カワモズクニュース№31

カワモズクニュース№31
〔市場峡公園のアオカワモズク〕
(妙典寺のミョウテンジカワモズク)
2014.8.15
今年5月に5年ぶりに発生したミョウテ
ンジカワモズクですが緑藻の襲撃に会
いながら、でも健気に生育しています。
7月15日千葉県立中央博物館の宮田
昌彦先生が妙典寺を訪問くださいました。
「この湧水はどこから来るのか?」尋ね
られました。後背地に山や森があるわけ
でなく、武蔵野台地に降った雨が長い
旅をして、台地が切れた和光市で湧出
している、と言うことと考えていますが、
湧水について今後も調べていきたいと
思います。
市場峡公園の池でアオカワモズクが初めて確認
されたのは2012年3月です。それから2年以上が
経過して、観察した写真や記録等を読んでみると、
度重なる池の清掃を体験しながら、この池では年
間を通じて藻体が生育していることが分かります。
池内の緑藻清掃のたび藻体は剥がされます。
とは言っても10月から1月の間は精子嚢、造果
器は確認できますが果胞子体は形成されていま
せんでした。2月に入ると果胞子体が確認できまし
た。2月から9月までの8ヶ月間、精子嚢、造果器、
果胞子体が確認できました。また、3月から8月の
間シャンとランシア体からの変態も確認でき活動
が活発になっているように思います。
市場峡公園での湧水温は16℃から18℃と一定
していますので、アオカワモズクが夏季に成長が
盛んになると言うこの状況が、何によるのかは更に
観察を重ねていきたいと思います。
(上部中軸部分)
変態を起こした時点では周
心細胞は発達していません
が、それ以降は最上部でも
周心細胞は輪生枝とは異
なる様相をしています。
(塩ビ管から採取)
塩ビ管の内壁にシャントランシア体が生育していると思い、採取しました。自宅で顕微
鏡で見てみると変態を起こしている状態が見えました。
変態を起こしている部分では透明な雪だるまが見えます。 Balakrishnan & Chaugule
が述べている廃棄細胞と思えるのですがどうでしょうか。それほど珍しいものではなく、今
回は3ヶ所で確認できました。
しかし1884年に書かれたS.Sirodotの図版「LES BATRACHOSPERMES」には見つかり
ません。ミョウテンジカワモズクの特徴なのかもっと観察を続けていかなくてはいけません。
周心細胞
(精子嚢)
(造果器)
塩ビ管から採取したカワモズク。
シャンとランシア体から変態を
起こしています。
n
廃棄細胞*
2nシャントランシア体(赤色部分)
*・・変態時、2回の細胞分裂後、2つの
不要な細胞が現れると言われている。
○印・確認できた
(果胞子体)
果胞子
果胞子嚢
造胞糸
(果胞子体の造胞糸と果胞子)
アオカワモズクの造胞糸はピンク
色で長く美しいです。
(受精)
造果器の枝は
周心細胞のみ
から発生するだ
けでなく皮層細
胞糸にも発生
するようです。
(ニュースの問い合わせ)
白子・大坂湧水林保全の会
会長 友国 洋
文責 須貝郁子
白子3-35-6-307
(464-5545)
Email:[email protected]
石桶の内壁に緑藻に囲まれて1.2cmから
1.5cmの藻体が12株生育しています。成
流しのたたきのコケに付着し、発生して
いました。