平 成 二 十 七 年 度 学 力 検 査 問 題 解 説 ( 国 語 )

平成二十七年度
学力検査問題解説(国語)
国語の基礎的・基本的な内容について、できるだけ広範囲にわたって出題し、国語を適切
〈出題の方針〉
1
に表現し、正確に理解する力をみるように努めた。
文 学 的 な 文章 と 説 明 的な 文 章 を 理解 す る 力 をみ る よ う に努 め た 。 また 、 平 易 な 古 典を読 む 基
・大問3…説明的な文章
(
(
合計
)内は配点
点)
点)
点)
点)
点)
点
作文と言語事項についての問題を出題し 、文章表現力や基礎的な言語能力をみるように努めた 。
本 的 な力 をみ る よ う に 努 め た 。
2
3
(
大問1~大問5の5問構成(
〈出題形式〉
◇
・大問1…文学的な文章
・大問4…古典
(
・大問2…漢字・言語事項(
・大問5…作文
大問1
【出題のねらい】
お やま だ きり こ
とありますが、これは 歩 のどのような様子を
る心情が描かれています。出典は、小山田桐子著『将棋ボーイズ』です。
歩は居心地の悪さに思わず身じろぎした。
①
ウ
イ
ア
祖父が大げさに自分を褒めるのでいたたまれず、じっとしていられない様子。
まだ決めていないのに、A級に出ると祖父が早合点したので慌てている様子。
根気強く部活の質問を投げかけてくる祖父に対して、いらだちを隠せない様子。
何事も自分できちんと決められず、優柔不断な自分に引け目を感じている様子。
(4点)
表していますか。最も適切なものを、次のア~エの中から一つ選び、その記号を書きなさい。
エ
エ
における意味として適切な選択肢を選びます。ア~エの選択肢は、本文の内容を含んでいますが、
歩 が 「 居 心 地 が 悪 い 」 と 感 じ た 理 由 を 読 み 取 る と と も に 、「 身 じ ろ ぎ す る 」 と い う 表 現 の 本 文 中
【解説】
【正答】
問1
あゆ む
り実力をつけて欲しいと考える父と、歩の成長を喜び全面的に支えようとする祖父との間で葛藤す
資料文には、自分に自信の持てなかった 歩 が将棋を通して成長していく過程で、焦らずゆっく
あ ゆむ
文学的な文章を理解する力をみようとしたものです。
100
その全部または一部が本文の内容にふさわしくないもの、本文の言い換えとして適切でないものが
あります。それぞれの選択肢をみてみましょう。
- 1 -
16 12 25 22 25
ま ず ア で す が 、 歩 が 「 夕 食 の リ ク エ ス ト 」 が で き な い 自 分 を 笑 う 描 写 は あ り ま す が 、「 何 事 も 自
分で決められ」ないとは表現されていません。次にイですが、祖父が根気強く質問する描写はあり
ま す が 、 歩 が そ れ に 対 し て 、 い ら 立 ち を 感 じ た と は 表 現 さ れ て い ま せ ん 。 次 に ウ で す が 、「 身 じ ろ
ぎ す る 」と は 、慌 て て い る 様 子 を 示 す 表 現 で は あ り ま せ ん 。最 後 に エ で す が 、歩 が「 居 心 地 が 悪 い 」
と感じたのは、意気消沈している歩のことを祖父が「いつも以上に歩を褒めちぎ」ったためです。
また「身じろぎする」は「少し体を動かすこと」の意味であり、じっとしていられない歩の様子を
父の中の自分の評価
②
とありますが、父は歩のことをどのように考えていますか。その説明
表現しています。したがって、正答はエになります。
問2
イ
ア
ときには強いライバルたちに囲まれて頑張ることも、歩の成長には必要だと考えている。
他 人 の 言 葉 を 都 合 よ く 解 釈 し 実 力 以 上 の こ と を し て も 、歩 が 恥 を か く だ け だ と 考 え て い る 。
自分の実力に見合った場所で成績を残すことが、歩には大事であると考えている。
と し て 適 切 で な い も の を 、 次 の ア ~ エ の 中 か ら 一 つ 選 び 、 そ の 記 号 を 書 き な さ い 。( 4 点 )
ウ
早く結果を出そうとすると、歩はそれがプレッシャーになって失敗すると考えている。
ウ
エ
【正答】
【解説】
登場人物たちの会話や描写を正確に読み取ることで父の歩に対する見方や考え方を理解し、その
とありますが、このときの歩の心情の変化を次
- 2 -
説明として適切でない選択肢を選びます。
ま ず ア で す が 、 父 の 「 自 分 の 実 力 に 見 合 っ て る か っ て い う の が 大 事 な ん だ ろ う 。」、「 無 理 し て 実
力 以 上 の と こ ろ に 出 た っ て 意 味 は な い だ ろ 。 そ こ で 成 績 を 残 せ な い と 。」 と い う 会 話 か ら 、 適 切 な
内容です。次に イですが、父は「それ(=先生の言ったこと)を拡大解釈して、舞い上がって、恥
