music1 - 筑波大学図書館情報メディア系|図書館情報メディア研究科

音楽・音響情報処理
(GC51101)
平賀 譲
(情報メディア創成学類)
7B214(学類長室)、7D209 研究室
[email protected]
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授業の進め方(1)
• 講義中心だが、実習的内容・課題も含む予定
• 情報メディア実験 A(春学期:寺澤・松原・平賀)履
修者は内容的に一部重複する
• 授業 Web ページ
http://www.slis.tsukuba.ac.jp/~hiraga/music/
連絡・資料等はこちらに掲載していく
• また manaba も利用していく(資料公開はこちらに移
動するかもしれない。)
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授業の進め方(2)
• 評価
•
•
•
•
レポートを何回か課す(実習・プログラミング課題も含む)
期末試験を実施する
毎回出席をとる
成績評価はこれらの総合評価による
• 授業日程
• 10月
• 11月
• 12月
• 12月
(秋学期 AB)
2, 9, 16, 23, 30日
13, 20日 ※ 11/6 学園祭、27 推薦入試
4, 11, 18日
25 日(期末試験)
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教科書・参考書・授業資料
• 特定の教科書は指定しない
• 参考書等については随時紹介し、必要に応じて抜
粋を配布する
• 授業の PPT 資料、補足資料、データ等については
授業ページ/manaba からアクセス・ダウンロードで
きるように公開する。これらの資料類は、原則とし
てコピーは配布しない
• レポート課題等の重要事項、またオンライン公開で
きない資料については全員にコピーを配布する
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履修上の要件・前提
• 原則として3年次以上(創成学類・専門科目)
• GC23101「信号とシステム」(田中先生)、
GC23601「音楽・音響基礎」(寺澤先生)
あるいはそれらに相当する科目を履修していること
が望ましい(必須条件ではないが)
• 数学(解析、線形代数・複素数、確率・統計)につい
ての基礎知識を有していること(実際には高校の数
III 程度でも間に合う)
• 音楽についての最小限の知識は前提とする。高度な
知識は必ずしも求めないが、あるほうが望ましい
• 昨年度までよりは少しステップアップする
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履修登録について
• 履修意志がある場合には、(TWINS期限前でも)早
めに登録する
• 逆に履修意志のない科目は登録しない
• また(TWINS 期限後に)履修放棄するなら、その旨
を担当教員に連絡する
• TWINS に登録ないと manaba にも登録されない
• 科目番号を間違えないこと!
特にコードシェア科目、科目区分が変わるなどして
複数の科目番号のある科目
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授業の概要
• 音楽・音響情報処理について、技術的・理論的な
基礎事項を中心に講義する
• 音楽についての基礎事項
• ファイル・データ形式
• 基本的な処理アルゴリズム・手法
• etc.
• また現在の研究の動向、社会状況などについて、
可能な範囲で紹介する。個々の研究の技術的詳
細には立ち入らない(これについては卒研や大学
院で)
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音楽情報処理のための資源・環境
• 20年ほど前までは、コンピュータで音楽を扱うと
いうのは一部の特殊な層(研究者、音楽制作者)
に限られていた
• 現在では普通の市販パソコンにも Media Player
のようなプレイヤーソフト、ソフトシンセなどが標
準装備され、また iPod 等の携帯機器、ネット配
信など、音楽情報処理は身近になっている
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(続き)
• しかしほとんどの人にとっては、受動的に音楽を
聴くための用途に限定される。
• 現在でも、コンピュータを用いて音楽を能動的に
扱おうという人はそれほど多くはない。
(テキストや画像等の利用者と比較して)
• 参考: Vocaloid 及び関連製品(初音ミク等)
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音楽情報利用環境 (1)
• 全学計算機システム(Windows)
• 創成学類実習室(7C202)
• 他学類学生も使える。
• メディアプレイヤー (Windows Media Player 等)
• 「ソフトシンセ」 Microsoft GS Wavetable SW Synth を含む
• ソフト・機材類(カッコ内はライセンス数)
•
•
•
•
•
Matlab(30?) (signal processing toolbox(15) 等も含む)
MAX (15) ←7C202 のみ
Finale(30)
その他(Wavesurfer, Audacity 等)
キーボード類、その他機材 帯出手続きは別途案内
• イアホン(ヘッドホン)を各自で用意し、回りに迷惑をか
けないように注意。
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音を「見る」(ピアノ:中央ハ音)
(Matlab)
波形データ
周波数スペクトル
(基本周波数: 261.1 Hz)
時間→
周波数→
←スペクトログラム(ソノグラム)
(上2つを2次元的に組み合わせたもの)
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音を「見る」
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(Wavesurfer)
五線譜作成例(Finale)
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Max (音楽システム)の画面例
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音楽情報利用環境 (2)
