貨物不足損害の 準備と対応 損害調査部 大槻・前川 1 P.2 目次 P.4 ---- §1 クレーム発生・対応の俯瞰 P.5 ---- §1-1 発生から解決までの流れ P.6 ---- §1-2 荷主側の立証事項 P.7 ---- §1-3 クレーム対応の視点 P.8 ---- §2 事前の準備及び積地・揚地での対応 P.9 ---- §2-1 貨物不足損害発生前の対策 P.10 ---- §2-2 積地での数量差発生 P.12 ---- §2-3 揚地での貨物不足損害発生 P.13 ---- §3 クレーム受領後の対応 P.14 ---- §3-1 対応方法の決定 P.15 ---- §3-2 クレーム提起者・提起先 P.16 ---- §3-3 事実面の検討 P.19 ---- §3-4 法律面の検討 ー B/L記載事項 P.20 ---- §3-4 法律面の検討 ー 法律・規則によるディフェンス P.21 ---- §3-4 法律面の検討 ー 時効 P.22 ---- §4 求償 P.23 ---- §4-1 用船者に対する求償 P.25 ---- §4-2 Shipperに対する求償 P.26 ---- §5 書類・情報のまとめ 2 添付資料(サンプル書類) A) B/L B) Mate’s Receipt C) Stowage Plan D) ビルジ排出記録 E) Hatch Sealing Certificate F) Draft Survey Report G) Hold Inspection Report H) Inter Club Agreement notice 3 §1 クレーム発生・対応の俯瞰 Shipper Consignee 本船 貨物保険者 船舶管理会社 Owner Charterer 4 §1-1 発生から解決までの流れ 積地・揚地にて貨物不足損害が発生 書類収集 保証状発行の要求 正式なクレームを受領 解決交渉 Settlement Agreement ・ Receipt & Releaseの内容決定 解決金の支払い 用船者・Shipperへの求償 5 §1-2 荷主側の立証事項 (前提)クレームを提起する権限があること B/Lの正当な所持人であること (貨物保険者は)保険金を支払い、クレーム権 限を取得していること 1. 運送中の事故であること 2. 貨物の損害が実際に発生していること 3. 損害額 1~3はB/L数量より受領数量が少ないことと貨物 単価を示せば足りる 6 §1-3 クレーム対応の視点 運送人は誰か B/L署名欄の確認 Carrier” → “for the Master” , “(用船者) as 荷主側に正当なクレーム権限があるか 原因面、法律面から運送人側に責任があると言えるか Tackle to tackleの原則 Hague Rule等による免責 契約(B/L・用船契約)の内容の確認 →これらの立証のため、事前の対応・書類収集が必要 7 §2 事前の準備 及び積地・揚地での対応 8 §2-1 貨物不足損害発生前の対策 Hatch Sealとその記録 ビルジの排出記録 積荷前、荷揚げ後のEmpty Certificate Precautionary Survey(荷役のモニター、Draft Survey)の手配 陸上での運送方法の記録 (Statement of Fact等、可能であれば) Hold・Tankをはじめ、本船の堪航性の確保、記録の 保管 9 §2-2 積地での数量差発生 Shipperが通知した貨物数量と、本船側で計測した 数量の違いによる争い 計測の誤差の範囲を超える数量差が認められた場合 数量差をそのまま受け入れると非常に不利 荷主側クレームへのディフェンスが難しくなる 用船者、Shipperへの求償に影響 10 §2-2 積地での数量差発生 具体的な対応 Japan P&Iまたは現地コレポンへ連絡、サーベイの手配 Letter of Protestの発行 Mate’s Receipt、B/Lへのremark挿入交渉 追い積み要求 相手方書類へは”receipt only”と記載 LOI (Letter of Indemnity) によるclean B/L発行要求 英国法下では無効 有効性は発行者の資力・信用次第 11 §2-3 揚地での貨物不足損害発生 荷こぼれなどが発生している場合 サーベイの手配 本船でも写真撮影、Letter of Protest発行 ステべドアを誰が手配したか確認 貨物不足損害の嫌疑を受けた場合 Japan P&Iへの連絡 サーベイを手配し、事実確認する 12 §3 クレーム受領後の対応 13 §3-1 対応方法の決定 クレーム額や内容、地域、相手方の窓口などといっ た点を踏まえ、対応方法を判断 Club担当者による対応 コレポン・サーベイヤーを通じた対応 弁護士の起用 14 §3-2 クレーム提起者・提起先 クレーム提起者、提起先が適切であるか B/Lの正当な所持人であるか (貨物保険者が相手方の場合は)貨物保険処理がな されているか、それを示す書類があるか B/L発行者は誰か 15 §3-3 事実面の検討 その貨物不足損害が本船の管理下で発生したものと 言えるか、書類等から検討 Draft Survey、ullage reportの内容 荷役は適切であったか 計算間違いが原因ということも ステべドアによるラフハンドリング 陸上での運送・計測 パイプラインやトラックスケール 16 荷こぼれの例 17 袋詰め貨物の ラフハンドリングの例 18 §3-4 法律面の検討 ー B/L記載事項 B/Lに貨物不足損害に関する記載がある場合も North American Bill of Lading "5. Each Bill of Lading covering the hold or holds enumerated herein to bear its proportion of shortage and/or damage, if any incurred.