陽子運動量

4
He(stoppedK-, N)反応を用いた
ストレンジトライバリオンの実験的研究（4）
2006年日本物理学会秋期年次大会@奈良
東京工業大学
2006年９月21日
福田芳之
for KEK PS - E549 collaboration
Collaboration list
motivation
KEK PS-E549/570実験における、
4
He(K-stopped, p)
反応による全アイソスピン1のストレンジトライバリオン系の研究
飛行時間測定の方法による陽子運動量/
ミッシングマススペクトルの研究
現時点ではE549/570実験の結果からピークが発見されていない
そのため陽子運動量の規格化を行い、ピークの上限値を
求めることが必要である。
陽子運動量分布の導出
の比が等しいことを利用して、
静止Kが放出する陽子運動量分布をμイベントより導出する。
１イベントの静止Kによる陽子運動量分布は以下の式で与えられる。
すなわち
となり、観測された陽子の運動量分布と、
本実験の陽子検出効率との比から求められる。
静止K-事象の選択（１）
In-flightで崩壊した事象の除去
Stoping time=T1-T0-(flight time)
K timing
(T0)
P tof
start
(T1)
In-flight事象
静止Kイベント
4
He target
PDC
-2
-1
0
1
2
3
K stopping time [ns]
標的入射・荷電粒子放出時間のTOF解析により、静止K-事象の選択が可能
4
静止K事象の選択（２）
ヘリウム標的を用いた静止K事象にはHe原子軌道上に束縛され、
崩壊する数%の分岐(meta-stable state)が存在する。
meta-stable stateの3.5%が寿命約10.24nsで崩壊する。
T0 Counter
4
He target
2.0ns < T
P tof
start
(PA)
PDC
-2
-1
0
1
2
ヘリウム標的から遅れて放出される事象を選別することにより
観測することが可能。
3
4
[ns]
陽子生成時の運動量と検出効率
E549セットアップより
幾何学的に求められる
陽子検出効率曲線
P tof
stop
(PB)
陽子検出効率 [%]
T0 Counter
4
He target
P tof
start
(PA)
PDC
Neutron Counter
陽子運動量（生成時） [MeV/c]
Normalization
meta-stable stateの値に文献値（3.5±0.5%）を用いる
陽子検出効率および、観測された陽子の運動量分布の比のみ
から得られる。
静止Kの判定による効果やトラッキングの効率、DAQによる効果
などを考慮することなく、陽子運動量の規格化を行うことができる。
1/βのフィッティング
E549/570実験における1/βの分布を
に着目して
フィットした結果、以下のようになった。
Left : 54600±300
right: 55200±300
1/β
% of stop K- /2.5MeV/c
静止Kあたりの陽子の運動量分布
陽子の運動量は
27±4%
300MeV/c以上
27±4%
11±2%
400MeV/c以上
11±2%
3.5±0.5%
陽子運動量 [MeV/c]
500MeV/c以上
3.5±0.5%
summary
E549/570実験における静止Kが１イベントあたりに放出する
陽子の運動量分布を求めた。
その結果、ヘリウム標的から300MeV/c以上の運動量の陽子が
放出される確率は28±4%であることがわかった。
＜今後＞
「どの程度のピークが存在する場合に見えなければならないか」
についての評価をし、存在確率の上限値
（静止Kあたりの生成断面積の上限値）を求め、その評価をする。
P tof
stop
(PB)
P tof
start
(PA)
p
4
He target
PDC
Neutron Counter
検出器の配置
K-
P tof
stop
(PB)
T0
BLC
P tof
start
(PA)
x
y
p
z
4
He target
PDC
Neutron Counter
P tof
stop
(PB)
Neutron Counter
T0 Counter
4
He target
PDC
P tof
start
(PA)
シミュレーションの条件
０．E549/570実験のセットアップをGeant上で完全に再現
１．実測された静止Kの分布を用いて陽子を標的中から発生
x,y → 実測された分布に対するフィットで得られるガウス分布
z → 一様分布
２．陽子の運動量分布は300MeV/c～700MeV/cで一様分布
３．陽子の方位分布は単位球面上で一様
４．Pstart、Pstopの時間分解能を考慮
５．シンチレーター中の発光量の飽和（Birk則）を考慮
(C1=0.013g MeV-1 cm-2)
ターゲット中での静止Kの分布
データによるxy,yz分布のプロット

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