JMDCがお届けする最新医療データマガジン 2016/7/7 Vol.087 ̶ 保険者様の的確な分析視点、効果的な保健事業の実現のため、保健事業の「切り口」 「 見方」のご提案や、当社開発の保健事業支援ツール「らくらく健助」を用いた分析事例をご紹介させて頂きます̶ ∼CKD重症度分類等のCKDリスク因子と人工透析・急性冠動脈疾患・急性脳卒中の発生の関連性の検討∼ 保険者支援事業部 カスタマーリレーション推進G 工藤大 今回は、2016年5月24日∼27日に開催された「第89回日本産業衛生学会」において、日本医療データセンターより口演発表した分析についてお伝えします。 背景と目的 背景:高齢化の急速な発展による生活習慣病が増加。合併症への移行は患者のQOL (生活の質)を低下させるだけでな く、その治療にかかる医療費も増大する。特に人工透析人口は年々増加しており、その治療にかかる医療費は莫大で あることから課題となっている。 目的:本研究は健診データとレセプトデータを用いて、CKD重症度ステージおよび生活習慣病有無別の人工透析、急性冠 結 果 解析対象 リスク因子ごとのイベント発生率 2012年度に保険加入のある人40-64歳のうち、2011 年度と2012年度に健診における血清クレアチニン値お よび尿蛋白値のある加入者を特定、すでにイベント、SLE をもつ加入者を除外した75,780人を解析対象とした 動脈疾患、急性脳卒中の発生状況を検討することを目的とした。 方 法 ◇研究デザイン: 後ろ向きコホート研究 ◇評価項目: 以下のリスク因子ごとのイベント件数、発生率およびハザード比 ̶リスク因子: CKD重症度ステージ、腎機能低下速度、糖尿病、高血圧症、脂質異常症 ̶イベント: 人工透析、急性冠動脈疾患、急性脳卒中 リスク因子ごとのイベント発生率 ◇解析内容 ̶リスク因子別の患者背景 ̶イベント発生率: 人年法 ̶イベント発生までの期間(time to event): カプランマイヤー法 属別変数: 各リスク因子 ̶ハザード比: Cox比例ハザードモデル 従属変数: イベント発生までの期間 独立変数: リスク因子・性別・年齢・保険者資格(喪失による観察不要) ◇組み入れ期間: 2012年4月∼2013年3月 ◇観察期間: 最大24ヶ月 ◇組み入れ基準: 40歳∼64歳、2011年度、2012年度の両年度に、健診における血清クレアチニン値、尿蛋白値 (定性) データあり ◇除外基準: 組み入れより過去12ヶ月間に人工透析、急性冠動脈疾患、急性脳卒中、全身性エリテマトーデス (SLE) のレセプトあり (SLE に関しては観察期間中に診断名がある症例も含む) ◇CKD重症度ステージ定義: CKD重症度ステージの評価は、健診結果における血清クレアチニン値と尿蛋白値(定性)を用い た.CKD重症度は日本腎臓病学会が提唱する「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013」 におけるCKD重症度分類を用いた ■メールマガジンに関するお問い合わせ 保険者支援事業部 カスタマーリレーション推進G 田中 TEL:03-5733-5013 / MAIL:[email protected] Copyright Japan Medical Data Center Co.,Ltd.,2016.All rights Reserved 各リスク因子における「リスクなし群」に対するハザード 比は全てのイベントにおいて高く、人工透析において、 CKD重症度ステージが「赤」では「緑」 に比べて422.7倍 リスクが高くなることが示された CKD重症度ステージごとの 人工透析発生率(Time to event) 24ヶ月間におけるCKD重症度ステージごとの人工透析 発 生 率 は「 赤 」で 高く、1 2ヵ月後 で 4 . 0%、2 4ヶ月後 で 8.0%であった 結 論 ■3つのイベントにおいて、全体的にリスク因子「あり」のハザード比は高い傾向 にあり、CKD重症度ステージ「赤」が、どのイベントにおいても最も高くなって いた。 ■24ヶ月後におけるCKD重症度ステージ「赤」 における人工透析発生率は8.0% であり 「緑」 に比べてハザード比は、422.7であった。 「オレンジ」までは、人工透析の発生は高くないことから、 「 オレンジ」から 「赤」 への移行を抑制することが重要であることが示唆された。 ■健診データとレセプトデータでCKD 重症度と生活習慣病の診断状況を把握 し、保健指導に活用できる可能性が示された。特に人工透析は医療費の観点か らも、早期に発見し介入していくことが期待される。 次のページには、 ペ ジには、 「らくらく健助Q&A」 もございます。 操作方法や分析結果の見方など、 過去に実際に頂いたご質問 方法や分析結 から汎用性の高いものを中心に、 ご紹介しております。 汎用性の高い JMDC Healthcare Information 2016/7/7 Vol.087 ̶操作方法や分析結果の見方など、過去に実際に頂いたご質問から汎用性の高いものを中心に、 ご紹介させて頂きます ̶ ↓ ⑳ファイルを開き、2 0 1 3 年 度 から 2015年度に受診がない人だけを確認 します。 