こちらから

生徒諸君へ
校長室の窓から
2016.7.5
第4号
『モハメド・アリ』
プロボクシングの元ヘビー級王者、モハメド・アリがアメリカの
病院で6月3日に死去しました。74歳の生涯でした。32年間に
わたる、パーキンソン病(手足が震え、歩きづらくなり、寝たきり
になる場合もある)との闘いの末に亡くなったそうです。皆さんは
こんな古いプロボクサーなど知らないと思いますが、先生は少年の
頃、大好きなプロスポーツ選手の一人でした。
彼は元々アマチュアのボクシング選手で、1960 年のローマオリン
ピックのライトヘビー級で金メダルを獲得しました。彼は自分でアメリカの英雄になった
気分でいましたが、現実は黒人であることを理由にレストランで食事の提供を拒まれたの
です。こんな金メダルなど価値がないと思い、メダルを川に投げ捨てたといわれています。
彼はその後プロに転向し、世界ヘビー級王者になり、自ら「チョウのように舞い、ハチ
のように刺す」と表現した華麗な闘い方で防衛を重ねました。プロとして無敗だった 1967
年、ベトナム戦争での徴兵を拒否したため、闘わずしてチャンピオンの座を奪われました。
その時の「私とベトナム人の間に争いはない」という彼の言葉は、ベトナム戦争反対運動
に大きく影響を与えたといわれています。
その後、彼はリングに復帰しますが、先生が高校2年生だった 1974 年のことです。当時
無敗の世界王者で怪物といわれたジョージ・フォアマンにモハメド・アリが挑戦したので
す。誰もがモハメド・アリでは無理だろうと思っていました。先生もこれで完全にモハメ
ド・アリの時代は終わってしまうと感じていました。ところが何とモハメド・アリの8回
KO勝ちだったのです。「キンシャサ(試合が行われたアフリカの都市)の奇跡」といわ
れました。
モハメド・アリという人物は、ボクシングの世界チャンピオンというレベルを超えた存
在だったと思います。また、少年の私にとっては、常識というものにとらわれない、反骨
精神に満ちたあこがれのヒーローとして生き続けたような気がします。