自己紹介 • • 立本博文(たつもと ひろふみ) [email protected] 博士(経済学・東京大学) 筑波大学大学院ビジネス科学研究科 【インタビューWEB記事】 「Tsukuba Future 」 #031:成功する企業経営のセオリーを科学する 「MUGENDAI」 オープン・イノベーションが世界の産業や企業の勢力図を変える(前・後編) 「テレスコープマガジン」 No.005 ビジネスの「インターフェイス」をデザインする:世界で進行するオープン イノベーション」 専門:競争戦略論、技術経営、国際経営 研究テーマ:国際競争力構築について 研究領域: ・製品アーキテクチャとイノベーション ・オープン標準化の競争力への影響 ・ビジネス・エコシステムのマネジメント ・プラットフォーム企業の競争戦略論 • 専攻/プロフィールURL http://www.gssm.otsuka.tsukuba.ac.jp http://www.gssm.otsuka.tsukuba.ac.jp/master_professor/1656.html 1 経営学における研究とは・・・ 2 自然科学 社会科学 一般法則の発見 中範囲の理論の発見 ・アメリカと日本で法則が 異なるのは認めない ・いくつかの法則で統一 ・仮説の自己実現性はない ・アメリカと日本で法則が 異なるのを認める ・最終的には統一されるかも… ・仮説は自己実現的 実験ができる 実験ができない (因果効果の判定が容易/ 実験研究が主流) 物理学 (因果効果の判定が困難/ 観察研究が主流) 経営学 3 経営戦略論中心で見たときの経営学 多角化戦略 ミクロ組織論 個人の行動から組織行動を説明 グローバル戦略 経営組織論 OB: organizational behavior マクロ組織論 全社戦略 知財マネジメント 組織の構造から組織行動を説明 技術(開発)戦略 経営学 Management 事業戦略 経営戦略論 BPS: business policy & strategy value creation (イノベーション マネジメント) 付加価値を創造する 生産管理 機能戦略 サプライチェーン・ マネジメント 販売戦略 value capture (競争戦略) マーケティング戦略 付加価値を獲得する 戦略目的区分 製品(開発)戦略 組織階層による 戦略区分 機能による区分 4 経営戦略論の4つの要素 消費者 (顧客セグメンテーション)/顧客認知(ブランド) 1. 市場 製品ライフサイクル(導入期/普及期/成熟期/再成熟期) 新市場/既存市場 2. 競争相手 国内市場/海外市場 ポジショニング/差別化戦略/同質化(追従)戦略 コストリーダーシップ 競争ダイナミクス/応答行動分析 競争と協力/ビジネスエコシステム 3. 組織 組織構造や人員配置/技術資源 TMT分析* 人的ネットワーク/情報処理構造/組織の認知構造 組織的意思決定プロセス 組織文化/ルーチン/組織慣性 4. 環境 技術的ブレークスルー 規制変化(強化/緩和) 政治的環境(政治的安定性/戦争/自由貿易圏設定) 5 * TMT=Top Management Team 経営学の研究のイメージ 研究動機 理論枠組 構築 仮説 構築 実証 motivation/ background theoretical framework hypothesis building demonstration 経験 既存研究 創造的プロセス 科学的プロセス (アート/クリエイティビティ/アイディア) (サイエンス) 理論に 基づく 論証 分析結果 考察 discussion 知見 insights/ contribution 創造的プロセス (アート/クリエイティビティ/アイディア) ・数理分析 ・シミュレーション ・データ収集(data collection) ・自然言語による (インタビュー/ アンケート/ 論理展開 情報技術/DB/統計データ等) プラグマティズムの影響 データに 基づく 実証 ・事例分析 ・統計分析 実用的な知見 社会に対する貢献 6 実証で使われる方法:事例研究 少数の事例を詳細に記述して、事例の中にある「要因の列挙」と「要因間の因果関係」を把握する。 単一事例研究: 希少で価値ある事例を対象に行われる least likely case/most likely case法(既存知見・通念への反例提示) 比較事例研究: 比較可能な複数の事例から要因/因果関係を抽出する 差異法:成功/失敗事例をそれぞれ用意し、事例間で異なる因子を成功要因と認める 一致法:複数の成功例(失敗例)を用意し、事例間で一致する因子を成功(失敗)要因と 認める 経営学で「○○というモデル(の妥当性)が示された」という場合、事例研究による結果 ただし、事例分析は非常にバイアスが入りやすいため、慎重な研究が必要 ‐回顧バイアス ‐認知バイアス ‐選択バイアス… 7 実証で使われる方法:統計研究 モデルとデータを用いて多変量解析(多くは回帰分析)を行い、効果が統計的有意に支持されるかを 検証する モデルというのは・・・ データが十分に蓄積されている事象を対象に行われる。 過去の知見からモデル構築をおこない、効果の推定を行う。 経営学で「○○という仮説が実証された」という場合、だいたいは統計研究の分析結果による。 統計研究は、厳密性があると考えられている。 しかし本当は、統計研究は正しいモデルを与えた時に、その量的効果を正しく推定するのみ。 間違ったモデルを与えると、一見、確からしく量的効果を推定する。 しかし、推定結果は真のモデルとは異なる(定式化の誤り, specification error)。 8 意図された戦略/創発的戦略と実証研究 Strategy as a Plan ← 理論研究だけで十分かもしれない… Strategy as a Process/Pattern ← 実証研究が絶対に必要 引用:網倉・新宅(2011) 元図:Mintzberg et al.(1998)に加筆 9
© Copyright 2024 ExpyDoc