寄居町 花輪 利一郎 町長

INTERVIEW
【 地 域 経済の活性化を語る 】
県内首長インタビュー㊼
寄居町 花輪 利一郎
寄居町
町長(71歳)
は、2006年(平成18)には、日本100名城
にも選定されています。その鉢形城跡には
2003年(平成15)に町指定天然記念物に指
定された推定樹齢150年を超える樹高18m
のエドヒガンが鎮座しています。ソメイヨシ
ノよりも一足早く開花を始めるエドヒガンを
目当てに、毎年春の彼岸を過ぎる頃には多く
の人が寄居町を訪れます。
「対話と協調を基調に、十分な説明と納得のまちづくりを!」
町民目線に立った開かれた行政を目指す花輪町長
また、豊臣秀吉との小田原合戦の際に、鉢
形城に陣取った郷土の武将北条氏邦は、わず
■人が集まる「寄居人脈」
か3500人で5万人の豊臣勢とひと月におよ
寄居町は、埼玉県の北西部に位置し、JR
ぶ攻防戦を続けたとされています。寄居町で
八高線、東武東上線、秩父鉄道線の3線が結
は毎年5月に、その戦いを再現する「寄居北
接しています。また、関越自動車道の花園イ
條まつり」が開催されています。玉淀河原で
ンターチェンジを玄関口に、国道140号と
の鎧武者に扮した総勢500人の出陣式や、市
254号が通る交通の要衝地となっています。
街地パレードが行われます。なかでも北条・
寄居町の町名の由来には諸説ありますが、
豊臣の両軍に分かれ、攻防戦を行うその様子
「人々が方々から寄り集まって住み、人が寄
る町・人が集う町」という説が一般的になっ
ています。かつては鎌倉街道や秩父往還の街
は、戦国時代の合戦さながらの迫力です。
■豊かな自然に育まれたまち
寄居町の全体の7割以上が自然的土地利用
道筋にあったため宿場町として栄え、また
で、そのほとんどが山林や水面、農地となっ
「鉢形城」の城下町としても繁栄した歴史も
ています。宅地や道路などの都市的土地利用
あり、古くから「寄居」の名のように、人が
は、全町域面積の3割弱という自然豊かな環
集まり・集うまちとして栄えてきました。
境にあります。以前から住民の間で自然環
関東地方に所在する戦国時代の城郭のひと
境・水環境の保全意識が高まり、全町に緑と
つで、国の史跡にも指定されている鉢形城
清流を活かす運動が展開されています。
もともとの自然環境をベースに、住民活動
の成果もあり、寄居町は県内でも豊かな水の
まちとしても有名です。1985年(昭和60)に
は、環境庁(現環境省)から「風布川・日本水」
が『名水百選』に認定され、また、
1995年(平
成7)には、国土庁(現国交省)から寄居町
全域が『水の郷』に、林野庁から「日本水
の森」が『水源の森百選』に認定され
ています。さらに荒川の流域は名勝
町民の憩いの場「鉢形城公園」では、渓谷やカタクリ群生地、
町の指定天然記念物の桜「エドヒガン」など、四季折々の景観
が楽しめます。
「玉淀」として1935年(昭和10)に
埼玉県の指定を受けています。
水と自然に囲まれた寄居町
『名水百選』に認定された風布川(写
この玉淀の下流約500mの河畔に、水難よ
け、や安産、子育てのご利益で知られる水天
真左2枚)、2条の滝が寄添うよう
に流れ落ちる夫婦滝(写真上)、レ
ジャーなどでも賑わう荒川(写真右)
の様子。
宮がまつられています。この水天宮の祭典の
付け祭りとして1931年(昭和6)に「第1回
夏の夜を彩る舟山車と大花火の競演
は、寄居町はもちろん、関東を代表
する水祭りのひとつとなっています。
で希望の持てる地域づくりの具現化を図って
寄居玉淀 水天宮祭花
います。
火大会」が開催されて
これからの超少子高齢化・人口減少時代に
以降、各町内からボン
対応した住みやすいまちづくりを目指した
ボリや提灯で美しく飾
「寄居町創生戦略プロジェクト」の大きな柱
り立てられた舟山車が
となるのが、
「輝く女性応援プロジェクト」
五隻参加し、夏の恒例
と「元気で長生き寄居プロジェクト」の2大
行事となっています。
プロジェクトです。
城山をバックに打ち上
「輝く女性応援プロジェクト」では、女性
げられる大花火と川面
の仕事や出産、子育てを応援する施策を展開
に映える万灯の競演は
し、女性が住みやすいまちナンバー1を目指
まさに「関東一の水祭
します。結婚から妊娠・出産、子育て、そし
り」として、町を代表
て再就職といった、ライフステージに合わせ
する夏の風物詩となっ
た切れ目のない総合的支援を行い、女性の活
ています。
躍を推進します。また、
「元気で長生き寄居
■地方創生に向けた取組み
プロジェクト」では、寄居町高齢者保健福祉
就任2年目の花輪利一郎町長は、町政運営
計画を中心とした事業を推進するとともに、
の信条とする「説明と納得のまちづくり」を
人間ドックや脳ドックなどの助成を拡大する
推進中で、
「見ます・聴きます・話します!訪
など、健康長寿県下ナンバー1を目指してい
問事業」などにおいて、地元住民との対話の
ます。さらに地域支えあいの会の活動とし
場を積極的に設けています。
て、
67行政区毎に「ふれあいいきいきサロン」
花輪町長は2015年を「寄居創生元年」と
を実施し、高齢者の閉じこもりや孤立防止に
位置付けて、未来への展望を明るく開かれた
積極的に取組み、介護予防や地域福祉コミュ
ものとしていくという視点に立って、財政健
ニティづくりを支援しています。
全化の取組みを進めつつ、町民の満足度を高
寄居町ではこの2大プロジェクトの拡充と
める新たなプロジェクトを創設し、持続可能
ともに、次代を担う子どもたちの育成のた
寄居町の概要
め、教育施策の充実強化も推進しています。
人口(H28年1月1日 ― 住民基本台帳 ―)
34,855 人
世帯数(同上)
14,324 世帯
平均年齢(H28年埼玉県町(丁)字別人口調査) 48.4 歳
生産年齢人口比率(同上)
60.0 %
面積(H27年全国都道府県市町村別面積調)
64.25㎢
名目市内総生産(H25年度市町村民経済計算) 1,093 億 400 万円
製造品出荷額等(H26年工業統計)
3,236 億 7,371 万円
事業所数(H26年経済センサス)
1,294 事業所
国際社会で活躍する人材育成を推進する「よ
りい教育プロジェクト」
、これからの町の未
来を担う若者を応援する「頑張る若者応援プ
ロジェクト」なども積極的に推進し、町内は
もちろん、町外の皆さんからも「住みたいま
ち、選ばれるまち」を目指しています。
ぶぎんレポート No.201 2016 年 7 月号