クラウドファンディング実践事例紹介①

【 日本一の共助県を目指した「共助活動」の拡大 】
クラウドファンディング実践事例紹介①
はじめに
NPOの力は地域課題の解決に向けて必要
です。しかし、NPOの多くが抱える課題と
して「人」「モノ」「資金」「情報」の4つが
あります。中でも、一番の壁となっているの
は「資金」と言えます。今回は「資金」調達
の1つの手法であるクラウドファンディング
練習の様子
について具体的に紹介します。
◆クラウドファンディングについて
ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ( 語 源: 群 集
(Crowd)と資金調達(Funding)を組み合
コーチ・スタッフという3つの要素が揃って
います。
⑴ クラウドファンディングへの挑戦
わせた造語。)とは、インターネット上で、
アルカスクイーン熊谷では地域や大学、多
自分の夢やアイデア、活動を発信する事で、
くの企業などから支援を頂き、選手がトレー
共感した人や応援したいと思ってくれる人を
ニングに打ち込める環境を用意できています
募り、支援金を集めることができる仕組みで
が、海外遠征を行えるまでの予算は確保でき
す。クラウドファンディングを通じて、
「資
ておらず、これまで一度も海外遠征を実施で
金調達」
「PR」「ファンづくり」に挑戦する
きたことはありません。現在、チーム強化の
ことができます。(詳しくはぶぎんレポート
ため2017年2月(予定)に、ニュージーラ
No.200 2016年6月号を御覧ください。
)
ンドへの遠征を実施したいと考えています。
◆資金調達へのチャレンジ
より多くの選手たちに海外での試合を経験さ
せてあげたいという想いからクラウドファン
NPO法人ARUKAS KUMAGAYA
クラウドファンディング目標金額 600万円
締め切り:平成28年7月3日(ラストスパート!)
ディングに挑戦しています。選手やコーチ・
NPO法 人ARUKAS KUMAGAYAは2011
資金として総額1,100万円程度必要となりま
年4月に立正大学ラグビー部に1名の女子部
す。今回は、そのうちの最低600万円の資金
員が入部したことがきっかけとなり、ラグ
を集めることを目標としています。クラウド
ビーを愛する仲間が集まって2014年に設立
ファンディングを通じて、多くの方々に女子
されました。この法人は女子セブンズ(7人
ラグビーについて知っていただき、女子ラグ
制)ラグビー強化に特化したクラブチーム
ビーのファンを集めたいと考えています。
「ARUKAS QUEEN KUMAGAYA WOMEN’
S
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り、 ト レ ー ニ ン グ 環 境、 選 手 の 雇 用 企 業、
スタッフ合わせて約30 ~ 40人の約1~2
週間程度の現地滞在を計画しています。その
今回のチャレンジでは寄附金額を1口5千
SEVENS RUGBY FOOTBALL CLUB」
(以下、
円から30万円までの6段階に設定しました。
アルカスクイーン熊谷)を所有しています。
クラウドファンディングを始めるには、あら
全国でも有数のラグビータウンである熊谷市
かじめ寄附者の数とリターン(お礼の品)の
の地域特性や地元企業と立正大学の支援もあ
数を想定しておかなければなりません。企業
ぶぎんレポート No.201 2016 年 7 月号
の応援を多く受けたいと考えた場合は、1口
⑵ 女子ラグビーへの想い
10万円以上のリターンの数をより多く設定
NPO法人ARUKAS KUMAGAYAは『SA
しておくことが必要です。一方、個人からの
KURA、はぐくむ』を合言葉に、世界に咲き
寄附を広く集めたいと考えれば、低額の寄附
誇る日本代表選手を育成する随一の女子ラグ
に対するリターンの数を多く設定しておく必
ビークラブを目指しています。日本人の心を
要があります。アルカスクイーン熊谷では、
大切にし、礼節を重んじ規律を守る行動に
そのバランスで悩みましたが、女子ラグビー
よって培われた選手たち。そのプレイは全て
の裾野が広がって欲しいという考えから、個
の人に感動と希望を与えてくれます。
“真の
人の寄附がより多く期待できる1口5千円と
強さと内面の美しさで人々を魅了し、助け合
1万円の寄附に対するリターンを多く揃えま
いの精神を持った女子ラグビークラブを世界
した。「女子ラグビーファンを増やしたい」
に発信して行きたい。
”
“SAKURAのまち熊
という選手、スタッフの願いも込められてい
谷 か らOne for all, All for oneの 精 神 で、
ます。リターンは、女子ラグビーの特徴を生
女子ラグビーの発展に力を尽くしたい。
”こ
かした「アルカスクイーン熊谷の選手集合写
れが、NPO法人ARUKAS KUMAGAYAの想
真」「アルカスクイーン熊谷所属日本代表選
いです。
手のリオ五輪への壮行会の招待チケット」
「サ
⑶ 活動内容
イン入り試合用ジャージ」「アルカスクイー
ラグビーを通した“ラグビータウン熊谷”
ン熊谷所属選手・スタッフからコーチングを
の地域活性化を目指して、
「女子ラグビー強
受ける権利」等が用意されています。ラグ
化事業」
「女子ラグビー育成事業」
「地域普及
ビーに少しでも興味をお持ちの方、これから
促進事業」
「指導者養成事業」の4つの活動
ラグビーをやってみようと考えている方はも
に取り組んでいます。
ちろん、初めて耳にした人も含め、多くの人
たちからの御寄附をアルカスクイーン熊谷は
女子ラグビー強化事業
女子セブンズ(7人制)ラグビー強化に特
待っています。埼玉県から世界に通用するラ
化したクラブチーム
「アルカスクイーン熊谷」
ガーウーマンを私たちの手で育てて行きま
では、日本代表に多くの選手を送り出すこと
しょう。 をミッションに掲げて、日々の練習に励んで
います。そのミッションのとおり、現在も複
