財務管理論前期(14)

Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
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財務管理論前期(14)
講師 福光 寛
私的整理と法的整理 再建か清算か ADRなぜ再建が
望ましいか 再建で考慮すべき事項
金融機関の選択肢 米国との比較 メインバンク制度
大震災での企業再建 PFI 乱立する官製ファンド
TURN AROUND 戦略
日本航空 JAPAN DISPLAY TURN AROUND 戦略
財務管理旧前期(11)(13)+旧後期(11)
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企業の再建 再生 リスクマネーの供給
DES 政府の役割
• 株式 債務 の曖昧化
DES
破綻
自己資本規制
証券化
• 官 民の曖昧化
破綻 官の登場
民間企業
大手金融機関
破綻していない場合にも 各種のファンド リスクマネー
官の財政を補うもの PFI
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私的整理と法的整理
:再建型と清算型
• 倒産時に債権者債務者が話し合って債権額の減額な
•
•
•
•
どで合意するものを私的整理という(再建型と清算型
がある)・・・債権者全員の合意が必要
↓
事業再生ADR(窓口:事業再生実務家協会)
2007年産業活力再生特別措置法で導入。私的整理と
は違い監督者がいる。実績なお少ない。
↓
法的整理(再建型 会社更生法 民事再生法
清算型 破産法)
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破綻(破産)という選択
• 保有資産価値は大きく毀損する
• 回収できる価値は少なくなる可能性高い
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再建という選択と考慮すべき事項
• 破綻させるより回収価値が大きくなる可能性
• 事業再建の可能性があるか
• 事業内容改善の可能性はあるか(固定費削減余地 利益 売
上げ改善余地 同業者の収益動向)
• 再生計画合意の可能性はあるか
• 債務償還年数10~15年程度まで債務削減(債権放棄など)
で合意できるか
• なお、破綻がきまると急速に企業価値が失われるため再建さ
せる場合はスピードが大事。
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再建という選択で
金融機関がとりうる方策
• リスケ(償還年数の延長など債務条件の変更)
• 債権放棄(以下の売却の方が選択しやすい)
• 債権売却(実質的放棄 再生ファンドなどに売却)
• 劣後債務への切り替え DDS
• DIPファイナンスの実施(法的整理中の債務者に対する融資
優先弁済を条件に実行されることが多い 債権保全のために
追加の担保提供はむつかしくなっているため動産担保が利用
されることが多いとのこと)
• DESの実施 株式に流通性のない中小企業に関しては現実
的でないとの指摘がある。
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私的整理
• 私的整理ガイドライン(2001年4月)
• 私的整理ガイドラインQ&A
• 専門家3人以上からなる委員会の設置など一定の要件を明
示。そのうえで 債権の減額の指針などを明示して 企業と金
融機関の双方に対して私的整理の活用促進を図っている。
• このガイドラインに沿った再生計画が成立すると 上場指定替
え(債務超過で一部から二部へ) 上場廃止(2期連続債務超
過で上場廃止)がそれぞれ1年猶予
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米国との比較
• 米破産法 bankruptcy code
• Chapter 7 liquidation 清算
• Chapter 11 reorganization 更生
• Chapter 15 adjustment of debt 個人の更生
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メインバンク制度と事業再生ADR
• メインバンクとは 最大融資銀行のこと
• メインバンクが責任を果たすとは 企業破たん時における指
導性の発揮 追加融資に応じて再建を主導など しかし メイ
ンバンク自身が自分の債権回収を優先するようだと 成立し
ない
• そこで 2007年の産業活力再生特別措置法で導入されたの
が事業再生ADR 認定事業者:事業再生実務家協会が専
門家を選任 その監督下で手続き 再生計画への信頼性高
める狙い
• 上場維持への猶予が認められていない。成立には金融債権
者全員の同意が必要。
• 金融商品トラブルについて金融ADR 金融ADR機関がある。
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事業再生ADR利用のケース(1)
• 2009年の消費者金融アイフル そして通信事業者ウイルコム
のケース。
• 前者は2014年なお再建続く。
2014/6/13 返済軽減措置5年延長で債権者会議合意
• 独立系消費者金融はむつかしいのではと指摘されている。
アコムー三菱東京UFJ 2008/12 子会社化 モビットの
展開
プロミスー三井住友 2012/04 完全子会社化
2012/12 SMBSConsumerFinance
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事業再生ADR利用のケース(2)
• 後者のウイルコムは ソフトバンクが支援に乗り出すも翌年に
•
•
•
•
•
は2010年に会社更生法。ソフトバンクの子会社になったあと
業績は改善せず、ヤフー!にその株式が売却されている。
2010/02 会社更生法手続き開始 ソフトバンク100%子会社
2013/07 同手続き修了
2014/03 ヤフー!に株式が売却される
2014/06 イーアクセスと合併により消滅
2014/07 イーアクセスはワイモバイルに社名変更
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破綻倒産という認識
• 手形の支払不能(半年内に2回・・・銀行が取引を停止するた
•
•
•
•
•
め事実上破たん)
会社更生法・民事再生法の申請
破産法の申請
私的整理(債権全員の合意)
返済不能による返済条件の変更
事業再生ADR
• 2013年3月末 金融円滑化法の期限切れ 同法による融資
条件(期限・金利など)緩和債権 全国で80兆円
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金融機関が受けている規制
• 自己資本比率規制
2015年3月期中核的自己資本で規制
へ4.5%以上で開始 2019年3月期に7%以上(詳しくは次)
• 大口融資規制
一つのG企業に対して自己資本の25%以
内(信用リスク商品などと合わせてという形で厳格化を検討
中)
• 出資規制
5%(子会社を含め銀行は5% 保険は10%
銀行持ち株会社は15% 企業再生時の原則緩和へ 一時的
緩和の規定は既存 10-15%程度に引き上げ議論) ベン
チャービジネスや専門投資会社を通じてより多くの出資を認
める例外事項も既存(98年)なお金融関係子会社の100%所
有はOK.
