ミクロ経済学I (8) 消費者余剰 丹野忠晋 拓殖大学政経学部 2016年6月15日 復習 上限価格規制は,最高価格を課す 上限金利が均衡金利より低ければ超過需要が 発生→借りたい人が借りられない 短期的には行動を変えることは難しい 長期的には行動を変えることが可能 供給が非弾力的→価格が大きく変化 完全弾力的ならば需要・供給曲線は水平 定額の税金を課すと供給曲線が上方にシフト 均衡価格の上昇は税額よりは小さい 2016/6/15 ミクロ経済学I 8 2 お買い得感を需要曲線で表す 前から気に入っていた洋服がバーゲンで安く 売っていた!お買い得で嬉しい 洋服が5000円までだったら買ってもよい バーゲンで3000円で売られていた.この満足度 の残り 5000-3000=2000 が消費者余剰 人々は財に様々な満足を得る しかし,支払う価格は同じ 価格を支払った後の満足度は? 2016/6/15 ミクロ経済学I 8 3 アイスショーへの支払い意欲 5000円を支払うつもりが支払い意欲(支払許容額) ある財の支払い意欲はそれ以下の価格なら一単位 購入,しかしそれを上回れば購入しない金額 支払い意欲と価格が同じならば買っても買わなく ても良いと考えている イチローはアイスショーを見るか見ないか検討 イチローの一回のアイスショーの観覧に対する支 払い意欲は10,000円としよう アイスショー価格が7,000円ならば見る.12,000円 ならば見ない 2016/6/15 ミクロ経済学I 8 4 支払い意欲から需要表を作る イチローが価格7000円でアイスショーのチケットを 購入したら 10000-7000=3000 支払い意欲から購入価格を差し引いた3000円がイチ ローが得る消費者余剰だ イチロー以外にもダルビッシュ,マー君,内村航平 本田圭佑がアイスショーを見ようと考えている ダルビッシュの支払い意欲は8000円,マー君は5000 円内村は4000円,本田圭佑3000円. 価格7000円ならばイチロー、ダルビッシュ購入 2016/6/15 ミクロ経済学I 8 5 買い手 2016/6/15 支払い意欲(円) イチロー 10000 ダルビッシュ 8000 マー君 5000 内村航平 4000 本田圭佑 3000 ミクロ経済学I 8 6 支払い意欲のグラフ 支払い意欲(円) 支払い意欲を 高い順に並べる イチローの支払い意欲 ダルビッシュの支払い意欲 10000 マー君の支払い意欲 内村航平の支払い意欲 8000 5000 本田圭佑の支払い意欲 4000 3000 枚数 1 2016/6/15 2 3 4 5 ミクロ経済学I 8 7 アイスショーのチケットは何枚売れる 価格が低ければ沢山売れる 価格<支払い意欲 → 購入 価格>支払い意欲 → 購入しない 実際に売れる枚数 → 価格=支払い意欲 価格が7000円だったら何枚売れる? 2016/6/15 ミクロ経済学I 8 8 支払い意欲のグラフ 支払い意欲(円) 2枚目は売れる 10000 8000 価格は7000円 5000 4000 3000 3枚目は売れない 枚数 1 2016/6/15 2 3 4 5 ミクロ経済学I 8 9 支払い意欲のグラフ 支払い意欲(円) •価格7000円⇒2枚購入 •支払い意欲イコール価格は購入量を表す •支払い意欲の外側の線は需要曲線と同じ 10000 8000 価格は7000円 5000 4000 3000 購入量 枚数 1 2016/6/15 2 3 4 5 ミクロ経済学I 8 10 支払い意 欲のグラフ は需要曲 線である 支払い意欲のグラフ 支払い意欲(円) イチローの支払い意欲 ダルビッシュの支払い意欲 10000 8000 7000 5000 価格は7000円 4000 3000 需要量 枚数 1 2016/6/15 2 3 4 5 ミクロ経済学I 8 11 需要曲線(価格から数量へ) 価格 需要曲線 P 数量 Q 2016/6/15 ミクロ経済学I 8 12 需要曲線=支払い意欲曲線 最後の一個の支払い意欲と費用(価格)が同じときは それを購入すると考える 価格と支払い意欲が一致している支払い意欲の個数 限界的な買い手は価格が高いと直ぐに買わなくなる この個数が需要量になる 価格=支払い意欲⇒購入量 価格に対して購入しようとする数量=需要曲線 支払い意欲曲線は各数量から1単位増えたときに支 払っても良い金額の増加分=限界便益 2016/6/15 ミクロ経済学I 8 13 支払い意欲曲線と需要曲線 価格(円) 各棒グラフは個人の支払い意欲 10000 8000 需要曲線 5000 4000 3000 枚数 1 2016/6/15 2 3 4 5 ミクロ経済学I 8 14 消費者余剰 消費者余剰は取引をした後の満足度を表す 実際に価格を支払ったときの財からの支払い意欲の 残り.