Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 1 財務管理論前期(14) 講師 福光 寛 私的整理と法的整理 再建か清算か ADRなぜ再建が 望ましいか 再建で考慮すべき事項 金融機関の選択肢 米国との比較 メインバンク制度 大震災での企業再建 PFI 乱立する官製ファンド TURN AROUND 戦略 日本航空 JAPAN DISPLAY TURN AROUND 戦略 財務管理旧前期(11)(13)+旧後期(11) Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 2 企業の再建 再生 リスクマネーの供給 DES 政府の役割 • 株式 債務 の曖昧化 DES 破綻 自己資本規制 証券化 • 官 民の曖昧化 破綻 官の登場 民間企業 大手金融機関 破綻していない場合にも 各種のファンド リスクマネー 官の財政を補うもの PFI Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 3 私的整理と法的整理 :再建型と清算型 • 倒産時に債権者債務者が話し合って債権額の減額な • • • • どで合意するものを私的整理という(再建型と清算型 がある)・・・債権者全員の合意が必要 ↓ 事業再生ADR(窓口:事業再生実務家協会) 2007年産業活力再生特別措置法で導入。私的整理と は違い監督者がいる。実績なお少ない。 ↓ 法的整理(再建型 会社更生法 民事再生法 清算型 破産法) Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 破綻(破産)という選択 • 保有資産価値は大きく毀損する • 回収できる価値は少なくなる可能性高い 4 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 5 再建という選択と考慮すべき事項 • 破綻させるより回収価値が大きくなる可能性 • 事業再建の可能性があるか • 事業内容改善の可能性はあるか(固定費削減余地 利益 売 上げ改善余地 同業者の収益動向) • 再生計画合意の可能性はあるか • 債務償還年数10~15年程度まで債務削減(債権放棄など) で合意できるか • なお、破綻がきまると急速に企業価値が失われるため再建さ せる場合はスピードが大事。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 6 再建という選択で 金融機関がとりうる方策 • リスケ(償還年数の延長など債務条件の変更) • 債権放棄(以下の売却の方が選択しやすい) • 債権売却(実質的放棄 再生ファンドなどに売却) • 劣後債務への切り替え DDS • DIPファイナンスの実施(法的整理中の債務者に対する融資 優先弁済を条件に実行されることが多い 債権保全のために 追加の担保提供はむつかしくなっているため動産担保が利用 されることが多いとのこと) • DESの実施 株式に流通性のない中小企業に関しては現実 的でないとの指摘がある。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 7 私的整理 • 私的整理ガイドライン(2001年4月) • 私的整理ガイドラインQ&A • 専門家3人以上からなる委員会の設置など一定の要件を明 示。そのうえで 債権の減額の指針などを明示して 企業と金 融機関の双方に対して私的整理の活用促進を図っている。 • このガイドラインに沿った再生計画が成立すると 上場指定替 え(債務超過で一部から二部へ) 上場廃止(2期連続債務超 過で上場廃止)がそれぞれ1年猶予 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 米国との比較 • 米破産法 bankruptcy code • Chapter 7 liquidation 清算 • Chapter 11 reorganization 更生 • Chapter 15 adjustment of debt 個人の更生 8 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 9 メインバンク制度と事業再生ADR • メインバンクとは 最大融資銀行のこと • メインバンクが責任を果たすとは 企業破たん時における指 導性の発揮 追加融資に応じて再建を主導など しかし メイ ンバンク自身が自分の債権回収を優先するようだと 成立し ない • そこで 2007年の産業活力再生特別措置法で導入されたの が事業再生ADR 認定事業者:事業再生実務家協会が専 門家を選任 その監督下で手続き 再生計画への信頼性高 める狙い • 上場維持への猶予が認められていない。成立には金融債権 者全員の同意が必要。 • 金融商品トラブルについて金融ADR 金融ADR機関がある。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 10 事業再生ADR利用のケース(1) • 2009年の消費者金融アイフル そして通信事業者ウイルコム のケース。 • 前者は2014年なお再建続く。 2014/6/13 返済軽減措置5年延長で債権者会議合意 • 独立系消費者金融はむつかしいのではと指摘されている。 アコムー三菱東京UFJ 2008/12 子会社化 モビットの 展開 プロミスー三井住友 2012/04 完全子会社化 2012/12 SMBSConsumerFinance Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 11 事業再生ADR利用のケース(2) • 後者のウイルコムは ソフトバンクが支援に乗り出すも翌年に • • • • • は2010年に会社更生法。ソフトバンクの子会社になったあと 業績は改善せず、ヤフー!にその株式が売却されている。 2010/02 会社更生法手続き開始 ソフトバンク100%子会社 2013/07 同手続き修了 2014/03 ヤフー!