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利ザヤの低さ
• 預金金利の低下
• 融資競争
• 基盤の縮小(人口の減少 人口の都市移動 地方での預金伸
び悩み 相続預金の都市への異動+)
• 中小企業 個人 大企業や自治体
• 大企業向け 自治体向けは無理な入札で金利が下がる傾向
• 国債の売却益も出にくい 金利の低位安定
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大口融資規制 の厳格化
• 2013年6月の銀行法改正 信用規制を強化する
• 一つの企業Gに対する融資 銀行単独の場合 自己資本の2
5%以内 傘下の証券会社 ノンバンクを含めたG全体では4
0%以内 ⇒ 規制強化 2014.12.1より 連結自己資本
の25%以内に厳格化
• コミライン未実行分 信用リスク商品販売によるクレジットリス
クの分 などを規制対象に含める点でも規制は厳格化
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出資規制の緩和
• 金融商品取引法改正 2013/06
現行出資規制5%の維持
• 事業再生・地域再生にかかわる場合の緩和
•
•
方向としては
融資 から 出資 へ
•
他方で 持合い株は処分 へ
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バーゼル3規制
2009末合意
• Tier 1とTier 2の区分廃止 2013年開始
• これまでは あわせて8%以上おr5%事情
• Core Capital で大手行4.5%以上(その他は4%i以上)
• 2019年までにCoreは7%以上その他合わせて10.5%以上
• 国際的銀行に対しては 流動性規制(100%以上=換金性の
高い資産/1ケ月流出予想額)+レバレッジ比率規制()資産
に対する中核自己資本比率3%以上)
• 世界の巨大28社(日本では3メガ)には1.0-2.5%上乗せ規制
• 金融機関別上乗せ幅の公表2012年11月1日(上乗せ実施
は2016年年度科から) SIFIへの上乗せ合意は2010・06
• 日本では13年3月期から適用。上乗せは16年以降を想定
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Basel 3:tier1+tier2合計で8%以上→Coreで
7%以上 ほか合わせて10.5%以上
Basel 2
• 狭義のTier 1(=コアTier 1) 2%(13/3)→4.5%(15/03)→7.0%(19/03)
普通株
剰余金
出資金
• 広義のTier 1
Basel 3では中核的自己資本を厳格化 狭義Tier 1だけと
した
• 経過措置 2013年から10年間は発行済優先出資証券に対しては容認
優先株 広義(その他)Tier 2 %→1.5%→1.5%
優先出資証券 2013年から10年間は発行済優先出資証券に対しては
容認
Tier1:中核的自己資本
Tier 2 ≦ Tier 1
• 補完的資本(Tier 2) 経過措置 4%→2%→2%
劣後債
劣後ローン
株式含み益など
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銀行にかかった圧力
合意形成 2009-2010
• 増資圧力
• リスクアセット削減
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バーゼル3規制の強化始まる(13/01)
大手行対象
• 1974年独ヘルシュタット銀行の破たん
• 1988年最初の統一規制
• 現在:狭義の中核的自己資本(普通株 内部留保のみ)では
•
•
•
•
•
2%以上 優先株などでその他中核と合わせ4%以上 劣後
債などをあわせ8%以上
新規制 損失吸収力高い中核自己資本重視 ここで7%以上。
邦銀は優先出資証券など質の低い資本に依存。
0.5%程度 大手行SIFIsに上乗せ規制(2016年から適用)
2013年1月 日欧適用開始(13年から)
2015年3月期 狭義で4.5%以上
2019年3月期 狭義(普通株等TierⅠ)で7%以上 全体では
10.5%
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13年度(2014年3月期)から新たな国内基準の適
用(TierⅠⅡの区分廃止)地域金融機関対象
国内基準(中核的自己資本)
国際基準(狭義自己資本)
最低達成基準
4%以上
4.5%以上
普通株への転換条項
付優先株
○
×
劣後債・劣後ローン
×(従来は認めれていた)
×
一般貸倒引当金
○
×
有価証券含み損益
×(貸し渋り回避のため除外) ○
普通株・内部留保
○(従来はここで2%以上)
○
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破綻した企業の再建
• 融資条件の変更 → 銀行検査マニュアル変更の恒久化
• 貸付債権の買い取り → (買取機関の創設で金融機関の再
建を支援・・・融資余力生む)
• DES DDS → 破綻企業のBS改善
• 資本金 → 事業再生時の銀行の出資規制見直し
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東日本大震災被災企業の復興
• 被災企業 ・・・ 新規融資必要
• 県復興相談センター・・・相談により再建可能性を判断