• 「簡易 MML」
http://www.slis.tsukuba.ac.jp/~hiraga.yuzuru.gf/mml/
• 簡単な楽譜打込み、MIDI データの表示
• Web 上の各種サービス
• 例: ORPHEUS (東大・嵯峨山研)
http://www.orpheus-music.org/v3/
• 歌詞入力・自動作曲・編曲
• その他、多くのサービスがある。
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音楽情報利用環境 (3)
• 個人マシンで利用できる無料ソフト、有料ソフト(数万程度)
• メディアプレイヤーソフト
• バンドルソフト:Windows Media Player (Windows)、
QuickTime, iTunes (Mac OS)
• 他にも多数ある(Winamp, RealPlayer 等々)。
• オーディオ再生だけでなく、ビデオ再生機能や、
ライブラリ・プレイリスト作成などの付加機能も備える。
• ソフトシンセ (Software Synthesizer)
• これもバンドルソフトの他に多くの種類がある。
• システムにより音質はかなり異なる。
• しかしハードウェアの最高級品には及ばない。
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音楽情報利用環境 (4)
• 無料ソフト
• WaveSurfer: 音声・音響データ分析 (KTH)
• Pure Data (Pd): Max 同様の VPL (Puckette)
• MuseScore: 楽譜作成・演奏 (Schweer)
• GNU LilyPond: テキストベースの楽譜作成
• SuperCollider: 音響合成・作曲
• DTM ソフト(有料)
Finale, CuBase, Cakewalk/Sonar, Sibelius, Max,
Singer Song Writer 等々
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関連文献(1)
• 長嶋、橋本、平賀、平田(編):
「コンピュータと音楽の世界」 、
(共立出版、bit 別冊), 1998. (授業ページも参照)
• 岩波講座「マルチメディア情報学」
4巻:「文字と音の情報処理」
井口・片寄:「音楽情報処理」(第4章)
10巻:「自己の表現」
片寄:「パフォーマンスのための
マルチメディア利用」(第2章)
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関連文献(2)
• Curtis Roads: The Computer Music Tutorial,
MIT Press (1996)
青柳、小坂、平田、堀内(監訳):「コンピュータ音楽 -
歴史・テクノロジー・アート -」、東京電機大学出版会
(2001)
• Juan G. Roederer: Introduction to the Physics and
Psychophisics of Music, Springer-Verlag (1973)
高野・安藤(訳):「音楽の科学: 音楽の物理学、精神物
理学入門」、音楽之友社 (1981)
• John R. Pierce: The Science of Musical Sound,
Scientific American Books (1983)
村上陽一郎(訳):「音楽の科学」、日経サイエンス (1989)
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URL(1)
• 授業ページのリンク集
http://www.slis.tsukuba.ac.jp/~hiraga/music/links.shtml
• 情報処理学会・音楽情報科学研究会
http://www.sigmus.jp/
• 「音楽情報処理最前線」の連載記事 (2008-2010)
(若手の研究紹介)
http://www.sigmus.jp/sigmus_dtmm.html
• 音響学会・音楽音響研究会(MA 研)
http://musical-acoustics.org/
• 日本音楽知覚認知学会
http://www.jsmpc.info/
• 情報処理学会(学会誌特集号など)
http://www.ipsj.or.jp/
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URL(2)
• ICMA (International Computer Music Association)
http://www.computermusic.org/
• ISMIR (Int’l Society for Music Information Retrieval)
http://www.ismir.net/
• 最近ではマルチメディア、エンタテインメント等と結び付
いた活動・学会も多い。
• 情報源など(以下は一例に過ぎない)
• Classical Archives (クラシック音楽データベース)
http://www.classicalarchives.com/
• IMSLP (International Music Score Library Project)
クラシック音楽を中心とした楽譜集
http://imslp.org/wiki/メインページ
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文献・URL (電子楽器、シンセサイザ)
• 電子楽器の歴史(旧版)
http://web.archive.org/web/20000816035448/www.ob
solete.com/120_years/
• 新版: http://120years.net/
• シンセサイザ博物館 http://www.synthmuseum.com/
• モーグ: http://moogmusic.com/
• 加藤充美:電子楽器の変遷と音楽音響の研究課題、
bit 別冊「コンピュータと音楽の世界」、2.1 節
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はじめに: 音とは?音楽とは?
• 音・音響とはどういう現象か
• 物理現象として
• 心理現象として
• 音は情報として扱えるか
• 記録・保存・変換・加工等はできるか
• 音楽とは何か
• 起源は? 役割・目的・存在意義は?
