ベストプラクティスガイド 革新的な取引ソリューション による収益と利益の拡大 先進的なデータセンターのベストプラクティス P2 ベストプラクティスガイド 金融サービス業界 (FSI) において、ハイパフォーマンスコンピューティングインフラストラク チャは選択肢の 1 つではなく、生き残るための前提条件となっています。FSI ほど多くのデータ が生成されている業界は他になく、また、目まぐるしく変化する競争環境、複雑な規制環境、利 益に対する厳しいプレッシャー、データの急増、高いパフォーマンスが求められるサービスレベ ル契約 (SLA) といった、数多くの課題のすべてに直面している他に類を見ない存在です。 収益と利益を拡大し、お客様満足度を向上させるには、テクノロジーを最新化しなければならず、 多くの CIO は、限られた IT 予算でテクノロジーを進化させ、競争力を維持する必要に迫られて います。こうした状況の中、新しい IT ソリューションは、スピード、拡張性、およびアジリティ を桁違いに向上させると同時に、運用を効率化し、コストを削減できるものでなければなりませ ん。 金融サービス組織においては、特に次の 3 つの主要領域でテクノロジーを最新化することにより、 継続的に競争力を強化できます。 • リスク対応アーカイブ : データが爆発的に増加する中、情報を効率的に管理、保護、アーカイブ し、法規制要件に対応できる新しいソリューションが必要とされています。 • 高頻度取引 : 処理の高速化が直接競争力の強化につながり、テクノロジーが「進化」することで、 接続、データアクセス、コンピューティング、および分析のパフォーマンスが向上します。 • トレーダーワークステーション : 一般的な従業員よりはるかに高いパフォーマンスを必要とするト レーダーは、コンピューティングやグラフィックスを多用する数多くのアプリケーションを同時に実 行できなければなりません。 多くの金融機関は、競争力を強化して差別化を図るとともに、法令遵守のリスクを低減できる、 これらの主要なワークロードに最適なコンピューティングソリューションを必要としています。 それでは、これら 3 つの主要なワークロードのそれぞれについて、詳しく見ていきましょう。 P3 ベストプラクティスガイド リスク対応アーカイブ 米国では、証券取引委員会 (SEC) や連邦取引委員会 (FTC) などの政府機関が、サーベンス・オ クスリー法やドッド・フランク法をはじめとする法律に基づいて、金融機関にデータ保持を求め ているほか、複雑なコンプライアンス要件を定めた SEC Rule 17a-4(f) など、金融取引データの 保持に関する法規や規制の数は 8,000 を超えます。また、世界中の他の先進国においても、同様 の機関がコンプライアンスの要件を定め、それを監視しています。 米国だけで、金融取引データの保持 に関する法規や規制の数は8,000 を超えます。 データ保持に関する規制は、電子メール、金融取引、ポリシー、株式公開など、幅広い情報に及び、 ビジネスや法的手続きを迅速に進めつつ、元データの完全性を維持することが求められます。ま た、リーガルホールドなどの措置によって、対象となる一部のアーカイブデータに固有の保持ポ リシーが定められる場合もあり、記録へのアクセスや記録の処理について、監査証跡を取得 / 維 持する必要があります。データの保持期間は通常 7 ∼ 10 年ですが、場合によっては数十年の保 持が必要で、こうした要件に対応できなければ、重い罰金や罰則、さらには懲役が科されること もあります。 多くの金融機関では、数ペタバイトのデータが生成されていますが、従来のストレージ / バック アップソリューションは、ペタバイト規模の拡張性を備えていないうえ、そうした規模まで拡張 できたとしても、所有と運用に膨大なコストがかかってしまう可能性があります。 専用のストレージアプライアンスを使用する従来のアプローチには、いくつかの明らかなデメ リットがあります。まず、独自仕様のソリューションによる強力なベンダーロックインが生じが ちで、それが運用やメンテナンスの作業を増やす原因となっています。また、データの移行には 膨大な時間とコストが必要で、ソリューションが事業部門ごと、さらにはアプリケーションごと にサイロ化される傾向にあるため、法務 / コンプライアンスチームが、報告や開示の要求に対応 する際に必要となるデータを特定するのが難しくなっています。そしてサイロ化されたソリュー ションは通常、オーバープロビジョニング状態になっているため、不必要な設備投資費や運用コ ストが生じてしまいます。 HPE Risk Compliant Archiveイン フラストラクチャは、数ペタバイトま で拡張して組織全体をサポートでき る、 コスト効果の高いソリューション を提供します。 そこで、ヒューレット・パッカード エンタープライズでは、業界標準の高密度 x86 サーバーと ソフトウェア定義のストレージ / アーカイブテクノロジーを組み合わせて、他にはないリスク対 応アーカイブのアプローチを確立しています。