• 県産業復興機構(出資:中小企業基盤整備機構が8割 地元
金融機関と県が2割)が相談センタ-の要請受けて債権買取
(さらに債権放棄 利子補給で被災企業などを支援) 適切な
価格(金融機関の希望は簿価基準)で、できるかは難問(公平
性を欠くとの批判あり)
• 問題の所在 ローンの2重化 債務過重 担保資産の消滅毀
損
• この政策は 支援が再建可能なものに限定
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被災ローン減免制度
• 手元に支援金+弔慰金+家財道具+中古自動車を別にして
•
•
•
•
500万までの財産を残す代わりに、残りの財産を債務の弁済
にあてて支払の免除を受ける制度
対象:個人(含む個人事業者)
信用情報のブラック化ない(登録されない)。
保証人への請求も行われない。
受付 個人版私的整理ガイドライン運営委員会(個人版私的
整理指針)
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被災地の住宅地
• 価値は減損 売っても金銭価値は低い
• 自治体は買取により被災者と金融機関を支援したい。その後
移転進める。
• ローンがあると金融機関の抵当権がついている
• 金融機関はローンが完済されない限り 抵当権を抹消しない。
抵当権を抹消しないと債務者は売却もできない。
• 代金をローンの返済に回すことを条件に例外的に抵当権抹消
が始まっている。その後のローン処理については、金融機関
は債権放棄まで踏み込んでおらずあいまいな点残る。
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破産法
• 受付 裁判所
• 残せる財産 原則99万円
• 信用情報 ブラック化する・・・クレッジットなど利用できなくなる
• 保証人への請求 本人が破産しても続く
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行きづまる前の企業行動
• 融資 定時に返済が困難に 返済条件の変更依頼(新規は困
•
•
•
•
•
難に)
債権 回収の加速 必要に応じて売って回収すること ファク
タリング(債権回収業者)へ
保有不動産 状況により売却 売却賃貸化(sale and
leaseback)もあり。
保有有価証券 売却が選択肢
投資 投資は選別 金額は抑制
資本 必要に応じて増資
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PFI 公共事業の民営化
2010-2020の事業規模を20兆円 これまでの倍にする計画
官民曖昧化の事例
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PFI
• Private finance initiative 英国や韓国で普及
• 英国では1992-2012年3月末までに717件 総事業費547億
•
•
•
•
ポンド(8兆円超)
我が国 1999開始 2010年までに凡そ400件5兆円程度(10
年12月末までに375件3兆円程度とも) 8割(多く)が100億円
以下の小規模なハコモノ。財政負担軽減という本来の目的を
果たせず。10年間の事業規模5兆を10兆以上倍増を目標
2011年の社会資本整備法改正 コンセッション方式 姿勢の
所有権を国や自治体に残したまま、一定期間の運営権を民間
に売却するもの インフラの公有民営 以下2013春の検討例
国:仙台空港 広島空港 松山空港 高松空港 県:静岡空港
有料道路(愛知県) 下水道(大阪市) 上下水道(浜松市)
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PFI
• 採算の合わない事業はどうするの?過度に値上げされること
•
•
•
•
•
•
はないの?サービス低下の恐れはないの? 官の事業であ
ることがどのように関係するか
2013年3月末までで418件 2012年秋までの総事業費は3兆
9000億円どまり
2011年のPFI法改正 2013年6月には民活空港運営法成立
LCCの誘致で利用者を3倍に増やした英ブリストル空港は成
功例 豪州マッコーリーG 空港会社投資経営で実績
空港などで自治体が所有したまま運営権を民間に。
公立図書館をSCなど収益施設と併設させる
工業用地などに民間が太陽光発電施設をつくる
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2011年5月改正 大規模インフラ 民間整
備に道を開くが。
• ①導入対象拡大 賃貸住宅 船舶 航空機 人工衛星などを
•
•
•
•
追加。②提案制度導入 民間事業者が事業を計画。行政に
提案できる。③コンセッション方式導入 官民双方で大型案件
に取り組みやすくなる。
想定:被災した仙台空港で活用? 関西国際空港と大阪国際
伊丹空港の統合(2012.7.1)で利用? (2011年9月段階)
ほか震災復興
実際は提案はでてこず活性化していない(2012年7月段階)
首都高速道路の修繕(2013年5月段階) 高度成長期に作ら
れた道路 橋 公共施設の更新に活用(JR東日本 東京駅改
築費用500億円を駅上空の空中権を売却して賄う)スマートタ
ウン構想で使うアイデアも。
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他方で官製ファンドの時代
• 企業買収ファンド