を か く の は 歩 な ん で す よ 。」 と 述 べ て お り 、 適 切 な 内 容 で す 。 次 に ウ で す が 、「 強 い ラ イ バ ル が た
く さ ん い る 方 が 、 き っ と 歩 も 頑 張 れ る だ ろ う し 。」 と い う 母 の 意 見 に 対 し 、 父 は 「 歩 は そ う い う タ
イプじゃないだろう……」と否定しており、適切でない内容です。最後にエですが、父は歩につい
て「 早 く や ら な き ゃ い け な い と プ レ ッ シ ャ ー を 感 じ る た び に 、い つ も 失 敗 し て き た 」と 述 べ て お り 、
そんな小さな勝利も長くはもたなかった。
③
適切な内容です。したがって、正答はウになります。
問3
(6点)
のようにまとめました。空欄にあてはまる内容を、四十字以上、五十字以内で書きなさい。
50
。
A級に出ることについて、父が一応は肯定的な言葉を口にしたことで勝った気持ちに
なっていたのが、
40
【正答】
【解説】
(例)大事に一人で考えて決められず、A級に出ることを武器のように振りかざした
ことの後悔に変わった (四十五字)
本文傍線部は、歩の心情が変化していくことを示しています。このあとの心情の表現を的確に読
み取り、指示された文脈や字数で適切に表現します。心情を表すキーワードは「後悔」で、その具
体的な内容は次の二つです。
①A級に出ると決めたことよりもそれを武器であるかのように振りかざしたことに後悔があっ
た。
②もっと大事に、一人できちんと考えて、きちんと決めたかったのに。
きん
自分は金だと証明したくないか?
④
とありますが、この言葉を歩はどのように感じているか
これらの読み取りをもとに、指示された文脈と字数内でまとめます。
問4
と感じている。
祖父は、歩には将棋の実力が十分にあると励ましているのだが、歩は、
(例)今の自分は祖父の理想の姿から遠く、祖父の期待を苦しい(二十六字)
(6点)
を 次 の よ う に ま と め ま し た 。空 欄 に あ て は ま る 内 容 を 、二 十 字 以 上 、三 十 字 以 内 で 書 き な さ い 。
【正答】
問5
とありますが、このときの歩の心
情を説明したものとして最も適切なものを、次のア~エの中から一つ選び、その記号を書きな
おじいちゃんが転んだのは絶対自分のせいだと思った。
⑤
これらの読み取りをもとに、指示された文脈と字数でまとめます。
ように思われて苦しい。
②祖父の期待が「理想の自分」に対するものに思え、かえって「今の自分」を否定されている
① 「 金 で あ る こ と ( = 自 分 の 実 力 の 証 明 )」 を 期 待 さ れ る の も 、 苦 し い ( し ん ど い )。
発言から読み取ります。ポイントは次の二点です。
が持てない歩は、その励ましを「苦しい」と感じています。その具体的な内容を、このあとの歩の
本文傍線部は、歩の祖父が歩の実力を認めていることを伝える励ましの表現ですが、自分に自信
【解説】
20
明日話そうと約束をしていたにもかかわらず、それを忘れて対局に熱中してしまい、祖父
ことが、転倒の原因になったと考えている。
昨日のことを気にしながらも、祖父と向き合うことを避け、祖父を落胆させたままにした
かったことが、転倒の原因になったと考えている。
昨日のことを謝ろうと決めていたが、祖父の視線を感じて言い出せず、祖父と和解できな
さ い 。( 5 点 )
ア
イ
ウ
を失望させたことが、転倒の原因になったと考えている。
- 3 -
30
エ
パ ー ト で 不 在 が ち な 母 か ら の 着 信 に 気 づ か ず 、祖 父 を 家 に 一 人 き り に し て し ま っ た こ と が 、
イ
転倒の原因になったと考えている。
【正答】
【解説】
祖父の転倒の原因を「絶対自分のせいだ」と考える歩の心情を、本文全体を通しての歩と祖父の
やりとりや歩の祖父に対する心情表現に着目して読み取り、その説明として適切な選択肢を選びま
す。
まずアですが、歩が「昨日のことを謝ろうと決めていた」ことは文中に表現されていません。ま
た 祖 父 と は い さ か い を し た わ け で は な い の で 、「 和 解 」 と い う 表 現 は 適 切 で は あ り ま せ ん 。 次 に イ
で す が 、「 し ゃ が れ た 、 力 の な い 声 だ っ た 」 と い う 表 現 か ら 祖 父 の 落 胆 が 読 み 取 れ ま す 。「 祖 父 の
視 線 を ~ 気 づ か な い ふ り を し た 」、「 お じ い ち ゃ ん と 向 き 合 っ て ~ 気 が 重 か っ た 」 な ど の 描 写 か ら 、
祖父のことを気にしながらも、向き合うことをおそれ、避けてしまったことが読み取れます。次に
ウ で す が 、 祖 父 の 言 葉 に 「 明 日 に で も ゆ っ く り 話 そ う 。」 と あ り ま す が 、 そ れ に 対 し て 歩 は 明 確 な
