事業主の方へ 高年齢者雇用安定法による 65歳までの雇用確保は 実施されていますか? 平成25年4月1日改正の高年齢者雇用安定法により、現在は 希望者全員を65歳まで継続雇用制度の対象者とすることが必要です。 <挿絵等> 厚生労働省 神奈川労働局 ハローワーク相模原 1 我が社は関係あるの? 企業の規模や業種に関わりなく、定年の年齢 を65歳未満にしている企業のうち、次の事項に 該当すれば、就業規則等の改正をお願いしま す。 労使協定で定める基準に 該当する者を65歳まで継 続して雇用する制度を導 入している 就業規則等の 改正が必要です 定年の年齢が65歳以上 H25年4月の法改正 に伴う制度の見直し は必要ありません 定年制を設けていない 希望者全員を65歳まで継 続して雇用する制度を導入 就業規則等の改正が必要な企業は、次ページ以降もご覧ください。 1 なぜ、法改正を行ったの? <理由①> 少子高齢化が加速することによって 生産年齢人口の減少が見込まれるため、 生涯現役社会の実現を柱として、高齢者 の労働力確保が重要なためです。 わ が 国 の 高齢化 は世界に 類を みない速度で進み 、20 30 年には総 人口の約 3人に1人 が 6 5 歳 以 上 の高齢者 となる ことが見込 まれ ています。これ により 、いわゆる 生産 年齢 人口 ( 1 5 ~ 6 4 歳人口) は減少 し、 2 06 0年 には総人口 の50 .9 %になる 見込み です (※図 参照) 。 (人) 14,000 〈※ 生産年齢人口の減少〉 推計値 12,806万人 11,662 生産年齢人口(15~64歳)割合 12,000 63.8% (2010) 10,000 8,674 3,685 8,000 生産年齢人口 割合50.9% 65歳以上人口 15~64歳人口 3,464 6,000 高齢化率 39.9% 23.0% (2010) 高齢化率(65歳以上人口割合) 4,000 6,773 2,000 4,418 14歳以下人口 0 (年) 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 出典: 総務省「国勢調査」、「人口推計」、 国立社会保障・人口問題研究所 「日本の将来推計人口(平成24年1月推計):出生中位・死亡中位推計」(各年10月1日現在人口) 厚生労働省「人口動態統計」 2 <理由②> 平成25年4月から公的年金の報酬比例 部分の支給開始年齢が段階的に引き上げ られたため、無年金・無収入となる方が 生じるケースがあるためです。 【年金制度改革により厚生年金の支給開始年齢が段階的に引上げ】 無年金・無収入となる者が生じる可能性 2013年4月 報酬比例部分引上開始 2016年4月 2019年4月 2022年4月 2025年4月 報酬比例部分引上完了 老齢厚生年金 (報酬比例年金) 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分) 60歳 61歳 62歳 63歳 64歳 特別支給の老齢厚生年金(定額部分) 2004年4月 2007年4月 2010年4月 2001年4月 定額部分引上開始 →年金受給と雇用との接続が必要 3 65歳 老齢基礎年金 2013年4月 定額部分引上完了 法改正後(現行)の具体的な内容は? 高年齢者雇用安定法※1では、 ① ② ① ② 継続雇用制度の対象者を限定できる仕 組みの廃止 継続雇用制度の対象者を雇用する 企業の範囲の拡大 義務違反の企業名を公表 高年齢者雇用確保措置の実施及び 運用に関する指針の策定 が定められ施行されています。 (平成25年4月から改正) ※1 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法第68号) 各項目の解説などは、次ページに以降に記載していますので、ご覧くだ さい。 4 ①継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止 ・労働者の過半数で組織する労働組合 ・労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者 との書面による協定を締結し、65歳までの継続雇用制度の対象となる労働者 の基準を定めることが可能。〔高年齢者雇用安定法第9条第2項〕 廃 60歳の定年時に継続雇用制度の対象となる労働者の基準を 定めることは不可 平成25年4月以降は 止 〔これまでの高年齢者雇用安定法第9条第2項を削除〕 <注意> 「経過措置」の利用 平成25年3月31日までに、労使協定で、65歳までの継続雇用制度の 対象者の基準を定めている場合は、平成37年3月まで、老齢厚生年金 (報酬比例部分)の受給開始年齢に到達した以降の者を対象に、基準 を引き続き利用できます。 改正法施行 改正法施行 基準を利用できる年齢は平成27年度までは61歳、28年度 からは62歳となります。 