平成27年10月 ver 1 「土地改良区決算書変換ソフト」により出力された土地改良区会計 情報の分析視点について 本資料は、平成27年より全国土地改良事業団体連合会から配 布が開始された「土地改良区決算書変換ソフト」により会計情 報を得た土地改良区が、その情報分析に取組む視点について 例示し、土地改良区経営の改善に資する目的で作成しており ます。 ○○県土地改良事業団体連合会 1 1-1 土地改良区会計情報ーー基本情報 貸借対照表 平成○年3月31日現在 科 目 Ⅰ 資産の部 1 流動資産 現金及び預金 有価証券 未収賦課金等 短期未収金 2 固定資産 (1)有形固定資産 (2)無形固定資産 (3)その他固定資産 3 繰延資産 資産合計 Ⅱ 負債の部 1 流動負債 2 固定負債 Ⅲ 正味財産の部 1 指定正味財産 2 一般正味財産 負債及び正味財産合計 当年度 基本情報の読み取り 1 前年度 増減 流動資産高と流動負債高に注目 400 300 100 ・流動資産高は流動負債高よりも多いことで、 安定感のある会計状況である 例 固定資産高と固定負債高に注目 500 300 200 50 60 △10 ・固定資産高は固定負債高よりも多いこと が望ましい 繰延資産の資産額 ・繰延資産は定額償却対象となっている 100 200 100 200 0 0 2 1-2 土地改良区会計情報ーー基本情報 貸借対照表 平成○年3月31日現在 科 目 Ⅰ 資産の部 1 流動資産 現金及び預金 有価証券 未収賦課金等 短期未収金 2 固定資産 (1)有形固定資産 (2)無形固定資産 (3)その他固定資産 3 繰延資産 資産合計 Ⅱ 負債の部 1 流動負債 2 固定負債 Ⅲ 正味財産の部 1 指定正味財産 2 一般正味財産 負債及び正味財産合計 当年度 400 前年度 300 増減 基本情報の読み取り 2 100 当年度正味財産高の前年度比較 ・当年度正味財産高は前年度に比べ300増 加した。流動資産、固定資産の増加が寄与 している 例 500 300 200 900 600 300 200 200 0 700 400 300 600 300 900 負債額の推移 ・当年度負債額は前年度負債額に比べ同 額であり、額の増減はなかった 3 1-3 土地改良区会計情報ーー基本情報 貸借対照表 平成○年3月31日現在 科 目 Ⅰ 資産の部 1 流動資産 現金及び預金 未収賦課金等 短期未収金 2 固定資産 (1)有形固定資産 (2)無形固定資産 (3)その他固定資産 長期未収賦課金等 3 繰延資産 資産合計 当年度 前年度 増減 基本情報の読み取り 3 未収賦課金の残高推移 500 600 △ 100 80 100 △ 20 ・「未収賦課金等」「長期未収賦課金等」はそ の残高がないかより少ないことが望ましい勘 定科目である。 左の例では、流動資産である未収賦課金等 の当年度残高は前年度に比べ減少しており、 長期未収賦課金等についても同様に減少し ている。 Ⅱ 負債の部 1 流動負債 2 固定負債 Ⅲ 正味財産の部 1 指定正味財産 2 一般正味財産 負債及び正味財産合計 4 1-4 土地改良区会計情報ーー基本情報 貸借対照表 平成○年3月31日現在 科 目 Ⅰ 資産の部 1 流動資産 2 固定資産 (1)有形固定資産 (2)無形固定資産 (3)その他固定資産 基本財産 基本財産有価証券 特定資産 財政調整基金 3 繰延資産 資産合計 当年度 前年度 増減 基本情報の読み取り 4 基本財産、特定資産の積増し 150 100 50 100 0 100 ・当年度の余剰資金から基本財産、特定資 産としてそれぞれ相応額を措置した 基本財産として基本財産有価証券、特定資 産として財政調整基金が確保されている Ⅱ 負債の部 1 流動負債 2 固定負債 Ⅲ 正味財産の部 1 指定正味財産 2 一般正味財産 負債及び正味財産合計 5 1-5 土地改良区会計情報ーー基本情報 様式6-1 正味財産増減計算書 平成○年4月1日から平成○年3月31日まで 科 目 Ⅰ 一般正味財産増減の部 1 経常増減の部 (1)経常収入 土地改良事業収入 附帯事業収入 (2)経常支出 土地改良事業費 一般管理費 当期経常増減額 当年度 