独占的競争と完全競争

産業組織論
(11) 独占的競争と完全競争
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2016年1月21日
苺大福(個) 固定費用
固定費用
固定費用は生産量に
関わらず係る費用
 固定費用は38


生産量に対応する各
固定費用を求めて下
さい
0
1
2
3
4
5
6
2016/1/21
産業組織論 11
2
可変費用


苺大福(個) 可変費用
可変費用は生産量の
変化に伴って変わる
費用
0
0
1
10
労働や追加的な材料
費が可変費用
2
13
3
19
4
38
5
80
6
155
2016/1/21
産業組織論 11
3
総費用

総費用を求めなさい
苺大福(個) 固定費用
0
1
2
3
4
5
6
2016/1/21
産業組織論 11
可変費用
総費用
4
平均費用
平均費用は生産物1単位当たりの費用
 平均費用を求めなさい

苺大福(個)
総費用
0
1
2
3
4
5
6
2016/1/21
平均費用
なし
産業組織論 11
5
平均可変費用
平均可変費用は生産物1単位当たりの可変費用
 平均可変費用を求めて下さい
苺大福(個)
可変費用
平均可変費用
0
なし
1
2
3
4
5
6

2016/1/21
産業組織論 11
6
限界費用

限界費用を求めて下さい
苺大福(個)
可変費用
0
1
2
3
4
5
6
2016/1/21
産業組織論 11
費用
限界費用
なし
7
平均費用と限界費用の関係
苺大福(個) 限界費用 平均可変費用
平均費用
1
2
3
4
5
6
2016/1/21
産業組織論 11
8
平均費用曲線と費用
価
格
費用=平均費用× 生産量
平均費用曲線
ACSR
生産量Q SRのときの費用
数量
Q SR
2016/1/21
産業組織論 11
9
需要曲線と収入
価
格
収入=価格× 生産量
N
需要曲線
PSR
生産量Q SRのときの収入
Q SR
2016/1/21
産業組織論 11
数量
10
利潤と平均費用

2016/1/21
産業組織論 11
11
独占的競争の短期的な利潤
価
格
生産量Q SRのときの利潤 限界費用曲線
平均費用曲線
Q
PSR
AC
企業が直面す
る需要曲線 D
R
MC
P
限界収入曲線 MR
数量
Q SR
2016/1/21
産業組織論 11
12
短期均衡の特徴
独占的競争下にある企業は,短期的には正
の利潤を得る
 ブランド力や製品差別化で独占力を維持


正の利潤は「価格が平均費用を上回る」こ
とを意味する

他の産業の企業はこの産業に参入を試みる
だろう
2016/1/21
産業組織論 11
13
長期均衡の特徴
𝜋 = 𝑃 − 𝐴𝐶 × 𝑄 > 0
𝑃 − 𝐴𝐶 > 0
 他企業の参入を招く
 産業内に企業数が多くなる
 産業の価格が下落する
 長期的には
𝑃 − 𝐴𝐶 = 0
 となるまで参入が行われるだろう
𝜋 = 𝑃 − 𝐴𝐶 × 𝑄 = 0
2016/1/21
産業組織論 11
14
長期均衡の特徴

2016/1/21
産業組織論 11
15
右上がりの限界費用曲線と価格
価
格
限界収入曲線
参入後の限
界収入曲線
Q
PSR
PLR
限界費用曲線
企業が直面する需要曲線
P
MC
参入後の企
業が直面する
需要曲線
数量
2016/1/21
Q LR
Q SR
産業組織論 11
16
長期均衡の特徴

2016/1/21
産業組織論 11
17
独占的競争の長期的な利潤
価
格
生産量Q LRのときの
利潤=0
限界費用曲線
平均費用曲線
P=AC
Q
限界収
入曲線
MC
Q LR
2016/1/21
産業組織論 11
需要曲線
数量
18
長期均衡の特徴