• 企業再生ファンド 1990年代後半盛んになる 2007年3月期
ファンド出資を厳格にする自己資本比率規制で地銀が態度を
豹変させ さらに金融危機でリスクマネーが凍結
• 官が主導した再生ファンド(官製ファンド)
補助金を配ることを避けた。
投融資で返済の可能性残す
失敗すれば税金で穴埋め
天下りの温床(専門的人材集団ではない)
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預金保険機構
後述する官民ファンドの先例(嚆矢)
官と民の結合の先例?金融機関の機能維持
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預金保険機構
• 預金保険 対象金融機関が保険料を納め 責任準備金を積
み立てる そこから支払い
• 危機対応勘定など根拠法ごとに勘定がある 金融機能強化
については金融機能強化勘定
• 各勘定の資金調達は 金融機関からの借り入れあるいは預
金機構保証債発行による いずれも政府保証が付く
• ペイアウトのための機関から銀行の自己資本強化を果たす機
関に変質
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1998-2000 公的資金投入
→金融システム不安解消に効果
• リスクマネーを公的資金が担う現象は1990年代末の金融危
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
機のときに、大銀行を救済するための一連の措置に始まる。
旧安定化法、早期健全化法、組織再建法、預金保険法
金融再生法(1998)
1998/3 公的資金注入 /10 長銀国有化 /12債銀国有化
早期健全化法(1999)
1999/3 公的資金注入
整理回収機構(1999) 預金保険法改正(2000)
2003/05 りそなG実質国有化 06/6~10 メガG完済
新金融機能強化法(2008) 公的資金の予防的注入可能に
2013/03 90年代末の公的資金計約12兆円完済
2013/05 りそなが残る8716億円の返済計画公表
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金融機能強化法の変遷
• 金融機能強化法(2004)
• 2004年6月 地域金融機関がリスク融資にいどめるように(経
営への介入嫌われる 3年以内の計画達成 未達には経営責
任)
• 新金融機能強化法(2008) 公的資金の予防的注入可能に
• 2008年12月 中小企業への貸し渋り防ぐために金融機関に
公的資金を予防的に注入 責任追及を一律に問わない、返済
条件もゆるめ 中小企業向け融資割合という数値目標求める
• 2011年6月 さらに改正法
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被災地金融機関の場合
• 金融機能強化法改正(2011年6月成立公布 7月施
行)
• 改正は今回の被災地救済に絞った内容
• 被災地金融機関に公的資金を流す仕組み。
• 経営者責任を問わない。
• 経営強化計画(3年以内⇒5年以内)
• 収益・貸出で数値目標課さない 収益見通しでよい。
• 優先株の普通株への転換(15年⇒延長可)
• 優先株配当はTIBOR並み:0.25%
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官製ファンドOR官民ファンド
大量に登場した「官民ファンド」は何を意味するのか 市場
主義の現安倍政権のもとで拡大する官民ファンド リスクマ
ネーの供給か形を変えた補助金か
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産業再生機構2003/05-2007/03
• 2003/05 営業開始 2007/03解散 計41件の再生支援
ダイエー ミサワホーム カネボウなど
事業の査定 → 事業再生計画の策定 → 関係金融機
関の再生計画への同意
メインバンクにかわり債権者調整
メインバンク以外の金融機関債権の適正価格での買取
支援企業への出資
新経営陣投入
支援後3年以内に保有債権の回収 株式の売却
結果として2次損失なし 最終的残余財産940億円
株主への分配後 国庫納付額433億円
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企業再生支援機構2009/10-2012/03
• 日本航空はじめ27案件(13/7現在支援完了14案件)
• 日本航空 2010.1.19 会社更生方適用申請 同日支援決定
2012.9.19 再上場
↓
• 地域経済活性化支援機構(2013・03 企業再生支援機構が衣
替え) に衣替え
支援期間 3年以内から5年以内に2年間延長
対象企業の公表 中小企業について公表義務なし
→ 失われる緊張感
鰐淵賢「公的企業再生に求められる規律」「エコノミスト」
2013/07/30
•
Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
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官製ファンド
運営状況のチェック体制に課題
政府が保証をつけることで民間資金も動員 公的資金であるの
で出すものの回収したい 損失を回避したい 資金の効率性を
維持したい 肥大化 非効率化の懸念 形を変えた補助金?