約 束 を し て い ま せ ん 。ま た 将 棋 部 で も 、
「 勝 負 に 集 中 で き る は ず も な く 」と あ り 、祖 父 と の「 約 束 」
を「熱中して忘れた」とはいえません。最後にエですが、母が歩に電話を掛けたのは、母が帰宅し
て祖父の転倒に気がついたあとで、歩が電話に出なかったことが転倒の原因ではありません。また
歩 が 家 に 電 話 を し た と き 、「 少 な く と も お じ い ち ゃ ん が い る は ず 」 と 考 え て お り 、 祖 父 が 一 人 で 家
にいることは特別な状態ではないことがわかります。したがって、正答はイになります。
- 4 -
大問2
【出題のねらい】
次の
部 の 漢 字 に は 読 み が な を つ け 、 か た か な は 漢 字 に 改 め な さ い 。( 各 2 点 )
漢字の読み書きを含む、基礎的・基本的な言語能力をみようとしたものです。
問1
稚拙な字を書く。
峡谷を風が吹きぬける。
運命に身を委ねる。
電車がケイテキを鳴らす。
夕日が空を赤くソめる。
「 ち せ つ 」 と 読 み ま す 。「 稚 」 と い う 字 は 、「 稚 魚 」「 幼 稚 」 な ど の 熟 語 に 用 い ら れ ま す 。
「 拙 」 と い う 字 は 、 音 読 み で 「 せ つ 」、 訓 読 み で 「 つ た な ( い )」 と 読 み 、「 拙 速 」「 拙 宅 」
な ど の 熟 語 を つ く り ま す 。「 稚 拙 」 は 、 未 熟 で つ た な い こ と を 表 す 熟 語 で す 。
「 き ょ う こ く 」 と 読 み ま す 。「 谷 」 と い う 字 は 、 小 学 校 二 年 生 で 訓 読 み の 「 た に 」 と い
う読みを学習しますが、中学校では音読みの「こく」という読みを学習します。
「 ゆ だ ( ね る )」 と 読 み ま す 。 音 読 み で は 「 委 員 」「 委 任 」 な ど の 熟 語 に 用 い ら れ ま す 。
「 警 笛 」 と 書 き ま す 。「 注 意 を う な が す た め に 鳴 ら す 笛 」 と い う 意 味 の 言 葉 で す 。「 笛 」
の音読みは「てき」です。
「 染 」 と 書 き ま す 。「 せ ん 」 と 音 読 み す る と 、「 染 料 」「 染 色 」 な ど の 熟 語 を つ く り ま す 。
ま た 「 染 」 の 部 首 は 、「 き へ ん ( 木 偏 )」 に な り ま す 。
漢字の習得においては、音訓両方について、意味や用法を確認することが大切です。ま
た 、複 数 の 読 み 方 が あ る 漢 字 の 熟 語 の 意 味 を 調 べ る と 、語 句 の 理 解 が 深 ま り ま す 。さ ら に 、
漢 和 辞 典 等 を 使 い 、漢 字 が 持 つ 意 味 や 成 り 立 ち に も 興 味 を 持 っ て 学 習 す る と よ い で し ょ う 。
日ごろから漢字の筆順や点画などに注意しながら、文字を丁寧に書く習慣を身につける
線 部 の 述 語 に 対 す る 主 語 を 、 一 文 節 で 書 き 抜 き な さ い 。( 3 点 )
とともに、漢字を正しく用いることが大切です。
次の
この町には、私が友人と過ごした頃の思い出がたくさんあります。
思い出が
の 一 文 節 の 主 語 は 「 思 い 出 が 」 と な り ま す 。 文 に よ っ て は 、 主 語 は 「 が 」( 格 助 詞 ) で 示 さ れ る と
「 何 ( 誰 ) が そ う す る の か 」「 何 ( 誰 ) が そ う な の か 」 を 考 え ま す 。 こ こ で は 「 あ る 」 と い う 動 詞
文 の 組 み 立 て の 関 係( 係 り 受 け )に つ い て の 理 解 を 問 う 問 題 で す 。述 語 の「 あ り ま す 」に つ い て 、
【解説】
【正答】
問2
【正答】と【解説】
(5) (4) (3) (2) (1)
は限りません。その場合は、まず述語を探してから主語を確認しましょう。
- 5 -
(1)
(2)
(4) (3)
(5)
問3
なつ め そうせき
次は、夏目漱石著『坊っちゃん』の一部です。この文章の中に、用言(活用のある自立語)
イ
五つ
ウ
六つ
心がきれいだと言って、またほめた。
四つ
エ
エ
七つ
そんなものは欲しくないと、いつでも清に答えた。すると、あなたは欲が少なくって、
きよ
は い く つ あ り ま す か 。 あ と の ア ~ エ の 中 か ら 一 つ 選 び 、 そ の 記 号 を 書 き な さ い 。( 3 点 )
ア
【正答】
【解説】
用言の理解を問う問題です。用言とは、口語文法の品詞分類のうち、活用のある自立語(動詞、
③答え(動詞「答える」の連用形)
①欲しく(形容詞「欲しい」の連用形)
