BA原型炉設計におけるダイバータ冷却ユニット およびカセット構造の検討 仕様書 平成28年6月 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー研究開発部門 六ヶ所核融合研究所 核融合炉システム研究グループ 1/12 1.一般仕様 1.1 1.2 件名 BA 原型炉設計におけるダイバータ冷却ユニットおよびカセット構造の検討 目的及び概要 本仕様書は、BA 原型炉設計活動の一環として実施する量子科学技術研究開発機 構(以下、量研機構という)で検討中の原型炉に関して、ダイバータの基本構造 概念の技術検討を目的とするものである。本検討では、量研機構の提案するダイ バータ形状の設計案に基づき、タングステン・ダイバータ板と除熱を行う水冷却ユ ニット、および、そのダイバータ冷却ユニットが組み込まれるカセットに関する 工学検討を行うものとする。 タングステン・ダイバータ板の除熱に関する工学検討では、銅合金の加圧水冷却 配管を使用する高熱負荷部分と低放射化フェライト鋼の加圧水冷却配管を使用す る高中性子負荷部分とに分けた 2 系統の冷却配管を組み込む設計とする。高熱負 荷部分のダイバータ・モノブロックに関しては、熱輸送およびひずみ・応力に関す る弾塑性応力解析を行い評価する。一方、除熱ユニットが組み込まれるカセット に関する工学検討は、核発熱を考慮した冷却構造の評価とカセットの再利用を考 慮した冷却配管の配置設計を検討する。加えて、燃料ガスの排気ポンプに関する 仕様の検討を行うものとする。 1.3 作業項目 (1)ダイバータモノブロックと水冷却ユニットの構造、冷却配管ルーティングの検 討(除熱評価を含む) : ・量研機構の提案するダイバータ形状の設計案に基づき、タングステン対向材の モノブロックと水冷却配管の構造(ドーム部およびバッフル部も含む) 、それ らダイバータ冷却ユニットをダイバータカセットへの配置について検討する。 ・ 量研機構の提供するダイバータへの熱負荷および核発熱分布に対して、銅合金 あるいは低放射化フェライト鋼の冷却配管を使用する 2 つのダイバータ冷却ユ ニットを組み合わせた冷却配管系統について、冷却配管ルーティングを検討す ると共に、加圧冷却水温度の上昇および圧損について評価する。 (2)ダイバータカセット構造の概念設計の検討: ・ 量研機構の提供するダイバータ形状の設計案に基づき、ダイバータカセットの 構造の概念設計を示す。 ・ 中性子照射およびガンマ線による核発熱が想定されるダイバータカセット(構 造材は低放射化フェライト鋼を想定)自身の冷却機構およびマニフォールド構 造を検討および評価する。 ・ (1)で示した銅合金あるいは低放射化フェライト鋼の冷却配管を使用する 2 つのダイバータ冷却ユニットを組み合わせた冷却配管ルーティングについて、 ダイバータカセット内での冷却配管検討を行う。また、放射化したカセットの 再利用を考慮し、ダイバータ冷却ユニット(必要ならそれらへの冷却配管も含 め)を交換手法についても検討を行う。 ・ ダイバータターゲットおよび冷却ユニットの重量や形状等を考慮した支持構造 を検討する。 (3)ダイバータ対向材および冷却構造の概念設計(熱輸送および弾塑性応力解析) : ・ タングステン対向材モノブロックに銅合金の冷却配管を配したダイバータ冷却 2/12 ユニット(3 次元構造)の高熱負荷部に関して、量研機構が提供する繰り返し熱 負荷条件に対して熱輸送解析、および、ひずみ・応力解析(弾塑性応力解析) を行う。 ・ 上記のダイバータ冷却ユニット(3 次元構造)全体に関して、熱輸送解析およ び、ひずみ・応力解析(弾性解析)を行い、冷却ユニットの熱のび変型や端部に おけるひずみ・応力解析の評価を行う。 (4)ダイバータの粒子排気の検討: ・ 量研機構の提供するダイバータカセットでのガス圧および排気性能を満たす 排気ポンプおよび排気ポートに仕様について検討を行う。 1.4 1.5 納入 1) 設計作業報告書 3部 2) 電子媒体(CD 等)による報告書 3部 3) 打合せ議事録 1部 納期 平成29年2月28日 1.6 納入場所 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 六ヶ所核融合研究所(青森) 核融合炉システム研究グループ 管理研究棟 315号室 1.7 検収条件 受注者は第1.4項に示した納入物件の員数確認、及び作業報告書が本仕様書に定め る技術仕様を満足することを確認し、検収とする。 