• 中小企業基盤整備機構(2004) 企業育成
危機対策
• 産業再生機構(2003~2007)
• 企業再生支援機構(2009~2013)
• 産業革新機構(2009) 2013/06末現在約40件6200億円超の
投資実績
• 原子力損害賠償支援機構(2011)
民間ベンチャーと競合 他方ベンチャー投資の規模は海外と見
劣り(米国2012年にGDP比0.16%に対し日本は0.02%)
Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
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官製ファンド 運営状況のチェック体制に課題
安倍政権下で目立つ肥大 新たな公的資金投入。平時の投入
は民間ファンドと競合。デフレ脱却が言い訳だが 民間企業の
手元には200兆円の手元資金。
農林漁業成長産業化支援機構(2013/02設立)
環境不動産普及促進機構(2013/02)
日本政策投資銀行競争力強化ファンド
• 地域経済活性化支援機構(2013/03 企業再生支援機構が衣
替え)
• 民間資金等活用事業推進機構(2013/10 政府出資+民間出
資):PFU推進機構 3640億円 15年間 内閣府
• 海外需要開拓支援機構(2013/11 政府出資+民間出資)
Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
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乱立気味?
• 出資金の出所 産業投資特別会計(政府系法人の配当金が
出どころ)
• 海外交通・都市開発事業支援機構 1000億円 2014年 国
交省
• クールジャパン推進機構 600億円 2013年11月 経済産業
省
• 競争力強化ファンド 3000億円 2013年 10年間 政策投資
銀行
• 採算性 海外事業より国内雇用 政治家による地元企業への
出資要請
44
Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
官民ファンドの事例
「金融財政事情」2014年1月6日 pp.46-47
産業革新機構
2009.7.27
政府 日本政策投資銀行
民間26社
経済産業省
(経済産業政策)
中小企業基盤支
援機構
2004.7.1
政府 日本政策投資銀行
中小企業庁
地域経済活性化
支援機構
2013.3.18
~10年間
預金保険機構(銀行拠出含)
農林中金
内閣府REVIC室
農林漁業成長産
業化支援機構
2013.2.1
20年間
日本政府ほか7社2金庫
農林水産省
民間資金等活用
事業推進機構
2013.10.7
15年間
日本政府 ほか民間41の金
融機関
内閣府PFI推進
室
海外需要開拓支
援機構
2013.11.25
20年間
日本政府 民間
経済産業省
(商務情報政策)
環境不動産普及
促進機構
2013.2.14
国土交通省 環境省
国土交通省
環境省
15年間
Copyright:Hiroshi FUKUITSU
TURNAROUND 戦略
事業再生 事例Case Study
45
Copyright:Hiroshi FUKUITSU
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崩壊の兆候Business Strategy(BH), Corporate Financial
Strategy(BH)ほか
時代遅れの商品
売上げ 市場シェア 株価の下落
基幹スタッフ・基幹顧客の喪失
新商品立ち上げの失敗
社内
戦略の不足 新技術への投資不足
頻繁な経営陣の交代
取引相
手
支払いの遅延 スタッフの勤務意欲
の低さ
リストラ計画についての話し合い
会計士
貧弱な運転資本管理
財務粉飾の兆候
Copyright:Hiroshi FUKUITSU
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崩壊の要因
貧弱な経営(顧客の問い合わせへの対応 販売担当者の積極性のなさ 効果的でな
い販促活動 アフターサービスの貧弱さ 鍵となる顧客・商品への集中不足)
不適切な財務統制 運転資金管理が貧弱
高費用 外部競争の激しさ
マーケテイング不足 需要動向の変化
過剰取引
買収
組織内の混乱
Copyright:Hiroshi FUKUITSU
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縦にMarket Growth↑
横にMarket Share→
Star
Dog
→
Cash Cow
(become a single (milking strategy)
large cow
strategy)
Copyright:Hiroshi FUKUITSU
安定化(統制権の確保) 当面の短期の資金調達 初期の費用削減
経営者の交代(主導権の確保 topの交代 他の上級役員の交代)
ステークホルダー(株主・債権者)との信頼の確保
規模の縮小 外部化 コアの再定義 製品市場の再フォーカス
被用者の雇用条件の見直し
顧客対応速度の改善 組織プロセスの改善 内部統制の改善
販売マーケテイングの再構築
費用削減 品質向上
資金再調達
資産削減
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Firm’s Breakeven Recovery Strategy
縦に収益、費用 緑が費用線 青が売上線 時間が進み収益↑
divestment
growth
cost reduc.
