電子回路 放射線計測エレクトロニクスの信号処理の為の アナログ電子回路の基礎 第五回 村上浩之 Jun.09. 2010 目次(3) • 回路の基礎 – 2端子回路 • 有能電力 – 4端子回路 – 伝達関数とインパルス応答関数 – ラプラス変換 – 等価回路 • 帰還増幅回路 Jun.09. 2010 2端子回路網 鳳・テブナンの定理(等価電圧源の定理) 1 Zo 任意の回路網を含むBlack box回路で Zo Vo Vo 開放端電圧 Vo 開放端インピーダンス Z o 1 Back box 2 Vo Z I I 2 が判れば(a)の回路は(b)の回路と 等価である。 1 Zo 2 (b) (a) Vo 端子1−2間に Z なる インピーダンスを接続すれば 流れる電流は Zo Z V I o Zo Z V IZ となる。 端子1−2間の電圧は V I Z となる。 Jun.09. 2010 2端子回路網 ノートンの定理(等価電流源の定理) 1 1 Black box ● Is ≡ Yo Is 2 Yo ● 2 (a)の様な短絡電流 I s と開放端アドミタンス Yo が判ればBlack box (a)の 回路網は(b)の回路と 等価で在る。 1 ● I s Yo Y ● 2 Jun.09. 2010 V Is Y o Y 端子1−2間に Y なるアドミタンスを 接続すれば電圧 V が現れる。 2端子回路網 電圧源回路と電流源回路の等価変換 1 1 V Z L IL Zo ZL Vo = Is Yo Yo 1 Zo ZL 2 (b) 電圧源回路(a)と電流源回路(b)は接続した同じ負荷インピーダンス Z L に等しい電圧と電流を供給する事が出来、両者は等価に交換出来る。 Jun.09. 2010 V Z L IL 2 (a) 2端子回路網 等価電圧源回路網と等価電流源回路網は等価 IL Zo V Z L IL Vo ZL Is Yo Yo 1 Zo IL 同じ負荷インピーダンスに対して同じ電圧を生じさせる 等価電圧源2端子回路網と等価電流源2端子回路網は 等価で互いに交換する事が出来る。 Jun.09. 2010 V Z L IL ZL 2端子回路網 有能電力 開放電圧VO 、内部インピーダンスZO、 短絡電流ISの信号源に負荷インピーダ ンスZLを接続した時出力電圧VLと電流IL は次の様になる。 信号源 IL ZO VO VL ZL ZL VL VO ZO Z L 信号源からZLに取り出される 電力PLは次の様になる。 ZL 2 PL VL IL V O (ZO Z L ) 2 2 Z 2 O ZL I S (ZO Z L ) 2 Jun.09. 2010 VO IL ZO Z L Z Z O L IS ZO Z L ZO=Zlのとき電力PLは 最大電力Pmになる。 Pmを有能電力という。 1VO2 1 Pm ZO IS2 4 ZO 4 ZO IS ZO Z L 4端子回路網 I2 I1 V1 . . . . V.1 A. B. V.2 C D I1 I2 . 基本行列 . . . A D.B C. 1 . 1 回路網 1’ . . . . Y12 V1 I.1 Y11 . . . I2 Y21 Y22V2 アドミッタンス行列 2 2’ V2 . . . . V.1 Z.11 Z.12 I.1 V2 Z 21 Z 22 I2 インピーダンス行列 . . . . h12 I1 V.1 h11 . . . I2 h21 h22V2 ハイブリッド行列 A (V1/V2 ) I20 出力端子を開放した時の電圧V 1とV2の比 B (V1/I2 )V20 出力を短絡した時のV1とI2の比 : 短絡伝達インピーダンス C (I1/V2 )I 2 0 出力端子を開放した時のI1とV2の比 : 開放伝達アドミッタンス D (I1/I2 )V2 0 出力端子を短絡した時の電流I1とI2の比 . . . . . . . Jun.09. 2010 . . 4端子回路網 4端子回路網 FETの等価回路 信号源 I1 V1 ZG 〜 VO 電圧増幅率は ZO I 2 gm V 1 V2 gm Z L となる。 V2 ZL 入力信号と出力信号がラプラス変換した周波数領域の場合は V 2 G(s)V 1 G(s) となり を伝達関数という。 Jun.09. 2010 入力信号 V1 がインパルス信号(δ(t)関数)のとき 出力信号はインパルス応答 h(t) となる。 V 2 Z L I 2 V1 4端子回路網 伝達関数の縦続接続 入力 X(s) G1(s) G0(s) G2(s) G3(s) G0(s) 但し、G0(s)=1で入力インピーダンス∞Ω 出力インピーダンス 0Ωとする G0(s) 増幅率1の緩衝増幅器 G1(s),G2(2),G3(s),・・・GN(s)は伝達関数がGN(s)の増幅器 G(s)を全体の伝達関数とすると G(s)=G1(s)×G2(s)×G3(s)×・・・×GN(s) 出力信号Y(s)は Y(s)=G(s)X(s) となる。 インパルス応答 h(t) は X(s) が 1 のとき (X(t)=δ(t)のとき) の出力の応答で h(t) L1Y(s) L-1 G(s) Jun.09. 2010 出力 Y(s) 伝達関数の特性 増幅器の入力信号と出力信号の関係を特徴付けるもので入力信号が電圧か電流、 出力信号が電圧か電流でその組み合わせで伝達関数が特徴付けられる。 入力信号 出力信号 伝達関数の特性 / 電圧 増幅器の特徴 電圧 電圧 電圧 電圧 電流 電流 / 電圧 トランスコンダクタンス 増幅器 電流 電圧 電圧 / 電流 トランスインピーダンス 増幅器 電流 電流 電流 / 電流 電流増幅器 Jun.09. 