地域パートナーHOT 情報 〔山口県〕 「自然薯」栽培発祥の地 柳井市 ~JAPANブランド事業で海外進出~ 写真 小川 恭宏(産業人材政策課長) [email protected] TEL 082-224-5683 (広報で 挿入) 山口県南東部に位置する柳井市は、国内でも日照時間の長い地域で、瀬戸内の穏やかな 気候と、豊かな自然に恵まれています。古くから海上交通の要衝として栄え、江戸時代に は岩国藩(岩国領)のお納戸と呼ばれ、商都として賑わいました。白壁の町並みや細い路 地は、今も往時の面影を残しています。 特産品には、江戸時代から伝わる郷土民芸品「金魚ちょうちん」、伝統的綿織物「柳井 縞」、200年もの伝統の味を受け継いでいる醤油 「甘露醤油」等歴史を有する資源があ りますが、 「自然薯」栽培の発祥の地でもあります。 薬効が高いといわれる自然薯は、かつては畑での栽培は不可能と言われていましたが、 柳井市の政田自然農園が栽培に成功し、その後全国に自然薯栽培が普及しました。平成1 8年に地域の農業者が立ち上げた農事組合法人やまぐち自然薯生産組合では、全国の産地 と連携して栽培技術の向上に努めています。 以来、柳井市では天然優良系統種から育てた自然薯を生産しており、味、粘り、風味で ばらつきの多い天然自然薯に比べ、高品質のものを安定して供給しています。 柳井市のエムテックス有限会社は、平成18年に蒟蒻入り米ラーメンとその製造装置を 開発し、その後自然薯を練り込んだ製品である「自然薯麺」 の生産に至りました。 平成20年度からは、農商工連携(「農商工等連携促進 法」の計画認定)により、農事組合法人やまぐち自然薯生 産組合で生産する自然薯について共同開発で「自然薯麺」 を商品化しました。原料の「米粉」も、地元の農事組合法 人おおさこから調達しています。 平成25年には、自然薯を活用した製品が「きんさい柳 井」 (柳井市の地域ブランド)の認証も受けています。 自然薯麺 旬レポ中国地域 2016 年 7 月号 1 柳井市北部の盆地で栽培 自然薯の旬は秋 また、今年4月には、平成27年度補正ふるさと名物応援事業補助金(JAPAN ブランド 育成支援事業)の戦略策定支援事業に採択され、自然薯と米粉を使用することで小麦麺の 食感に近づけたカロリー1/2のグルテンフリー麺とその製造装置について、海外販路開 拓の戦略策定を行うこととしています。 エムテックス有限会社の開発した蒟蒻麺製造機でつくった蒟蒻麺は、蒟蒻の臭いがなく、 低カロリーかつグルテンフリーである世界初の蒟蒻麺で、商品への欧米等海外からの問い 合わせや輸出依頼が増えているため、海外市場のニーズ調査を行うものです。 蒟蒻ラーメン 蒟蒻冷麺 グルテンフリーとは、グルテンという植物性たんぱく質を排除した食品や食生活のこと です。グランドスラムを達成し、史上初の通算獲得賞金1億ドル超となったテニスプレイ ヤーのジョコビッチ選手の著書の影響などもあり、平成24年頃からグルテンフリーダイ エットと呼ばれる食事制限が米国などで流行しています。 地域において長年にわたり培ってきた自然環境と技術が育んだ食品が、海外においても その価値を認められ、サスティナブルな農商工の営みが広がることを期待しています。 経済産業省 中国経済産業局 広報誌 旬レポ中国地域 2016 年 7 月号 Copyright 2016 Chugoku Bureau of Economy , Trade and Industry. 2
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