パラグアイ内政・外交報告(2月分) 政治情勢 2016年3月作成 内政では,勤務実態のない不労公務員を巡る問題がメディアを賑わせ,国民が高い関心 を示した。カルテス大統領は,同問題を巡り,閣僚に対し,不労の疑いのある公務員の業務 役割や勤務実績にかかる報告書の作成を要求し,ラフエンテ教育文化相が,調査の結果,6 00名弱からなる同省の不労公務員リストを公表した。 外交では,12日,ロイサガ外相がアルゼンチンを訪問し,マルコーラ外相との外相会談を 行った。同会談においては,ヤシレタ水力発電所を巡る問題等につき,協議が行われ,両外 相は,同水力発電所におけるパラグアイ側余剰電力の売電に対するアルゼンチン側の百万 ドルの未払いにつき,ヤシレタ条約付属書Cの見直しを含めた各種問題の解決に向けたコミ ットメントを表明した。 1 内政 (1)新最高裁判所長官の就任 ●8日,アントニオ・フレテス最高裁判所長官の任期満了に伴い,アリシア・プチェッタ裁判官 が最高裁判所長官に就任した。プチェッタ新最高裁判所長官は,就任後の記者会見におい て,司法府の透明性の向上に向け,情報公開に注力すると共に,メディアとの連携を強化す る旨述べた。なお,同最高裁長官は,2007年にも最高裁長官を務めた経歴を有する。 (2)勤務実態のない不労公務員問題 ●2日,カルテス大統領は,省庁を含めた公的機関において,勤務実態のない不労職員の存 在が問題になっている件につき,閣僚に対し,不労の疑いのある公務員の業務役割や勤務 実績にかかる報告書の作成を指示した。 ●8日,ラフエンテ教育文化相は,同省において,600名弱の不労公務員リストを公表し,リ ストに掲載された職員に対し,労働実績を正当化する書類の提出を求めた。 ●19日,当地ラナシオン紙は,不労公務員問題に関連し,2003年,ドゥアルテ政権発足時 の公務員数が15万人,同政権下で3万2千人が増員され.2008年~2013年までのルゴ政 権及びフランコ政権において,更に約5万人が増員され,23万人まで公務員数が膨れあがっ た旨報じた。なお,同紙によれば,2013年のカルテス政権発足以降,約千名の公務員が削 減された。 2 外交 (1)ロイサガ外相のペルー訪問 ●1日,ペルーを訪問したロイサガ外相は,ウマラ大統領を表敬し,ペルー政府からの洪水 被災者家族に対する食糧支援につき,パラグアイ政府及びパラグアイ国民から謝意を表明し た。また,その他,多岐に亘る二国間アジェンダにつき意見交換が行われた。 ●同日,ロイサガ外相は,サンチェス・ペルー外相と会談し,両外相は,長年に亘る両国の友 好関係を再確認するとともに,二国間アジェンダにつき意見交換を行い,引き続き両国関係 を強化することで一致し,また,両外相は,両国国民の政治,経済,社会活動の活発化に向 けて,両国外務省を通じ,二国間及び域内の統合を深化させることへのコミットメントを表明し た。 (2)カテリアーノ・ペルー首相の当国訪問 ●11日,当国を訪問したカテリアーノ・ペルー首相は,マルティネス国防相と会談した。同首 相は,会談後,記者団に対し,今後,紛争地域に派遣される国軍兵士への訓練,人材育成の 面で協力を検討することで一致した旨述べた。 ●同日,ロイサガ外相は,カテリアーノ・ペルー外相との会談を行い,両国外相及び国防相か らなる「2+2」会合を発足させることが決まった。「2+2」会合においては,治安と国防がメイ ンテーマとなる予定で,同会合はこれまでブラジル,ボリビア,それぞれと行ってきた「2+2」 と同様のメカニズムである。 (3)ロイサガ外相のアルゼンチン訪問 ●12日,アルゼンチンを訪問したロイサガ外相は,マルコーラ外相との会談を行った。同会 談においては,メルコスール・EU・FTA締結交渉,パラグアイ-パラナ水路の活用の他に, ヤシレタ水力発電所を巡る問題等につき,協議が行われた。 ●両外相は,ヤシレタ水力発電所におけるパラグアイ側余剰電力の売電に対するアルゼン チン側の百万ドルの未払いにつき,ヤシレタ条約付属書Cの見直しを含めた各種問題を解決 する意志を表明した。 ●また,ロイサガ外相は,既に2014年の売電の代金の一部として40百万ドルをマクリ政権 が支払ったことを強調するとともに,今後は売電に対する支払いの遅延を防ぐメカニズムを追 求する旨述べた。これに対し,マルコーラ外相は,次回の関連会合をアスンシオンで行うこと を決定した旨述べたものの,時期については明言を避けた。 ●なお,外相会談後に発出された両国外相共同声明の主要点は以下のとおり。 - メルコスール・太平洋同盟間の対話への関心を表明。 - 河川交通・貿易の増加に向けたパラグアイ-パラナ水路の重要性につき一致。 - 両国原子力規制当局を通じた対話及び協力の深化へのコミットメントを表明。 - ヤシレタ二国間公団(ヤシレタ水力発電所)を巡る問題につき,解決に向けたコミ ット メントを表明するとともに,次回の関連会合の開催を決定。 (4)ロイサガ外相のスイス訪問 ●28日,ロイサガ外相は,人権理事会ハイレベルセグメントに参加し,ステートメントを行った。 同外相は,同ステートメントにおいて,パラグアイが外交の主軸としてマルチ関係・国際法を 重視している旨述べると共に,先般のパラグアイに対する普遍的・定期的レビューを通じ,人 権関係の各種勧告の実施に向けたパラグアイ政府の成果・課題につき,包み隠さずに公表し た旨述べた。また,同外相は,パラグアイ政府の理事国としての貢献として,勧告モニタリン グシステム(Sistema de Monitoreo de Recomendaciones (SIMORE))を挙げ,他国からの要請 に応じ,プラクティスの共有や技術協力を実施した旨述べた。 (5)北朝鮮によるミサイル発射を非難する外務省プレスリリース ●8日,パラグアイ政府はプレスリリースを発出し,7日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射 に関し,国連安保理決議第1718号,第1874号,第2087号に反し,緊張及び軍縮・不拡 散を支持する国際的メカニズムの機能を阻害する脅威を生み出すものである旨非難した。 3 要人往来 (1)来訪 ●11日,カテリアーノ・ペルー首相(ロイサガ外相との会談) (2)往訪 ●1日~4日,バシガルーポ司法相,パナマ訪問(法務技術国際セミナー参加) ●11日~12日,ロイサガ外相,アルゼンチン訪問(マルコーラ外相との会談) ●11日~14日,レイテ商工相,アルゼンチン訪問(カブレラ工業生産相との会談) ●18日~23日,ソサ労働・雇用・社会保障相,スイス訪問(国連人権理事会URP出席) ●24日~26日,レイテ商工相,アルゼンチン訪問(コルドバ州副知事との会談) ●26日~3月2日,ロイサガ外相,スイス訪問(国連人権理事会総会出席)
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