2010 電圧増幅器 ラプラス変換 時間 t の関数 f(t) のラプラス変換 F(s) は F(s) L f (t) f (t)est dt 0 Sはラプラス演算子と言われ 複素数 S=σ+jω (但し σ ωは実数) 積分が求まるには lim f (t)est 0 t を満足する s を 選べば良い F(s) のラプラス逆変換 f(s) は c j 1 f (t) L1F(s) F(s)e st ds 2j c j Jun.09. 2010 但し、 t<0 で f(t)=0 t≧0 で f(t) は連続 ラプラス変換・逆変換の例 f (t) df (t) dt sF(s) f (0 ) t f (t)u(t) f (t a)u(t a) u(t) u(t a) (t) F(s)eas 1 s 1 as e s n At at e A ba a at 1 t te 2 R j L n! sn 1 1 s a 1 jC 1 F(s) t n1 at e (n 1)! 1 (eat ebt ) F(s) Jun.09. 2010 F(s) G(s) f ( t) g( )d 0 1 F(s) s f (t)dt 0 t f (t) F(s) 1 (s a) n 1 (s a)(s b) s (s a) 3 R sL 1 sC ラプラス変換領域での等価回路 R 伝達関数は V1(s) C V2(s) G(s) 1 sC 1 1 RC R 1 sC sRC 1 s 1 RC となる。 入力信号がステップ関数のとき v1(t) u(t) 1 RC 1 V2 (s) G(s)V1 (s) s 1 RC s ラプラス逆変換をすると出力波形は v 2(t) = L1 V2 (s) 1 e となる。 Jun.09. 2010 t RC ラプラス変換領域での等価回路の例 CR 1階微分・RC N階積分波形整形回路 +1倍 緩衝増幅器 CR微分 1段目 Vi C R R +1倍 緩衝増幅器 RC積分 1段目 R C 1 Vi (s) s RC積分 N段目 C 入力信号が ステップ関数 とすると ラプラス変換をした 入力信号Viは 全体の伝達 関数G(s)は 1 N s 1 RC 1 RC s G(s) s 1 RC s 1 RC s 1 RC RC s 1 RC N 1 Vo s G(s) Vi ステップ関数が入力端に 加わった時の出力信号 波形Vo(t)は Jun.09. 2010 出力信号Voは Vo N t 1 t Vo t L1Vo s e RC N! RC となる。 帰還増幅器 + G Vi Vo F G を増幅器の開利得(オープンループ利得)、 入力信号電圧 Vi と出力信号電圧 Vo の F を帰還率として F 倍を加算して増幅器の入力に加えると Vo GVi F Vo 帰還増幅器の閉利得(クローズドループ利得)を G f とすると G f Vo Vi G 1 F G 0 F G 1 のとき正帰還増幅器、 F G 0 のとき負帰還増幅器、 F G 1 発振 Jun.09. 2010 帰還増幅器の増幅率 G f Vo Vi G 1 F G 帰還増幅回路の閉ループ利得は となるが帰還量の大きさと極性は増幅回路の特性を決めている。 FG 0 の時、閉ループ利得 G f は開ループ利得 G より小さくなる F G 1 であれば閉ループ利得は G f Vo Vi G 1 F G 1 F となり、 G f は G に依存せずに F の逆数で極性が反転した利得となる。 F は一般的には線形な受動素子で構成するので利得は受動素子のみの特性で決められる 0 F G 1 の時は分母が1より小さくなり G f は G より大きくなる。 F G 1 の時は分母が 0 となり閉ループ利得 G f は無限大になり発振する。 F G 1 を通過するので発振する。 G は最初はゼロなので F G 1の場合は必ず Jun.09. 2010 帰還増幅器の種類 1. 電圧直列帰還 – 出力電圧に比例した帰還電圧を入力へ直列に帰還する。 2. 電流直列帰還 – 出力電流に比例した帰還電圧を入力へ直列に帰還する。 3. 電圧並列帰還 – 出力電圧に比例した帰還電流を入力へ並列に帰還する。 4. 電流並列帰還 – 出力電流に比例した帰還電流を入力へ並列に帰還する。 Jun.09. 2010 電圧直列帰還 Ii Io Vi Vi G F Vo F 出力電圧に比例した帰還電圧を入力へ 直列に帰還する。 Jun.09. 2010 Vo 電圧並列帰還 Ii Ii G Vo F 出力電圧に比例した帰還電流を 入力へ並列に帰還する。 Jun.09. 2010 Io F Vo 電流直列帰還 Io Vi Vi G Vo F Io F 出力電流に比例した帰還電圧を 入力へ直列に帰還する。 Jun.09. 2010 電流並列帰還 Ii Ii F Io G Vo F 出力電流に比例した帰還電流を入力へ 並列に帰還する。 Jun.09. 2010 Io 電圧直列帰還増幅器の例 G F Vo Vi Vo F Vi Vo F Jun.09. 2010 Z1 Z 2 Z2 Vi 電圧並列帰還増幅回路の例 G が大きければ Vi Vo Vi G F Vo G 1 を仮想接地と言う。 Zi Vi Ii Vo FG Ii F Jun.09. 2010 1 F Z f Ii 1 0 F Ii Vo が R のとき電流ー電圧変換器 F が C のとき電流積分器(電荷増幅器) F が L のとき電流微分器 Jun.09. 2010
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