⑥言っ(動詞「言う」の連用形)
④少なく(形容詞「少ない」の連用形)
②ない(形容詞「ない」の終止形)
形容詞、形容動詞)をさします。本文中で具体的には、
⑤きれいだ(形容動詞「きれいだ」の終止形)
⑦ほめ(動詞「ほめる」の連用形)
の七つになります。したがって、正答はエになります。
こ の 中 で 、 ② の 「 な い 」 は 、「 欲 し く 」 に つ い て 補 助 的 な 働 き を す る 補 助 形 容 詞 で す 。「 な い 」
は、否定 打
( ち消し)の意味を持つ助動詞にもありますが、次の方法で見分けることができます。
・「 な い 」 を 「 ぬ 」 に 置 き 換 え ら れ る 。
例
( )このところ、雨が降らない。→助動詞
・「 な い 」 を 「 ぬ 」 に 置 き 換 え ら れ な い 。
例
( )外はまだ暗くない。→形容詞
他にも、次の方法で見分けることができます。
・「 な い 」 を 「 あ り ま せ ん 」 に 置 き 換 え ら れ な け れ ば 、 助 動 詞 。
・「 な い 」 の 直 前 に 「 は 」「 も 」 な ど を 挟 め れ ば 、 補 助 形 容 詞 。
・「 な く て 」 と い う 言 い 方 だ け で な く 、「 な い で 」 と い う 言 い 方 も で き れ ば 、 助 動 詞 。
次の会話の空欄にあてはまる最も適切な敬語の表現を、あとのア~エの中から一つ選び、そ
こうした品詞や意味・用法が異なる語の見分け方について、理解を深めましょう。
問4
ウ
拝見なさって
エ
お目にかけて
) く だ さ い 。」
生 「 こ こ は 美 術 部 の 部 室 で す ね 。 皆 さ ん の 作 品 を 見 せ て も ら え ま す か 。」
ご覧になって
先
イ
徒「ありがとうございます。どうぞ、ゆっくりと(
イ
お見せになって
生
の 記 号 を 書 き な さ い 。( 3 点 )
ア
【正答】
【解説】
会話の中で敬語を適切に使うことができるかを問う問題です。会話の内容から、敬意の対象であ
- 6 -
る 「 先 生 」 の 「 見 る 」( 自 動 詞 ) と い う 動 作 を 適 切 に 敬 語 に で き る か が ポ イ ン ト に な り ま す 。
話 題 の 中 の 人 物 の 動 作 ・ 行 為 を す る 人 に 対 し て 敬 意 を 表 す 敬 語 を 尊 敬 語 と い い ま す 。こ こ で は「 見
る」という言葉の尊敬語として適切な表現を選択肢の中から選びます。
ま ず ア で す が 、「 お 見 せ に な る 」 は 「 見 せ る 」( 他 動 詞 ) の 尊 敬 表 現 で あ り 、 適 切 で は あ り ま せ
ん 。次 の イ で す が 、「 ご 覧 に な る 」は「 見 る 」の 尊 敬 表 現 で あ り 、適 切 な 表 現 で す 。次 に ウ で す が 、
「 拝 見 な さ る 」 は 「 拝 見 ( す る )」 と い う 謙 譲 語 に 「 な さ る 」 と い う 尊 敬 語 が 続 い た も の で 、 適 切
で は あ り ま せ ん 。 最 後 に エ で す が 、「 お 目 に か け る 」 は 「 見 せ る 」 の 謙 譲 表 現 で あ り 、 適 切 で は あ
俳句と俳句に表現されている季節の組み合わせとして適切でないものを、次のア~エの中か
りません。したがって、正答はイになります。
問5
ら 一 つ 選 び 、 そ の 記 号 を 書 き な さ い 。( 3 点 )
春
ば し ょう
―
まつ お
(松尾芭 蕉 )
夏
あ まの が は
―
ど
荒海や佐渡によこたふ天 河
(山口誓子)
秋
さ
ア
炎天の遠き帆やわがこころの帆
―
き
(正岡子規)
まさ おか し
こ ば やし い っ さ
や ま ぐ ちせ い し
イ
名月をとつてくれろと泣く子かな(小 林 一茶)
冬
ウ
―
いくたびも雪の深さを尋ねけり
ア
エ
【正答】
【解説】
俳 句 に 表 現 さ れ た 季 節 に つ い て の 理 解 を 問 う 問 題 で す 。中 学 校 で は 、俳 句 に は 必 ず 季 節 を 表 す「 季
ば しょ う
あ ま の がは
語」があることを学習しています。この季語を探すことが、俳句の季節を考える場合に重要です。
まつ お
それぞれの俳句の季語を確認してみましょう。
やま ぐち せい し
アは、松尾芭 蕉 の『おくのほそ道』にある句です。季語は「 天 河」で、季節は「秋」です。
こ ば や し いっ さ
イは、山口誓子の『遠星』にある句です。季語は「炎天」で、季節は「夏」です。
まさ おか し
き
ウは、小 林 一茶の『おらが春』にある句です。季語は「名月」で、季節は「秋」です。
エは、正岡子規の『寒山落木』にある句です。季語は「雪」で、季節は「冬」です。
したがって、正答はアになります。
- 7 -
大問3