62歳で新たに基準が利用できるケースは、昭和30/1955年 4月2日生まれ以降の方で、平成28年度にはまだ61歳で 基準は利用できず、平成29年度に62歳となるまで希望者 全員を継続雇用の対象としていただく必要があります。 経過措置期間終了 65歳 64歳 年金を受給 63歳 62歳 希望者全員を対象とする 継続雇用制度 61歳 60歳 5 H38.4.1 この年齢に達してから継続雇用 制度の対象者基準を利用できる H37.4.1 H36.4.1 H35.4.1 H34.4.1 H33.4.1 H32.4.1 H31.4.1 H30.4.1 H29.4.1 H28.4.1 H27.4.1 H26.4.1 H25.4.1 H24.4.1 H23.4.1 老齢厚生年金 (報酬比例部分) 受給開始年齢 就業規則は変える必要があるの? 65歳未満の定年を定めている事業主が、 高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入 する場合、希望者全員を継続雇用制度の対象とする ような制度の導入が必要です。 ※平成25年4月の改正前に労使協定により継続雇用の対象者の 基準を定めていた場合は、この基準を削除する就業規則の 変更が必要になります(下記事例①)また、経過措置を利用 する場合はその旨の変更が必要です(下記事例②)。 事例①【希望者全員を65歳まで継続雇用する場合の例】 第○条 従業員の定年は満60歳とし、60歳に達した年度の末日をもって退職とする。ただし、 本人が希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない者については、65歳まで継続雇用す る。 事例②【経過措置を利用する場合の例】 第○条 従業員の定年は満60歳とし、60歳に達した年度の末日をもって退職とする。ただし、 本人が希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない者であって、高年齢者雇用安定法一 部改正法附則第3項に基づきなお効力を有することとされる改正前の高年齢者雇用安定 法第9条第2項に基づく労使協定の定めるところにより、次の各号に掲げる基準(以下「基 準」という。)のいずれにも該当する者については、65歳まで継続雇用し、基準のいずれか を満たさない者については、基準の適用年齢まで継続雇用する。 (1) 引き続き勤務することを希望している者 (2) 過去○年間の出勤率が○%以上の者 (3) 直近の健康診断の結果、業務遂行に問題がないこと (4) ○○○○ 2 前項の場合において、次の表の左欄に掲げる期間における当該基準の適用については、 同表の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ右欄に掲げる年齢以上の者を対象に行うもの とする。 ※16頁も参照ください。 平成25年4月1日から平成28年3月31日まで 61歳 平成28年4月1日から平成31年3月31日まで 62歳 平成31年4月1日から平成34年3月31日まで 63歳 平成34年4月1日から平成37年3月31日まで 64歳 6 就業規則を変更した場合、届け出を する必要はあるの? 就業規則を変更した場合、①就業規則変更届、② 意見書、③就業規則の変更部分を、所在地管轄の 労働基準監督署へ届け出なければなりません。なお、 「再雇用規定」「嘱託社員就業規則」など、別規定を 作成した場合も届け出が必要です。 (※常時10人以上の労働者を使用する使用者の場合) ① 就業規則変更届 平成 ② 年 月 意見書 日 平成 ○○労働基準監督署長 殿 年 月 日 殿 今回、別添のとおり当社の就業規則を変更いた しましたので、意見書を添付のうえ提出します。 平成 年 月 日付けをもって意見を求めら れた就業規則案について、下記のとおり意見を 提出します。 労働保険番号 業種 労働者数 (臨時・パート含む)人 事業所の所在地 事業場の名称 使用者職氏名 印 記 労働者代表 印 ③ 就業規則変更部分 意見書について 新 旧 第○○条 第○○条 第○○条 第○○条 就業規則を作成し、または変更した 場合、労働者の過半数で組織する 労働組合(過半数労働組合がない 場合は労働者の過半数を代表する 者)の意見を記した書面(意見書)を 添付して、所在地管轄の労働基準 監督署へ届け出なければなりませ ん。 付 則 第○条 改正部分は ○年○月○日より実 施する。 7 ②継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大 65歳までの継続雇用は、原則自社内で確保する制度が必要。 〔高年齢者雇用安定法第9条第1項〕 平成25年4月以降は 自社内のほか、子会社・関連会社など特殊関係事業主との契約に 基づき、特殊関係事業主が引き続いて雇用する制度も可能〔高年 齢者雇用安定法第9条第2項として制定〕 拡大 <注意> 特殊関係事業主については、厚生労働省令※で定めていますが、概 ね次のようなイメージです。 ※ 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則(昭和46年労働省令24号) 雇用主となる範囲 親法人等 親法人等の 関連法人等 親法人等の 子法人等 (いわゆる兄弟会社) 自社 親子法人等関係 関連法人等 関連法人等関係 子法人等 8 親子法人等関係(支配力基準) ≪規則第4条の3第2項≫ (1)議決権所有割合が過半数である場合≪同項第1号≫ 議決権50%超 親法人等 子法人等 (2)議決権所有割合が40%以上50%以下である場合≪同項第2号≫ ①同一議決権行使者の議決権所有割合が合算して 50%超 ②意思決定の支配が推測される事実の存在 議決権40%以上50%以下 親法人等 議決権40%以上50%以下 子法人等 親法人等 子法人等 下記いずれかの要件に該当 緊密な関係により同一内容 議決権行使が認められる者 議決権50%超 同一内容議決権行使に 同意している者 (3)議決権所有割合が40%未満である場合≪同項第3号≫ 親法人等 右記いずれかの要件に該当 ○要件 ・取締役会の過半数占拠 ・事業方針等の決定を支配する契約 の存在 ・資金調達総額の過半数融資 ・その他意思決定の支配が推測され る事実 子法人等 緊密な関係により同一内容 議決権行使が認められる者 議決権50%超 同一内容議決権行使に 同意している者 関連法人等関係(影響力基準) ≪規則第4条の3第4項≫ (1)議決権所有割合が20%以上である場合≪同項第1号≫ 議決権20%以上 親法人等 関連法人等 (2)議決権所有割合が15%以上20%未満である場合≪同項第2号≫ 議決権15%以上20%未満 関連法人等 親法人等 右記いずれかの要件に該当 (3)議決権所有割合が15%未満である場合≪同項第3号≫ 右記いずれかの要件に該当 関連法人等 親法人等 緊密な関係により同一内容 議決権行使が認められる者 同一内容議決権行使に 同意している者 議決権20% 以上 9 ○要件 ・親法人等の役員等が代表取締役 等に就任 ・重要な融資 ・重要な技術の提供 ・重要な営業上又は事業上の取引 ・その他事業等の方針決定に重要 な影響を与えられることが推測さ れる事実 特殊関係事業主とどのような契約を 結べばいいの? 継続雇用先の範囲をグループ会社にまで 拡大する特例を利用するためには、元の 事業主と特殊関係事業主との間で、 「継続雇用制度の対象となる高年齢者を 定年後に特殊関係事業主が引き続いて雇用 することを約する契約」 を締結することが要件とされています。 特殊関係事業主は、この事業主間の契約に基づき、 元の事業主の定年退職者を継続雇用することとなります。 事業主間の契約を締結する方式は自由ですが、 紛争防止の観点から、書面によるものとすることが 望ましいと考えられます。 書面による場合、例えば、次のページのような契約書が 考えられます。 10 継続雇用制度の特例措置に関する契約書(例) ○○○○株式会社(以下「甲」という。)、○○○○株式会社(以下「乙1」とい う。)及び○○○○株式会社(以下「乙2」といい、乙1及び乙2を総称して「乙」 という。)は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68 号。以下「高齢者雇用安定法」という。)第9条第2項に規定する契約として、次 のとおり契約を締結する(以下「本契約」という。)。 第1条 乙は、甲が高齢者雇用安定法第9条第1項第2号に基づきその雇用す る高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するための措置として導入す る継続雇用制度を実施するため、甲の継続雇用制度の対象となる労働者で あってその定年後も雇用されることを希望する者(次条において「継続雇用 希望者」という。)を、その定年後に乙が引き続いて雇用する制度を導入する。 第2条 乙は、甲が乙に継続雇用させることとした継続雇用希望者に対し、乙 が継続雇用する主体となることが決定した後、当該者の定年後の雇用に係 る労働契約の申込みを遅滞なく行うものとする。 第3条 第1条の規定に基づき乙1又は乙2が雇用する労働者の労働条件は、 乙1又は乙2が就業規則等により定める労働条件による。 以上、本契約の成立の証として本書3通を作成し、甲、乙1、乙2各自1通を保 有する。 平成 年 月 日 (甲)神奈川県相模原市○○○ 株式会社○○○○ 代表取締役○○ ○○ ㊞ (乙1)神奈川県相模原市○○○ 株式会社○○○○ 代表取締役○○ ○○ ㊞ (乙2)神奈川県相模原市○○○ 株式会社○○○○ 代表取締役○○ ○○ ㊞ 11 ③義務違反の企業名を公表 高年齢者雇用確保措置(①定年の引上げ、②継続雇用制度の導入、③定年の定めの 廃止)を講じていない企業に対して、ハローワーク等による個別指導を実施し、改善さ れない場合は勧告を実施。〔高年齢者雇用安定法第10条〕 平成25年4月以降は 強化 勧告を受けても改善されない場合は、勧告に従わなかったこと等の公 表を実施。