残りを余剰ともいう 正確には支払ってもよいと考えている金額から実際 に支払った金額を差し引いた値が消費者余剰 消費者余剰=支払い意欲ー価格 消費者余剰を英語で Consumer Surplus と言う 消費者余剰を記号CS と略す 支払い意欲のグラフから消費者余剰を図示しよう 2016/6/15 ミクロ経済学I 8 15 支払い意欲と消費者余剰 支払い意欲(円) イチローの消費者余剰=10000-7000=3000 ダルビッシュの消費者余剰 =8000-7000=1000 価格は7000円 10000 8000 7000 5000 4000 3000 需要量 枚数 1 2016/6/15 2 3 4 5 ミクロ経済学I 8 16 需要曲線と消費者余剰 価格(円) 需要曲線 10000 消費者余剰 8000 7000 5000 価格は7000円 4000 3000 枚数 1 2016/6/15 2 3 4 5 ミクロ経済学I 8 17 消費者余剰 支払ってもよいと考えている金額から実際に支 払った金額を差し引いた値が消費者余剰 消費者余剰を表す面積=△ABCの面積 価格 A 価格 P 消費者余剰 B 需要曲線 C 数量 Q 2016/6/15 ミクロ経済学I 8 18 個別消費者余剰と総消費者余剰 市場全体の消費者余剰は総消費者余剰と呼ばれる イチローやダルビッシュの消費者余剰は個別消費 者余剰と呼ばれる 各個人の消費者余剰は正確には個別消費者余剰 消費者余剰は個別消費者余剰と総消費者余剰の両 方の意味でしばしば使われる.個別と総の省略 どちらなのか自分で判断 2016/6/15 ミクロ経済学I 8 19 価格の下落の効果 物の値段が下がると嬉しい 消費者余剰でどう表現できるか? アイスショーの価格が4500円に下落した イチローのCS=10000-4500=5500 余剰は3000円から2500円分増加した ダルビッシュのCS=8000-4500=3500 余剰は1000円から2500円分増加した 既存の買い手は価格下落分だけ余剰が増加 新たにマー君が購入する 2016/6/15 マー君のCS=5000-4500=500 20 ミクロ経済学I 8 価格下落と消費者余剰 イチローの消費者余剰の増加 価格(円) ダルビッシュの消費者余剰の増加 10000 マー君の消費者余剰 8000 7000 5000 4500 4000 元の価格7000円 新しい価格4500円 3000 新しい需要量 枚数 1 2016/6/15 2 3 4 5 ミクロ経済学I 8 21 価格の下落は既存と新規の消費者 への効果をもたらす 既に買っている人には均等に価格下落分だけの消 費者余剰が増える 価格下落によって新たな消費者を獲得できる 新たな消費者の消費者余剰は価格下落分よりは小 さくなる 2016/6/15 ミクロ経済学I 8 22 価格下落と消費者余剰 価格 元の消費者余剰 既存の買い手の消費者 余剰の増加 A 元価格 P 新価格 P’ C B 新たな買い手の消費者 余剰の発生 E D 需要曲線 数量 Q 2016/6/15 Q’ ミクロ経済学I 8 23 復習 この価格ならば買っても良いと考える金額が支払い意欲 消費者余剰は支払い意欲と実際に支払った金額の差 消費者余剰は需要曲線と水平な価格線の間 価格の下落によって消費者余剰は増える 元から買っている消費者は価格下落分だけ利益を得る 新たな買い手の消費者余剰は価格下落分よりも小さい 2016/6/15 ミクロ経済学I 8 24
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