平成27年度 埼玉県障害者虐待防止・権利擁護研修 埼玉県における虐待防止研修の体系 共通講義 障害者虐待について広く理解を深める 本コース 市町村窓口研修 事業所向け研修 Aコース(基礎編) 対象: 市町村職員、相談支援専門員 内容: 障害者虐待の未然防止および 虐待が発生した際の早期発見、 適切な対応について学ぶ。 コアメンバーによる対応方針の 協議、個別ケース会議や対応 方針について検討する。 しくみのあり方の議論 対象:事業所従事者 等 (職種、雇用形態問わず。初任者の参加も可) 内容:虐待について理解を深める。 (特にグレーゾーン) 虐待防止の取組について学ぶ。 Bコース(職場研修プログラム作成編) 対象:施設内研修に携わる者、携わる予定の者 内容:職場内での虐待防止研修を実施するためのプ ログラム作成を学ぶ。 Aコース(本コース)を職場内研修 として実施できるようになることが 目的 A・Bコース受講済みが望ましい。 毎年参加できる内容⇒地域で虐待防止の ためのネットワークつくりを視野に置く。 本コースの資料は公開予定です Cコース(応用編) 対象:事業所管理者、それに準ずる者等 内容:持ち寄った各事業所での取組や事例等を通し、 虐待についての理解を深める。 虐待防止にかかわる情報の交換。 虐待とは・・・ むごい扱いをすること(大辞泉) <Abuse(アビューズ)>(新グローバル英和辞典) 乱用する、悪用する、口汚くののしる、悪態をつく、虐待する、酷使すると いった意味のほかに、乱用、悪用、誤用、ひどい悪口、罵倒、虐待、酷使、 長い間の)悪習、弊害といった意味がある ⇒ 意図的なもの、非意図的なものを含む 虐待被害者の自覚のあるなしは問わない 障害者虐待の5分類 種 類 内 容 例 示 身体的虐待 障害者の身体に外傷が生じ、または生じ る恐れのある暴行を加えること 殴る、ける、たばこを 押し付ける 性的虐待 障害者にわいせつな行為をすること、また は障害者にわいせつな行為をさせること 性交、性的暴力、性的 行為の強要 ネグレクト 障害者の心理の正常な発達を妨げるよう な著しい減食または長時間の放置、その 他養護者(支援者)としての義務を著しく怠 ること 栄養不良のまま放置 する、病気の看護を怠 る、他の施設職員の虐 待行為を放置すること 心理的虐待 障害者に対する著しい暴言または著しい 拒絶対応など、障害者に著しい心理的外 傷を与える言動を行うこと 成人の障害者を子ども 扱いするなど自尊心を 傷つける 経済的虐待 障害者の所持する年金度を流用するなど、 同意を得ない年金の 流用など財産の不当 財産の不当な処理を行うこと (放棄・放任) な処分 虐待行為と刑法 厚生労働省資料より 障害者虐待は、刑事罰の対象になる場合がある。 (例) ① 身体的虐待 刑法第199条殺人罪、第204条傷害罪、第208条暴行罪、第220条逮捕監禁罪 ② 性的虐待 刑法第176条強制わいせつ罪、第177条強姦罪、第178条準強制わいせつ、準強姦罪 ③ 心理的虐待 刑法第222条脅迫罪、第223条強要罪、第230条名誉毀損罪、第231条侮辱罪 ④ 放棄・放置 刑法第218条保護責任者遺棄罪 ⑤ 経済的虐待 刑法第235条窃盗罪、第246条詐欺罪、第249条恐喝罪、第252条横領罪 ※ これまでの虐待事案においても、虐待した障害者福祉施設等の職員が警察によって逮捕、送検された事案が 複数起きています。 5 障害者虐待の特徴 • 障害者(児)に対する「虐待」は、「障害者に対する不適切な言 動や障害者自身の心を傷つけるものから傷害罪等の犯罪とな るものまで幅広いもの」と考えられています。 • なお、障害者虐待防止法では障害者への虐待を①家庭内虐 待、②施設内虐待、③職場内虐待の3つに分けています。(病院 内、学校内は取り上げられていない) • 特に施設内虐待は、発生が密室状況下となりやすいので、早 期発見・早期介入が重要であり、それゆえに虐待の定義を拡 大して捉えるべきである。 どこからが虐待? 虐待 不適切 なケア 犯罪等 虐待とは言い 切れないが、 明らかに適切 ではないケア 犯罪ではないが 重い虐待 適切な ケア 不適切とまでは 言い切れないが、 状況によっては 判断が迷うケア 虐待や権利侵 害とは明らか に違うケア 不適切ケアはグレーゾーン 虐待と適切なケアの境目 ⇒ グレーゾーン ・虐待者が意図的か、非意図的か・・・は問わない ・被虐待者が自覚があるか、自覚がないか・・・は問わない 虐 グレーゾーン 待 不 適 切 ケ ア 適 切 な ケ ア グレーゾーンを考える グレーゾーンの例 ・ドアが開けっぱなしのトイレ ・車いすを押すときの声かけ ・業務中の職員の会話 ・自分で食べられるのに全介助の食事 ・送迎バスに乗りたがらない人を職員二人がかりで乗せる ・・・・(その他、チェックリスト参照) グレーゾーンは放置できるか? グレーゾーンは許されるか? グレーゾーンは虐待である! ○ 事業所の現状はきびしい 安全管理を優先、住環境が不十分、人材不足、専門性不足・・・だからグ レーゾーンの不適切なケアを「そのくらいはしかたない」、「まあいいだろ う」、「このくらいは虐待ではない」と思っていないか? ○ しかしグレーゾーンを放置し、許すと虐待の早期 発見や早期介入ができ なくなる。さらに、不適切なケアが事業所内でどんどんエスカレートする可 能性がある。 ⇒取り返しのつかない虐待に発展する可能性あり! グレーゾーンは虐待の芽 つまり、広い意味で虐待である! 虐待防止の近道は虐待の芽を摘むこと! そのために必要なこと ・グレーゾーンが発生する要因や背景の理解 ・グレーゾーンを見逃さない感性 ・グレーゾーンに向き合う覚悟 そのためには 現場では グレーゾーンは虐待である という認識を持つことが大切 今日の演習のテーマは 虐待防止法ができてからの変化 虐待の範囲は劇的に広がった 平成23年度の県虐待防止研修における虐待の範囲 グ レ ー ゾ ー ン 平成26年度の県虐待防止研修における虐待の範囲 グレーゾーン 「明らかな虐待」の範囲は広がり、以前のグレーゾーンは虐待だと捉える人が増えた ○現場で起きていること、これから起こることは……? ○「虐待は身近にある」という捉え方が必要……かつての「事故」や「苦情」と同じように 虐待防止と権利擁護の違いは? • 虐待防止は「とめること」 • 権利擁護は「すすめること」 権利擁護の視点で見たグレーゾーン • 虐待防止は「とめること」 「グレーゾーンをなくそう」 • 権利擁護は「すすめること」 「グレーゾーンは取り組みのきっかけ」 虐待防止と権利擁護を使い分ける グレーゾーンを発見した時・・・・・ • 「虐待をなくす」は引き算 • 「権利擁護に取り組む」は足し算 現場からから引き算ばかりしていたら、なにもできなくなる 足し算も引き算も両方必要、場面によって使い分けよう そして・・・ 権利擁護の視点で見たグレーゾーンは 現場の支援力向上のチャンス! かもしれない 今日の演習のテーマは
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