〔高年齢者雇用安定法第10条第3項を制定〕 平成27年度の 神奈川県内の高年齢者雇用確保措置の 実施率は99.3% (平成27年「高年齢者の雇用状況」集計結果による)で、 県内のほとんどの企業は社内整備がされて 65歳までの雇用確保の制度を導入済です。 内閣府が過去に実施した高年齢者の意識調査では、 65歳以上まで働きたいと回答した人が約9割を占めています。 少子化が進む現在、高年齢者の能力を最大限に 活用し、年輪を重ねても安心して働ける環境が 重要と思われます。 いまだ実施がされていない場合は、 この実情も踏まえてなるべく早い段階での 制度導入をお願いします。 12 ④高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針 対象者基準の廃止後の継続雇用制度の円滑な運用に資するよう、企業現場の取扱 いについて労使双方にわかりやすく示すため、高年齢者雇用確保措置の実施及び運 用に関する指針を新たに策定。〔高年齢者雇用安定法第9条第3項〕 指針のポイント ○継続雇用制度についての留意事項 ・継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とする制度とする。 ・就業規則に定める解雇・退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ。)に 該当する場合には、継続雇用しないことができる。 ・就業規則に定める解雇・退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことが できる事由として、解雇・退職の規定とは別に、就業規則に定めることも できる。また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施の ため、労使が協定を締結することができる。なお、解雇事由又は退職事 由とは異なる運営基準を設けることは改正法の趣旨を没却するおそれ があることに留意する。 ・ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、 社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意する。 【参考】以下の点は従来から変更ありません。 ・定年年齢は60歳以上でなければならないこと。 ・高年齢者雇用確保措置は3つの選択肢(定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの 廃止)から選べること。 (※必ずしも65歳への定年引上げに限定するものではありません) ・この措置義務は、社内制度を整備し、65歳までの継続雇用の環境を設けることが主旨であって、 個々の労働者を実際に雇用しなければならないという義務ではないこと。 ・高年齢者雇用安定法は、継続雇用時の労働条件を規制していないこと。 (※継続雇用時の労働条件は、事業主の合理的な裁量の範囲で設定することが可能です) 13 希望されれば全員を65歳まで雇用し なくてはいけないの? 継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を 対象とするものにしなければなりません。 ただし、就業規則に定める解雇事由又は退職 事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合には、 継続雇用しないことができます。 ※継続雇用しないとする事由には客観的に合理的な理由が あり、社会通念上相当であることが求められることに留意 が必要です。 ※また平成25年3月31日(高年齢者雇用安定法の改正施行 前)までに労使協定により継続雇用制度の対象者を限定 する基準を定めていた事業主については、「経過措置」と して、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の 年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を 定めることが認められています(6頁参照)が、 平成37年4月1日にはこの経過措置期間が終了します。 ※ただし、高年齢者雇用安定法の主旨をご理解いただき、 現在経過措置を利用されている事業所においても、 できるだけこの経過措置期間終了を待たずに、早い段階で 希望者全員65歳までの雇用制度を導入していただくよう にお願いします。 ✿その際、給与制度をはじめとする雇用制度見直しや就業規則への反映 等社内法規の整備が必要と思われる場合は、 独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構神奈川支部 でご相談が可能です。(19頁参照) 14 やむを得ず高齢者が離職する際、何 か配慮しなくてはならないの? 45歳以上65歳未満の中高年齢者が事業主の 都合による離職となる場合は、事業主が講じる 措置として以下の場合があります。 ◆再就職援助措置 求人の開拓など、対象の離職予定者が希望した場合には、 その再就職の援助に関し必要な措置を実施するよう努めなけ ればならないこととされています。 (高年齢者雇用安定法第15条) ◆求職活動支援書 在職中のなるべく早い時期から主体的な求職活動が行える よう、その職務経歴を記載したもの。対象の離職予定者が 希望した場合には、本人に交付しなければならないことと されています。 (高年齢者雇用安定法第17条) ◆多数離職届 その雇用する中高年齢者のうち、1ヶ月以内の期間に5人 以上が解雇等により離職する場合には、あらかじめ 「多数離職届」を公共職業安定所(ハローワーク)に届け出 なくてはなりません。 (高年齢者雇用安定法第16条) 厚生労働省および電子申請のHPから様式がダウンロード可能です。 ●「求職活動支援書」「再就職援助計画」 www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a02-1a.html ●「多数離職届」 shinsei.e-gov.go.jp の検索で「多数離職の届出」で開いてください。 15 改正高年齢者雇用安定法Q&A(抜粋) 他のQ&Aについては、厚生労働省ホームページをご覧ください URL:http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/qa/index.html Q:改正高年齢者雇用安定法においては、事業主が高年齢者雇用確保措置と して継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにし なければならないのですか。 A:事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、 希望者全員を対象とするものにしなければなりませんので、事業主が制度を 引用する上で、労働者の意思が確認されるまで(平成25年3月31日)に労使 協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主に ついては、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢 以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定める ことが認められています。 なお、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が 著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に 定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合に は、継続雇用しないことができます。ただし、継続雇用しないことについては、 客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると 考えられることに留意が必要です。 Q:本人と事業主の間で賃金と労働時間の条件が合意できず、継続雇用を拒否し た場合も違反になるのですか。 A:高年齢者雇用安定法が求めているのは、継続雇用制度の導入であって、 事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるもの ではなく、事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と 事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が 継続雇用されることを拒否したとしても、高年齢者雇用安定法違反となるもの ではありません。 16 Q:継続雇用制度について、定年退職者を継続雇用するにあたり、いわゆる嘱託 やパートなど、従来の労働条件を変更する形で雇用することは可能ですか。 その場合、1年ごとに雇用契約を更新する形態でもいいのでしょうか。 A:継続雇用後の労働条件については、高年齢者の安定した雇用を確保すると いう高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえたものであれば、最低賃金などの 雇用に関するルールの範囲内で、フルタイム、パートタイムなどの労働時間、 賃金、待遇などに関して、事業主と労働者の間で決めることができます。 1年ごとに雇用契約を更新する形態については、高年齢者雇用安定法の 趣旨にかんがみれば、年齢のみを理由として65歳前に雇用を終了させるよう な制度は適当ではないと考えられます。 したがって、この場合は、 ①65歳を下回る上限年齢が設定されていないこと ②65歳までは、原則として契約が更新されること(ただし、能力など年齢以外 を理由として契約を更新しないことは認められます。) が必要であると考えられますが、個別の事例に応じて具体的に判断される こととなります。 