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「地域包括ケアシステム」
を支える医商工連携分科会
金沢大学
地域創造学類
横山壽一
分科会の課題
(1)安心して住み続けることができる地域ケア体制の整備を通じた地
域経済の活性化
(2)「地域包括ケアシステム」を支える地域の経済と産業のあり方の検討
(3)医療と介護の両面から、ハードとソフトの双方について具体化
(4)行政・地域・民間事業者の協働による仕組みづくりと提供体制の構築
(5)医療資源の高い集積度を活かした連携
分科会の開催状況と取り組み
1.2014年度 第1回~第7回、 2015年度 第8回~第16回
2.課題の具体化と問題整理
2014年度の取り組みから、具体化のテーマを、
「食」のネットワークで支える地域包括ケアと行政・地域・民間事業
者の役割 と設定
地域包括ケアにおける「食」の重要性に着目し、事業化の可能性と
課題を検討
地域包括ケアにおける「食」の重要性
医療・介護・予防・生活支援の結節点としての「食」
1.健康保持の基本としての適切な「食」生活
2.予防事業としての「食」の改善
3.認知症予防としての「食」
4.生活支援としての「食」確保の支援(買物も含む)
5.高齢化、過疎化、交通の困難化、食料品店の減少・消滅に伴う
「食」の深刻化
→健康に住み続けるための必須の条件としての「食」
保健・予防事業からみた「食」問題
1.特定健診対象者における糖尿病予備軍の比率が高い
2.その背景には、コンビニの菓子パン、カップラーメン等で済ませる
など、炭水化物中心の食生活、伝統料理における塩分・糖分の高
さなどがある
3.活習慣病予防で認知症は減らせるとの指摘もあり、認知症対策と
しても「食」の重要性に注目が集まっている
事業化の可能性に関わる状況
1.移動販売車の稼働の実態があり、一定の役割を果たしていること
2.利用者には、食の安心・安全に対する強い要望があり、品揃え、時間、
頻度、鮮度などで不満が少なくないこと
3.事業者は、利用者数の減少、採算の難しさなど維持して行くうえでの課
題を抱えており、撤退を検討している事業者もあり、事業者任せでは存
続が難しくなる可能性があること
4.移動販売車は、利便性はあるものの、現行のままでは効率が悪く継続
は容易ではないこと
5.買物難民が全国的課題となるなかで、全国的にも移動販売システムを
活用した様々な新たな事業展開とビジネスモデルが生まれていること
具体的取り組み①
健康と食に関する調査(住民調査)
1.健康状態、食生活の現状、買物の現状、移動販売の利用状況と要望等
を把握するために、聞き取り・アンケート調査を実施
2.実施地域
・江泊地区:7月16日(9人)、集会所、アンケートによる聞き取り
・大泊町:10月22日(19人)、戸別訪問、アンケートによる聞き取り
・市街地町会:12月~1月、町会役員によるアンケートの配布と回収
馬出町(57人)、常盤町(17人)、亀山町(27件)
3.主な調査項目
年齢、家族構成、健康状態、日々の暮らしぶり、食事の内容、買物(食
品の確保、移動販売の利用)
具体的取り組み②③
事業者へのヒアリング/全国状況の把握
事業者へのヒアリング
1.移動販売実施事業者
2.移動販売を検討・準備している事業者
全国状況の把握
1.安達商事(鳥取県、日野郡)
2.福井県民生協(福井県)
3.スーパーサンシ(三重県)
健康と食生活等に関する調査結果①
(江泊町・大泊町)
回答者の年齢および性別
65~74歳
男性
人
割合 男女別
(%) 計
75~84歳
女性 男性 女性
2
7.1
39.3
9
85歳以上
男性
無回答
女性
1
12
1
1
2
32.1 3.6
42.9
3.6
3.6
7.1
46.4
7.1
7.1
計
28
健康と食生活等に関する調査結果①
(江泊町・大泊町)
健康状態(性別)
よくない・あまり
よくない
無回答
男性
女性
男性
女性
男性
女性
1
13
1
7
1
3
2
3.6
46.4
3.6
25.0
3.6
10.7
7.1
50.0
28.6
14.3
7.1
よい・まあよい
人
割合 男女別
(%)
計
普通
計
28
健康状態(年代別)
人
割合
(%)
よい・まあよい
普通
よくない・あまりよくない
65~74 75~84 85歳以 65~74 75~84 85歳以 65~74 75~84 85歳以
歳
歳
上
歳
歳
上
歳
歳
上
9
4
1
2
6
0
0
3
1
34.6
15.4
3.8
7.7
23.1
0.0
0.0
11.5
3.8
計
26
健康と食生活等に関する調査結果①
(江泊町・大泊町)
通院状況
人
割合 男女別
(%) 計
人
割合 男女別
(%) 計
人
割合 男女別
(%) 計
高血圧
糖尿病
脂質異常症
心疾患
男性
女性
男性
女性
男性
女性
男性
女性
1
7
0
1
0
3
0
2
3.6
25.0
0.0
3.6
0.0
10.7
0.0
7.1
28.6
3.6
10.7
7.1
脳血管疾患
骨粗しょう症
歯
無い
男性
女性
男性
女性
男性
女性
男性
女性
0
1
0
3
0
1
2
5
0.0
3.6
0.0
10.7
0.0
3.6
7.1
17.9
3.6
10.7
3.6
25.0
他
無回答
男性
女性
男性
女性
1
5
0
0
3.6
17.9
0.0
0.0
21.4
0.0
健康と食生活等に関する調査結果①
(江泊町・大泊町)