400 前年度 380 増減 20 経常増減の部の推移 ・経常増減の部についての前年度から当年度 の推移は安定している 例 2 経常外増減の部 (1)経常外収入 (2)経常外支出 当期経常外増減額 当期一般正味財産増減額 100 0 100 経常外増減の部の実績額 ・ 経常外増減の部の100の実績は、当年度 において臨時に発生したものであり、次期に 関係する可能性のある収支ではない Ⅱ 指定正味財産増減の部 1 補助金等収入 2 一般正味財産への振替額 当期指定正味財産増減額 Ⅲ 正味財産期末残高 基本情報の読み取り 5 正味財産期末残高 100 50 50 ・ 正味財産期末残高が前年度に比べて50 純増した 6 1-6 土地改良区会計情報ーー基本情報 様式6-1 正味財産増減計算書 平成○年4月1日から平成○年3月31日まで 科 目 Ⅰ 一般正味財産増減の部 1 経常増減の部 (1)経常収入 土地改良事業収入 附帯事業収入 (2)経常支出 土地改良事業費 一般管理費 当期経常増減額 当年度 前年度 増減 例 基本情報の読み取り 6 2 経常外増減の部 (1)経常外収入 (2)経常外支出 当期経常外増減額 当期一般正味財産増減額 Ⅱ 指定正味財産増減の部 1 補助金等収入 2 一般正味財産への振替額 当期指定正味財産増減額 50 100 △50 100 0 100 Ⅲ 正味財産期末残高 150 100 50 一般正味財産の増減額 ・ 経常外増減の部の50の実績であったが、 前年度に比べて△50となっている 指定正味財産の増減額 ・ 正味財産期末残高が前年度に比べて100 純増した 7 2-1 土地改良区会計情報ーー重要情報 貸借対照表 平成27年3月31日現在 科 目 Ⅰ 資産の部 1 流動資産 現金及び預金 有価証券 未収賦課金等 短期未収金 2 固定資産 (1)有形固定資産 (2)無形固定資産 (3)その他固定資産 3 繰延資産 資産合計 Ⅱ 負債の部 1 流動負債 2 固定負債 8 Ⅲ 正味財産の部 1 指定正味財産 2 一般正味財産 負債及び正味財産合計 当年度 17,532 某土地改良区 前年度 19,836 増減 △2,304 例 907,640 876,735 30,905 925,173 896,572 28,601 335,071 318,925 16,146 重要情報の読み取り 1 (安全性) 資産全体に占める流動資産の比率推 移 ・ 資産に占める流動資産の割合について、前年 度と当年度の推移を確認する 前年度 19,836/896,572=2.2% 当年度 17,532/925,173=1.9% であり、若干 数値は低くなったが短期的な支払い能力,安全性 に大きな変化はない 固定資産高と固定負債高の比較 ・ 固定資産高と固定負債高について、前年 度と当年度の推移を確認する 前年度 319,925/876,735=36.4% 当年度 335,071/907,640=36.9% であり、 固定負債比率はわずかに拡大傾向である が、安全性は確保されている 8 2-2 土地改良区会計情報ーー重要情報 貸借対照表 平成27年3月31日現在 科 目 Ⅰ 資産の部 1 流動資産 現金及び預金 有価証券 未収賦課金等 短期未収金 2 固定資産 (1)有形固定資産 (2)無形固定資産 (3)その他固定資産 3 繰延資産 資産合計 Ⅱ 負債の部 1 流動負債 2 固定負債 Ⅲ 正味財産の部 1 指定正味財産 2 一般正味財産 負債及び正味財産合計 当年度 某土地改良区 前年度 増減 17,532 19,836 △2,304 907,640 876,735 30,905 例 925,173 896,572 28,601 335,071 576, 671 318,925 562, 634 16,146 14 ,037 重要情報の読み取り 2 (蓄財性) 固定資産額と正味財産額の比率の推移 ・ 固定資産額と正味財産の比率について前年度と 当年度の推移をみる 前年度 562,634/876,735=64.2% 当年度 576,671/907,640=63.5% であり、固 定資産額の増加は正味財産額の増加に並列してい る 9 2-3 土地改良区会計情報ーー重要情報 貸借対照表 