1.8 産業財産権等 (1) 産業財産権の取扱い 本契約に関して発生する産業財産権の取扱については,「BA協定の調達に係る 情報及び知的財産に関する特約条項」に定められたとおりとする。 (2) 技術情報の開示制限 受注者は、本契約を実施することによって得た技術情報を第三者に開示しよう とするときは、予め書面による量研機構の承認を得なければならないものとす る。量研機構が本契約に関し、その目的を達成するため受注者の保有する技術情 報を了知する必要が生じた場合は、量研機構と受注者協議の上、決定するもとす る。 (3) 成果の公開 受注者は、本契約に基づく業務の内容及び成果について、発表若しくは公開し、 または特定の第三者に提供しようとするときは、予め書面による量研機構の承 認を得なければならないものとする。 1.9 機密保持 受注者は、本業務の実施にあたり、知り得た情報を厳重に管理し、本業務遂行以外 3/12 の目的で、受注者及び下請会社等の作業員を除く第三者への開示、提供を行っては ならない。 1.10 成果の帰属等 本検討作業により得られた成果を利用する権利は量研機構に帰属する。ただし、 受注者は書面による量研機構の承諾を得て、この成果を利用できるものとする。 1.11 工業所有権の取り扱い 本設計作業により発生する工業所有権の取り扱いは、別に定める別添1「産業財産 権特約条項」によるものとする。 1.12 グリーン購入法の推進 1) 本契約において、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する 法律)に適用する環境物品(事務用品、OA機器等)が発生する場合は、これを採 用するものとする。 2) 本仕様に定める提出図書(納入印刷物)については、グリーン購入法の基本方針に 定める「紙類」の基準を満たしたものであること。 1.13 協議 本仕様書に記載されている事項及び本仕様書に記載のない事項について疑義が生 じた場合は、量研機構と協議のうえ、その決定に従うものとする。 4/12 2. 技術仕様 2.1 作業の概要 現在、量研機構は「幅広いアプローチ (Broader Approach) 活動」のもとで、トカ マク型核融合原型炉の新たに概念設計(核融合出力:1.5 GW、主半径8m程度)を進め ている。ダイバータは高温の炉心プラズマを維持するために、そこから排出される熱 および粒子を除去する重要な装置であり、新たな原型炉の概念設計に対応したダイバ ータの工学設計を検討する必要がある。ダイバータ領域で除熱しなければならない単 位時間あたりの熱量はプラズマ熱エネルギーおよび放射熱を含め200 MW程度になる。 さらにダイバータ構造材(低放射化フェライト鋼)は核融合反応で放出される中性子 およびブランケットからのガンマ線の照射を受け、これによる核発熱を除去する冷却 機構が必要となる。 本作業では、このような入熱条件下でダイバータの除熱を行うために必要なダイバ ータ板を構成するタングステン・モノブロック形状の検討、モノブロック集合体(ダ イバータ冷却ユニット)の配置、高熱負荷部の冷却ユニットにおける熱輸送および応 力解析、さらに、ダイバータカセット内での冷却配管のルーティングおよびダイバー タ冷却ユニットの支持、カセットの冷却を考慮した構造概念の検討を行う。 ダイバータ板の除熱機構に関しては、銅合金の冷却配管を使用する高熱負荷の部分 と、低放射化フェライト鋼の冷却配管を使用する高中性子負荷の部分に分けた2系統の 冷却配管を組み込む設計とする。その際に必要となる具体的な各部の表面熱負荷およ び核発熱の分布は量研機構が提示する。また、高熱負荷部分のダイバータモノブロッ クに関しては、熱輸送とひずみに関する弾塑性応力解析を行い繰り返し熱負荷に対す るひずみ・応力を評価する。ダイバータ冷却ユニットを組み込むダイバータカセット の構造は、ダイバータ冷却ユニットを交換できカセットの再利用を考慮した冷却配管 の配置設計が望ましい。 これに加え、量研機構が示すダイバータカセットでのガス圧および排気性能を満た す排気ポンプおよび排気ポートに関するダイバータの粒子排気の検討を行う。 