【出題のねらい】
説明 的 な 文 章 を 理 解 す る力 を み よ う と し た も の です 。
本 書 は 、 音 楽 学 者 で あ る 筆 者 が 、「 音 楽 を 語 る 言 葉 を 磨 く 」 こ と に よ り 、 音 楽 を 他 者 と 語 り 合 う
喜びに気付くこと、そのための「音楽の聴き方」について取り上げたものです。資料文は、音楽が
作曲者の生きた時代や地域を超えて「再現」され、時空を超えた文化として伝承されること、また
おか だ あけ お
それらの文化を育んだ人々を知ろうとすることが、他者理解、異文化理解につながることが述べら
私 た ち は 美 術 館 で 絵 を 前 に し て 、反 射 的 に 作 者 の 名 前 を 見 よ う と す る 。 と あ り ま す が 、
「私
①
れています。出典は岡田暁生著『音楽の聴き方』です。
問1
たち」がこうした行動をとる理由として最も適切なものを、次のア~エの中から一つ選び、そ
イ
ア
作者を知ることで、その絵の歴史的な背景を知ろうと思うから。
作者の知名度が、その絵の文化的な価値を決めると思うから。
作者の名前によって、美術館の歴史を探そうと思うから。
の 記 号 を 書 き な さ い 。( 4 点 )
ウ
作者を確認することで、その絵の難しさを判断しようと思うから。
ウ
エ
【正答】
- 8 -
【解説】
「私たち」が絵を前にして、反射的に作者の名前を見ようとする理由として適切な選択肢を選び
ま す 。 筆 者 の 考 え を 正 し く 読 み 取 る に は 、 傍 線 部 の 前 後 の 記 述 に 着 目 し ま す 。 筆 者 は 、「 私 た ち 」
にとって、ある音楽が「難しい」のは、その「歴史や文化の背景がかなり遠いところにあるから」
で あ り 、ま た 、
「 私 た ち 」が 作 者 や 作 曲 者 を 知 ろ う と す る の は 、そ の 作 品 の「 歴 史 を 探 そ う と す る 」
ためであると述べています。それぞれの選択肢をみてみましょう。
ま ず ア で す が 、「 私 た ち 」 が 知 ろ う と す る の は 、 そ の 「 絵 」 の 歴 史 で あ り 、 美 術 館 の 歴 史 で は あ
り ま せ ん 。次 に イ で す が 、本 文 中 に「 絵 の 価 値 」に つ い て の 説 明 は あ り ま せ ん 。次 に ウ で す が 、
「作
者の名前」を知ることは、その絵の歴史的な背景を知ることにつながるため、適切な内容です。最
後にエですが、作品の「難しさ」を決めるのは、作品の「歴史や文化の背景」と「私たち」の距離
音 楽 は 必 ず 文 脈 の 中 で 鳴 り 響 き 、私 た ち は 文 脈 の 中 で そ れ を 聴 く 。 と あ り ま す が 、こ れ は 、
②
で あ り 、「 作 者 の 名 前 」 で は あ り ま せ ん 。 し た が っ て 、 正 答 は ウ に な り ま す 。
問2
筆 者 が 音 楽 を ど の よ う な も の と 考 え て い る か ら で す か 。次 の 書 き 出 し に 続 け て 、四 十 五 字 以 上 、
55
五 十 五 字 以 内 で 説 明 し な さ い 。( 6 点 )
筆者は、音楽を
ものと考えているから。
45
【正答】
【解説】
(例)特定の文化の中で時間をかけて形成されるものであり、別の時空に移動されて
も新たな別の文化文脈にはめ込まれる(五十二字)
音楽が、必ず歴史/文化の文脈の中で鳴り響くという筆者の主張を、本文中で述べられている筆
者の音楽に対する考えをまとめることで理解しようとする問題です。傍線部の前から、筆者が音楽
について述べた部分に着目します。
①「音楽とは、特定の文化の中で時間をかけて形成されてきたもの、そこでしか生まれえない
もの」である。
②「たとえ本来の文脈から切断されて別の時空に移動されたとしても、またしても音楽はそこ
で新たな別の文化文脈にはめ込まれる」
今の時代にあって何より大切なのは、自分が一体どの歴史/文化の文脈に接続しながら聴い
③
これらの筆者の音楽に対する考え方を、指示された文脈と字数で説明します。
問3
とありますが、筆者がこのように考えたのは、どのような
ているのかをはっきり自覚すること、そして絶えずそれとは別の文脈で聴く可能性を意識して
みることだと、私は考えている。
現代の音楽の事情があるからですか。それを説明した一文として最も適切なものを本文中から
探 し 、 そ の は じ め の 五 字 を 書 き 抜 き な さ い 。( 4 点 )
【正答】 それは今日
【解説】
音楽を聴くとき、自分が接続する歴史/文化の文脈とそれとは別の文脈で聴く可能性を意識する
ことが大切である、という筆者の意見が、どのような事実に基づいているかを文中から読み取りま
す 。 筆 者 が 、「 現 代 の 音 楽 の 事 情 」 に つ い て 述 べ た 一 文 を 文 中 か ら 探 し ま す 。