調理(料理を作ること)
している、時々す ほとんどしないが
る
できる
男性
人
割合
(%)
男女別
計
女性
男性
女性
できない
男性
無回答
女性
男性
女性
2
19
0
2
2
2
0
1
7.1
67.9
0.0
7.1
7.1
7.1
0.0
3.6
75.0
7.1
14.3
3.6
健康と食生活等に関する調査結果①
(江泊町・大泊町)
買い物
家族がするができ
る
している
男性
人
割合
(%)
男女別
計
女性
男性
女性
できない
男性
無回答
女性
男性
女性
3
19
1
3
0
2
0
0
10.7
67.9
3.6
10.7
0.0
7.1
0.0
0.0
78.6
14.3
7.1
0.0
健康と食生活等に関する調査結果①
(江泊町・大泊町)
買い物に行く手段(複数回答)
バス
タクシー
自家用車(自分)
自家用車(家族)
男性 女性 男性
女性
男性
女性
男性
女性
人
0
6
0
1
3
8
0
9
0.0
21.4
0.0
3.6
10.7
28.6
0.0
32.1
割合 男女別
(%)
計
21.4
3.6
39.3
32.1
近所の人に依
無回答
頼して購入
男性 女性 男性
女性
人
0
1
1
0
0.0
3.6
3.6
0.0
割合 男女別
(%)
計
3.6
3.6
健康と食生活等に関する調査結果①
(江泊町・大泊町)
1日の食事回数
2~3回(時々、
欠食)
3回
男性
人
割合
(%)
男女別
計
女性
男性
女性
2回
男性
無回答
女性
男性
女性
4
20
0
2
0
1
0
1
14.3
71.4
0.0
7.1
0.0
3.6
0.0
3.6
85.7
7.1
3.6
3.6
健康と食生活等に関する調査結果①
(江泊町・大泊町)
移動販売車の利用状況
利用している
(生協含む)
男性
人
割合
(%)
男女別
計
女性
以前、利用
男性
利用していない
女性
男性
女性
無回答
男性
女性
1
3
0
3
2
17
1
1
3.6
10.7
0.0
10.7
7.1
60.7
3.6
3.6
14.3
10.7
67.9
7.1
健康と食生活等に関する調査結果①
(江泊町・大泊町)
移動販売車を利用しない理由
時間が合わない
男性
人
割合 男女別
(%)
計
女性
0
3
0.0
12.5
12.5
移動販売車が来る
回数が少ない
男性
女性
人
0
1
0.0
4.2
割合 男女別
(%)
計
4.2
販売車が来る所ま 商品の品質、鮮度
でが遠い
等
男性
女性
男性
女性
男性
女性
0
12
0
1
1
3
0.0
50.0
0.0
4.2
4.2
12.5
50.0
4.2
16.7
不便ではない
無回答
男性
1
4.2
12.5
女性
2
8.3
健康と食生活等に関する調査結果①
(江泊町・大泊町)
自由記入
食事や買い物についての希望(江泊町)
1
道が坂なので、歩くのが大変、道路ならまだしも、裏道は段差が激しく大変、自転車に乗らないし乗れない
2
スーパーが遠すぎて、もっと近くにあったらいい。
3
医者に行くときに父がいないと行けない。父だけが車を持っているので仕事中(月の昼から金夜までは金
沢)は行けない。土曜に帰ってくる
4
病院が遠い
5
みかん、りんごなど果物がもっと簡単に手に入れば。のんびり暮らしているからそんなにない。
6
不自由なことなし
7
自分で買い物ができるため、あまり移動販売は利用していない。あまり不満はない。希望もない。
8
運転する人がいなくなったら、家までの配達がよい(重いもの、かさむもの)。希望の人いないと気の毒・。
9
今は夫が車を運転してくれるので良いが、そのうち車がなくなったら困ると思う。そんな時は移動販売車が
便利。あれば良い。
健康と食生活等に関する調査結果②
(馬出町・常磐町・亀山町)
自由記入より
(馬出町)
・移動販売を利用してみたいが12人、
・利用しない理由の多くは「近所に来ていない・知らない」
(常磐町)
・移動販売を利用してみたい、要望は新鮮な商品、自宅前、
・利用しない理由の多くは「近所に来ていない・知らない」
(亀山町)
・買い物は便利で助かっているがピアゴがなくなると困る、現状維持はできないか
・もっと高齢になれば不安(複数)
・どんたくとユニーしかないのが不満、動けるうちは移動販売車が近くに来ても利用しない
と思う。より多くの選択肢ができるのでスーパーに行く。
・今は来ていないので何とも言えないが、品数が少なく新鮮かどうか。
事業化の基本的方向
1.すべての住民の買物を支援するシステムの構築
・どこに住んでいても、買物には困らない仕組みを具体化
・地域ごとに、多様な手段を用い、あるいは組み合わせた仕組みづくり
・事業者と行政と地域が連携する仕組みを地域ごとに構築する
・販売する商品にもこだわり、健康づくりと一体化した仕組みをつくる
2.多様な手段の組み合わせ
・店舗での買い物
・店舗からの配達(注文配達、店舗での購入品の配達など)
・移動販売車など
3.事業者・地域・行政の連携
事業化への具体的検討
1.移動販売事業者への呼びかけと連携
・「買物難民を出さない」移動販売事業への理解と協力
移動販売車認定制度
・エリアの調整も含めた共存の仕組みと連携
2.利便性と採算性を高める工夫
・病院、福祉施設、高齢者住宅等での定時販売の検討
3.食事指導との組み合わせ方の具体化
・栄養士等の同行の検討
・メニュー化、体調不良時の連絡・通報
4.地域での見守りとの組み合わせ方の具体化
・ポイント制を活用した移動販売の手伝い