少し難しい 説明します。 「健助操作編」健助の操作で頂いたご質問について、 ⑳ 【健診分析】 2015年度に健診未受診だった被扶養 者に案内を送るため、対象者を抽出し たい。できたら、2015年度だけでな く、直近3年間で一度も健診を受診し ていない被扶養者を抽出したい。 ① 受診した人は 「受診」 、 受診していない人はブランクになっています。 健診分析から、「分析方法」 で 「トレンド分析」 を選択し、分析条件の設定画面が立ち上がるので、条件を入力します。 【分析条件の設定】 ① 「トレンド分析」 を選択 ↓ ② 「健診受診状況」 を選択 ↓ ③ 「分析条件設定」 より期間、年齢、属性条件などを選択します。 期間:2015年度∼2015年度 (③) 年度区切り: 「年度 (=4月∼翌年3月」 を選択 (④) ※参考:年間 (=1∼12月) 被保険者/被扶養者:被扶養者を選択 (⑤) 対象者:期間末在籍を選択 (⑥) ↓ ⑦ 「OK」 ボタンで条件を確定させます。 ④ ③ 【レセプト分析】 禁 煙 対 策を健 保として 行 い た い の だ が、実際、禁煙外来にかかっている患 者数がどのくらいいるか算出したい。 データは、2015年4月から直近までを 見たい。 ⑤ ⑥ ↓ ⑧集計項目に 「実人数」 を選択 ↓ ⑨分析開始ボタンを押すと、分析結果が出力されます。 ② 未受診者からさらに深堀したい場合 → 「ドリルダウン (⑩) 」 を押す。 未受診者の明細を出力したい場合 → 「明細出力」 を押す。 分析結果をエクセルで出力したい場合 → 「出力」 を押す。 【分析結果】 レセプト分析から、特定の診療行為を入力することで、患者の抽出が可能です。 【分析方法】 ①STEP2のデータソース 「CSV」 を選択します。 レセプト分析メニューにおいて、薬剤情報が入っているのは、 「フルレセプト (全 データ化) 」 か 「CSV」 のみになります。最新の診療月を用いた分析を行う際に は、 「CSV」 を選択します。 ↓ ②患者条件設定の 「設定」 ボタンを押して条件設定をします。 分析期間:2015年4月∼2016年3月診療 ※最新の情報がデフォルトで出力 されます ↓ ③診療行為タブで、[プリセット診療行為から条件設定をプルダウンし、プリセット 診療行為大分類から 「ニコチン依存管理料」 を選択します。 ① ② ③ ④プリセット診療行為大分類欄に 「ニコチン依存管理 料」 が緑色にマークされるので、画面中央の矢印マー クを押して、右側へ移動させ、 「OK」 ボタンを押して患 者条件を確定させます。 ⑩ ⑤ ④ ⑧ ⑬ ⑫ 【応用編】 さらに、前年度、前々年度の未受診者を抽出します。 ⑩分析結果画面のドリルダウンボタンを押すと分析選択方法 が出るので、健診分析を選択し (⑪) 「 次へ」 ボタンを押しま す。 ↓ ⑫ドリルダウン1/2回目 (健診分析) 画面が立ち上がるので、分 析条件設定をします。手順は①∼⑨まで同様ですが、 このと き、期間を前年度、前々年度に修正します。 期間:2013年度∼2014年度 (⑬) ⑭ 対象者:期間中一日でも在籍した人 (⑭) ↓ 「OK」 ボタンで条件を確定させます。 《期間中一日でも在籍した人を選択する理由について》 被扶養者は収入超過やパートタイマー先での雇用状況によって頻繁に加入・ 脱退を繰り返すことがあるため ⑨ ⑪ ⑥ ⑤表側項目で 「期間計」 を選択します。 ↓ ⑥集計項目で 「実患者数」 を選択し、 「分析開始」 ボタンを押します。 ⑦ ⑧ ↓ ⑮表頭項目、集計項目を選択し、分析開始ボタンを押します。 ↓ ⑯分析結果が出力されるので、未受診にカーソルをあてて明細出力ボタンを押します。 ⑮ 【分析結果】 【応用】 さらに、ニコチン依存症患者のレセプト明細も確認できます。 ⑦ 分析結果画面の実患者数 (133) にカーソルをあてて、 「明細出力」 ボタンを押します。 ↓ ⑧明細出力設定 「レセプトあたり」 を選択し、出力開始ボタンを押します。 ↓ ⑨タイトル名を入力し、出力ボタンを押します。 ↓ ⑩各種ダウンロードを押して、登録したファイルを開きます。 ⑩ ⑯ ⑨ ⑰ ⑱ ↓ ⑰明細出力設定 「トレンド分析明細セット」 を選択し、出力開始ボタンを押します。 ↓ ⑱タイトル名を入力し、 出力ボタンを押します。 ↓ ⑲各種ダウンロードを押して、登録した ファイルを開きます。 【抽出結果】 ⑲ 傷病名に 「ニコチン依存症」 処方薬剤に 「チャンピックス」 などの治療薬が確認できます。 ■メールマガジンに関するお問い合わせ 保険者支援事業部 カスタマーリレーション推進G 田中 TEL:03-5733-5013 / MAIL:[email protected] Copyright Japan Medical Data Center Co.,Ltd.,2016.All rights Reserved
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