2.2 検討対象の原型炉 本検討で対象にする原型炉の主パラメータ例と概念図を以下の表 1、図 1 に示す。 本検討を実施するにあたり必要なパラメータは量研機構から提示する。 表 1. BA 原型炉の主パラメータ(例) パラメータ プラズマ大半径、プラズマ小半径 楕円度 核融合出力 トロイダル磁場/最大磁場 プラズマ電流 値 8.5m、2.4m 1.65 1.5GW 5.9T/12T 12MA 図 1. BA 原型炉の概念図 5/12 2.3 作業項目 原型炉におけるダイバータ形状と各部の名称を図 2 に示す。 図 2 原型炉およびダイバータ冷却ユニットとカセットの形状(参考図) ダイバータ冷却ユニット (内側ダイバータ部) ダイバータ冷却ユニット (外側ダイバータ部) ダイバータカセット 粒子排気およびダイバータ 交換ポート ダイバータ冷却ユニット(ドーム部) 2.3.1 ダイバータモノブロックの構造、ダイバータ冷却ユニット、冷却配管ルーティ ングの検討(除熱評価を含む): ダイバータ冷却ユニットは、対向材(タングステン・ブロック)と冷却配管をまと めた形状であり、トロイダル方向に48分割(7.5度)されたカセットに収納される。 1カセットの形状例を図3に示す。 図 3 1カセット分のダイバータ冷却ユニットとカセットの形状(参考図) 内側バッフル部 外側バッフル部 内側ダイバータ板 直線部 内側リフレクタ部 外側ダイバータ板 直線部 ドーム部 6/12 外側リフレクタ部 除熱設計に関して、内側及び外側のダイバータ板直線部(約0.8m)は高熱負荷 (最高10MWm-2程度)を除熱するためモノブロック構造に銅合金(CrZnCrを想定)の冷 却配管を使用し、その他のバッフル部(直線上部から曲線部)及びドーム部では高 中性子負荷となるため低放射化フェライト鋼(F82H)の冷却配管を組み込む設計と する。熱負荷は最高2MWm-2程度であるが、これに加え、中性子照射およびガンマ線 による核発熱を想定し、モノブロック支持部およびダイバータカセット自身の冷却 機構の検討を行う。 量研機構が提示するダイバータの基本構造と各部の(プラズマ照射及び核発熱に よる)熱負荷分布をもとに、ダイバータ冷却ユニット構造(具体的なモノブロック 形状およびモノブロックおよび支持部への冷却配管の組み込み)、および冷却配管 ルーティングを下記の条件下で検討し、冷却水の必要流量等を含めた結果と共に、 設計上の課題を提示する。 (1) 高熱負荷に晒されるダイバータ板は、図4(銅合金配管の例)のようにタングステ ン(W)モノブロックのアーマ材と銅合金あるいはF82Hの薄肉冷却配管で構成 され、部材の使用温度上限値としてタングステンは再結晶温度(1200℃程度) 以下、銅合金配管は400℃以下、F82Hは550℃以下とする。 但し、与えられた熱負荷条件下で下記項目(2)の解析結果や冷却配管の配置・ 取合い等の空間的制約により除熱が物理的に困難である場合には、その課題を 提示し可能であれば対策案を検討するものとする。 図4 ITER ダイバータにおける W モノブロックの概念図(イメージ) タングステン 無酸素銅緩衝層(直接鋳造、 拡散接合・HIP 接合) CuCrZr 冷却管(ロウ付け) (2) 低放射化フェライト鋼を使用する冷却系統については、ダイバータ冷却材(加 圧水)の圧力は15MPa、運転温度範囲を290-325℃(目安として出入口温度差は 30-35℃、最大流速は8 m/s以下)とする。 注1)ドームの構造は、ITERと同様に内外両側にリフレクタを設置してV型と し、冷却水はドーム部と内外リフレクタ部を並列に供給することを想定してい る(図3参照)。 (3) 銅合金を使用する冷却系統については、ダイバータ冷却材(加圧水)の入り口 圧力は5MPa、運転温度範囲を200-280℃(目安として出入口温度差50℃程度、 最大流速は15 m/s以下)とする。冷却水の入出口温度差を増やす際は出口温度 を増加する。 (4) ルーチング検討における冷却水の流量評価の際、配管伝熱面の最大熱流束を簡 易的な(2次元等)熱解析等で評価し、安全上、伝熱面限界熱流束の5/7倍 7/12 (=0.714)以下を設計の目安とする。 (5) ダイバータカセットへの入り口(inlet)からの出口(outlet)に至るまでの加 圧冷却水の圧損評価を、2系統の冷却配管および冷却ユニットについて行う。 (6) 異なる冷却系統の冷却ユニットが近接するダイバータ板の構造は、冷却配管の 曲がり部をプラズマ照射から覆うように、ダイバータモノブロックの構造およ び冷却配管の曲率などの検討を行う。 (7) 冷却ユニットのダイバータカセットへの設置及び支持は、ダイバータカセット の構造や重量を考慮し検討を行うこと。本検討ではプラズマ照射時の熱のびに 関する考慮を行うが、ディスラプションなどの電磁力への考慮は不要とする。 なお、ダイバータカセットの形状、ダイバータ・ブロック構造、ダイバータ板表 面形状・寸法・位置、プラズマ及び放射損失によるダイバータ表面への熱負荷分布 および中性子による核発熱密度分布などの基本情報についての詳細は量研機構より 提示する。 2.3.2 ダイバータカセット構造と冷却設計の検討: 作業項目 2.3.1 で検討した冷却配管ルーティングを基に、ダイバータカセットボ ディへの各ダイバータ冷却ユニット(外側ターゲットおよびバッフル、ドームと内 外リフレクタ、および内側ターゲットおよびバッフル) 、および冷却配管の支持・ 配置を検討したダイバータカセット構造の基本概念を提示する。おおよその形状、 および運転時と交換時の固定位置を参考図 5 に示す。また、ダイバータカセットに 2 系統の冷却配管(銅合金冷却配管と F82H 冷却配管)を組み込んだ例を図 6 に示 す。この例では、ダイバータ冷却ユニットの交換およびダイバータカセットの冷却 については考慮されていない。 本検討では、ダイバータ冷却ユニットの支持および冷却配管のルーティング以外 に、カセット自身への中性子およびガンマ線照射による核発熱の冷却機構を施すと ともに、ダイバータ冷却ユニットを交換可能でダイバータカセットを再利用するこ とを考慮したダイバータカセットの概念設計を検討する。その際以下の条件は考慮 することとする。 図 5 ダイバータカセット構造と固定・支持位置(参考図) 8/12 排気口 図6 ダイバータカセットに 2 系統の冷却管を配置した例(排気口を下側に設置した) (1) カセット冷却用の流路は、各ダイバータ冷却ユニットから出る冷却配管流路 (銅合金配管及びF82H配管)と別と考えるが、F82H用加圧冷却水条件(290 度、15MPa)を使用する。 (2) 連結位置やダイバータ冷却ユニット支持位置等は真空排気経路の確保を考慮し て検討すること。カセットの排気溝は、図1に示すような下側あるいはITERと 同様な外側ダイバータ下を予定している。ただし、下側に設置する場合は、真 空容器への中性子照射を低減するための遮蔽構造あるいはシェブロン構造など を配置するものとする。 (3) 図3に示した様に、内側及び外側のダイバータ板の直線部は高熱負荷(最高 10MWm-2程度)を除熱するためモノブロック構造に銅合金の冷却配管を使用し、 外側ダイバータから内側ダイバータへと配管を行うこと。ダイバータ・バッフ ル及びドーム部(熱負荷は最高2MWm-2程度)では高中性子負荷となるため、低放 射化フェライト鋼の冷却配管を使用し、外側ダイバータから内側ダイバータへ と配管を行うこと。 ドームおよび内外リフレクタの冷却配管については、熱負荷および配管の容 易さなどの観点から検討を行うこと。ドーム中央部と内外ウイング部に並列供 給を想定している。 (4) ダイバータ冷却ユニットのカセットへの設置(接続と支持)は、ダイバータカ セットの構造や重量を考慮し検討すること。本検討ではプラズマ照射時の熱の びは考慮するが、ディスラプションの電磁力への考慮は不要とする。 (5) 量研機構が提供するダイバータカセットの核発熱分布を考慮すること。 (6) 冷却配管のマニフォールドは、保守交換時での溶接工程に鑑み、ダイバータ外 側に集約すること(図6,7参照)。 (7)ドーム部の冷却ユニット(外側からの排気の場合は、さらに外側ダイバータ及 び外側リフレクタ)の支持構造、排気空間および配管は、トロイダル方向およ 9/12 びポロイダル方向に粒子排気のコンダクタンスを配慮すること。 なお、ダイバータカセットボディの幾何学的な範囲(真空容器の大きさ)は量研機構 が提示する。 