に株式が売却される 2014/06 イーアクセスと合併により消滅 2014/07 イーアクセスはワイモバイルに社名変更 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 12 破綻倒産という認識 • 手形の支払不能(半年内に2回・・・銀行が取引を停止するた • • • • • め事実上破たん) 会社更生法・民事再生法の申請 破産法の申請 私的整理(債権全員の合意) 返済不能による返済条件の変更 事業再生ADR • 2013年3月末 金融円滑化法の期限切れ 同法による融資 条件(期限・金利など)緩和債権 全国で80兆円 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 13 金融機関が受けている規制 • 自己資本比率規制 2015年3月期中核的自己資本で規制 へ4.5%以上で開始 2019年3月期に7%以上(詳しくは次) • 大口融資規制 一つのG企業に対して自己資本の25%以 内(信用リスク商品などと合わせてという形で厳格化を検討 中) • 出資規制 5%(子会社を含め銀行は5% 保険は10% 銀行持ち株会社は15% 企業再生時の原則緩和へ 一時的 緩和の規定は既存 10-15%程度に引き上げ議論) ベン チャービジネスや専門投資会社を通じてより多くの出資を認 める例外事項も既存(98年)なお金融関係子会社の100%所 有はOK. Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 14 利ザヤの低さ • 預金金利の低下 • 融資競争 • 基盤の縮小(人口の減少 人口の都市移動 地方での預金伸 び悩み 相続預金の都市への異動+) • 中小企業 個人 大企業や自治体 • 大企業向け 自治体向けは無理な入札で金利が下がる傾向 • 国債の売却益も出にくい 金利の低位安定 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 15 大口融資規制 の厳格化 • 2013年6月の銀行法改正 信用規制を強化する • 一つの企業Gに対する融資 銀行単独の場合 自己資本の2 5%以内 傘下の証券会社 ノンバンクを含めたG全体では4 0%以内 ⇒ 規制強化 2014.12.1より 連結自己資本 の25%以内に厳格化 • コミライン未実行分 信用リスク商品販売によるクレジットリス クの分 などを規制対象に含める点でも規制は厳格化 16 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 出資規制の緩和 • 金融商品取引法改正 2013/06 現行出資規制5%の維持 • 事業再生・地域再生にかかわる場合の緩和 • • 方向としては 融資 から 出資 へ • 他方で 持合い株は処分 へ 17 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU バーゼル3規制 2009末合意 • Tier 1とTier 2の区分廃止 2013年開始 • これまでは あわせて8%以上おr5%事情 • Core Capital で大手行4.5%以上(その他は4%i以上) • 2019年までにCoreは7%以上その他合わせて10.5%以上 • 国際的銀行に対しては 流動性規制(100%以上=換金性の 高い資産/1ケ月流出予想額)+レバレッジ比率規制()資産 に対する中核自己資本比率3%以上) • 世界の巨大28社(日本では3メガ)には1.0-2.5%上乗せ規制 • 金融機関別上乗せ幅の公表2012年11月1日(上乗せ実施 は2016年年度科から) SIFIへの上乗せ合意は2010・06 • 日本では13年3月期から適用。上乗せは16年以降を想定 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 18 Basel 3:tier1+tier2合計で8%以上→Coreで 7%以上 ほか合わせて10.5%以上 Basel 2 • 狭義のTier 1(=コアTier 1) 2%(13/3)→4.5%(15/03)→7.0%(19/03) 普通株 剰余金 出資金 • 広義のTier 1 Basel 3では中核的自己資本を厳格化 狭義Tier 1だけと した • 経過措置 2013年から10年間は発行済優先出資証券に対しては容認 優先株 広義(その他)Tier 2 %→1.5%→1.5% 優先出資証券 2013年から10年間は発行済優先出資証券に対しては 容認 Tier1:中核的自己資本 Tier 2 ≦ Tier 1 • 補完的資本(Tier 2) 経過措置 4%→2%→2% 劣後債 劣後ローン 株式含み益など Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 銀行にかかった圧力 合意形成 2009-2010 • 増資圧力 • リスクアセット削減 19 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 20 バーゼル3規制の強化始まる(13/01) 大手行対象 • 1974年独ヘルシュタット銀行の破たん • 1988年最初の統一規制 • 現在:狭義の中核的自己資本(普通株 内部留保のみ)では • • • • • 2%以上 優先株などでその他中核と合わせ4%以上 劣後 債などをあわせ8%以上 新規制 損失吸収力高い中核自己資本重視 ここで7%以上。 邦銀は優先出資証券など質の低い資本に依存。 