伝えるビジネス文書のヒント

2﹁了 解﹂は﹁分 か っ た﹂と い う
だけ
﹁ 了 解 ﹂ に は 、 理 解 し て 承 認 す
る、と い う 意 味 が あ る の で、﹁了 解
しました﹂で何も問題はなさそうで
す。辞書によっては、通信の内容を
確かに受け取ったという意味で用い
る、と し て い る も の ま で あ り ま す。
しかし、これもまた、初めてメール
を送る相手に使うというのは問題で
す。
﹁理 解 す る﹂こ と に 上 下 関 係 は あ
りません。逆に言えば、相手との関
係 が 対 等 だ と い う こ と で す。﹁承 認
する﹂には、申し出を聞き入れると
いう意味もあるように、相手との関
係はむしろ自分が優位にあるという
ニ ュ ア ン ス が あ り ま す。し た が っ
て、この表現も、初めての相手や目
上の相手には使うべきではありませ
ん。﹁承 知 し ま し た﹂﹁承 り ま し た﹂
などとしたいところです。
最近のメールでは、同僚に使う言
葉をそのまま使っている例が目立
ち、﹁う け た ま わ る﹂と い う 言 葉 な
どは死語になった気さえします。直
接顔を合わせないメールだからこ
そ、礼儀には気を使いたいものです。
ださい﹂などとしたいところです。
メールにこそ礼儀あり
お疲れさまです。
この度、本件を担当することに
な っ た 田 中 で す。企 画 書 の 件、
了解しました。
1﹁お疲れ﹂は相手の労をねぎらう
﹁お 疲 れ﹂は、疲 れ た と 思 わ れ る
相手を気遣うときの挨拶言葉であ
り、敬 意 を こ め て﹁さ ま﹂を 付 け
﹁お 疲 れ さ ま﹂と し て い る の で す か
ら、特に問題はなさそうです。同僚
が 帰 宅 す る と き な ど に、﹁お 疲 れ さ
ま﹂と声をかけることに何も問題は
ありません。
しかし、冒頭文では、初めてメー
ル を 送 る 相 手 に﹁お 疲 れ さ ま﹂と
使っているところに問題がありま
す。初対面の相手からいきなり﹁疲
れ た と 思 わ れ﹂て 気 遣 わ れ た の で
は、日ごろの姿勢や歩き方などがそ
んなに疲労に満ちているのかと己の
日常を振り返ってしまいます。初め
てメールを送る相手や、目上の相手
に は、﹁失 礼 い た し ま す﹂﹁突 然 の
メールをさし上げる失礼をお許しく
これは、メールで送られてきた文
章です。今回は、メールの文章で気
になる表現について考えます。
熊谷 芳郎(日本語検定委員会主任研究員)
伝 わるビジネス文 書 のヒント
平成28年 7 月 1 日
は こ だ て
法人ニュース
9 第354号