“ Unknown Clause B/LへのCharter Partyの摂取 準拠法・管轄地に関する規定 船主責任の限定 国によっては摂取が認められないこともある 19 §3-4 法律面の検討 ー 法律・規則によるディフェンス Hague Rule、Hague Visby Ruleでの免責事項 Trade Allowance 商慣習上、一定量の貨物減少は運送人の責任ではない 計測誤差、貨物固有の性質 操船上の過失、火災、海上固有の危険などあるが、貨物不 足損害で使える条項はあまり無い “Wastage in bulk or weight or any other loss or damage arising from inherent defect, quality or vice of the goods.” (Hague Visby Rules Article 4 – 2(m)) 国や貨物によって適用が異なる 堪航性に関する相当の注意義務を果たしていることが前提 20 §3-4 法律面の検討 ー 時効 Cargo Claimの時効 Hague Rule、Hague Visby Ruleや多くの国のCOGSA では引渡し後1年 Hamburg Ruleでは2年 合意によって延長可能(中国は不可) 運送人が時効延長に合意しない場合、荷主は訴訟・ 仲裁提起せざるをえなくなる クレーム通知受領後は直ちにJapan P&Iへ 21 §4 求償 Consignee Shipper 本船 貨物保険者 船舶管理会社 Owner Charterer 22 §4-1 用船者に対する求償 ① Inter Club Agreementに基づいた求償 解決額及び合理的に発生した費用の分担 貨物不足損害の場合は通常50:50 一方に明らかな原因がある場合は100:0 荷揚げ後2年経過するまでに通知する必要あり 用船契約の記載による例外(NYPE 1993の場合) Clause 8 “… the Charterers shall perform all cargo handling … discharging, and tallying, at their risk and expense, under the supervision and responsibility of the Master.” 荷扱いによって生じたクレームが原則用船者負担か ら折半に変更 23 §4-1 用船者に対する求償 ② 用船契約の記載による例外(NYPE 合) (続き) 1993の場 Clause 26 “The Owners shall remain responsible for the navigation of the Vessel, acts of pilots and tug boats, insurance, crew, cargo claims and all other matters, same as when trading for their own account.” 船主の責任になる Inter Club Agreementが摂取されていない場合 用船契約の内容をよく確認することが重要 24 §4-2 Shipperに対する求償 Hague Rule、Hague Visby RuleでのShipperの担保義務 Hague Visby Rules Article 3 – 5 The sipper shall be deemed to have guaranteed to the carrier the accuracy at the time of shipment of the marks, number, quantity and weight, as furnished by him, and the shipper shall indemnify the carrier against all loss, damages and expenses arising or resulting from inaccuracies in such particulars. The right of the carrier to such indemnity shall in no way limit his responsibility under the contract of carriage to any person other than the shipper. Shipperに責任があることの立証は難しい 25 §5 書類・情報のまとめ ① Dry Bulk / Tanker 共通 B/L(表面・裏面) Stowage Plan 積地・揚地がどこか(出港前の場合は代理店詳細) Charter Chain (Owner)A社→(Time ど Charterer)B社→(Sub-TC)C社 な Charter Party 貨物不足損害に関する船長Statement of Fact / Letter of Protest 貨物数量に関するLOI(もしあれば) 26 §5 書類・情報のまとめ Dry Bulk ② Tanker Mate’s Receipt 積地・揚地での Draft Report 積地・揚地での Ullage Report 積荷前&荷揚後の Empty Certificate 積荷前&荷揚後の Empty Certificate Hatch Sealing/Unsealing Certificate 27 ご静聴 ありがとうございました 28
© Copyright 2024 ExpyDoc