0.5%程度 大手行SIFIsに上乗せ規制(2016年から適用) 2013年1月 日欧適用開始(13年から) 2015年3月期 狭義で4.5%以上 2019年3月期 狭義(普通株等TierⅠ)で7%以上 全体では 10.5% 21 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 13年度(2014年3月期)から新たな国内基準の適 用(TierⅠⅡの区分廃止)地域金融機関対象 国内基準(中核的自己資本) 国際基準(狭義自己資本) 最低達成基準 4%以上 4.5%以上 普通株への転換条項 付優先株 ○ × 劣後債・劣後ローン ×(従来は認めれていた) × 一般貸倒引当金 ○ × 有価証券含み損益 ×(貸し渋り回避のため除外) ○ 普通株・内部留保 ○(従来はここで2%以上) ○ Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 22 破綻した企業の再建 • 融資条件の変更 → 銀行検査マニュアル変更の恒久化 • 貸付債権の買い取り → (買取機関の創設で金融機関の再 建を支援・・・融資余力生む) • DES DDS → 破綻企業のBS改善 • 資本金 → 事業再生時の銀行の出資規制見直し Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 23 東日本大震災被災企業の復興 • 被災企業 ・・・ 新規融資必要 • 県復興相談センター・・・相談により再建可能性を判断 • 県産業復興機構(出資:中小企業基盤整備機構が8割 地元 金融機関と県が2割)が相談センタ-の要請受けて債権買取 (さらに債権放棄 利子補給で被災企業などを支援) 適切な 価格(金融機関の希望は簿価基準)で、できるかは難問(公平 性を欠くとの批判あり) • 問題の所在 ローンの2重化 債務過重 担保資産の消滅毀 損 • この政策は 支援が再建可能なものに限定 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 24 被災ローン減免制度 • 手元に支援金+弔慰金+家財道具+中古自動車を別にして • • • • 500万までの財産を残す代わりに、残りの財産を債務の弁済 にあてて支払の免除を受ける制度 対象:個人(含む個人事業者) 信用情報のブラック化ない(登録されない)。 保証人への請求も行われない。 受付 個人版私的整理ガイドライン運営委員会(個人版私的 整理指針) Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 25 被災地の住宅地 • 価値は減損 売っても金銭価値は低い • 自治体は買取により被災者と金融機関を支援したい。その後 移転進める。 • ローンがあると金融機関の抵当権がついている • 金融機関はローンが完済されない限り 抵当権を抹消しない。 抵当権を抹消しないと債務者は売却もできない。 • 代金をローンの返済に回すことを条件に例外的に抵当権抹消 が始まっている。その後のローン処理については、金融機関 は債権放棄まで踏み込んでおらずあいまいな点残る。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 26 破産法 • 受付 裁判所 • 残せる財産 原則99万円 • 信用情報 ブラック化する・・・クレッジットなど利用できなくなる • 保証人への請求 本人が破産しても続く Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 27 行きづまる前の企業行動 • 融資 定時に返済が困難に 返済条件の変更依頼(新規は困 • • • • • 難に) 債権 回収の加速 必要に応じて売って回収すること ファク タリング(債権回収業者)へ 保有不動産 状況により売却 売却賃貸化(sale and leaseback)もあり。 保有有価証券 売却が選択肢 投資 投資は選別 金額は抑制 資本 必要に応じて増資 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 28 PFI 公共事業の民営化 2010-2020の事業規模を20兆円 これまでの倍にする計画 官民曖昧化の事例 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 29 PFI • Private finance initiative 英国や韓国で普及 • 英国では1992-2012年3月末までに717件 総事業費547億 • • • • ポンド(8兆円超) 我が国 1999開始 2010年までに凡そ400件5兆円程度(10 年12月末までに375件3兆円程度とも) 8割(多く)が100億円 以下の小規模なハコモノ。財政負担軽減という本来の目的を 果たせず。10年間の事業規模5兆を10兆以上倍増を目標 2011年の社会資本整備法改正 コンセッション方式 姿勢の 所有権を国や自治体に残したまま、一定期間の運営権を民間 に売却するもの インフラの公有民営 以下2013春の検討例 国:仙台空港 広島空港 松山空港 高松空港 県:静岡空港 有料道路(愛知県) 下水道(大阪市) 上下水道(浜松市) Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 30 PFI • 採算の合わない事業はどうするの?過度に値上げされること • • • • • • はないの?サービス低下の恐れはないの? 官の事業であ ることがどのように関係するか 2013年3月末までで418件 2012年秋までの総事業費は3兆 9000億円どまり 2011年のPFI法改正 2013年6月には民活空港運営法成立 LCCの誘致で利用者を3倍に増やした英ブリストル空港は成 功例 豪州マッコーリーG 空港会社投資経営で実績 空港などで自治体が所有したまま運営権を民間に。 公立図書館をSCなど収益施設と併設させる 工業用地などに民間が太陽光発電施設をつくる Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 31 2011年5月改正 大規模インフラ 民間整 備に道を開くが。 • ①導入対象拡大 賃貸住宅 船舶 航空機 人工衛星などを • • • • 追加。②提案制度導入 民間事業者が事業を計画。行政に 提案できる。③コンセッション方式導入 官民双方で大型案件 に取り組みやすくなる。 想定:被災した仙台空港で活用? 関西国際空港と大阪国際 伊丹空港の統合(2012.7.1)で利用? (2011年9月段階) ほか震災復興 実際は提案はでてこず活性化していない(2012年7月段階) 首都高速道路の修繕(2013年5月段階) 高度成長期に作ら れた道路 橋 公共施設の更新に活用(JR東日本 東京駅改 築費用500億円を駅上空の空中権を売却して賄う)スマートタ ウン構想で使うアイデアも。