図7 ダイバータカセットにおける冷却配管の入口・出口配管の例 2.3.3 ダイバータ対向材および冷却構造の概念設計(熱輸送および弾塑性応力解 析): 参考図8に示す対向材および冷却構造を基本とし、タングステン対向材のモノブ ロック(4個以上)に対して銅合金の冷却配管を配したダイバータ冷却ユニット(3 次元構造)に関して、量研機構が提供するプラズマおよび放射損失による表面熱負 荷、および中性子およびガンマ線照射による核発熱条件に対する熱輸送解析を行う とともに、量研機構が提供する繰り返し熱負荷条件に対する弾塑性応力解析を行 い、温度、熱流束、ひずみ・応力の評価を行う。特に、流路方向(ポロイダル方 向)のモノブロック間(間隔0.5-1mm)の銅合金冷却管部のひずみの変化に着目し た結果を提示する。 その際、特にリーディングエッジへの局所的なプラズマ熱流束の照射を抑制する 対策として図8に示すようにタングステン・モノブロックの表面を磁力線方向にわ ずかに一定の角度(β=1-2度)で傾斜させるため、ダイバータ表面はプラズマ熱流 と放射パワーの両者を受ける領域(Sw)と後者のみを受ける領域(Ss)が現れる。こ 図 8 ダイバータ・モノブロック及び冷却構造の例 (U i ) U i 10/12 図 9 ダイバータ・モノブロックの表面形状とプラズマ熱流束および放射熱流束照射 れと共に、ポロイダル方向に対して両者の熱負荷および中性子負荷(核発熱)が変化 することも考慮し、3次元(トロイダル方向、ポロイダル方向、深さ方向)で熱輸 送及び応力解析を行う。なお、上記の熱輸送・応力解析に必要なモノブロック形状 を定める具体的な形状パラメータ、磁力線のピッチ、熱負荷分布及び核発熱密度分 布などの条件等は量研機構が指示する。 ダイバータ冷却ユニット(3次元構造)の冷却配管は銅合金を、それとタングステ ンモノブロックとの間に無酸素銅を使用する。弾塑性応力解析に必要な繰り返し熱 条件(初期条件および10s程度の熱負荷の繰り返しを想定)および材料データベー スについて解析に必要なものは量研機構より指示する。手順としては、熱輸送およ び弾性応力解析を、プラズマ熱流および放射熱分布の異なる条件で3ケース程度行 い、さらに繰り返し熱負荷による弾塑性解析はそのうち1ケースとする。 これに加え、タングステン・モノブロックおよび銅合金の高熱負荷用ダイバータ 板冷却ユニット全範囲(約0.8m)にわたり、支持点や固定点を考慮した場合につ いて熱輸送解析及び変位解析を行い、相対的な変位(熱膨張による表面や軸方向へ の伸び)および銅配管端部のひずみや応力を明らかにする。ITERではモノブロック の支持構造に対する相対的な変位(熱膨張による軸方向への伸び)を許容する為に レール支持型と固定ピンで支持するピン支持型が提案されているが、原型炉におい ては核発熱のため冷却が必要となる。この点を考慮して、タングステン・モノブロ ックをフェライト鋼支持台に設置する方法、および冷却ユニットのカセットへの支 持構造の検討を行う。 2.3.4 ダイバータの粒子排気の検討: 量研機構が示すダイバータカセットでの水素同位体ガス圧および排気性能を満た す排気ポンプの仕様と台数および排気ポートについて検討を行う。 ・ダイバータカセット内の排気ポート出口(図6参照)での水素分子圧力は 1-3Pa 程 度とし、排気量 100-200Pam3/s を得るための排気ポンプの仕様と排気経路の条件 を検討すること。排気経路の概要は図10に示し、検討するパラメータは、(1)排 気口の幅(Wdiv)、(2)ダイバータ下に排気口を設置する場合は真空容器との空間 (h1)、 (3)ドッグランの高さ(h2)、(4)排気ポートからポンプまでの配管の内径 (d1)、とする。 ・排気ガスはトリチウムと重水素の混合ガス(1:1)とする(D2, H2, DT)。 ・図10のような排気経路を 16 箇所すべてのポートに設置することを考えている。 11/12 ・ダイバータ排気ポートには中性子遮蔽のためドッグラン構造とする。 ・カセットの排気口の設置箇所により真空容器内での排気経路は異なる(図10は 下側に排気口を設置した例) 。 ・排気ポンプの設置位置は、トーラスホールの外側(トーラク中心から水平距離 35 m)とする。 図 10 ダイバータカセットから排気ポンプまでの排気経路(ダイバータカセット下 からの排気)の例 以上 12/12 1 ) ) ( ) 1 ) 1 3 ) 3 ) )3 ) ) 3 ( ) 1 ) 3 ! 1 ) ) ) !
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