2016/1/21
産業組織論 11
19
企業の需要で気をつけること

市場全体の需要と企業が考えている需要

企業が考えている需要は個別企業が直面し
ている需要

多数の企業が考えている需要を集計した需
要が市場需要

個別企業が価格を上げても他の企業は追随
しない.よって需要の価格弾力性は大きい

しかし,市場需要はすべての企業が値上げ
するので相対的に価格弾力性は小さい
2016/1/21
産業組織論 11
20
市場需要と産業の平均価格
ある企業が考えている需要は,その企業の価
格以外にも他の企業が付ける価格にも依存
 独占的競争においては多数の企業がいる


すべての企業の価格の平均がある企業が考え
ている需要に影響を与えている

一方市場需要はすべての企業の価格の平均の
みに依存している

長期均衡においてある企業の付ける価格はす
べての企業の価格の平均に等しくなる
2016/1/21
産業組織論 11
21
企業が考えている需要と完全競争

完全競争においても企業が考えている需要で考
えることができる
完全競争市場において企業はプライステイカー
だった.市場価格に影響を与えられない
 市場価格に対して無限の需要がある
 よって企業が考えている需要曲線は水平な直線
 しかし市場需要曲線は右下がり

2016/1/21
産業組織論 11
22
完全競争の企業の考えている需要
価
格
P
Q
P
企業が考え
ている需要
曲線
同じ価格で多
くの財を販売
できる
数量
q1
2016/1/21
産業組織論 11
q2
23
完全競争市場と限界収入
水平な企業が考えている需要曲線よりどんな
供給量でも価格は変化しない
 生産量が1単位増加すると収入は価格分だけ
増える

価格=限界収入

よって,水平な企業が考えている需要曲線は
限界収入曲線と等しい
2016/1/21
産業組織論 11
24
企業の考えている需要曲線と限界収入曲線
価
格
P Q
P
生産量を1単位増加したときの
収入の増加=価格 P
企業が考えている需要曲線
=限界収入曲線
q1 q1+1
2016/1/21
産業組織論 11
数量
25
短期の競争市場の均衡
価
格
Q
P=MR
P=MC
AC
需要曲線
平均費用曲線
P
限界費用曲線
数量
Q SR
2016/1/21
産業組織論 11
26
短期の競争市場の利潤
価
格
企業利潤
Q
P=MR
P=MC
AC
需要曲線
平均費用曲線
P
限界費用曲線
数量
Q SR
2016/1/21
産業組織論 11
27
競争市場の長期均衡
競争市場で企業が正の利潤を得ている
 参入が起きるだろう
 企業利潤が0になるまで参入が行われる
𝑃 = 𝐴𝐶
 市場価格が平均費用に等しくなる

2016/1/21
産業組織論 11
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長期の競争市場
限界費用曲線
価
格
平均費用曲線
Q
P=MC
需要曲線
P=MR
数量
Q E=効率規模
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産業組織論 11
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長期の競争市場における効率規模
長期の競争市場における生産量は平均費用曲
線の最下点で達成される
 つまり,その生産量 QE では平均費用が最小


ある企業の平均費用を最小にする生産量をそ
の企業の効率的規模という

完全競争市場において各企業は長期において
効率的規模で生産する
2016/1/21
産業組織論 11
30
長期の独占的競争と効率的規模
価
格
P=AC
長期の独占的競争
の生産量は効率的
規模よりも小さい
P
Q LR
2016/1/21
AC
R
MR
MC
MC
D
数量
QE
産業組織論 11
31
過剰生産力とマークアップ

長期の独占的競争の生産量は効率的規模より
も小さい
平均費用を最小化していない.もっと生産を
行うことで平均費用を抑えることが可能
 このことを過剰生産力を有しているという
 生産を増やすと利潤が負になる(価格下落)の
で生産を増やそうとしない
 限界費用を超える価格をマークアップという
 独占的競争市場では正のマークアップ

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産業組織論 11
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