7 月 2 日阿蘇大橋周辺 現地調査報告(速報)

7 月 2 日阿蘇大橋周辺 現地調査報告(速報)
2016 年 7 月 5 日
立野ダムによらない自然と生活を守る会
国土交通省・阿蘇大橋 600m 下流側に架け替え位置
(アサヒグラフ「九州熊本大地震」航空写真に加筆)
熊本日日新聞 2016.7.2
7 月 5 日夕方の各局ローカルニュースは、
「国土交通省は阿蘇大橋を 600m 下流側に架け替えることに決定した」
と報じました。現地ではまだ地質調査が十分に行われていない中、新たな阿蘇大橋の位置を決定するのはあまり
にも時期尚早です。
7 月 2 日、熊日新聞が国交省の「阿蘇大橋下流架け替え案」を報じましたので、同日当会は、阿蘇大橋周辺を
長陽側から再度現地調査しました。
阿蘇大橋約 100m 下流側の横ずれ断層
横ずれ断層の拡大写真
長陽側から見た、阿蘇大橋を崩落させた土砂崩壊現場ですが、約 100m 手前(下流側)の国道に横ずれ断層を
確認しました。黄色いセンターラインが 1mほど横にずれています。アスファルトで補修され、斜めにセンター
ラインが新たに引いてあります。
断層に沿って流れを変えている白川
いたるところで行われている地盤の調査
白川も、その断層に沿って流れを変えています。写真の向こう側は、立野地区の「立野溶岩」でつくられた台
地です。谷側は全て地震で崩落しています。
「600m 下流架け替え案」は、ちょうど写真対岸(黒川右岸)の鉄塔
付近を通るようです。現地では現在、いたるところでボーリング調査等の地盤の調査が行われています。それら
の調査結果が明らかになる前に、なぜ急いで架け替え位置を決定する必要があるのでしょうか。
谷川が全て崩落した立野溶岩の台地
「落橋のおそれ通行止め」の南阿蘇橋
対岸(黒川右岸)は、
「立野溶岩」でつくられた台地です。谷側は全て地震で崩落しています。
「600m 下流架
け替え案」は、ちょうどこの写真の中央付近を通るようです。谷底を見ると、4 月 30 日に調査した時はキャンプ
場の施設もある程度残っていたのが、6 月からの大雨で跡形もなく流されていました。黒川右岸の立野溶岩も、
長陽大橋東側の駐車場からよく見えていた部分はほとんど埋まっていました。南阿蘇橋は、
「落橋のおそれ通行止
め」となっていました。
南阿蘇橋から見た、長陽大橋と南鉄の白川橋梁
長陽大橋西側の崩壊
南阿蘇橋から見た、長陽大橋と南鉄の白川橋梁です。
「600m 下流架け替え案」は、ちょうどこの写真の右側付
近を通るようです。アソシエートの前の国道には何本もの大きな亀裂が入っていますが、そこが今回の「架け替
え案」の長陽側となるようです。そこはちょうど、南鉄の白川橋梁がかかる谷の延長上にあり、断層が走ってい
ると思われます。アソシエート付近から見た長陽大橋西側の崩壊です。さらに崩壊がひどくなっています。
断層が何本も走り、両岸も大きく崩壊し、さらには、南阿蘇橋は落橋の恐れあり。そんな場所に阿蘇大橋の架
け替え位置を決定してしまうのは、あまりにも早すぎます。
付近が崩落し景色が変わってしまった鮎返りの滝
完全に流された旧栃の木温泉跡地
白川本流の鮎返りの滝では、谷の下のほうにあった、旧栃の木温泉跡地も完全に流され、プールの底が見えて
いました。地震とその後の大雨による増水で、完全に川の状況が変わっていました。国土交通省は、ここにあっ
た無数の巨石や流木、そして大量の土砂や温泉の残骸も、すべて幅 5m の立野ダム下部の「穴」を通って下流に
流れるというのでしょうか。スクリーン(柵)に引っかかった流木は、それでもダムの水位が上がると「浮いて
くる」というのでしょうか。国交省の「阿蘇大橋下流架け替え」は、十分な調査が終わるまでは決定すべきでは
ありません。また、これまでも述べてきました通り「立野ダム計画」は即時中止すべきです。