部隊関係者だけでなく「知識人」全般におよんでいた。そこで「責任の歴 史学」なるものを構築すべく共に考えてみたい。 松村高夫(まつむら・たかお)さん 1942 年生まれ。慶應義塾大学名誉教授。Ph.D.in Social History. 研究分野:社会史・労働史(イギリスおよび日本植民地)、 家永教科書裁判、731 部隊裁判、細菌戦裁判等に関わる。現在、NPO・中帰連平和記念館理事長。『日本帝国主義下の植民地労働史』(不二出版)他。 東京外国語大学大学院教授。ジェンダー史・ジェンダー論、植民地期朝鮮教育史。 単著に『植民地期朝鮮の教育とジェンダー』(世織書房、2005 年)、『継続する 植民地主義とジェンダー』(世織書房、2011 年)、共著に『軍隊と性暴力』 No.9 2016 年 12 月 10 日(土)13:30~16:00 交渉中 No.10 2017 年 1 月 14 日(土)13:30~16:00 医療を変える・福祉を変える~想像力と度胸で 講師メッセージ:平和なはずの日本で、縛られたり、閉じ込められたり、願いを踏みにじられている人が、医療の 世界におびただしく存在します。世界の専門家から奇異の目でみられている嘆かわしい現実。それを変えるために ジャーナリストとして半世紀、世界と日本の現場を歩いて「発見」したこと、変えたことを、映像を駆使してお話しよ うと思います。福祉と医療・現場と政策をつなぐ 6,000 人・17 か国のネットワーク活動についてもご報告します。 大熊由紀子(おおくま・ゆきこ)さん 東大で科学史・科学哲学専攻。朝日新聞科学部次長、論説委員。17 年間医療・福祉分野の社説担当。大阪大学大学 院教授を経て国際医療福祉大学大学院教授。『「寝たきり老人」のいる国いない国』は日本の福祉・医療を変えた本と呼ばれる。医療審議会委員などを歴任。 No.11 2017 年 2 月 18 日(土)13:30~16:00 ハンセン病問題から何を学ぶか 講師メッセージ:ハンセン病患者を強制隔離したらい予防法廃止から今年で 20 年。戦後は特効薬もでき、 諸外国は隔離政策を次々に放棄したのに、日本では 1996 年まで約 90 年にわたって強制隔離政策を継 続。2001 年の国賠判決は、「らい予防法は憲法の人権条項違反」と宣言し、ようやくハンセン病回復者は人 間としての誇りを取り戻した。しかし、失ってしまった人生の回復は難しい。社会の中にある偏見差別という見え ない壁は壊れていない。この壁の持つ意味を考えてみたい。 鮎京眞知子(あゆきょう・まちこ)さん 1982 年第二東京弁護士会登録。ハンセン病違憲国賠訴訟弁護団員。元ハンセン病問題検証会議検証委員。ハンセン 病資料館運営企画検討委員会委員。(社福)子どもの虐待防止センター理事。 略歴 東京大学社会科学研究所教授。専門は政治思想史、政治哲学。 No.12 2017 年 3 月 11 日(土)13:30~16:00 東京大学大学院法学政治学研究科修了。博士(法学)。主な著作に 性暴力に日本社会はどう向き合ってきたか 講師メッセージ:刑法強姦罪など性暴力犯罪の扱いは、どう変わってきたのだろうか。1907 年制定の刑法 『トクヴィル 平等と不平等の理論家』『<私>時代のデモクラシー』、 強姦罪規程は、なぜ最近まで改正論議されなかったのか。法制審での刑法改正論議も踏まえ、検証する。 芝 洋 子 撮 影 男性の独占分野であった法律学の中でも刑法はその色彩が一段と濃い。「従軍慰安婦問題」や AV 問題 『民主主義のつくり方』などがある。 なども視野に入れて考える。女性の人権に関する国際基準に日本はどれだけ追い着いているのか。2016 年国連の女性差別撤廃委員会での日本政府レポートへの総括所見の検討も含めたい。 角田由紀子(つのだ・ゆきこ)さん 1942 年生まれ。67 年東大文学部卒。75 年弁護士登録。東弁及び日弁連の女性の権利に関する委員会委員。福岡事件、 秋田事件、東北大学事件、東北生活文化大学事件などでのセクハラ事件担当。2001 年~NPO 法人女性の安全と健康のための支援教育センターの代表理事。 URL www.ichikawa-fusae.or.jp 市川房枝記念会女性と政治センター主催 連続講座 公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センター 2016.3
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