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 32 他方で官製ファンドの時代 • 企業買収ファンド • 企業再生ファンド 1990年代後半盛んになる 2007年3月期 ファンド出資を厳格にする自己資本比率規制で地銀が態度を 豹変させ さらに金融危機でリスクマネーが凍結 • 官が主導した再生ファンド(官製ファンド) 補助金を配ることを避けた。 投融資で返済の可能性残す 失敗すれば税金で穴埋め 天下りの温床(専門的人材集団ではない) Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 預金保険機構 後述する官民ファンドの先例(嚆矢) 官と民の結合の先例?金融機関の機能維持 33 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 34 預金保険機構 • 預金保険 対象金融機関が保険料を納め 責任準備金を積 み立てる そこから支払い • 危機対応勘定など根拠法ごとに勘定がある 金融機能強化 については金融機能強化勘定 • 各勘定の資金調達は 金融機関からの借り入れあるいは預 金機構保証債発行による いずれも政府保証が付く • ペイアウトのための機関から銀行の自己資本強化を果たす機 関に変質 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 35 1998-2000 公的資金投入 →金融システム不安解消に効果 • リスクマネーを公的資金が担う現象は1990年代末の金融危 • • • • • • • • • • • 機のときに、大銀行を救済するための一連の措置に始まる。 旧安定化法、早期健全化法、組織再建法、預金保険法 金融再生法(1998) 1998/3 公的資金注入 /10 長銀国有化 /12債銀国有化 早期健全化法(1999) 1999/3 公的資金注入 整理回収機構(1999) 預金保険法改正(2000) 2003/05 りそなG実質国有化 06/6~10 メガG完済 新金融機能強化法(2008) 公的資金の予防的注入可能に 2013/03 90年代末の公的資金計約12兆円完済 2013/05 りそなが残る8716億円の返済計画公表 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 36 金融機能強化法の変遷 • 金融機能強化法(2004) • 2004年6月 地域金融機関がリスク融資にいどめるように(経 営への介入嫌われる 3年以内の計画達成 未達には経営責 任) • 新金融機能強化法(2008) 公的資金の予防的注入可能に • 2008年12月 中小企業への貸し渋り防ぐために金融機関に 公的資金を予防的に注入 責任追及を一律に問わない、返済 条件もゆるめ 中小企業向け融資割合という数値目標求める • 2011年6月 さらに改正法 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 37 被災地金融機関の場合 • 金融機能強化法改正(2011年6月成立公布 7月施 行) • 改正は今回の被災地救済に絞った内容 • 被災地金融機関に公的資金を流す仕組み。 • 経営者責任を問わない。 • 経営強化計画(3年以内⇒5年以内) • 収益・貸出で数値目標課さない 収益見通しでよい。 • 優先株の普通株への転換(15年⇒延長可) • 優先株配当はTIBOR並み:0.25% Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 38 官製ファンドOR官民ファンド 大量に登場した「官民ファンド」は何を意味するのか 市場 主義の現安倍政権のもとで拡大する官民ファンド リスクマ ネーの供給か形を変えた補助金か Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 39 産業再生機構2003/05-2007/03 • 2003/05 営業開始 2007/03解散 計41件の再生支援 ダイエー ミサワホーム カネボウなど 事業の査定 → 事業再生計画の策定 → 関係金融機 関の再生計画への同意 メインバンクにかわり債権者調整 メインバンク以外の金融機関債権の適正価格での買取 支援企業への出資 新経営陣投入 支援後3年以内に保有債権の回収 株式の売却 結果として2次損失なし 最終的残余財産940億円 株主への分配後 国庫納付額433億円 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 40 企業再生支援機構2009/10-2012/03 • 日本航空はじめ27案件(13/7現在支援完了14案件) • 日本航空 2010.1.19 会社更生方適用申請 同日支援決定 2012.9.19 再上場 ↓ • 地域経済活性化支援機構(2013・03 企業再生支援機構が衣 替え) に衣替え 支援期間 3年以内から5年以内に2年間延長 対象企業の公表 中小企業について公表義務なし → 失われる緊張感 鰐淵賢「公的企業再生に求められる規律」「エコノミスト」 2013/07/30 • Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 41 官製ファンド 運営状況のチェック体制に課題 政府が保証をつけることで民間資金も動員 公的資金であるの で出すものの回収したい 損失を回避したい 資金の効率性を 維持したい 肥大化 非効率化の懸念 形を変えた補助金? • 中小企業基盤整備機構(2004) 企業育成 危機対策 • 産業再生機構(2003~2007) • 企業再生支援機構(2009~2013) • 産業革新機構(2009) 2013/06末現在約40件6200億円超の 投資実績 • 原子力損害賠償支援機構(2011) 民間ベンチャーと競合 他方ベンチャー投資の規模は海外と見 劣り(米国2012年にGDP比0.16%に対し日本は0.02%) Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 42 官製ファンド 運営状況のチェック体制に課題 安倍政権下で目立つ肥大 新たな公的資金投入。平時の投入 は民間ファンドと競合。デフレ脱却が言い訳だが 民間企業の 手元には200兆円の手元資金。 