2016 年 7 月 7 日 プレスリリース プリペイド決済市場に関する調査を実施(2016 年) ~汎用化の動きとともに高度化するプリペイド決済~ 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内のプリペイド決済市場の調査を実施した。 1.調査期間:2016 年 1 月~5 月 2.調査対象:プリペイド決済サービス提供事業者およびプリペイド決済サービス導入支援事業者、国際ブランド等 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用 <プリペイド決済市場とは> 本調査におけるプリペイド決済サービスとは、事前にチャージ・購入をしてカードやモバイルを通して決済ができるサ ービスを指す。主に①非接触 IC 型電子マネー(非接触 IC チップを発行媒体とし、IC チップに記録した残高を加減算で きるプリペイド決済サービス)、②サーバー管理型電子マネー(カード自体には残高価値を持たせずにサーバーでアカ ウントを管理するプリペイド決済サービス)、③その他(全国百貨店商品券のような紙型、図書カードなどの磁気型など) に分類される。なお市場規模はプリペイド決済サービス提供事業者の取扱高ベース(一部発行額を含む)で算出した。 【調査結果サマリー】 2015 年度のプリペイド決済市場規模は前年度比 17.6%増の約 7.5 兆円と拡大 2015 年度のプリペイド決済市場規模は、非接触 IC 型電子マネーが堅調に拡大していることを背景に、 前年度比 17.6%増の約 7.5 兆円まで拡大した。2016 年度はサーバー管理型電子マネーの発行拡大も寄 与し、前年度比 15.8%増の約 8.7 兆円まで達すると予測する。 CRM との融合や決済サービスの拡大とともに汎用化の動き プリペイド決済はポイントプログラムをはじめとした CRM(Customer Relationship Management)との融合 が進み、さらなる付加価値の向上を目指していく。また、スマートフォンアプリを活用したプリペイド決済サ ービスの利用も増えている。プリペイド決済サービスは低コスト化や自社グループ外の店舗への決済サー ビスの導入など、汎用化の動きが顕著である。 2021 年度のプリペイド決済市場規模は約 13 兆円までの拡大を予測 プリペイド決済市場規模は、2021 年度までに約 13 兆円まで拡大すると予測する。消費者の利便性の 向上や利得性の提供などを基軸に、今後も非接触 IC 型電子マネー及びサーバー管理型電子マネーが 堅調に推移し、ハウスカード型から汎用性のあるカードへの移行を進めながら拡大していくと予測する。 ◆ 資料体裁 資料名:「2016 年版 プリペイド決済市場の実態と展望」 発刊日:2016 年 5 月 31 日 体 裁:A4 判 251 頁 定 価:150,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報宣伝グループ迄お問合せ下さい。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 7 月 7 日 プレスリリース 【 調査結果の概要 】 1. 市場概況と将来予測 2015 年度のプリペイド決済市場規模は、非接触 IC 型電子マネーの堅調な拡大に加え、サーバー管理 型電子マネーの急速な拡大により、前年度比 17.6%増の約 7.5 兆円まで拡大した。2016 年度も前年度比 15.8%増の約 8.7 兆円と拡大基調を維持し、2021 年度には約 13 兆円まで拡大すると予測する。 プリペイド決済は特定の加盟店で利用できるハウスカード型と利用可能店舗が多く利便性の高い汎用 型に大別されるが、近年ではハウスカード型を発行している事業者が外部の加盟店開拓に取り組むなど、 汎用性を高める動きが顕著である。 またプリペイド決済は、企業やブランドの販売促進や顧客の囲い込みを目的として発行されることが多 かったが、昨今ではクレジットカードの与信の厳格化が進んでいることもあり、クレジットカードが持てない (持たない)若年層やシニア層に対するキャッシュレス化のメリットを享受させることのできる決済方法とし ても対象範囲を拡大させている。 こうしたなか、消費者の利便性の向上や利得性の提供などを基軸に、今後もプリペイド決済市場は非 接触 IC 型電子マネー及びサーバー管理型電子マネーが堅調に推移し、ハウスカード型から汎用性のあ るカードへの移行を進めながら拡大していくと予測する。 2. 注目すべき動向 2-1.ポイントプログラムとプリペイド決済の一体化 従来、小売事業者は他社との差別化や顧客の囲い込みを目的としてポイントプログラムを導入してい たが、ポイントプログラムだけでは差別化が難しくなったこともあり、プリペイド決済とポイントプログラムを一 体化することで、新たな販促策としてきた。プリペイド決済を活用することにより、ポイントの付与だけでなく、 顧客のお金を事前に預かり、お財布に近い形で利用してもらう取り組みを進めている。大手スーパーでの プリペイドを活用した販促施策の成功事例を背景に、プリペイド決済を導入する小売事業者の動きが顕 著である。今後は CRM(Customer Relationship Management)との融合が進み、さらなる付加価値の向上 を目指していくものとみる。 2-2.スマートフォンアプリを活用した決済サービスの提供の兆し スマートフォンアプリを活用した決済サービスは普及の兆しをみせている。スマートフォンアプリとサー バーで管理されている Web アカウントの残高情報を紐づけ、バーコードで決済ができるインフラを構築す ることで、従来の決済ネットワークを通さずに、決済サービスを提供することができるようになる。これにより、 プリペイド決済サービスの汎用化を目指す際、低コスト化が図れるとともに、自社グループ外の店舗への 決済サービスの導入を進めることが可能になる。 2-3.プリペイド決済の利用履歴を活用したマーケティング活動への可能性 プリペイド決済のなかでも、クレジットカード会社などの国際ブランド加盟店舗で利用可能なブランドプ リペイド決済は汎用性が高く、グループ内だけの利用履歴だけでなく、グループ外での決済情報を収集 することができるため、より多くデータの収集が可能になっている。こうしたプリペイド決済の利用履歴は将 来的にはマーケティング活動に利用できることが見込まれ、今後、当該データ活用の重要性は高まるとみ られる。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 7 月 7 日 プレスリリース 2-4.ブロックチェーンを活用した決済インフラの構築や仮想通貨の発行に注目 2016 年 5 月にビットコインなどの仮想通貨について「財産的価値」として定義し、実際の通貨と交換す る事業者を登録制とするなどの規制を盛り込んだ改正資金決済法が成立した。これによりブロックチェー ンやビットコインへの注目が集まっている。 ブロックチェーンは、利用者同士をつなぐ P2P(ピアツーピア)ネットワーク上のコンピュータを活用し、 権利移転取引などを記録、認証する仕組みである。現在、ブロックチェーンは、ビットコインなどの暗号通 貨取引などに利用されており、大規模で高度なシステム基盤などを担う可能性のある技術である。現下、 ブロックチェーンの技術を活用した地域型電子マネーの発行も検討されており、今後は様々な実証実験 が行われるものと推察する。 (百万円) 図 1. プリペイド決済市場規模予測 矢野経済研究所推計 注1. プリペイド決済サービス提供事業者の取扱高ベース(一部発行額を含む) 注2. 2016 年度以降は予測値 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
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