傍線部の段落の前に、次の一文があります。
「 確 か に 現 代 の 音 楽 状 況 を ひ ど く 複 雑 な も の に し て い る 、 特 殊 な 事 情 と い う も の も あ る 。」
こ の 現 代 の 音 楽 の 「 特 殊 な 事 情 」 を 説 明 し て い る の が 、 こ の あ と に 続 く 、「 そ れ は 今 日 、 ~ と い
う 事 実 で あ る 。」 と い う 一 文 で す 。 そ の は じ め の 五 字 を 書 き 抜 き ま す 。
- 9 -
問4
歴史と文化の遠近法の中で音楽を聴くとは、未知なる他者を知ろうとする営みである。
④
と
ありますが、次はこの内容を説明したものです。空欄にあてはまる内容を、四十字以上、五十
字 以 内 で 書 き な さ い 。( 6 点 )
につながる営みである。
異なる文化や歴史に参入し、音楽を聴くことは、
【正答】
(例)背後にある歴史的経緯や人々の大切な記憶を大事にし、それらを育てた文化や
人々を知ろうとすること(四十六字)
本文の構成や表現の仕方について述べたものとして適切でないものを、次のア~エの中から
「もちろ ん 」
「 確 か に 」な ど の 語 句 を 用 い な が ら 反 対 の 考 え 方 や 異 な る 考 え 方 を 示 し た 後 、
文章の内容を具体的に想像しやすくしている。
「 ガ ラ ス 瓶 の 中 の 手 紙 を 開 封 す る こ と 」「 空 気 の よ う な も の 」 な ど の 比 喩 を 用 い な が ら 、
他者の考えや説明を加え、筆者の考えを補っている。
「 ダ ナ ・ ア ー ノ ル ド が 言 う よ う に 」「 小 沼 純 一 は 、 次 の よ う に 説 明 し て い る 」 の よ う に 、
こ ぬま じゅ ん いち
それぞれの特徴を読み手にはっきりと印象づけている。
音楽と美術、東洋と西洋というように、複数のものを対比させながら論を進めることで、
一 つ 選 び 、 そ の 記 号 を 答 え な さ い 。( 5 点 )
ア
イ
ウ
エ
自らの論を展開することで、筆者の主張を説得力のあるものにしている。
ア
や表現の仕方について、それぞれの選択肢をみてみましょう。
本文の構成や表現の仕方について理解し、適切でない選択肢を選ぶ問題です。この文章の構成
【解説】
【正答】
問5
この内容を、指示された文脈と字数で説明します。
と 謙 虚 に 問 う 聴 き 方 が あ っ て も い い 。」
を 忘 れ た く な い 。『 こ う い う も の を 育 て た 文 化 = 人 々 と は 一 体 ど の よ う な も の な の だ ろ う ? 』
「それらの背後には何らかの歴史的経緯や人々の大切な記憶がある。このことへのリスペクト
部分です。
付き、敬意をもってその文化とそれを育てた人々を理解しようとすることです。該当するのは次の
らなかった音楽文化)に対して謙虚に従ってみることで、その歴史的経緯や人々の大切な記憶に気
よ り 意 味 深 く 音 楽 を 聴 く こ と を 表 し て い ま す 。「 未 知 な る 他 者 を 知 」 る と は 、 異 文 化 ( そ れ ま で 知
「 歴 史 と 文 化 の 遠 近 法 で 音 楽 を 聴 く 」と は 、音 楽 が 生 ま れ 育 っ た「 歴 史 や 文 化 の 背 景 」を 理 解 し 、
【解説】
40
ま ず ア で す が 、 美 術 と 音 楽 は 、「 作 者 の 名 前 」 を 知 ろ う と す る こ と の 例 示 で す が 、 対 比 に よ っ て
- 10 -
50
それぞれの特徴を示してはいません。同様に、東洋と西洋も対比の構造にはなっておらず、適切で
な い 内 容 で す 。 次 に イ で す が 、 筆 者 は 「 ダ ナ ・ ア ー ノ ル ド 」、「 ア ド ル ノ 」、「 小 沼 純 一 」 の 文 を 引
用 し な が ら 論 を 進 め て お り 、 適 切 な 内 容 で す 。 次 に ウ で す が 、「 ガ ラ ス 瓶 の 中 の 手 紙 を 開 封 す る こ
と 」と は 、あ る 音 楽 が 、い つ か 誰 か に 受 け 取 ら れ 理 解 さ れ る こ と の 比 喩( 隠 喩 ・ 暗 喩 )で す 。ま た 、
「空気のような」は、日常的に存在し、それゆえ意識しないものの比喩(直喩・明喩)であり、適
切 な 内 容 で す 。 最 後 に エ で す が 、「 も ち ろ ん 」、「 確 か に 」 以 下 で 反 論 や 異 論 な ど を 示 し た あ と 、 そ
れ に 続 く 「 に も か か わ ら ず 」、「 だ が 初 め は 」 以 下 で 筆 者 の 主 張 を 展 開 し て お り 、 適 切 な 内 容 で す 。
したがって、正答はアになります。