農林漁業成長産業化支援機構(2013/02設立) 環境不動産普及促進機構(2013/02) 日本政策投資銀行競争力強化ファンド • 地域経済活性化支援機構(2013/03 企業再生支援機構が衣 替え) • 民間資金等活用事業推進機構(2013/10 政府出資+民間出 資):PFU推進機構 3640億円 15年間 内閣府 • 海外需要開拓支援機構(2013/11 政府出資+民間出資) Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 43 乱立気味? • 出資金の出所 産業投資特別会計(政府系法人の配当金が 出どころ) • 海外交通・都市開発事業支援機構 1000億円 2014年 国 交省 • クールジャパン推進機構 600億円 2013年11月 経済産業 省 • 競争力強化ファンド 3000億円 2013年 10年間 政策投資 銀行 • 採算性 海外事業より国内雇用 政治家による地元企業への 出資要請 44 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 官民ファンドの事例 「金融財政事情」2014年1月6日 pp.46-47 産業革新機構 2009.7.27 政府 日本政策投資銀行 民間26社 経済産業省 (経済産業政策) 中小企業基盤支 援機構 2004.7.1 政府 日本政策投資銀行 中小企業庁 地域経済活性化 支援機構 2013.3.18 ~10年間 預金保険機構(銀行拠出含) 農林中金 内閣府REVIC室 農林漁業成長産 業化支援機構 2013.2.1 20年間 日本政府ほか7社2金庫 農林水産省 民間資金等活用 事業推進機構 2013.10.7 15年間 日本政府 ほか民間41の金 融機関 内閣府PFI推進 室 海外需要開拓支 援機構 2013.11.25 20年間 日本政府 民間 経済産業省 (商務情報政策) 環境不動産普及 促進機構 2013.2.14 国土交通省 環境省 国土交通省 環境省 15年間 Copyright:Hiroshi FUKUITSU TURNAROUND 戦略 事業再生 事例Case Study 45 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 46 崩壊の兆候Business Strategy(BH), Corporate Financial Strategy(BH)ほか 時代遅れの商品 売上げ 市場シェア 株価の下落 基幹スタッフ・基幹顧客の喪失 新商品立ち上げの失敗 社内 戦略の不足 新技術への投資不足 頻繁な経営陣の交代 取引相 手 支払いの遅延 スタッフの勤務意欲 の低さ リストラ計画についての話し合い 会計士 貧弱な運転資本管理 財務粉飾の兆候 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 47 崩壊の要因 貧弱な経営(顧客の問い合わせへの対応 販売担当者の積極性のなさ 効果的でな い販促活動 アフターサービスの貧弱さ 鍵となる顧客・商品への集中不足) 不適切な財務統制 運転資金管理が貧弱 高費用 外部競争の激しさ マーケテイング不足 需要動向の変化 過剰取引 買収 組織内の混乱 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 48 縦にMarket Growth↑ 横にMarket Share→ Star Dog → Cash Cow (become a single (milking strategy) large cow strategy) Copyright:Hiroshi FUKUITSU 安定化(統制権の確保) 当面の短期の資金調達 初期の費用削減 経営者の交代(主導権の確保 topの交代 他の上級役員の交代) ステークホルダー(株主・債権者)との信頼の確保 規模の縮小 外部化 コアの再定義 製品市場の再フォーカス 被用者の雇用条件の見直し 顧客対応速度の改善 組織プロセスの改善 内部統制の改善 販売マーケテイングの再構築 費用削減 品質向上 資金再調達 資産削減 49 50 Copyright:Hiroshi FUKUITSU Firm’s Breakeven Recovery Strategy 縦に収益、費用 緑が費用線 青が売上線 時間が進み収益↑ divestment growth cost reduc. recovery Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 企業再建の事例 エルピーダ 日本航空 東京電力 51 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 52 エルピーダメモリの場合 • 改正産業活力再生法(09年4月)の適用を受けて日本政策投 資銀行から300億円の優先株出資受ける(09年6月末認定 09年8月末出資) • 日本政策投資銀行:2008年末以降金融危機対応で公的金融 の不可欠が再認識 09年8月与野党で民営化時期の延期確 定 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 53 心配された破綻の現実化 • エルピーダメモリーの会社更生法適用申請2012/02/27 • 米マイクロンによる買収決定12/05/06で、企業活動は継続し たが、更生法適用が認められたことで、日本政策投資銀行の 出資は無価値化。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 54 企業再生支援機構 • 2009年9月発足 政府と金融機関が預金保険機構経由で各 100億円計200億円出資 • それを超えては政府保証付きで借入 • 3年以内に再生が条件 再生計画提出 • 成功したとされる産業再生機構(2003年4月設立 2007年3 月 企業再生ビジネスの定着に寄与 企業向け公的資金投 入の先駆)の後追い Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 日本航空の場合 企業再生支援機構(09/10/14設立) • 支援決定2010/01 • 買取決定10/03/26 • 出資決定10/08/31(出資予定10/12/01) 3500億円 100%出資 55 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 56 ジャパンデイスプレー への出資 • 産業革新機構(09年7月27日設立)が資本金2300億円の7割 を出資。