平成27年3月31日現在 科 目 Ⅰ 資産の部 1 流動資産 2 固定資産 (1)有形固定資産 (2)無形固定資産 (3)その他固定資産 基本財産 特定資産 転用決済金積立金 当年度 某土地改良区 前年度 増減 固定負債と固定資産額の対応関係 295,686 284,704 10,982 資産合計 Ⅱ 負債の部 1 流動負債 2 固定負債 転用決済金引当金 Ⅲ 正味財産の部 1 指定正味財産 2 一般正味財産 負債及び正味財産合計 重要情報の読み取り 3 (引当金と積立金) ・ 転用決済金引当金額と資産の部の特定資産であ る転用決済金積立金の対応をチェックする 転用決済金引当金 前年度 284,704 当年度 295,686であり、増額で推移している。一方、 特定資産として同額が措置されており、将来の、転用 に起因する管理のかかり増し支出に備えた資金が備 えられている。 引当金の計上について (会計基準注解9から) 295,686 284,704 10,982 将来の特定の費用または損失であって、 その発生が当期以前の事象に起因し、発 生の可能性が高く、かつ、その金額を合理 的に見積もれることができる場合に計上す る。(例 転用決済金引当金、職員退職給 付引当金) 10 2-4 土地改良区会計情報ーー重要情報 様式6-1 正味財産増減計算書 某土地改良区 平成26年4月1日から平成27年3月31日まで 科 目 Ⅰ 一般正味財産増減の部 1 経常増減の部 (1)経常収入 土地改良事業収入 附帯事業収入 (2)経常支出 土地改良事業費 一般管理費 当期経常増減額 当年度 74,936 前年度 83,243 増減 重要情報の読み取り 4 (収益性) △8,307 経常収入と正味財産残高の比率推移 ・ 経常収入と正味財産残高の比率について前年 度と当年度の推移をみる 経常収入前年度対比 74,936 / 83,243= 90.0% 正味財産残高前年度対比 576,671 / 562,634 =102.5% であり、経常収入の減があっても正 味財産額の増加を果たしている 例 2 経常外増減の部 (1)経常外収入 (2)経常外支出 当期経常外増減額 当期一般正味財産増減額 Ⅱ 指定正味財産増減の部 1 補助金等収入 2 一般正味財産への振替額 当期指定正味財産増減額 Ⅲ 正味財産期末残高 576,671 562,634 14,037 11 3-1 土地改良区決算書変換ソフトにより出力された会計情報の分析 による土地改良区経営の改善視点 財務基盤の実態と変化の方向を見通す 過年度を含めた財務の変化状況から分析 更新事業の取り組み、更新費の積み立て シミュレーションも利用した財務の設計 区域、組合員、組織体制、事務局体制 現状からの変化予測、ふさわしいあり方 内部牽制機能の確保、責任体制の明確化 12 4-1 会計情報分析を基礎とした土地改良区の将来基盤の確立を 財務状況の公表(会計細則例第69条) ○○土地改良区の財務状況 土地改良区理事長 収入支出予算の執行状況 財産、区債及び借入金の現在額 組合員の負担の状況 その他理事長が必要と認める事項 財務諸表(年月日現在)等 ・ 財務状況の公表に当たっては、 理事長はあらかじめ理事会の承 認を受ける。 ・ 財務諸表とは、貸借対照表及 び正味財産増減計算書をいう。 組合員,関係機関、関係者 13 4-2 会計情報分析を基礎とした土地改良区の将来基盤の確立を 透明性の中で組合員の意向を経営に反映 組合員の理解、支持、 協力の広がり 土地改良区の将来は 組合員の現状理解、 信頼がかぎ 土地改良区の現状分析、 組織課題、課題解決努力 資産の把握、財務分析、会計 上の明瞭性確保 (理事会) 組合員の理解、支持、協力 (組合員) 会土 計 情地 報改 に良 裏 打区 ちの さ将 れ た来 方基 向盤 性 の 確 立 都道府県、市町村の公会 計においても、平成27年 度から複式会計への移行 開始 14 会計情報の分析を通じた土地改良区運営について 土地改良区の役職員の皆様は、会計情報の分析を通じた検討を深め て、土地改良区の将来基盤の確立を図られるよう期待します。 ○○県土地改良事業団体連合会 15
© Copyright 2024 ExpyDoc