Q:継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止の経過措置について、 この仕組みの対象者となる下限の年齢を厚生年金(報酬比例部分)の支給 開始年齢の引上げスケジュールにあわせ、平成37年4月までに段階的に 引き上げることとされていますが、年金の支給開始年齢の引上げスケジュー ルは男女で異なっています(女性は5年遅れ)。経過措置の対象年齢も男女で 異なることになるのでしょうか。 A:経過措置の対象年齢は、「男性」の年金(報酬比例部分)の支給開始年齢の 引上げスケジュールにあわせ、平成37年4月までに段階的に引き上げること とされています。 御指摘のとおり、年金の支給開始年齢の引上げスケジュールは男女で 異なってはいますが、経過措置の対象年齢については男女で異なるものでは なく、同一となっています。 なお、男女別の定年を定めることや継続雇用制度の対象を男性のみとする など、労働者が女性であることを理由として男性と異なる取扱いをすることは 男女雇用機会均等法において禁止されています。 17 Q:当社の就業規則では、これまで、基準に該当する者を60歳の定年後に継続 雇用する旨を定めていますが、経過措置により基準を利用する場合でも、 就業規則を変えなければいけませんか。 A:改正高年齢者雇用安定法では、経過措置として、継続雇用制度の対象者を 限定する基準を年金支給開始年齢以上の者について定めることが認められ ています。したがって、60歳の者は基準を利用する対象とされておらず、 基準の対象年齢は3年毎に1歳ずつ引き上げられますので、基準の対象年齢 を明確にするため、就業規則の変更が必要になります。 Q:特殊関係事業主の要件は、どの時点で満たす必要がありますか。 A:契約の相手方たる要件である以上、まず契約を締結する時点で、その要件を 満たす必要があり、加えて、法律上、契約の内容として「特殊関係事業主が 引き続いて雇用すること」が求められていることから、労働者が特殊関係 事業主において雇用され始める時点でも特殊関係事業主たる要件を満たす 必要があります。 18 もう少し詳しく聞きたいんだけど、どこ に問い合わせたらいいの? 高齢法に関する問い合わせは、最寄りのハ ローワーク(雇用指導官あて)にお願いします。 高齢法に対応した高年齢者雇用に関するご 相談は、厚生労働省の関係機関である(独)高 齢・障害・求職者雇用支援機構の神奈川支部 でお受けします(無料)。 ○ハローワーク ( http://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html) ○独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 神奈川支部 ( http://www.jeed.or.jp) ○改正高年齢者雇用安定法や政省令・告示の概要などを厚生労 働省のホームページに掲載しています。 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/ koureisha/topics/tp120903-1.html 19 お問合わせ先 ハローワーク 所在地 電話番号 コード 番号 ハローワーク横浜 横浜市中区山下町209 帝蚕関内ビル 045-663-8609 32# ハローワーク戸塚 横浜市戸塚区戸塚町3722 045-864-8609 32# ハローワーク川崎 川崎市川崎区南町17-2 044-244-8609 33# ハローワーク横須賀 横須賀市平成町2-14-19 046-824-8609 32# ハローワーク平塚 平塚市浅間町10-22 平塚地方合同庁舎 0463-24-8609 32# ハローワーク小田原 小田原市本町1-2-17 0465-23-8609 33# ハローワーク藤沢 藤沢市朝日町5-12 藤沢労働総合庁舎 0466-23-8609 33# ハローワーク相模原 相模原市中央区富士見6-10-10 042-776-8609 32# ハローワーク厚木 厚木市寿町3-7-10 046-296-8609 33# ハローワーク松田 足柄上郡松田町松田惣領2037 0465-82-8609 - ハローワーク横浜南 横浜市金沢区寺前1-9-6 045-788-8609 32# ハローワーク川崎北 川崎市高津区千年698-1 044-777-8609 32# ハローワーク港北 横浜市港北区新横浜3-24-6 045-474-1221 32# ハローワーク大和 大和市深見西3-3-21 046-260-8609 32# (独)高齢・障害・求 職者雇用支援機構 神奈川支部 高齢・障 害者業務課 所在地 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力 開発促進センター内 電話番号 045-360-6010
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