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大問4
【出題のねらい】
み な も と の よし いえ
あ べの さだ とう
古 典を 理解す る基 本的な 力をみ よう とした もので す。 難しい 語句 にはそ の左側 に口 語訳を 付け、 理解
し やす いよ う に配 慮し ま した 。 源 義 家 と 安 倍 貞 任 の や り と り を 中 心 に 、 戦 場 に お い て も 風 雅 が 理
こ こん ちょ もん じゅ う
解 さ れ て い る こ と を 伝 え る 内 容 で 、 古 典 に 表 れ た も の の 見 方 や 考 え 方 を 読 み 取 る 力 を み ま す 。 出典
(3点)
とありますが、この部分を「現代仮名遣い」に直し、ひらがなで書きなさい。
たえずして
たへずして
は 『 古 今 著 聞 集 』 で す。
問1
【正答】
【解説】
「歴史的仮名遣い」についての理解を問う問題です。中学一年生から繰り返し学んでいる学習内
容 で す 。 基 本 的 に は 、「 は 行 」 を 「 わ 行 」 に 置 き 換 え 、「 ぢ 」 を 「 じ 」 に 、「 づ 」 を 「 ず 」 に 置 き 換
し ろた へ
白妙になりにけり。
①
様子。
とありますが、これはどのような様子を表していますか。それを説明
えます。歴史的仮名遣いは音読を通して体感的に身につけましょう。
問2
よろい
(例)雪で真っ白である(八字)
武士たちの 鎧 が
し た 次 の 空 欄 に あ て は ま る 内 容 を 、 十 字 以 内 で 書 き な さ い 。( 3 点 )
【正答】
【解説】
本 文 中 の 「 白 妙 に な り に け り 。」 が ど の よ う な 様 子 で あ る か を 、 説 明 す る 問 題 で す 。 物 語 の 場 面
を 、 本 文 中 の 表 現 か ら お さ え て い き ま す 。「 雪 は だ れ に 降 り て 」 と あ る こ と か ら 、「 武 士 た ち の 鎧 」
が「白妙」になるのは、雪で覆われたためであることが読み取れます。この読み取りをもとに、指
示された文脈と字数でまとめます。
あめ
か
ぐ やま
な お 、「 白 妙 」 は 真 っ 白 な 様 子 を 示 す 言 葉 で 、 教 科 書 の 次 の 和 歌 に も 用 い ら れ て い ま す 。
きた
春 過 ぎ て 夏 来 る ら し 白 た へ の 衣 干 し た り 天 の 香 具 山 (『 万 葉 集 』 持 統 天 皇 )
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問3
しばし引きかへせ。物いはん。
②
衣川の館(四字)
Ⅱ
よ しい へ
さ だた ふ
とありますが、次は、このあとの義家と貞任が交わし合っ
十二年(三字)
Ⅱ
Ⅰ
も続いた戦いで味方の軍
も攻 め 落 と さ れ て し
た句について説明したものです。空欄Ⅰ、Ⅱにあてはまる言葉を本文中から探し、それぞれ
Ⅰ
も乱れて持ちこたえられなかった、と返事をした。
歳月を経た古糸がばらばらに乱れるように、
まったな、と呼びかけた。
衣の縦糸がほころびてしまうように、とうとう
三 字 以 上 、 五 字 以 内 で 書 き 抜 き な さ い 。( 3 点 )
家
義
任
貞
【正答】
【解説 】
義家、貞任が交わし合った句は、傍線部までの内容をふまえています。戦いの場面を確認しなが
ら 、空 欄 Ⅰ 、Ⅱ に あ て は ま る 語 句 を 探 し ま す 。ま ず 、戦 っ て い る の が 源 頼 義 ・ 義 家 の 軍 と 安 倍 貞 任 ・
宗任の軍であり、戦場は貞任等が守る「衣川の館」であることが読み取れます。したがって、義家
等が攻め落としたのはこの「衣川の館」であり、Ⅰの正答となります。また、Ⅱには戦いの期間が
や さ し か り け る 事 か な 。 は「 風 雅 な 振 る 舞 い で あ っ た こ と だ 」と い う 意 味 で す が 、こ れ は 、
③
あ て は ま り ま す が 、「 陸 奥 に 十 二 年 の 春 秋 」 と あ る こ と か ら 、「 十 二 年 」 が Ⅱ の 正 答 と な り ま す 。
問4
貞任と義家のどのような振る舞いに対して述べたものですか。最も適切なものを、次のア~エ
激戦のさなか、敵、味方の立場の違いをこえて互いの武勇をたたえ、再戦を誓う句を交わ
き返した義家の振る舞い。
敗北を認め最後の一戦を挑もうとする貞任と、勇敢な好敵手の命を惜しんで武装を解き引
た義家の振る舞い。
敗走する味方を逃がすために一人立ち止まった貞任と、それを見て追撃を止めて引き返し
家の振る舞い。
激しい戦いの中にあっても、句を交わし合うことで互いの気持ちを伝え合った、貞任と義
の 中 か ら 一 つ 選 び 、 そ の 記 号 を 書 き な さ い 。( 3 点 )