あとはソニー、東芝、日立が10%ずつ(2012年4月1 日)。 • 産業革新機構。官民が出資。+政府保証枠(当初8000億)。 設立時出資政府が820億 民間85億円。2012年4月末現在 では政府が1420億、民間が1850億まで出資額拡大。 • 国が主導的に関与して大型企業を創生 民主党政権下では あるが・・・・ Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 原子力損害賠償支援機構 • 原子力損害賠償支援法(2011年8月) • 原子力事業者が拠出 • 国は国債を交付 • 機構は必要に応じて国債を現金化(償還) • 国は必要に応じて予算措置 57 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 58 東京電力のケース (1) • 東京電力 経営者交代・実質国有化で経営者責任を 国は追及。 • 原子力損害賠償支援機構が東京電力に出資 • 出資予定は2012年7月 • 議決権付種類株式で2分の1超 • 転換権付き無議決権株(経営目標未達の場合、議決 権が生ずるもの)と合わせて3分の2超の議決権 ⇒ • 普通株でも優先株でもないものを発行! • 出資金額は1兆円 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 59 東京電力のケース (2) • 国は、福島第一原子力発電所の事故の賠償責任を東京電力 に押し付けた。 • 賠償額を考慮すると東京電力はいずれ債務超過になる。その ことを見越して国は原子力損害賠償機構を設立し、賠償費用 を肩代わり。 • 東京電力は、破綻前にも拘わらず、自立した資金調達力を失 い(11/05/20 S&P: BBB⇒B+, 11/06/20 Moodys:Baa3⇒B1)、国の信用力に依存している。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 企業再生 60 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 61 企業再生 • 法的整理 倒産型 再生型 • 私的整理 倒産型 再生型 • 企業から見た再生そのものの側面 • 金融機関(債権者)からは不良債権処理の面 • 金融機関、ファンドからみた新たな資金の回収の面 などがあ る 問題はリスクマネーをだれが出すか。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 62 制度変更や政策課題も絡んでいる • 種類株式についての法制整備 2001年2002年施行の商法 改正 2006年施行の会社法など • 種類株の法制整備 銀行などに対する自己資本規制の問題 不良債権処理の問題 株式市場の低迷などが絡み合ってい る。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 63 そのなかで優先株 • 優先株 Dilutionへの配慮 取得側:経営権狙いでないが配当は必要 あるいは経営権は与えない • 公的資金の投入では 政府は経営権は奪う意図はない とい う意味で多用された。 • 企業提携でも、普通株発行を避けるケースがある(支配権に は関心がない 配当に関心がある dilutionは避けたい)。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 64 債務の株式化 debt equity swap • 債務の株式化 • 近年ではオーナー資本家の貸付を株式化する手段ともされて いる • 現物出資 会社法で検査役規制緩和 • 銀行の5%出資制限 ときどき話題に→債務の株式化で優先 株が多用される一因とも。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 65 DES • 2002年のダイエー(2300億円)、長谷工(1500億円)、いすず 自動車(1000億円)が目立つ。 • ⇒金融機関の不良債権処理との関係(あるいは企業再生ビジ ネスとの関係)が見落とせない。 • なおDESの変形がDDS debt debt swap Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 66 エクイティ • 株式を使ったファイナンス(資金調達) • 基本的な意義:リスク負担をする資本の調達 • Residual profit or loss 残余利益あるいは損失 • リスク:収益の変動 ときに資本価値の毀損(回収不 能 あるいは損失) • 不安定な収益に耐える。ときには追加出資に応じる。 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 67 行き詰まった企業への出資 • どこに 何に出資されているか • その意味を考察する必要がある • 優先株 か 普通株 か • 出資金の使途は何か など • 普通株の場合 取引先などに一時的に資本にあたる資金の 用立てを依頼するものの 要請にあたり優先配当を付ける 配慮も(優先配当は負担になることから) Copyright:Hiroshi FUKUITSU 68 • 産業生成機構 2003.4-2007.3 官民共同出資 ダイエー カネボウなど41件 • 2009 産業革新機構 日本航空JAL 3500億円など 2012/09 東証再上場 • 2009 企業再生支援機構 2012ジャパンデイスプレーJD 2000億円など 2014/03 東証上場 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 69 日本航空 民主党政権による迷走 • 先例としてのGM救済 • 民主党登場による国土交通政策の大混乱(2009) 自民党時代の議論 継承せず (前政権時代の議論を検討するべきであった) 八つ場ダム 建設中止 → できず 高速道路無料化 → できず 日本航空 法的整理(政府関与)しない → できず(そもそも法 的整理を排除するべきでない) 2.3兆円という過去最大の負 債。