HPE Risk Compliant Archive には、次の 3 つのコン ポーネントが含まれています。 • HPE Apollo 4000 サーバーファミリは、 ペタバイト規模のストレージの密度、コスト、およびパフォー マンスに最適化されており、保守の容易なホットプラグ対応のコンポーネントを搭載しています。 • Scality RING は、すべてのデータを保護して 100% のアップタイムを維持しながら、複数のプロト コルをサポートできる、数百ペタバイトおよび数兆個のオブジェクトまで容易に拡張可能な、ソフト ウェア定義の分散ストレージ管理機能を提供します。 • iTernity iCAS は、特許 / 認定取得済み 1 のデータ保持管理ソリューションで、改ざんや不正な削 除からデータを保護するとともに、ポリシーに基づいてデータを保持および処分し、広範な監査証 跡を維持します。 1 ストレージおよび監査要件に関する Cohasset Association と KPMG 社 の 認 定 を 取得しています。 P4 ベストプラクティスガイド これらが一体化した、組織全体をサポートするインフラストラクチャソリューションを活用すれ ば、法規制の基準に準拠しながらデータサイロを解消し、エンタープライズレベルのストレージ インフラストラクチャを簡素化できるわけですが、そのバリュープロポジションはシンプルです。 • Scality RING2 により 100% のデータ可用性を実現 • Advanced Encryption Standard 256 ビット (AES-256) による暗号化とイレージャーコーディング により、データを安全に保護 • 業界標準の x86 高密度サーバーにより、ハードウェアのコストを削減し、柔軟性を大幅に向上 • 単一のレポジトリにすべてのデータを格納して運用を簡素化し、各部門のサイロを解消 • 保持管理を強化し、安全なデータ処分に関するポリシーをサポート • 永久ライセンス、保持管理の強化、および複数のアーカイブデータのコピーが不要になるイレー ジャーコーディングによって、レガシーストレージより総所有コストを(最大 70%)削減 HPE Risk Compliant Archive は、数ペタバイトまで拡張して組織全体をサポートできる、コスト 効果の高いソリューションを提供します。 高頻度取引 (HFT) 高頻度で取引を行う今日のトレーダーは、一瞬にして 1 万件を超える取引を処理することもあり ますが、電子取引が一般的になるまでは、どれだけ経験豊富なトレーダーでも、1 件の取引に 1 ∼ 2 分の時間を要していました。しかし今日では、マシンにより同じ量のタスクが 50 万分の 1 秒 未満で処理され、人間の 100 万倍を超える速さで意思決定を行うことが可能です 3。 HFT が始まって間もない頃は、可能な限り迅速に注文を履行することで競争を勝ち抜くことが できましたが、ハイパフォーマンスコンピューティングの普及に伴って、ほぼすべてのトレーダー が高速で処理を行えるようになったため、今では質の高い情報に基づいた分析や各種ツールも同 様に、差別化を図るうえでの重要な要素となっています。 HPE Trade and Match Server は、パフォーマンスを向上させて 頻度を最大限まで高め、取引処理 のレイテンシを最小限に抑える、 取引アプリケーションに最適なソ リューションです。 2 出 典 : scality.com/ring/object-storageoverview/ ( 英語 ) 3 『想像を超えるスピードで行われる 高頻 度 取 引 』、Equedia Investment Research、 2015 年、equedia.com/how-fast-is-high- frequency-trading ( 英語 ) どの取引においても、売買を決定するために、取引所から受け取ったリアルタイムのデータが迅 速に分析され、取引の注文は履行と確認のために取引所に戻されます。ここでのユースケースと しては、可能な限り迅速な発注が重要となるトレーダーに関するものと、注文を記録して呼値を 一致させ、取引を完了する取引所に関するものの 2 つに分かれますが、スピードはどちらの側に とっても重要です。 収益とテクノロジーのスピードがこれほど直接的な関係を持つ業界は、おそらく他にはなく、ほ んの一瞬でも取引の時間を短縮できれば、それがトレーダーの収益の拡大につながります。この ような高頻度取引においては、極めて高いコンピューティング性能が主な差別化要因の 1 つにな ると同時に、競争を勝ち抜くうえでの非常に重要な要素でもあり、高頻度で取引を行うトレーダー にとって、「十分な速度」というものは存在しません。 P5 ベストプラクティスガイド こうしたパフォーマンスの要件に対応できるよう設計された HPE の Trade and Match Server Solution は、取引のワークロードに最適な専用設計の高密度 x86 サーバーである、HPE Apollo 2000 System をベースとしています。