多画素数のディスプレイに適した 超解像技術 ー4Kハイビジョンテレビ向けの超解像ー 研究責任者 : 櫻井 優 (名古屋工業大学 工学研究科 教授) コーディネータ: 岩間 紀男(名古屋工業大学 産学官連携センター) 研究背景 テレビ、タブレットPC、スマートフォンなど、画像 を表示するディスプレイの高精細化(画素数の 増加)が進んでいる。ところが、ディスプレイの表 示能力に、画像信号の高精細化が追いついて いない(特にデジタルハイビジョン放送やイン ターネットの画像など)。また、医療画像などに おいても、原画像をより高精細化する必要性が 強まっている。 これらのニーズに答えるために、信号処理に よって画像を高精細化する技術、すなわち超解 像技術が求められています。 研究背景 超解像(Super-Resolution)の研究開発状況 • Super-Resolutionの学術文献ヒット数: 1,340,000 件 (学術レベルでの研究は非常にさかん) • ハイビジョンテレビでの実施例 ソニーの DRC (学習法に基づく) シャープの ICC (アイキューブド社開発) 東芝の超解像 再構成型、自己合同性型、3次元フレーム型、 カラーテクスチャ復元 • 現状のハイビジョンテレビへの評価 現行のテレビではほとんど超解像と呼べる効果は出て いない。 研究開発成果 超解像技術(存在しない信号を推定する) 表示可能であるが信号 成分が存在しない領域 画像信号成分 fs/2 サンプリング 周波数fs 原画像の周波数帯域 fs/2 ナイキスト 周波数 fs サンプリング 周波数 2fs 画素数が2倍になった場合 研究開発成果 超解像の技術としては大きくは次の3つがある。 1. マルチフレーム画像による超解像 (主に監視カメラなど) 2.非線形フィルタによるエッジ強調 3.事例学習法 本方式は、2.と3.の方式を組み合わせ双方の特 長を出すとともに、演算時間大きく削減した。 研究開発成果 本方式の概略図 Shockフィルタ によるエッジの 鮮鋭化拡大 TV正則化 フィルタによ る画像分離 骨格成分 (エッジと低域成分) + 超解像画像 原画像 学習法による超 解像画像拡大 テクスチャ成分 (細かい振動成分) 6 研究開発成果 各要素技術について 1.TV(Total Variation)正則化フィルタ: フランス の数学者が、1992年に考案したもの。2004年の Chambolleの高速化手法の考案により、画像信 号処理においては多く用いられるようになった。 2.事例学習法: 高精細の参照画像をデータベー スの形で保存し、類似の画像と置き換えることに よって高精細成分を推定する方法。最も広く研究 がなされている。 3.Shockフィルタ: エッジを急峻にする非線形 フィルタ。 新技術の特徴、従来技術・競合技術との比較 • 学習法のみでは計算時間が大きく、また画質的 にも十分なものを得ることが難しかった。またエッ ジ強調のみでは、テクスチャ成分(芝生、壁面な ど)の高精細化が得られなかった。 • 本方式では、双方を組み合わせることによって、 それぞれの欠点を補間し合うことに成功した。 • また、副次的な効果として、学習法の演算時間の 大幅な削減に成功した。 想定される用途 • 本技術の特徴を生かすためには、GP-GPUに 実装して、テレビやPCに実装することが考えら れる。 • また、LSI化して単体ディスプレイに実装するこ とも考えられる。 • 医療画像のような静止画像であれば、オフライ ンで画像処理を行うことによって超解像画像を 得ることができる。 実用化に向けた課題 • 本方式は、繰り返し演算が多いため、演算時 間の大きさが最大の課題である。(特に学習 法のさらなる高速化が課題) • 近年、高性能化しているGP-GPUを用いると かなりの高速化が見込まれる。テレビへの応 用には、すべての演算を、16.7msec 以内で 行うことが必要であるが、現在、それを目指し て検討中。 • アルゴリズム的な画質の向上と演算時間の 短縮も、まだ課題を残しており、さらなる見直 しを検討していく。 画像例1 線形補間(従来法) Super-resolution(提案法) 画像例2 線形補間(従来法) Super-resolution(提案法) 画像例3 線形補間(従来法) Super-resolution(提案法) 本技術に関する知的財産権 1.PCT/JP2011/055776 「画像処理装置、画像処理プログラム、および、画 像を生成する方法」、出願人:名古屋工業大学 2.特開2011-182093号 「画像処理のTotal Variation フィルタおよび画像 処理プログラム」、出願人:名古屋工業大学 3.出願中 2012-012639 「画像処理装置」出願人:名古屋工業大学 想定される技術移転 ◆本技術の特長 高速でノイズに強い高精細化ができる ◆想定される用途 ① 4K ハイビジョンテレビへの応用 ② 高精細PCディスプレイへの応用 ③ 医療用画像、監視画像の高精細化 ◆技術移転を想定する企業 ・半導体デバイス ・TV ・PC ・携帯端末機 ・医用診断機器 ・防犯ビデオ ◆企業様への要望 実用化技術に向けた情報交換、助言 お問い合わせ先 名古屋工業大学 情報工学専攻 櫻井 優 E-mail: [email protected] Tel/Fax: 052-735-7226 ・技術指導、技術相談に対応します。
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