従業員規模5万1000人。公的資金を投入する必要があっ たかは現在も疑問として残る。日本航空を売却する道はあった。 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 70 日本航空の再生 • 2010/01 会社更生法申請(更正手続き終了は2011年3月): 法的整理 2010/02 上場廃止(09/03 38万人の個人株主): 株式の無価値化 企業年金の減額 3割 1万6000人の従業 員削減(希望退職 整理解雇) 不採算路線の撤退廃止 資 本注入 産業再生機構3500億円 金融機関が5215億円の 債権放棄(貸出債権の87%) 資産価値を簿価から時価に見 直す財産評定で減価償却軽減 繰越欠損金制度(11年の税 制改正で相殺期間は9年になった)を利用して法人税免除 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 71 日本航空の再上場 • 2012/08 東証が再上場を承認 2012/09 東証1部に再上 場 上場廃止後2年7ケ月のスピード復帰 売り出し3790円 初値3810円 時価総額6900億円程(6329億の全日空上回 る) 企業再生支援機構が保有する日航株の96%を売却(売 却益3000億円) Copyright:Hiroshi FUKUITSU 72 日本航空 有利な競争条件 • 2012年3月 連結営業利益2049億円(過去最高決算) 全日 空970億円の2.1倍 リストラ効果 更生法に伴う支援効果(財産評定制度 次第に効果減る12年3 月期は営業利益460億円の押し上げ効果) 評価損で多額の繰越欠損金→法人税減免(500億円規模) LCC戦略 2012・1 ジェットスタージャパンに3割出資 主導 権は豪州ジェットスター 2012・6 再上場申請 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 73 全日空の増資による対抗 • 2012・7 全日空が2000億円規模の公募増資表明 株数を 4割増やす大型増資(再上場後の日本航空と並ぶ7000億円 規模目指す 実際には株価下落で2割ほど減る最大1751億 円規模24→34億株) 日航の好調はANA株価を押し下げた。 • ANA株価 2012年3月 260円近くまであげた しかし12年7 月 180円台まで下落 背景には日本航空との条件の違い Copyright:Hiroshi FUKUITSU 74 アメーバ経営の移植の効果か? • アメーバと呼ばれる小集団ごとに月次の収支 時間当たり採 算を算出し、生産性向上に向けた従業員の創意工夫、小集団 間の競争を引き出そうというもの • 稲盛和夫氏が考案 京セラで実践 一人一人が経営者 コス ト意識高める 部門別採算性 数値で見えるように • 稲盛氏は2010年2月 日本航空会長に就任 • 日本航空にも2011年4月導入 10人前後の小集団に分ける 毎月業績報告会 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 75 発着枠で全日空をなだめた政府 • 日本航空は公的支援で体力を高めた。平等な競争でないとの 全日空の不満。羽田の国際化にかつて日本航空は反対した 前科がある。 • 発着枠の配分に不透明さ。利用者の利便性か。業界の競争 環境か。自民党は公的支援で競争環境が損なわれたとして 公平性を保つ指針を国土交通省に求める。 • 羽田空港国内線発着枠 2012年11月 ANA8便 日航に3便 • 羽田空港国際線発着枠 2013年11月 ANA11便 日航に5便 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 76 2015年3月期連結業績予想 売上高 経常利益 前期経常利益 JAL 13,500 +3% 1,350 -14% 1,576 -15% ANAHD 17,000 +6% 550 28% 429 -44% Copyright:Hiroshi FUKUITSU 厳しい批判の存在 • 競争への政治の介入の是非 • 再上場を認めたことの是非 • 空港の割り当ての優遇の指摘 • 法人税の行き過ぎた減免の指摘 77 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 78 ジャパンディスプレー(DP) • 2012 ソニー 日立東芝の液晶事業を統合 中小型パネル の市場シェア16%強(世界首位) • 2014.3.19 上場1200億円強 主力の茂原工場などで増 産続ける 高精度の画像表示できるLTPS使った中小型パネ ル、アップルむけも好調。 • 2014.4.28 14年3月期の連結営業利益を304億円引下 げ272億円 4月21日では836円まで上がっていた株価は値 崩れ始まる。上場直後の大幅下方修正はかなり不自然では あるが。4月28日終値672円(背景 液晶パネル売却交渉 何 価格で難航 出荷見合わせた) Copyright:Hiroshi FUKUITSU GMの再生 • 2009/6/1 法的整理(更生)申請chapter 11 • Chapter7 なら 債権者申請:非自発的破産 • • • • • • 債務者申請:自発的破産 2009/7 新生GM 政府保有61% 政府による助成(500億ドルとも) 資産売却 2010/1-3 黒字化(2010/5) 2010/4 前倒し返済 2010/8/8 再上場申請 79 Copyright:Hiroshi FUKUITSU GMの再生 • 10/11 再上場 政府保有株一部売却 • • • • • • • 保有比率31% 2011末 再び販売台数世界首位 2012/2 仏プジョーと提携 2012/12 政府が保有株の全面売却を発表 31%の40%はGMが買い取る(55億ドル) 残りは政府(財務省)が市場売却 2013/6現在 政府の売却が進行中 80 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 81 GM救済については 米国内で批判 • 雇用を懸念した • • • • 100万人の雇用を救った・・・オバマの主張 しかし 500億ドルの税金の投入には批判も。 