日本:毎月勤労統計(2016年5月) MRI Daily Economic Points -製造業や飲食業を中心に賃金の伸びが鈍化- 図表 現金給与総額 2.5 図表 (前年比%) 2 1.0 0.0 -1.0 -1.5 -2.0 2016年5月の現金給与総額(名目)は、前年比▲0.2%と、11ヶ月ぶりにマ イナスとなった。ただし、消費者物価の低下により、実質賃金(総額)は、前 年比+0.2%と小幅プラスを維持している。 内訳をみると、所定内給与(名目)が前年比▲0.1%と4ヵ月ぶりにマイナス となった。業種別に内訳をみると、製造業が15ヶ月ぶりに前年比マイナス に転じたほか、飲食・宿泊サービス、建設業、卸売・小売業など、これまで 労働不足感が強かった業種でも、賃金の伸び鈍化がみられる。 一方、残業手当などが含まれる所定外給与は前年比+0.6%と4ヵ月連続 の増加となった。製造業の生産活動の弱さなどを映じて所定外労働時間は 前年を下回って推移しているものの、所定外給与はプラスを維持しており、 時間当たりの単価は上昇しているとみられる。 常用雇用指数は増加基調を維持している。内訳をみると、一般労働者の伸 びが上昇している一方、パートタイム労働者の伸びが鈍化している。パート タイム労働者の伸びは、労働需給の逼迫を背景に、医療・福祉などでは引 き続き高いものの、製造業では、生産活動の弱さなどを映じて前年を下 回って推移している。 0 0.5 -0.5 2016年5月の結果 実質賃金指数 1 1.5 評価ポイント 実質賃金 (前年比%) 2.0 July 8, 2016 -1 特別給与額 -2 所定外給与額 所定内給与額 -3 現金給与総額 -2.5 -4 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 2014 2015 1 2016 4 7 10 1 2014 4 7 10 1 2015 4 2016 資料:厚生労働省「毎月勤労統計」 図表 所定外の給与と労働時間 10 (前年比%) 図表 常用雇用指数 8 8 所定外労働時間 7 6 所定外給与 6 (前年比%) パートタイム労働者 一般労働者 5 4 基調判断と今後の流れ 4 2 3 0 2 -2 賃金は緩やかな上昇局面にあったが、製造業の生産低迷やインバウンド 需要の伸び鈍化を背景に、このところ横ばい圏内まで伸びが鈍化している。 労働需給は引き続き逼迫しており、基調として賃金上昇や雇用条件改善 への動きは継続する見込み。ただし、英国のEU離脱選択など金融市場の 混乱により円高・株安が進行しており、更なる生産活動の低迷やインバウ ンド需要の減速などを通じたネガティブな影響には注意が必要である。 1 -4 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 2014 2015 0 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 2016 資料:厚生労働省「毎月勤労統計」 Copyright (c) Mitsubishi Research Institute, Inc. 2014 2015 2016 担当: 政策・経済研究センター 森重彰浩 TEL 03-6705-6087
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