集団指導 (精神障害について) 1 精神障害とは (1)歴史 (2)状況 (3)障害特性 2 精神障害をお持ちの方への接し方について (1)コミュニケーション (2)主な病気とその症状について (3)接し方 3 精神障害者に係る取り組みについて (1)国の指針、実状 (2)静岡市精神障害者地域移行推進事業 1 精神障害とは 出典:厚労省 障害者福祉施策の動向 障害者数(厚労省H22年度推計) 33.3 290 精神障害者 12.8 41.9 知的障害者 8.7 357.6 身体障害者 0 100 200 300 400 (万人) 在宅 入所・入院 静岡市民70万人 精神保健福祉の対象は… 1/30 人口 (厚労省推計) 市民の41.8% (H17年市民意識調査) うつ病者 30,000人 精神障害者 7,000人 強いストレスを 感じる 140,000人 統合失調症の発症率 1/100 人口(厚労省推計) ときどきストレスを 感じる 200,000人 市民の24.5% (H17年市民意識調査) 精神障害者の背景とは ~生活状況・社会環境・病気の症状・治療状況など~ 生活・家族の問題 本人の問題、家族関係… 医療・治療環境 診断に対する疑問、主治医へ の伝え方薬に対する不安… 仕事・復職・ 社会復帰等 経済的な不安… 治療態度・回復 への思い なかなか良くならない… 精神症状・身体 症状・身体疾患 不安、イライラ、情けない、 動悸、便秘、頭痛… 精神障害者の障害特性 精神障害 障害者基本法 精神保健福祉法 障害者総合支援法 疾 病 障 害 症状安定の ため服薬管理 本人に 病識がない 生活のしづらさ(生活障害) 社会・家族・ 本人自身の偏見 様々な困難や不自由さ 不利益を抱えやすい。 長期入院 2 精神障害をお持ちの方への 接し方について 効果的なコミュニケーション 聴 く 伝える 自分の気持ちも相手の気持ちも大切にする 自分も相手も安全(安心)感を持っている 伝えたい事が明確である 言語と非言語が一致している お互いの理解が深まる 責任の所在が明確である 精神障害ってどんな障害? 精神の病気のため、日常生活や社会生活がしづら くなることを言います。病状が深刻になると、判断能 力や行動のコントロールが著しく低下することがあり ます。精神障害の中で代表的なものは「統合失調 症」と「うつ病」です。 精神の病気は、誰でもなりうるものです。多くの場 合、服薬治療で症状が安定し回復に向かいますが、 治ったようでも症状が残ったり、再発したりすることも あります。 特に精神の病気は早期治療が大切ですが、誤解 や偏見が周囲への相談や精神科受診への障壁と なっていることもあります。 接し方 精神障害のある人と接するときには、自然体 で接することが望ましいです。不用意な叱咤激 励は逆効果になることもあります。 また、個人の価値観や考え方を尊重し、病気 を正しく理解することが、精神障害者が地域社 会で暮らしていくための支えとなります。 統合失調症の症状・特徴 統合失調症には、例えば実際にはない声や音が聞こえて くるなどの「幻聴」や「幻覚」という症状があります。 本人はそれらに反応し、周りの人からはひとりでぶつぶつ 言っているようにうつりますが、本人はとても不安で、つらい 思いをしていることが多いのです。 ●現実的な判断や目標が立てにくい●他人に頼め ない、断れない●集中力や忍耐力の低下●常に緊 張し、くつろぐことが苦手●神経が繊細でストレスに 弱い●疲れやすく調子のムラが目立つ●孤立しが ち、ひきこもりしがち ※これらの症状には個人差があります。 うつ病の症状・特徴 うつ病は「心の疲労が蓄積し、休息のリズムが乱れ、 疲れているのに休めない状態」です。治療をしないと 長期にわたり症状が続き、学校や仕事だけでなく、日 常生活を送ることもできなくなってしまいます。 ● 抑うつ状態 ● 急激な食欲の増減 ● 思考力・集 中力の低下 ● 不眠または睡眠過多 ● 死について の反復思考 ● 興味や喜びの喪失 ● 無価値観や 罪責感や絶望感 ● 体の動きがにぶい・口数が減る ● 疲れやすさや気力の減退 ※これらの症状には個人差があります。 パーソナリティ障害の症状・特徴 認知(ものの捉え方や考え方)や感情、衝動コント ロール、対人関係といった広い範囲のパーソナリ ティ機能の偏りから障害(問題)が生じるもの。 B群 (感情的で移り気なタイプ) アメリカの診断基準 – 境界性パーソナリティ障害 (感情や対人関係の不安定さ、衝動行為が特徴) – 自己愛性パーソナリティ障害 (傲慢・尊大な態度を見せ自己評価に強くこだわるのが特徴) – 反[非]社会性パーソナリティ障害 (反社会的で衝動的、向こうみずの行動が特徴) – 演技性パーソナリティ障害 (他者の注目を集める派手な外見や演技的行動が特徴) 発達障害とは 発達障害には、アスペルガー症候群、高機能 自閉症、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障 害(AD/HD)などがあり、これらをまとめて表す 障害名です。育て方や家庭環境が原因でなく、 生まれつき脳の働きに障害があると考えられて いますが原因は分かっていません。 また、発達障害の人は自分でも生きにくさを 感じつつ生活しています。まわりの人たちとの 関係で誤解を受けることも多く、自信をなくした り、ひきこもったり、様々な生活上の問題を抱え ています。 