問われる公平性(競争をゆがめた) クライスラーはイタリアのフィアットが買収。黒字化した。 フォードは自主再建を果たした Copyright:Hiroshi FUKUITSU 82 GM再建後 リコール隠しが露呈 • 自動車産業では、車台の共通化 部品の共通化といった合理 化が、その部品の不具合から大量のリコールにつながるよう になった。 • 2013年末にGMの公的支援の終了。さらに2014年に入って、 女性のCEO登場で明るい話題に包まれたかに見えたGMが、 一転リコール問題に陥って注目された。早い段階で開発部門 における部品の不備の認識がもたれたにもかかわらず、問題 が営業や生産部門に共有されなかったという社内の風通しの 悪さも指摘された。問題の開発部門での認識は2001年。これ に対してリコール開始は2014年2月になり、結果として事故で 13人が亡くなった。 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 破綻への政治介入の限定 • システミックリスクにつながるもの • 社会的インパクトが巨大なもの 83 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 84 • 産業生成機構 2003.4-2007.3 官民共同出資 ダイエー カネボウなど41件 • 2009 産業革新機構 日本航空JAL 3500億円など 2012/09 東証再上場 • 2009 企業再生支援機構 2012ジャパンデイスプレーJD 2000億円など 2014/03 東証上場 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 厳しい批判の存在 • 競争への政治の介入の是非 • 再上場を認めたことの是非 • 空港の割り当ての優遇の指摘 • 法人税の行き過ぎた減免の指摘 85 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 政府ファンド どう考えるか • 冷めた目でみると 重要企業を日本という枠で守るかどうか • 国内で担い手がなければ外資による買収・・・ • それでいいのかどうか • ドラステックなリストラ・・・がいいかどうか • 日本という枠組みは古い? • 確かにその通りだが現実はどうか • 国民負担 再生できれば解消 • 86 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 87 西武HDの上場13.03 • 2004.12 西武鉄道が虚偽記載で上場廃止 • 2006.01 サーベラスなどを相手に大規模増資 • 2006.02 西武HD設立 • 2012・10 サーベラスが鉄道の一部路線の廃止など元円る • 2013.03 サーベラスがTOB実施(2013.05まで 目標 • • • • は44%超 35%にとどまる 2013.06 株主総会でサーベラス提案(取締役選任案など) を否決 2014年末までに資本提携契約解消(東証が解消を 求めた) 2014.01 再上場でサーベラスと西武HDが合意 2014.03 上場承認(主幹事は みずほ証券) 2014.05 旭硝子:ホテルは中心に業績は好調 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 88 西武HDの上場 • 2004・3 営業利益231億円 • 2004・12 虚偽記載問題で西武鉄道 上場廃止 サーベラ • • • • • ス 35.5%を保有(2013・3-5 TOB実施により比率高める 2014年1月15日 再上場申請 2014年3月19日 東証JDの上場を承認 2014年3月 公開価格2300円を想定 投資家に不人気 終 的1600円 ホテル事業は好調 2014年4月9日 売出価格1600-1800円 サーベラスが売出 に加わらないことも発表 2014年4月14日 1600円に決め る(時価5473億円 今年最大の大型上場) PER20倍超 2014年4月23日 初値1600円 終値1770円 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 89 西武HDの上場 • 2014年4月23日 初値1600円 サーベラス(その存在は押し 下げ要因)は売却せず ただしサーベラスと主幹事証券とロッ クアップ(新規株式公開時に一定期間 主幹事証券の合意な しには売却しないことで主幹事証券と合意すること 期間は一 般には180日 今回は10月19日まで)で合意 PER20倍強 • 2014年6月3日 一時2362円まで上昇 PBR2.8倍 • グランドプリンスホテル赤坂跡地の再開発事業(事業規模980 億円 超高層ビルを予定)を予定 品川高輪エリアにも12万 平方以上を保有 長野軽井沢で別荘型宿泊施設や大型クラ ブハウス建設 を予定 • もともとサーベラスは約15%売り出す計画 しかし4月に入 り価格が低くなったため売却断念 Copyright:Hiroshi FUKUITSU 90 企業再建スキームと 政府ファンド 政府系銀行 • 東京電力 • • • • • • ← 原子力賠償機構 産業革新機構 → ジャパンデイスプレイ 日本政策投資銀行 → エルピーダ 日本政策投資銀行 GMへの救済 insolvency:GMによる破産法11条申請 日本航空再建をめぐる議論 日本航空再建と 企業再生支援機構 日本政策投資銀行 Copyright: Hiroshi FUKUMITSU 91 演習 • 企業が再生 清算を選択するときに考慮するべき事項を述べ なさい。 • ターンアラウンドが成功するための条件を述べなさい。 • ターンアラウンドにおいて銀行はどのような役割をはたせるの か述べなさい。 • 企業の再生と銀行との関係を事例に即して述べなさい。
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