数の日本代表選手を輩出しています。
アルカスクイーン熊谷応援プロジェクト(クラウドファ
ンディング)の詳細についてはこちらを御覧ください。
https://www.booster-parco.com/project/60
女子ラグビー育成事業
2020年東京オリンピックやそれ以降のオ
リンピック、国際大会等で活躍できる女子ラ
ぶぎんレポート No.201 2016 年 7 月号
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グビー選手の育成を目指して小中高校生(以
グビーの楽しさを実感してほしい。アカデ
下、アカデミー)を対象に、各年代と一人ひ
ミーで育った選手にはトップチームに昇格
とりの能力にあったパフォーマンスアップの
し、日本代表を目指してほしい。そして、現
ためのアスリート教育を行っています。アカ
役を離れたら、指導者として経験を生かし、
デミーは立正大学のグランドで水、土、日の
後 輩 を 育 て て ほ し い。
」NPO法 人ARUKAS
週3回、練習を行っています。
KUMAGAYAは、この循環を5~6年後を
地域普及促進事業
目標に生み出せるよう、少しずつ努力を重ね
タグラグビー を通じて、子供たちにラグ
ています。法人の考え方や指導方法に共感し
ビーの魅力を普及するとともに、人としての
てくれる人が指導者になっていくことで、女
あり方、チームワークの大切さを学んでもら
子ラグビーの裾野が広がっていくと考えてい
う取組です。熊谷市内の市立小学校29校の
ます。また、コーチ陣やスタッフも
「教える」
5年生を対象にラグビーの楽しさを体験して
ことを通して、自分たち自身がレベルアップ
もらいます。スポーツをツールとして“ラグ
できると考えています。
(*)
ビータウン熊谷”を盛り上げていきます。
(*)タグラグビーとは
日本ラグビーフットボール協会が1997年から積極的に普及
に努めている、腰につけたビニール製のリボン(タグ)を取
り合うことで激しいぶつかり合い(タックル)の要素を排除
した、より安全で誰にでも手軽に楽しめるノンコンタクトの
ラグビーゲーム。腰に付けたタグを取られるとボールをパス
しなければならないのがルール。2005年からサントリーカッ
プ(全国小学生タグラグビー選手権)も開催されている。
指導者養成事業
自ら考え、課題を解決し、成長し続けられ
る指導者を養成します。地域のコーチやト
レーナーの方々を対象として、学びの場を提
供します。正しいコーチングの方法、各年代
に合わせた適切なプログラムの立て方等、多
岐にわたるカリキュラムを用意し、選手と共
にゴールを目指せるコーチを養成します。
⑷ 今後の目標
トップチームのアルカスクイーン熊谷は、
リオ五輪や2020年の東京五輪で活躍する選
手の養成を目指します。また、国内最高峰の
太陽生命ウィメンズセブンズシリーズで
2015年の年間チャンピオンになったので、
2016年も連覇を狙います。さらに、NPO法
人としての組織運営力を強化していく方針で
す。「タグラグビーでラグビーに興味を持っ
た子供には、アカデミーに所属してさらにラ
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ぶぎんレポート No.201 2016 年 7 月号
専門家活用イベントの開催
共助仕掛人発!
“われこそは専門家”みんなで集まろう!
!
~1人+1人=2人じゃない?!
「プロボノ×共助」
で大開眼!~
参加者募集中!
期日 : 平成28年8月8日(月)
14:10 ~ 16:50
場所 :浦和コミュニティセンター第13集会室
浦和PARCO・コムナーレ 10階
埼玉県には専門家ボランティアを登録する仕
組みがあります。今回、初めて専門家ボラン
ティアにフォーカスしたイベントを開催します。
共助の取組マッチング事業の中心である共
助仕掛人を軸として、専門家ボランティアが
活躍する場を創出し、NPO法人や企業、金
融機関、行政の協働が生まれるような機会を
提供します。☞詳細は次ページ
【 日本一の共助県を目指した「共助活動」の拡大 】
(目的)
(1)‌ソーシャルビジネスについての講義を開催し、
専門家のスキルアップを図ります。
(2)‌専門家とNPO法人等とのマッチング事例を
紹介し、専門家の意識啓発を図ります。
(3)
「SAITAMA
‌
Smile Women フェスタ2016」
に出展するNPO法人と専門家との交流の場
を創出し、出展内容のブラッシュアップを図
ります。
これまで地域とのつながりが薄かった方々
が、定年退職などを機に専門家ボランティア
として地域デビューするためのヒントや具体
的に地域貢献するための手法、交流会による
新たな人脈の広がり等が期待できます。さら
に、 9 月 の「SAITAMA Smile Women
フェスタ2016」に出展予定のNPO法人との
交流も予定されています。CSR(地域貢献)
活動をお考えの企業とのマッチングも期待さ
れます。
現在、専門家ボランティアに登録されてい
る方、これから登録しようと考えている方な
ど、幅広い参加をお待ちしています。地域の
課題解決に向けた県民の「共助活動」のビッ
グウェーブを起こし、みんなで波に乗ってい
きましょう。
(共助の取組マッチング事業についてはぶぎ
んレポートNo.190 2015年7月号を御覧
ください。
)
おわりに
「何かやりたい!しかし何に取り組んだら
いいのかわからない…。
」という皆さん!皆
さんが仕事で培ったスキルやノウハウを求め
ている人がきっといます。一人ひとりが貴重
な
“人財”
です。お互いに絆を深めて支え合っ
ていきましょう。
埼玉県共助社会づくり課(埼玉県庁第三庁舎3階)
電話 048-830-2828
E-mail [email protected]
ぶぎんレポート No.201 2016 年 7 月号
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