ア
イ
ウ
エ
ア
し合った、貞任と義家の振る舞い。
【正答】
【解説】
義家・貞任の「風雅な振る舞い」として適切な選択肢を選びます。それぞれの選択肢をみてみま
しょう。
ま ず ア で す が 、「 さ ば か り の た た か ひ の 中 」 に あ っ て も 、 句 で 「 お 互 い の 気 持 ち を 伝 え 合 っ た こ
と」が風雅なのであり、適切な内容です。次にイですが、貞任が立ち止まったのは、敗走する味方
を逃すためではありません。次にウですが、貞任は陥落する衣川の館から逃れるさなかにあり、最
後の一戦を挑もうとする様子は読み取れません。最後にエですが、交わし合った句の中では、互い
の 武 勇 を 讃 え て お ら ず 、ま た 、再 戦 の 誓 う 内 容 で は あ り ま せ ん 。し た が っ て 、正 答 は ア に な り ま す 。
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大問5
【出題のねらい】
「百年後の日本に残したいもの」について、提示された三つの意見から一つを選び、自分の考え
が相手に効果的に伝わるよう、自己の体験をふまえ、展開を工夫して書く力をみようとしたもので
す。文章をまとめるにあたり、最初の段落に選んだ意見を書くこと、文章中に意見を選んだ理由を
含めることが指示されています。
【解説】
まずは「百年後の日本に残したいもの」について、提示された三つの意見の中から自分が書き
たいと思う意見を選び、普段あなたが考えていたことなどをまとめます。その際に、根拠となる
体験をあわせて考えます。ここで、書き手のものの見方や考え方が表れます。今回は、自分が住
んでいる地域の環境や伝統行事、小・中学校での伝統に関する学習活動などを取りあげて、意欲的
では、段落や構成に注意して書くように
に書いているものが多かったようです。社会のできごとに関心をもち、多くの体験をすることで、
視野を広げることができます。
次に、文章の形態や構成を考えます。問題文の注意
すい こう
指 示 さ れ て い ま す 。こ の 段 階 で 、 構 成 メ モ な ど を つ く っ て お く と 、 文 章 の 柱 が ぶ れ た り し ま せ ん 。
また、見直しや推敲がしやすくなります。
次の段階は記述です。自分の意見を述べるときには、自分の立場を明確にして、論理の筋道が
通るように記述することが大切です。筋道を立てて書くと、自分の意見を相手に説得力をもって
④
③
②
①
論理の展開を工夫し、順序立ててわかりやすく説明する。
本の内容や他から聞いた言葉などを含む場合は、適切に引用する。
最初から最後まで、自分の立場がぶれない(自分の意見が揺れない)ようにする。
根拠(理由)は、客観性や信頼性の高いものを選ぶ。
自分の考えや判断の根拠(理由)を明確にする。
伝えることができます。 具体的には、次の点に留意しましょう。
⑤
理由をあいまいにしたり、体験の内容が意見とずれていたり、途中で「どちらとも言えない」
と い う よ う に 立 場 が ぶ れ て し ま う と 、説 得 力 が 弱 い 文 章 と な っ て し ま い ま す 。意 見 ・ 根 拠( 理 由 )・
体 験 が 一 貫 し て い る こ と が 大 切 で す 。ま た 、
「 論 理 の 展 開 」に つ い て は 、初 め に 自 分 の 意 見 を 述 べ 、
」でく
それを裏づける事実(体験)を述べたうえで、具体的な事実(体験)を一般化すると、自分の意
見 の正当性や妥当性を示すことができます。他の人の言葉などを引用するときには、「
くったり、出典を明示すると、信頼性が高まります。記述に際しては、対象となる事柄を順序立
に 、「 原 稿 用 紙 の 正 し い 使 い 方 に 従 っ て 、 文 字 、 仮 名 遣 い も 正 確 に 書 く こ と 。」 と
ててわかりやすく説明しましょう。
また、注意
敲する習慣を身につけることが大切です。普段から、文章を書く際に、学習した漢字を正しく用
いて丁寧に書く習慣を身につけるようにしましょう。
説得力のある文章を書くには、説明したい内容を端的に表す言葉や接続語などを適切に使える
ということも大切です。論理的な文章を読んだり、客観的な説明を聞いたりする学習活動を大切
にしましょう。答案の中には、話し言葉をそのまま書いたり、文末表現に常体と敬体が混じった
りしているものがありました。相手や目的に応じた、適切な表現を心がけましょう。そのために
は、日ごろから、読み手を意識して、わかりやすい文章にしようと心がけることが大切です。ま
た、書き上げたあとには必ず読み返 して、自分の文章を確認しましょう。
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(2)
ありますが、句読点、符号、改行など、原稿用紙の使い方に従って文章を書き、書いた文章を推
(4)