グローバル・マクロ・
トピックス
2016/
7/4
投資情報部
シニアエコノミスト
宮川 憲央
製造業では循環的な持ち直しの動きが続く
～米ISM製造業景況指数（2016年6月）
 米供給管理協会（ISM）が発表した6月の製造業景況指数（PMI）は53.2となり、5月の51.3か
ら上昇、市場予想も上回る結果となった。また、ISMが別途行った、英国の欧州連合（EU）離
脱問題の影響についての調査では、過半の企業でほとんど影響がないという回答となった。
 製造業の活動は循環的な持ち直しの動きにある。一方、中国経済の減速が続くとみられるこ
とや原油価格の大幅な上昇までは見込みづらいことから、持ち直しの動きは足取りが重いも
のになるとみられる。
 一方、米国経済全体としては、製造業やエネルギー産業では足取りの重さが残るものの、雇
用・所得の増加を支えに、個人消費や非製造業が底堅く推移していくもとで、今後も緩やかな
成長が続くと考えている。
米国企業は、英国の
EU離脱問題の影響
は限定的との見方
米供給管理協会（ISM）が発表した6月の製造業景況指数（PMI）は53.2となり、5月
の51.3から上昇、5月から横ばいが見込まれていた市場予想（ブルームバーグの集
計では51.3）も上回る結果となった。内訳をみても、新規受注、生産、雇用、納入遅
延、在庫の5項目すべてで5月から上昇している。また、PMIの構成項目以外では顧
客在庫が上昇しており、在庫関連の指標はともに5月から上昇した。新規受注が上
昇するなかでの動きであるため、前向きな在庫の積み増しである可能性はあるもの
の、将来的に意図せざる在庫増につながらないかという点には注意が必要。
業種別では18業種中、飲食料品・タバコ、コンピュータ・電子製品、化学製品、一
次金属、機械等の13業種で拡大、輸送機械等の3業種では縮小となった。また、企
業からのコメントは、一部に中国からの受注の減速等を指摘する声もあったものの、
総じてビジネス環境の堅調さを指摘する声が多かった。
なお、ISMは別途、英国の欧州連合（EU）離脱問題の影響について調査を行って
いる。それによると、調査に回答した企業のうち61%が影響はほとんど無視できる程
度であり、大半の企業が雇用や設備投資に影響が及ばないとしている。なお、影響
を及ぼす動きとして、もっとも回答が多かったのはドルの変動であり、次が海外需要
の変動となっている。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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グローバル・マクロ・トピックス
他の国・地域の6月製造業PMIの動きをみると、ユーロ圏は52.8と5月から1.3ポイン
トの上昇、中国（国家統計局発表ベース）は50.0と5月から0.1ポイントの低下となっ
た。中国については、財新が発表する製造業PMIも48.6と5月から0.6ポイントの低下
となっており、過剰な設備や債務の解消圧力が根強く残ること等から、製造業の活
動は回復感に乏しい状況が続く可能性があると考えている。
6月の製造業PMIは、5月から上昇し、拡大・縮小の分岐点である50を上回る状況
も続いている。製造業活動は循環的な持ち直しの動きにあるといえよう。もっとも、経
済構造の転換や過剰設備・債務の調整にともなう中国経済の減速が続くとみられる
ほか、需給動向を考えると、原油価格も大幅な上昇までは見込みにくい。このため、
製造業の持ち直しの動きは足取りの重いものになると予想している。
一方、米国経済全体としては、製造業やエネルギー産業では足取りの重さが残る
ものの、雇用・所得の増加を支えに、個人消費や非製造業が底堅く推移していくも
とで、今後も緩やかな成長が続くと考えている。
米ISM製造業景況指数の推移
（単位：ポイント）
16/04
PMI
新規受注
生産
雇用
納入遅延
在庫
顧客在庫
価格
受注残
輸出受注
輸入
16/05
50.8
55.8
54.2
49.2
49.1
45.5
46.0
59.0
50.5
52.5
50.0
16/06
51.3
55.7
52.6
49.2
54.1
45.0
50.0
63.5
47.0
52.5
50.0
53.2
57.0
54.7
50.4
55.4
48.5
51.0
60.5
52.5
53.5
52.0
（注）PMIの構成項目は新規受注、生産、雇用、納入遅延、在庫。在庫以外は季節調整値
出所：米供給管理協会（ISM）のデータよりみずほ証券作成
米ISM製造業PMI
（ 月次：1990/1～2016/6）
（ポイント）
65
60
55
50
45
40
経済全体の拡大・縮小ライン：43.2
35
30
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 （年）
（注）シャドー部分は景気後退期間
出所：米供給管理協会（ISM）のデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
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グローバル・マクロ・トピックス
主な 国・地域における製造業PMI
（ 月次：2014/1～2016/6）
（ポイント）
60
58
56
54
52
50
48
46
米国（ISM指数）
ユーロ圏
中国
44
14
15
16
（年）
（注） 製造業PMIはユーロ圏はマークイット社、中国は国家統計局の調査による
出所：ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
米ISM製造業PMIと実質GDP
（ 月次：1990/1～2016/6）
（ポイント）
65
（%）
8
60
6
55
4
50
2
45
0
40
▲2
ISM製造業PMI（左目盛）
35
▲4
実質GDP・前年比（右目盛）
30
▲6
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
（年）
（注）実質GDPは四半期の中間月（1-3月期なら2月）の時点でプロット、直近は2016年1-3月期
出所：米ISM、商務省のデータよりみずほ証券作成
米ISM製造業PMIと株価の推移
（ 月次：2000/1～2016/6）
（ポイント）
65
（%）
60
60
40
55
20
50
0
45
▲ 20
40
▲ 40
ISM製造業PMI（左目盛）
35
S&P500・前年同月比（右目盛）
30
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
▲ 60
▲ 80
（年）
出所：米ISM、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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金融商品取引法に係る重要事項
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