recovery
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企業再建の事例
エルピーダ
日本航空
東京電力
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エルピーダメモリの場合
• 改正産業活力再生法(09年4月)の適用を受けて日本政策投
資銀行から300億円の優先株出資受ける(09年6月末認定
09年8月末出資)
• 日本政策投資銀行:2008年末以降金融危機対応で公的金融
の不可欠が再認識 09年8月与野党で民営化時期の延期確
定
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心配された破綻の現実化
• エルピーダメモリーの会社更生法適用申請2012/02/27
• 米マイクロンによる買収決定12/05/06で、企業活動は継続し
たが、更生法適用が認められたことで、日本政策投資銀行の
出資は無価値化。
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企業再生支援機構
• 2009年9月発足 政府と金融機関が預金保険機構経由で各
100億円計200億円出資
• それを超えては政府保証付きで借入
• 3年以内に再生が条件 再生計画提出
• 成功したとされる産業再生機構(2003年4月設立 2007年3
月 企業再生ビジネスの定着に寄与 企業向け公的資金投
入の先駆)の後追い
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日本航空の場合
企業再生支援機構(09/10/14設立)
• 支援決定2010/01
• 買取決定10/03/26
• 出資決定10/08/31(出資予定10/12/01)
3500億円 100%出資
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ジャパンデイスプレー
への出資
• 産業革新機構(09年7月27日設立)が資本金2300億円の7割
を出資。あとはソニー、東芝、日立が10%ずつ(2012年4月1
日)。
• 産業革新機構。官民が出資。+政府保証枠(当初8000億)。
設立時出資政府が820億 民間85億円。2012年4月末現在
では政府が1420億、民間が1850億まで出資額拡大。
• 国が主導的に関与して大型企業を創生 民主党政権下では
あるが・・・・
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原子力損害賠償支援機構
• 原子力損害賠償支援法(2011年8月)
• 原子力事業者が拠出
• 国は国債を交付
• 機構は必要に応じて国債を現金化(償還)
• 国は必要に応じて予算措置
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東京電力のケース (1)
• 東京電力 経営者交代・実質国有化で経営者責任を
国は追及。
• 原子力損害賠償支援機構が東京電力に出資
• 出資予定は2012年7月
• 議決権付種類株式で2分の1超
• 転換権付き無議決権株(経営目標未達の場合、議決
権が生ずるもの)と合わせて3分の2超の議決権 ⇒
• 普通株でも優先株でもないものを発行!
• 出資金額は1兆円
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東京電力のケース (2)
• 国は、福島第一原子力発電所の事故の賠償責任を東京電力
に押し付けた。
• 賠償額を考慮すると東京電力はいずれ債務超過になる。その
ことを見越して国は原子力損害賠償機構を設立し、賠償費用
を肩代わり。
• 東京電力は、破綻前にも拘わらず、自立した資金調達力を失
い(11/05/20 S&P: BBB⇒B+, 11/06/20
Moodys:Baa3⇒B1)、国の信用力に依存している。
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企業再生
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企業再生
• 法的整理 倒産型 再生型
• 私的整理 倒産型 再生型
• 企業から見た再生そのものの側面
• 金融機関(債権者)からは不良債権処理の面
• 金融機関、ファンドからみた新たな資金の回収の面 などがあ
る 問題はリスクマネーをだれが出すか。
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制度変更や政策課題も絡んでいる
• 種類株式についての法制整備 2001年2002年施行の商法
改正 2006年施行の会社法など
• 種類株の法制整備 銀行などに対する自己資本規制の問題
不良債権処理の問題 株式市場の低迷などが絡み合ってい
る。
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そのなかで優先株
• 優先株 Dilutionへの配慮
取得側:経営権狙いでないが配当は必要
あるいは経営権は与えない
• 公的資金の投入では 政府は経営権は奪う意図はない とい
う意味で多用された。
• 企業提携でも、普通株発行を避けるケースがある(支配権に
は関心がない 配当に関心がある dilutionは避けたい)。
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債務の株式化
debt equity swap
• 債務の株式化
• 近年ではオーナー資本家の貸付を株式化する手段ともされて
いる
• 現物出資 会社法で検査役規制緩和
• 銀行の5%出資制限 ときどき話題に→債務の株式化で優先
株が多用される一因とも。
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DES
• 2002年のダイエー(2300億円)、長谷工(1500億円)、いすず
自動車(1000億円)が目立つ。
• ⇒金融機関の不良債権処理との関係(あるいは企業再生ビジ
ネスとの関係)が見落とせない。
• なおDESの変形がDDS debt debt swap
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エクイティ
• 株式を使ったファイナンス(資金調達)
• 基本的な意義:リスク負担をする資本の調達
• Residual profit or loss 残余利益あるいは損失
• リスク:収益の変動 ときに資本価値の毀損(回収不
能 あるいは損失)
• 不安定な収益に耐える。ときには追加出資に応じる。
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行き詰まった企業への出資
• どこに 何に出資されているか
• その意味を考察する必要がある
• 優先株 か 普通株 か