接し方 ● わかりやすく具体的に話しましょう。 例:「もうちょっと」→「あと5 分」 ● 予定を変更しなければならない場合には、 よく説明をしましょう。 ● 絵や写真など、実物のイメージが分かるもの を見せて伝えましょう。 ● 学習障害(LD)の場合は困難なことを補う 方法を一緒に考えましょう。 統合失調症患者への対応其の1 病気の特性を知る! ① 長期化する →長い回復過程に応じた対応が必要 ② 再発しやすい →原因:服薬中断とストレス ③ 慢性化する →慢性化=「障害が残る」 統合失調症患者への対応其の2 障害の特性を知る! ① 融通性が乏しい 対人関係 ② 状況判断がよくできない 就労場面 ③ 決断力に欠ける ④ 集中できにくい 生活場面 統合失調症患者への対応其の3 具体的な対応の仕方! 5原則 ① 簡潔に→複雑な情報処理は苦手、わかりやすく短い言 葉で、ひとつのことを具体的に伝える。 ② 断定的に→あいまいな言い方は混乱を引き起こす、はっ きりとした言い方で。 ③ 余分なことを言わない→デリケートなので、何の気なしに言っ た事が傷つけたり混乱のもとになる。 ④ タイミング良く →「その時」「その場で」が原則。あの時こう し てほしかったといってもすでに焦点はずれている。 ⑤ 繰り返して →大事なことは特に繰り返して伝えることが大 3 精神障害者に係る 取り組みについて 出典:厚生労働省 静岡県の精神科病床・入患者状況(H26,3,31) (病院36、病床6,721、入院患者数5,631) 精神科病院 富士 HP:5 病床: 994 入院患者数: 833 静岡市 HP:5 病床: 988 入院患者数: 786 駿東田方 HP:6 病床: 1,178 入院患者数:1,021 中部 浜松市 HP:10 病床: 1,759 HP:2 病床: 373 入院患者数: 1,473 入院患者数: 331 西部 HP:6 病床: 991 入院患者数: 808 賀茂 HP:2 病床:438 入院患者数:379 26 平成26年度 静岡県精神障害者地域移行定着支援研修 サポートセンターきぬた 金川 洋輔氏 作成資料一部改変 静岡県に当てはめてみると・・・ 静岡県全体で一年に約8,500人入院して、 約8,600人退院しているとして、当てはめて概算を出してみると… 毎年 5,100人の方が入院期間3カ月以内で退院。 毎年 2,550人の方が入院期間4カ月~1年以内で退院。 毎年 850人の方が入院期間1年以上に突入。 平成26年度 静岡県精神障害者地域移行定着支援研修 サポートセンターきぬた 金川 洋輔氏 作成資料 静岡県内の長期入院者は約4,000人!! 静岡市の長期入院者は約500人!! 1ヶ月 未満 静岡県 294 3ヶ月 1ヶ月 ~6ヶ ~3ヶ月 月 323 6ヶ月 ~1年 257 243 1年 5年 10年 20年 ~5年 ~10年 ~20年 以上 892 461 532 合計 507 3,509 118 820 約500人 静岡市 浜松市 85 167 102 189 47 115 77 130 224 531 94 222 73 155 147 1,656 約4,000人 546 614 419 450 1,647 777 760 772 5,985 9.1 10.3 7.0 7.5 13.0 12.7 12.9 100.0 合計 (合計欄単位 上段:人 下段:%) 27.5 *66.1%(入院患者の2/3)は長期入院! 平成26年度 静岡県精神障害者地域移行定着支援研修 サポートセンターきぬた 金川 洋輔氏 作成資料 出典:一般社団法人 支援の三角点設置研究会編(医療と福祉の連携が見えるBook) 静岡市 静岡市の精神障害者地域移行への取り組 み 第4期静岡市障害福祉計画 ①入院後3か月時点の退院率(H29.6月入院患者の退院率 64%以上) ●H24調査 静岡市 60.3% ②入院後1年時点の退院率(H29.6月入院患者の退院率91%以上) ●H24調査 静岡市 88.9% ③長期在院者数(H29.6月末時点の1年以上在院者数をH24.6月末時点の人数から18%以上減少) ●H24調査 静岡市509人 静岡市 精神科病院 退院支援連絡会 地域生活体験支援事業 メンバー:専任相談員、地域移行に係る病院職員、 改正精神保健福祉法(H26.4施行) 相談支援事業所、行政・保健所職員等 退院支援体制の確保 ●市、各区ごとの地域課題の検討、事例の検証、 課題解決のための仕組みづくり(研修事業等) <病院に課せられた義務> ●退院後生活環境相談員設置 ●相談支援事業者等との連携等 ●退院支援委員会の開催 病院側から地域生活へ向けた 退院支援を患者ごとに積極的に 行う。 相談支援事業所 ※各区1箇所に委託 指定管理 1箇所、委託 2箇所 計3箇所 医療保護入院者の退院支援のための専任職員を 配置 ●サービス導入のための支援、サービス事業所との連絡 ●サービス事業所等からの相談に応じ、助言等 ●病院(患者)からの求めに応じて、退院支援委員会への参加 ●退院に向けた準備段階から患者の相談に応じ、関係者の調 整、サービスの導入等の検討 【専任相談員】 障害福祉 サービス事 業所等
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