仮想バックボーンの導入による P2P網の帯域利用効率化の検討 芝浦工業大学 工学研究科 杉野博徳 森野博章 三好匠 研究の目的 Application Level Multicast(ALM)における配信ツ リーを物理網を考慮して構築する •ALMの配信ツリーは参加ピア同 士の論理リンクにより構築 D 配信ピア C 論理網 B A 図は,A,B,C,Dの順にピアが配信ツリーに 参加している例(各ピアの最大次数=3) •論理リンクにより各ピアの中継 数の分散をする制御 D 配信ピ ア C B 物理網 A 物理網を十分に考慮しているわ けではないので,非効率な経路 を利用している可能性がある 研究の背景(1) 物理網を考慮した配信ツリーの構築 MST ツリー構築の2つのアプローチ •MST(Minimum Spanning Tree) D 配信ピ ア C •SPT(Shortest Path Tree) B MST(Minimum Spanning Tree) A 物理網を考慮しないツリー •物理Hop数の総和が最小になるよ うに配信ツリーを構築 •配信ピアまでのHop数が大きくなる 可能性 例. ピアDの場合, 10Hop D 配信ピ ア C B A 研究の背景(2) 物理網を考慮した配信ツリーの構築 SPT SPT(Shortest Path Tree) D 配信ピア •新規参加ピア-配信ピア間のHop数が 最小にするように配信ツリーを構築 C 例. ピアDは,ピアA,B,Cのう ちピアCと接続 •利用効率が落ちる可能性 例. 配信ピア->CとC->Dの通 信で同じ経路に同じデータ が流れる B A 物理網を考慮しないツリー D 配信ピ ア C B A 研究の背景(3) SPT,MSTによる配信ツリー構築 •それぞれ長所,短所がある •ピアの参加する順番に左右される SPTの場合 MSTの場合 そこで, 配信ピア 配信ピア DD ピアはA,B,C,Dの順に参加 各ピアの最大次数=3 DD 配信ピア 配信ピア SPT,MSTの特徴を生かせるように予め配信 C C ツリーを構築したらどうか? BB AA 仮想バックボーンの導入 BB AA ピアBとピアAの参加順が逆だとよりよいツリーの構築が可能 ピアDとCの参加順が逆だとよりよいツリーの構築が可能 CC 仮想バックボーンの構築(1) ALMに参加するピアの分類 前提として、ALMに参加するピアには次の3種類があると 仮定する 長期視聴・常時接続ピア 長期間サービスを利用するユーザピア ネットワークには常時接続 短期視聴・常時接続ピア 短期間サービスを利用するユーザピア ネットワークには常時接続 短期視聴・非常時接続ピア 短期間のみサービスを利用するユーザピア ネットワークには一時的に接続 今回のポイント サービスを利用していなく ても,ネットワークに常時 接続しているピアを配信 ツリーに組み込む!! 仮想バックボーンの構築(2) 仮想バックボーンの構築 Step1. バックボーン構築ピアの選択 ピアに対して重み付けし,重みが大きい ピアを選択 重み付け •任意の2ピア間の最短経路を計算 図の場合,(A->B), (A->C), (B->A), (B->C), (C->B), (C->A) A •ある最短経路上に存在するピアの重 重み (0) みを1増加(ただし,両端は除く) Step2. 重みの大きいピアによりス タイナー木を作成する A -> C C -> A B (2) C (0) 重みづけの例 仮想バックボーンの構築(3) バックボーンツリーの例 ()内の数値は重み 仮想バックボーンツリー 常時接続ピア 配信ピア バックボーンを構 築するピア(BP) (16) (13) (0) (3) (13) (8) (0) 配信ツリーの構築 •ピアの参加アルゴリズム 新規参加ピアの最寄りのBPを発見 接続先候補ピア=最寄りのBP 新規参加ピア-BP間の経路上に参加ピアは 存在するか? Y 接続先候補ピア=経路上の参加ピア 接続先候補ピア= 接続先候補ピアの子ピア N 接続先候補ピアと接続可能? 接続 Y N シミュレーションによる性能評価(1) 評価指標 •ピア-配信ピア間の平均物理Hop数 遅延への影響 •延べ利用物理リンク数 B 論理リンク A-> B, B->C 3 4c 5 d C 2 b a 1 A 延べ物理リンク数=5 ネットワーク全体での帯域の消費 •平均リンク集中度 Link a,b,dの集中度=1 Link cの集中度=2 物理リンクがどれぐらいの論理リン 平均Link集中度=1.25 クにより利用されているか シミュレーションによる性能評価(2) 比較方式 iMST •incremental MST •新規参加ピアは,既存の配信ツリーに対して物理 Hop数の総和が最小になるように物理リンクを追加 SPT •通常のSPT(Shortest Path Tree)によるアプローチ •新規参加ピアは,配信ピアとの間の物理Hop数が 最小になるように物理リンクを追加 シミュレーションによる性能評価(3) 各方式におけるピアの分類 今回のシミュレーションでは,次のような仮定をしている 長期視聴・常時接続ピア 提案方式・・・存在しない 比較方式・・・存在しない 短期視聴・常時接続ピア 提案方式・・・BPとして選ばれるピアは全てこの分類 比較方式・・・存在しない 短期視聴・非常時接続ピア 提案方式・・・BP以外のピア 比較方式・・・全てのピアがこの分類 シミュレーションによる性能評価(4) ネットワークモデル ネットワークトポロジ 米国Abileneネットワーク ピア数 367 ルータ数 126 各ピアの最大次数 3 視聴間隔 負の指数分布(平均=10[min]) 離脱から次の視聴まで の間隔 負の指数分布(平均=10[min]) シミュレーション時間 1000[min] 評価結果(1) 配信ピアまでの平均Hop数 average number of hops between the server and a peer number of hops 60 50 40 30 20 10 0 iMST SPT Proposal Proposal Proposal (BP=5) (BP=10) (BP=15) 仮想バックボーンにより,BPもしくはBPに近いピアと接続すれば配 信ピアまでのホップ数の低減ができたと考えられる 評価結果(2) 延べ物理リンク数 number of physical links total number of used physical links 1200 1000 800 600 400 200 0 iMST SPT Proposal Proposal Proposal (BP=5) (BP=10) (BP=15) 各ピアとBPとの接続経路には最短経路を利用するため,物理リンク 数の低減があまり起こらなかったのではないかと考えられる degree of concentration 評価結果(3) リンクの集中度 4 concentration of logical links 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 iMST SPT Proposal Proposal Proposal (BP=5) (BP=10) (BP=15) 延べ物理リンク数と同様の理由で集中度の低減 が起こってないのではないかと考えられる 評価結果のまとめ •延べ利用物理リンク数 ProposalはiMSTとほぼ同じ結果 •ピア-配信ピア間の平均物理Hop数 ProposalにHop数の低減効果が見られた, BPの数が多いほど効果が大きい •平均リンク集中度 ProposalはSPTより小さく,iMSTより大きい結果 本発表のまとめ 物理網を考慮してALMの配信ツリーを構築する ために仮想バックボーンの導入を検討した 今後の課題 •提案方式の性能と常時接続ピアの配置との関連性の評価 •バックボーンを構築するピアの最大次数を変化させた場 合の評価
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