• 出資金の使途は何か など
• 普通株の場合 取引先などに一時的に資本にあたる資金の
用立てを依頼するものの 要請にあたり優先配当を付ける
配慮も(優先配当は負担になることから)
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• 産業生成機構 2003.4-2007.3 官民共同出資
ダイエー カネボウなど41件
• 2009 産業革新機構
日本航空JAL 3500億円など
2012/09 東証再上場
• 2009 企業再生支援機構
2012ジャパンデイスプレーJD 2000億円など
2014/03 東証上場
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日本航空 民主党政権による迷走
• 先例としてのGM救済
• 民主党登場による国土交通政策の大混乱(2009)
自民党時代の議論 継承せず
(前政権時代の議論を検討するべきであった)
八つ場ダム 建設中止 → できず
高速道路無料化 → できず
日本航空 法的整理(政府関与)しない → できず(そもそも法
的整理を排除するべきでない) 2.3兆円という過去最大の負
債。従業員規模5万1000人。公的資金を投入する必要があっ
たかは現在も疑問として残る。日本航空を売却する道はあった。
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日本航空の再生
• 2010/01 会社更生法申請(更正手続き終了は2011年3月):
法的整理 2010/02 上場廃止(09/03 38万人の個人株主):
株式の無価値化 企業年金の減額 3割 1万6000人の従業
員削減(希望退職 整理解雇) 不採算路線の撤退廃止 資
本注入 産業再生機構3500億円 金融機関が5215億円の
債権放棄(貸出債権の87%) 資産価値を簿価から時価に見
直す財産評定で減価償却軽減 繰越欠損金制度(11年の税
制改正で相殺期間は9年になった)を利用して法人税免除
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日本航空の再上場
• 2012/08 東証が再上場を承認
2012/09 東証1部に再上
場 上場廃止後2年7ケ月のスピード復帰 売り出し3790円
初値3810円 時価総額6900億円程(6329億の全日空上回
る) 企業再生支援機構が保有する日航株の96%を売却(売
却益3000億円)
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日本航空 有利な競争条件
• 2012年3月 連結営業利益2049億円(過去最高決算) 全日
空970億円の2.1倍 リストラ効果
更生法に伴う支援効果(財産評定制度 次第に効果減る12年3
月期は営業利益460億円の押し上げ効果)
評価損で多額の繰越欠損金→法人税減免(500億円規模)
LCC戦略 2012・1 ジェットスタージャパンに3割出資 主導
権は豪州ジェットスター 2012・6 再上場申請
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全日空の増資による対抗
• 2012・7 全日空が2000億円規模の公募増資表明 株数を
4割増やす大型増資(再上場後の日本航空と並ぶ7000億円
規模目指す 実際には株価下落で2割ほど減る最大1751億
円規模24→34億株) 日航の好調はANA株価を押し下げた。
• ANA株価 2012年3月 260円近くまであげた しかし12年7
月 180円台まで下落 背景には日本航空との条件の違い
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アメーバ経営の移植の効果か?
• アメーバと呼ばれる小集団ごとに月次の収支 時間当たり採
算を算出し、生産性向上に向けた従業員の創意工夫、小集団
間の競争を引き出そうというもの
• 稲盛和夫氏が考案 京セラで実践 一人一人が経営者 コス
ト意識高める 部門別採算性 数値で見えるように
• 稲盛氏は2010年2月 日本航空会長に就任
• 日本航空にも2011年4月導入 10人前後の小集団に分ける
毎月業績報告会
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発着枠で全日空をなだめた政府
• 日本航空は公的支援で体力を高めた。平等な競争でないとの
全日空の不満。羽田の国際化にかつて日本航空は反対した
前科がある。
• 発着枠の配分に不透明さ。利用者の利便性か。業界の競争
環境か。自民党は公的支援で競争環境が損なわれたとして
公平性を保つ指針を国土交通省に求める。
• 羽田空港国内線発着枠
2012年11月 ANA8便 日航に3便
• 羽田空港国際線発着枠
2013年11月 ANA11便 日航に5便
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2015年3月期連結業績予想
売上高
経常利益
前期経常利益
JAL
13,500 +3%
1,350 -14%
1,576 -15%
ANAHD
17,000 +6%
550
28%
429 -44%
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厳しい批判の存在
• 競争への政治の介入の是非
• 再上場を認めたことの是非
• 空港の割り当ての優遇の指摘
• 法人税の行き過ぎた減免の指摘
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ジャパンディスプレー(DP)
• 2012 ソニー 日立東芝の液晶事業を統合 中小型パネル
の市場シェア16%強(世界首位)
• 2014.3.19 上場1200億円強 主力の茂原工場などで増
産続ける 高精度の画像表示できるLTPS使った中小型パネ
ル、アップルむけも好調。
• 2014.4.28 14年3月期の連結営業利益を304億円引下
げ272億円 4月21日では836円まで上がっていた株価は値
崩れ始まる。上場直後の大幅下方修正はかなり不自然では
あるが。4月28日終値672円(背景 液晶パネル売却交渉 何
価格で難航 出荷見合わせた)
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GMの再生
• 2009/6/1 法的整理(更生)申請chapter 11
• Chapter7 なら 債権者申請:非自発的破産
•
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•
•
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•
債務者申請:自発的破産
2009/7 新生GM 政府保有61%
政府による助成(500億ドルとも) 資産売却
