(参考)交付金事業の経理処理解説 自治体及び交付金事業者の御担当者は、交付金事業の経理処理にあたって、以下のとおり 適切に御対応願います。 <交付金事業の経理処理の基本的な考え方> 交付金事業の経理処理に当たっては交付金の交付対象となる経費を明確に区別して処理 することとなります。また、適切な経理処理を行うための各種の制限や、取得した財産の 管理方法等、通常の経理処理・業務管理とは異なる部分があるので留意してください。 検査等により経費の虚偽申告や過大請求等による交付金の受給等の不正行為が判明した 場合には、交付決定の取消、交付金の全部または一部の返還(不交付)命令、加算金の納 付、不正内容の公表、交付金の交付停止措置、刑事告訴等の処分が科される場合がありま すので、適正な経理処理を心がけてください。 交付金の交付対象となる経費は制度により異なるため、地域経済循環創造事業交付金交 付要綱(以下「交付要綱」という。 )等により、交付金事業開始の段階から想定される経費 が交付金対象経費として認められるかどうか十分確認したうえで関係書類の整理をお願い します。 <経理処理のポイント> 経費計上は、当該事業に直接必要なものに限ります。 事業目的に合致しないものはもちろんのこと、事業に直接使用したことが特定できな い一般事務用品等は経費に計上できません。 その他計上できない経費の例示は以下のとおりです(併せて交付要綱に定める交付対 象経費を確認してください) 。 ・交付金事業の遂行中に発生した事故・災害の処理のための経費 ・振込手数料、各種申請手数料・収入印紙、各種保険料 ・事業実施に必要のない外国旅費等 ・知的財産の取得・管理に係る費用 ・人件費、土地取得費用 その他、疑義のある場合は、問い合わせをしてください。 経費計上は、事業期間中に発生したものが対象です。 発注、納品、検収、支払いは、原則、事業期間中(交付決定日以降)に発生(発注) したもので、事業期間中に終了(検収又は支払)したものが対象です。 なお、交付要綱に定める付随経費がある場合は、交付金事業完了前に係る事業の性能 の向上・評価に特に必要な経費のみを計上してください。 また、事業完了日以降のいわゆる運転費用(ランニングコスト)は対象外です。 経済合理性を考慮した調達を行ってください。経済合理性を欠いた高額取引により生 じた経費や選定理由を欠く随意契約等により生じた経費については、対象経費として 認められません。 本事業における発注先(委託先)の選定にあたって、入手価格の妥当性を証明できる よう見積書を取ってください。また、単価 50 万円(税抜き)以上の物件については原 則として交付金事業者又は見積依頼先との間で資本関係のない2社以上から見積を取 ってください。ただし、発注(委託)内容の性質上2社以上から見積を取ることが困 難な場合には、該当する企業等を随意の契約先とすることができます。その場合は、 該当企業等を随意契約の対象とする理由を備えてください。 自社調達又は 100%子会社等からの調達を行う場合(事業担当者が兼職・兼業する機 関からの調達を含む)には、調達価格に含まれる利益を排除してください(後掲「交 付金事業における利益等排除について」参照)。 交付金事業者において事実上管理することが困難な物品(例:住民への配付を目的と したタブレット類)については、対象外とします。 地方公共団体からの財産の取得については、対象外とします。 交付金交付申請額の算定段階において、原則、消費税額及び地方消費税額は交付対象 経費から除外して算定してください。 支払いを証明できる証拠書類等が整備されていなければ、必要な経費として認められ ません。 <支払方法について> ① 基本的な考え方 支払方法は、現金払い又は金融機関からの振込を原則とします。 ② 支出内容を証明する書類 支出内容を証明する書類として、補助事業者の経理処理において通常使用している発 注、納品、検収、支払いを証明する書類を整理してください。 (1) 銀行振込の場合(振り込み依頼をマニュアルで行う場合) ・支払いを証明する書類(銀行の振込取扱明細、当座勘定照合表、預金通帳等) ・支払い金額と経費金額の整合性を検証するための書類 (2) 現金支払いの場合 ・領収書(宛先、日付、品名、金額等記載されているもの) ・支払い金額と経費金額の整合性を検証するための書類 (3) 電子決済の場合 ・支払いを証明する電子データ(プリントアウトしたもので可) ・支払い金額と経費金額の整合性を検証するための書類 ※当該補助事業に係る経費を他の経費と合算して振り込んだ場合は、内訳が分かるように してください。 (交付金事業分××円、自社業務分××円) ※証拠書類に記載されている金額が、各物件調達の内容を示す資料(様式の該当箇所に記 載されている金額)と一致していることを確認してください。 ※支払いを証明する書類については、支払金額と経費金額の整合性を検証するための書類 (契約書、請求書等)により、宛先、日付、品名、金額等を照合して確認してください。 ③ 支払いについての留意点 (1) 手形取引/手形払について 手形取引/手形払は、不渡りの可能性や、手形割引により実際に支払われる金額が減 額する可能性があり、支出額の確定が明確でないため、原則、認められません。 (2) クレジットカード クレジットカードの使用は、 ・使用・支払いに係る証拠書類を用意できること、 ・交付 金事業期間終了日の翌月末日までに支払が完了すること、・交付金事業者の内部規定 に従った使用であることなどを確認してください。ただし、法人カードを有する交付 金事業者においては、個人のカードでの支払いは原則認められません。 (3) オンライン発注等、注文書・見積書等の書類が作成できない取引形態の場合 証拠書類は該当するデータを印刷して保存してください。 (4) 各種ポイントカード 支払いに伴い、各種ポイントカードへの多額のポイント加算などにより、不当に利益 を得ることがないように十分に留意してください。 <交付金事業における地域金融機関からの借入について> 交付申請書及び実施計画書に記載した融資額を超えて、 「設備資金」としての借入を行わな いでください。 また、交付対象外経費に係る借入を「設備資金」として行わなくてはならない場合は、交 付対象経費に係る借入と契約を分けてください。 交付金は、交付対象経費から自己資金と地域金融機関融資額を除いた「あと一歩」の部分 に対する支援であるため、当初予定していた地域金融機関融資額を確定させる証拠書類がな いと、交付額が確定できなくなりますので、地域金融機関との融資契約時には十分留意して ください。 <交付金事業における利益等排除について> 交付金事業において、交付対象経費の中に交付金事業者の自社製品の調達又は関係会社か らの調達分(工事を含む)がある場合、交付対象事業の実績額の中に交付金事業者の利益等 相当分が含まれることは、調達先の選定方法如何に関わらず、交付金交付の目的上ふさわし くないと考えられます。 このため、以下のとおり利益等排除方法について取り扱うこととします。 ① 利益等排除の対象となる調達先 交付金事業者が以下の(1)~(3)の関係にある会社から調達を受ける場合(他の会社を 経由した場合、いわゆる下請会社の場合も含む。 )は、利益等排除の対象とします。 利益等排除の対象範囲には、財務諸表等規則第8条で定義されている親会社、子会社、 関連会社及び関係会社を用います。 (1) 交付金事業者自身 (2) 100%同一の資本に属するグループ企業 (3) 交付金事業者の関係会社(上記(2)を除く) ② 利益等排除の方法 (1) 交付金事業者の自社調達の場合 原価をもって交付対象額とします。この場合の原価とは、当該調達品の製造原価を いいます。 (2) 100%同一の資本に属するグループ企業からの調達の場合 取引価格が当該調達品の製造原価以内であると証明できる場合は、取引価格をもっ て交付対象額とします。これによりがたい場合は、調達先の直近年度の決算報告(単 独の損益計算書)における売上高に対する売上総利益の割合(以下「売上総利益率」 といい、売上総利益率がマイナスの場合は0とします。 )をもって取引価格から利益 相当額の排除を行います。 (3) 交付金事業者の関係会社(上記(2)を除く。 )からの調達の場合 取引価格が製造原価と当該調達品に対する経費等の販売費及び一般管理費との合計 以内であると証明できる場合、取引価格をもって交付対象額とします。これにより がたい場合は、調達先の直近年度の決算報告(単独の損益計算書)における売上高 に対する営業利益の割合(以下「営業利益率」といい、営業利益率がマイナスの場 合は0とします。 )をもって取引価格から利益相当額の排除を行います。 注) 「製造原価」及び「販売費及び一般管理費」については、それが当該調達品に対す る経費であることを証明して頂きます。また、その根拠となる資料を提出して頂きます。 <関係書類の整理> (1) 実施目的 有効かつ効率的な経理処理を実施するための前提として、交付金事業の開始、実施状 況等に係る関係書類が整理されていることが必要です。 (2) 実施方法 ① 関係書類を時系列に整理・保管してください。 ② 交付金の検査時には、原則として原本を自治体に提出することになりますので、原 本を整理・保管してください。 (3) 実施報告書の作成 当該交付金事業の内容、成果及び経理処理等を様式に沿って整理します。実績報告書 は、交付すべき交付金の額を確定する証拠書類であることから適正に作成することが 必要です。 留意点は次のとおりです。 交付要綱等で定められた様式に従って記載してください。 事業の内容については、当初計画と照らし当該事業で実施した内容を詳細に記載して ください。 交付申請書で添付した事業計画に対する事業結果について、出来るだけ具体的に記載 してください。 支出された経費区分・費目が事業計画書と整合するよう留意してください。 交付要綱等で定める期限内に提出してください。 ・ 交付対象経費(交付金以外の融資・自己資金等を財源とする経費部分も対象経費 です。 )の支払いにあたっては、契約書・請求書のほか、領収書や振込明細書、預金通 帳等により、支払元・支払先・支払日・支払金額までを証明できるよう資料の作成・ 提出をお願いいたします。 (自治体の御担当者にあっては、必ず、領収書や振込明細書 等も確認してください。 ) 費目間の流用は、各費目の内容を確認したのちに、確定した額が交付要項等で定めた 流用の範囲であることに留意してください。 <取得財産等管理台帳の作成> 交付金事業により取得し、又は効用の増加した財産(以下「取得財産等」 )については、取 得財産等管理台帳を作成してください。また当該年度に取得財産等がある場合は取得財産等 管理明細表を作成してください。取得財産等管理台帳及び取得財産等管理明細表へは圧縮記 帳前の金額を記入してください。なお、取得財産等管理台帳及び取得財産等管理明細表の記 入項目を交付金事業者が用いている固定資産台帳が備えている場合は、交付金事業者が用い ている固定資産台帳で代用することが出来ます。 交付金事業の完了後においても、善良な管理者の注意を持って管理し、交付金交付の目的 に従って、その効率的運用を図ってください。 管理例 ・交付金事業で取得した取得財産とそれ以外の業務を識別できる表示(シール等)による 識別。 ・台帳上も当該交付金事業とそれ以外の業務に区別して整理。 ・取得価格又は効用の増加価格が 50 万円以上の機械及び重要な器具は、処分制限期間内 に処分(転用、譲渡、貸付、廃棄又は取壊し及び担保に供する処分)をしようとすると きは、財産処分承認申請書を大臣に提出し、その承認を受けなければなりません。 <事後作業> 交付要綱に定めるところにより、取得財産の管理等を適切に行うとともに、消費税等仕入 控除税額報告及び事業化収益状況報告について適切に対応してください。
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