また、特別な BIOS および構成ツールにより、トレーダー が使用するアプリケーションのオーバークロックをサポートしているため、これらのアプリケー ションのパフォーマンスを向上させて頻度を最大限まで高め、取引処理のレイテンシを最小限に 抑えることが可能です。このソリューションの構成は、取引所のコロケーション施設における標 準的な電力制限に対応し、簡単にコロケーションを行ってさらにレイテンシを低減できる、適正 な規模になっています。 このソリューションには、次のようなメリットがあります。 • 取引の処理が高速化されるため、トレーダーは顧客、および自らの収益を拡大できる • 取引所の付加価値サービスを活用して、取引所の近くに簡単にインフラストラクチャを配備し、レイ テンシを最小限に抑えることができる • オーバークロックによって動作周波数を高め、ハードウェアのコストを削減できる • 保守が容易で迅速に拡張可能なホットプラグ対応のコンポーネントを搭載した、エネルギーおよび スペース効率の高い x86 サーバープラットフォームにより、運用コストが削減される 高速かつ高度な取引が行える強力なコンピューティングインフラストラクチャは、HFT コミュ ニティでの成功を左右します。この新しい金融の時代においては、コンピューティングのニーズ に対応可能な企業が、投資家の信頼を得て、利益を拡大できます。 グラフィックスを多用するアプリケーションに最適な トレーダーワークステーション HPE ProLiant m710pサーバーを活 用し、4.3U のラックスペースに最大 45台のサーバー、ストレージ、および ネットワーク機器を構成可能なHPE Moonshot Trader Workstationは、 各モジュールに応答時間を短縮する GPUとオールフラッシュストレージを 内蔵しています。 高頻度取引が自動化されても、トレーダーは Bloomberg、Reuters、X_TRADER などの金融ア プリケーション / サービスや独自のビッグデータ分析プラットフォームからデータを確認し、手 動でも取引を行っています。数多くのソースから提供されるリアルタイムの情報を常に把握する には、一般的なユーザーが必要とするものをはるかに超えるワークステーションの機能が求めら れ、トレーダーワークステーションには通常、それぞれにグラフィックスを多用する複数のアプ リケーションのデータを表示し、すべてが同時に稼働する 4 台以上の HD モニターが接続されて います。 企業はこれまで、トレーダーに複数台の物理的なワークステーションを提供したり、ブレードサー バーでリモートデスクトップをサポートし、複雑なネットワーク構成でレイテンシを低減したり するなど、さまざまなアプローチでこうした課題に対応してきました。しかし、このようなソ リューションは多かれ少なかれ有効ではあったものの、そのいずれもがトレーダーワークステー ション環境のコスト効果と効率を最大限まで向上させるのに必要なコスト効率、パフォーマンス、 アジリティ、中央管理機能、およびコンプライアンス機能を備えてはいませんでした。 P6 ベストプラクティスガイド HPE Moonshot Trader Workstation は、HPE ProLiant サーバーと Citrix® XenDesktop® をワー クスペースのシンクライアントに接続し、卓越したスピード、アクセシビリティ、効率、および エルゴノミクスを求めるトレーダーのニーズに最適な専用設計のパッケージを提供します。従来 の仮想デスクトップインフラストラクチャ (VDI) 環境のユーザーは、物理サーバーと仮想リソー スを共有しているため、パフォーマンスの低下を許容しなければなりませんが、HPE Moonshot Hosted Desktop Infrastructure (HDI) では、すべてのユーザーが利用できる専用のグラフィック ス / プロセッサーサービスが提供されるため、仮想化テクノロジーを追加する必要がなく、環境 が複雑化する ( ハイパーバイザーレイヤーが追加される ) こともありません。また、単一の共通 プラットフォームによって管理が簡素化され、迅速な配備と拡張が可能になります。 このソリューションには、次のようなメリットがあります。 • 卓越したコンピューティング / グラフィックスパフォーマンスにより、トレーダーの生産性が最大化 される • 標準化された一元的な IT インフラストラクチャにより、コスト、管理、およびビジネス継続性の 面でメリットが得られる • データ接続の暗号化によってセキュリティを強化し、セキュリティおよびコンプライアンス要件に対 応できる HPE Moonshot Trader Workstation は、卓越したコンピューティング / グラフィックスパフォー マンス、トレーダーの生産性を向上させる優れた可用性、およびインフラストラクチャの配備と 管理を一元的に行えるシンプルな環境によって、妥協のない取引を可能にし、コスト意識の高い IT 部門の予算の制約に対応できるレベルにまで TCO を低減させます。 