• 音楽は(コミュニケーションの手段だとして)
何を伝えているのか
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音楽情報 (現在の目で)
• 各種の情報の形態
文字情報、画像情報、音響情報、音声情報、...
• 異なる情報がディジタルデータとして一元的に
表される。
• 音楽・音響情報は他の情報形態に比べてどのよう
な違い・特徴があるか?
• 音楽情報の形態
• 音響情報: アナログ録音、WAV, CDA, MP3, ...
• 記号情報: 楽譜、MIDI, MML, ...
• 音楽構造: 和声、楽式、...
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音を運ぶ、音を蓄える
• 1876 ベル: 電話機の発明
• 1877 エジソン: 蓄音機(錫箔円筒式)
それ以前は、音そのもの
を保存・再生することは
できなかった
http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/index2.html
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音の情報
• 音は媒体(空気等)を縦波として伝わる(音波)
⇒ 音は測定可能な物理現象!
• 音波はマイクロフォンなどによって電気信号に変
換される(アナログ信号)
• コンピュータ等のディジタル機器では、アナログ
信号をディジタル信号に変換して利用する。
(A/D 変換: 逆の変換は D/A 変換)
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音楽の記号的側面
• 音響信号
連続的であり、記号化・構造化されていない。
• 音楽的に意味のある単位
時間・音高について離散化されたカテゴリに分割される。
⇒ 音符、楽譜
• 高次の構造
それらの単位を組み合わせて関係付けた構造、
抽象的・概念的な構造
⇒ 楽曲の解釈、音楽構造の表現
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音楽とは
• 芸術(アート)である
• パフォーミング(実演)アートである
一過性、参加型、臨場感、一体感
だけどそれだけでなく
• 学問(科学)である
• プラトン → 中世自由七科
• 4科 (quadrivium): 算術、幾何、天文、音楽
• cf. 3科 (trivium): 文法、修辞、論理
• ピタゴラスの音律研究
• 音楽理論(和声、対位法、楽式、...)
• 音の研究
(19C Helmholtz: On the Sensation of Tone)
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音楽は技術・ハイテク志向
• 音楽は芸術の中では技術的側面が顕著
• ハードウェア: 楽器
• ソフトウェア: 作曲/演奏技法
• 例: ピアノ/ハープシコード
• バッハと平均律
• ハンマークラヴィア(ベートーベンの時代)
• 電気・電子的技術、コンピュータも積極的に取り
入れられている。
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コンピュータと音楽の歴史(1)
• コンピュータ以前
• 電子楽器
テルミン (1917)、オンドマルトノ (1928)
• テープ音楽、ミュージックコンクレート
• コンピュータの登場
• 1940年代 ENIAC, Colossus, ...
• 1950年代 von Neumann 方式: EDVAC, ...
• 最初の「コンピュータ作曲」
Hiller & Isaacson: ILLIAC Suite (1957)
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y
テルミンとオンド・マルトノ
y
-2.00
x
竹内正実氏のページ http://www.mandarinelectron.com/theremin/
(http://thereminmasamin.blog12.fc2.com/ )
原田節氏のページ
http://harady.com/onde/
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コンピュータと音楽の歴史(2)
• アナログシンセサイザ(1950年代~70 年代)
• Moog Synthesizer(1963), Mini Moog (1970)
• 日本のメーカー(1970 年代から)
Roland, Korg, Yamaha, Casio, Kawai, ...
• ディジタル音響合成(1950年代~)
• Music X シリーズ(M. Mathews)
GROOVE system (1970)
• FM 合成方式 (J. Chowning, 1973)
ヤマハ DX-7 (1983)
• Fairlight CMI (ディジタルサンプリングベース: 1979)
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コンピュータと音楽の歴史(3)
• コンピュータ音楽関係の研究機関
• CCRMA (Stanford Univ.: 1975)
• IRCAM (Paris: 1976)
• MIDI 規格 (Musical Instrument Digital Interface)
1980 年代 (最初の規格制定: 1983)
以後の改訂・拡張を経て、電子楽器・コンピュー
タ音楽の世界標準になる。
• 現在の電子楽器: PCM 音源が主流
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コンピュータと音楽の歴史(4)
• コンピュータでの音楽利用
• 1980 年代までは個別のシステム開発が主流
• 1980 年代以降
• ミュージックコンピュータ(ヤマハ他)
• Macintosh (Apple)
• 現在のコンピュータでは基本的な機能は標準装備
• 音響信号再生・録音
(各種フォーマット:WAV, MP3, ...)
• ソフトシンセ
• ネットワークでの音楽利用
• インターネット
• 携帯電話等、モバイル機器(着メロ、着うた)
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