2010/1-3 黒字化(2010/5)
2010/4 前倒し返済
2010/8/8 再上場申請
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GMの再生
• 10/11 再上場 政府保有株一部売却
•
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•
•
•
保有比率31%
2011末 再び販売台数世界首位
2012/2
仏プジョーと提携
2012/12
政府が保有株の全面売却を発表
31%の40%はGMが買い取る(55億ドル)
残りは政府(財務省)が市場売却
2013/6現在 政府の売却が進行中
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GM救済については
米国内で批判
• 雇用を懸念した
•
•
•
•
100万人の雇用を救った・・・オバマの主張
しかし 500億ドルの税金の投入には批判も。
問われる公平性(競争をゆがめた)
クライスラーはイタリアのフィアットが買収。黒字化した。
フォードは自主再建を果たした
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GM再建後 リコール隠しが露呈
• 自動車産業では、車台の共通化 部品の共通化といった合理
化が、その部品の不具合から大量のリコールにつながるよう
になった。
• 2013年末にGMの公的支援の終了。さらに2014年に入って、
女性のCEO登場で明るい話題に包まれたかに見えたGMが、
一転リコール問題に陥って注目された。早い段階で開発部門
における部品の不備の認識がもたれたにもかかわらず、問題
が営業や生産部門に共有されなかったという社内の風通しの
悪さも指摘された。問題の開発部門での認識は2001年。これ
に対してリコール開始は2014年2月になり、結果として事故で
13人が亡くなった。
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破綻への政治介入の限定
• システミックリスクにつながるもの
• 社会的インパクトが巨大なもの
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• 産業生成機構 2003.4-2007.3 官民共同出資
ダイエー カネボウなど41件
• 2009 産業革新機構
日本航空JAL 3500億円など
2012/09 東証再上場
• 2009 企業再生支援機構
2012ジャパンデイスプレーJD 2000億円など
2014/03 東証上場
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厳しい批判の存在
• 競争への政治の介入の是非
• 再上場を認めたことの是非
• 空港の割り当ての優遇の指摘
• 法人税の行き過ぎた減免の指摘
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政府ファンド どう考えるか
• 冷めた目でみると
重要企業を日本という枠で守るかどうか
• 国内で担い手がなければ外資による買収・・・
•
それでいいのかどうか
•
ドラステックなリストラ・・・がいいかどうか
• 日本という枠組みは古い?
•
確かにその通りだが現実はどうか
• 国民負担 再生できれば解消
•
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西武HDの上場13.03
• 2004.12 西武鉄道が虚偽記載で上場廃止
• 2006.01 サーベラスなどを相手に大規模増資
• 2006.02 西武HD設立
• 2012・10 サーベラスが鉄道の一部路線の廃止など元円る
• 2013.03 サーベラスがTOB実施(2013.05まで 目標
•
•
•
•
は44%超 35%にとどまる
2013.06 株主総会でサーベラス提案(取締役選任案など)
を否決 2014年末までに資本提携契約解消(東証が解消を
求めた)
2014.01 再上場でサーベラスと西武HDが合意
2014.03 上場承認(主幹事は みずほ証券)
2014.05 旭硝子:ホテルは中心に業績は好調
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西武HDの上場
• 2004・3 営業利益231億円
• 2004・12 虚偽記載問題で西武鉄道 上場廃止 サーベラ
•
•
•
•
•
ス 35.5%を保有(2013・3-5 TOB実施により比率高める
2014年1月15日 再上場申請
2014年3月19日 東証JDの上場を承認
2014年3月 公開価格2300円を想定 投資家に不人気 終
的1600円
ホテル事業は好調
2014年4月9日 売出価格1600-1800円 サーベラスが売出
に加わらないことも発表 2014年4月14日 1600円に決め
る(時価5473億円 今年最大の大型上場) PER20倍超
2014年4月23日 初値1600円 終値1770円
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西武HDの上場
• 2014年4月23日 初値1600円 サーベラス(その存在は押し
下げ要因)は売却せず ただしサーベラスと主幹事証券とロッ
クアップ(新規株式公開時に一定期間 主幹事証券の合意な
しには売却しないことで主幹事証券と合意すること 期間は一
般には180日 今回は10月19日まで)で合意 PER20倍強
• 2014年6月3日 一時2362円まで上昇 PBR2.8倍
• グランドプリンスホテル赤坂跡地の再開発事業(事業規模980
億円 超高層ビルを予定)を予定 品川高輪エリアにも12万
平方以上を保有 長野軽井沢で別荘型宿泊施設や大型クラ
ブハウス建設 を予定
• もともとサーベラスは約15%売り出す計画
しかし4月に入
り価格が低くなったため売却断念
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企業再建スキームと
政府ファンド 政府系銀行
• 東京電力
•
•
•
•
•
•
← 原子力賠償機構
産業革新機構 → ジャパンデイスプレイ
日本政策投資銀行 → エルピーダ
日本政策投資銀行
GMへの救済 insolvency:GMによる破産法11条申請
日本航空再建をめぐる議論
日本航空再建と 企業再生支援機構 日本政策投資銀行
Copyright: Hiroshi FUKUMITSU
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演習
• 企業が再生 清算を選択するときに考慮するべき事項を述べ
なさい。
• ターンアラウンドが成功するための条件を述べなさい。
• ターンアラウンドにおいて銀行はどのような役割をはたせるの
か述べなさい。
• 企業の再生と銀行との関係を事例に即して述べなさい。