HPE サービス 競争上の課題や新たな機会に迅速に対応することは非常に重要で、そのためには、IT 組織の柔軟 性と適応性を向上させる必要があります。ヒューレット・パッカード エンタープライズは、お 客様がデータや HPE の IT ソリューションに対する投資を最大限に活用し、ビジネスの成長とイ ノベーションの促進に注力できるよう、一貫性のあるエンドツーエンドのコンサルティングとサ ポートを独自のアプローチでグローバルに提供しています。 HPE のワークロード / プラットフォームアドバイザリサービスは、お客様が拡張性の高いインフ ラストラクチャに対するワークロードの適合性を評価できるよう支援し、主要な関係者と意思決 定者が適切な移行戦略を策定するのに必要なサポートを提供する重要な役割を果たします。この サービスでは、HPE の信頼ある経験豊富なエキスパートがお客様にアドバイスを提供し、ハイ パフォーマンスコンピューティングインフラストラクチャに求められる安定した環境の構築をサ ポートします。 P7 ベストプラクティスガイド 結論 FSI の企業は、新たなソリューションで IT 環境を最新化して、収益と利益を拡大するとともに、 顧客エンゲージメントと競争力を強化できる、かつてない機会に直面しており、特にリスク対応 アーカイブ、高頻度取引インフラストラクチャ、およびグラフィックスを多用するアプリケー ションに最適なトレーダーワークステーションの 3 つの領域には、IT 部門がパフォーマンスの 高速化とコンプライアンスの要件に迅速に対応できる多くの機会が存在します。そこで、ヒュー レット・パッカード エンタープライズでは、こうした課題に対応できるよう最適化された FSI 向 けのソリューションを提供しています。 FSIにおけるHPEのバリュープロポジション 1 実績あるリーダー • FSIをリードするHPEのインフラストラクチャは、全世界のクレジットカード取引の3件中2件を 処理 • American BankerとIDC Financial InsightsによるFinTech 25の年間ランキングで第2位 2 認定ソリューション • 取引のスピードとボリュームを最適化するエンドツーエンドのコンピューティングソリューション • ネットワークからコンピューティングシステム、顧客のエンドポイントに至るまで、金融取引エコシ ステム全体をターゲットとしたソリューション 3 4 セキュアな インフラストラクチャ • 強力なコンプライアンス/リスク管理ポートフォリオにより、法規制要件にプロアクティブに対応 可能なセキュリティインフラストラクチャの構築をサポートするとともに、 リスクを管理 • 利益を拡大できるようリスクを低減 耐障害性に優れた ハードウェア • HPEのサーバーは耐障害性テクノロジーを内蔵 • 高可用性機能により、スピードが重視される金融サービスの可用性を維持 自動化による優れた効率 • サーバー管理の自動化により効率を向上 • クラウドソリューションに対応 5 ベストプラクティスガイド 今日の企業は、IT インフラストラクチャに対して、これまでとは異なるアプローチを取らなけれ ばなりません。そのためにはまず、IT インフラストラクチャの中核としてアプリケーションワー クロードを実行し、ビジネスパフォーマンスを向上させる、業界屈指のサーバーを導入すること が重要です。 ヒューレット・パッカード エンタープライズの金融サービス向けインフラストラクチャを活用 すれば、ビジネスを高速化し、次のレベルへと進化させることが可能です。 詳細情報 hpe.com/servers/fsi-solutions(英語) hpe.com/info/dcm(英語) https://www.hpe.com/jp/ja/servers/density-optimized(日本語) メールニュース配信登録 © Copyright 2016 Hewlett Packard Enterprise Development LP. 本書の内容は、将来予告なく変更されることが あります。 ヒューレット・パッカード エンタープライズ製品およびサービスに対する保証については、当該製品および サービスの保証規定書に記載されています。本書のいかなる内容も、新たな保証を追加するものではありません。本 書の内容につきましては万全を期しておりますが、本書中の技術的あるいは校正上の誤り、省略に対しては責任を 負いかねますのでご了承ください。 CitrixおよびXenDesktopは、Citrix Systems, Inc.およびその子会社の登録商標であり、米国特許商標局および その他の国における登録商標の可能性があります。 4AA6-5356JPN、2016年5月
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