ATLAS SCTにおけるinduced charge の効果の検討 田中礼氏との議論からSzymon Gadomskiによるシミュ レーションにはinduced chargeではなくstripに到達し たholeで近似してあることが分かった[1]。 以下、簡単なroot program [3]を用いて、この近似が どれほどいいか検討してみた。 (1) プログラム内で使った基本パラメータが妥当か 数値を求めた。基本数値は岡本氏修論[2]からコピー した。温度はT=273.15Kとした。 (2) h,e のドリフト速度がバルク内で相当違う。 Lorentz角度はelectronの方が4倍ほど大きいとは知 らなかった。またストリップ付近(y=d)はLorentz角度は 小さくなることも初めて知った。 Version-4, 2009.11.27 Taka Kondo (KEK) 量 数値 B 2.0 [Tesla ] d (sensor thickness) 0.0285 [cm] VD, VB 70 [V], 150[V] E(@y=0, y=d) 2807, 7719 [V/cm] md,h (@y=0,y=d) 514.6, 420.2 [cm2/V/s] md,e (@y=0,y=d) 1347, 868.2 [cm2/V/s] vh(@y=0,y=d) 1.443E6, 3.244E6 [cm/s] ve(@y=0,y=d) 3.781E6, 6.702E6 [cm/s] qL,h (@y=0,y=d) 4.23, 3.46 [degree] qL,e (@y=0,y=d) 16.93, 11.10 [degree] [1] Model of the SCT detectors and electronics for the ATLAS simulation using Geant4, Szymon Gadomski, ATL-SOFT-2001-005, 18.06.2001, see page 5. [2] 岡本敦志修士論文、岡山大学自然科学研究科41419130, 2009.3.2 [3] プログラムなどはhttp:// 2016/7/9 1 y 0.0080 [cm] 0 [V] +e (x,y) -e VB [V] x 使った座標系の定義。ストリップは80ミクロン間隔でおかれ、それらの間にgapはない、つまりスト リップ幅も80ミクロンとした。計算の簡素化のため。 2016/7/9 2 T. Kondo (KEK) 2009.11.27 Electric field strength in the bulk flat diode model VB VD 2 VD y , d d2 y if VB VD , E Emax (1 ), wd 2 VD wd VB where wd d , Emax ; 2 VD d if VB VD , E 2016/7/9 uniform field model VB , d V if VB VD , E B , wd VB where wd d VD if VB VD , E (program: E_field_flatDiode.C, E_field_uniform.C) 3 Calculation of Effective Lorentz Angle of holes strip plane - Trace the hole motion through the bulk. - Calculate the effective Lorentz angle qLeff as shown. - Distribute the original hole positions along the bulk depth uniformly. - Get the average effective Lorentz angle at each bias voltage and temperature point. depleted region qLeff Distribution of the effective Lorentz angle at T=270K, VB=100V 2016/7/9 Trajectories of holes (program: hole_trajectory.C) 4 Effective Lorentz Angles of holes flat diode model uniform field model DqL = qL (flat diode model) – qL(uniform field model) ~ - 0.2o at VB=150 V. 2016/7/9 (program: Lorentz_holeC) 5 Induced current の計算 Willis Radekaの論文にあるような induced current (右図)をプログラムで再現できるかみた。 Induced chargeの計算:平行平板がある時は 電極に誘起される信号の時間変化と全電荷量([1]より) バルク内の3カ所の高さ(0.2d, 0.5d, 0.8d)で発生 した1個の電荷の動きによるストリップ面全面に 誘起される電流の時間変化をプロットした。予想 通りに電流が誘起されていることがわかる[2]。 電場の変化を入れた場合(図は次ページ)ストリッ プ面に近い部分で速度が速くなっている効果が 出ている。(プログラムはinduced_current.C) バルク内電場を一定としたときのストリップ全面に対 するinduced current。VB = 150 V。 [1] W. J. Willis and V. Radeka, Nucl. Instr. and Meth. 120 (1974) 221-236 [2] プログラムは http://atlas.kek.jp/si-soft/Induced にある。 2016/7/9 6 Induced current の計算(つづき) y=d バルク電場依存性を考慮したときのinduced currentと積分電荷。 VD = 70 V, VB = 150 V y=0 ストリップ面 y = 0.8d 0.5d 0.2d 電流値 積分値 2016/7/9 7 Amplifier response の計算 Szymon Gadomski の論文から 3 t 3 t t t a (t ) C1 e e 1.344 t 2 t 2 t t t t b(t ) C 2 e 3 e 3 0.7836 C1,C2はピーク値が1.0になるようにした。 ABCD3TAチップの論文[1]には peaking time は20ns とある のでτ=20/3 nsec とした。(プログラムはtest_amp.C) とりあえず Szymon が仮定したように、hole がドリフトして stripに到達したらアンプに電流が流れ始めるとして、上記の アンプの応答とholeの到達時間分布を掛け合わせて、パル スと形の変化をみた。Bulk内に発生するelectron-hole対の 数は1ミクロンあたり 72個(ピーク値)とした[2]。バイアス電 圧が低いと速度が遅くなりパルスの波高値が低くなることが 見える。(プログラムは pulse.C) 2016/7/9 [1] F. Campabadal et al., Nucl. Instr. and Meth. 552 (2005) 292-328 [2] Intrumentation in High Energy Physics, Ed. F. Sauli, World Scientific, p.18. 8 induced charge の分布 +q ストリップ面が完全導体とすると、点電荷が存在 した時は反対側に逆電荷のイメージが出来た時 と電場状況は同じはず。 a ストリップ面上の点Aでの電場はすぐ計算できて Ey q 1 a qa 2 4 0 r 2 r 2 0 x 2 a 2 x 3 2 ストリップ面上での静電誘導電荷はこの電場に比 例する[1]。またストリップの反対側の導体面は無 視した(<-要検討)。 -q ストリップ(x1-x2)の面積で積分すると x q( x1 , x2 ) x 2 dx dz 1 x 2x 2 dx 1 1 x 2 z 2 a 2 3 2 1 2 x x arctan 2 arctan 1 2 a x a a a 2 全体で1.0になるようにして、関数 induced() をつく り、いろいろな電荷の高さhでプロットすると右図 になった。(プログラムは induce.C ) 2016/7/9 [1] 電気工学ハンドブック(新版S63) p.99 に「導体表面の面電荷密度sはEn=s/0で与えられる。 9 Strip毎のinduced chargeの分布 ±10(計21本)のストリップ面に誘起される電荷の分布をみた(Program: strip_charge.C)。 条件:通過粒子のy=0での入射点 x0= 0、入射角度 θ0= 0.0o, VD=150V, B=2 Tesla, T = 273K 誘導電荷のストリップ分布 e, h 毎の誘導電荷のストリップ分布 strip面に到達したholeの電荷分布 誘導電荷 (=誘導電流の合計)はholeが到達したstripのみにあり、他のstripの誘導電荷はキャンセルしてzero になっているではないか!!?? プログラムの間違いかとかなり悩んだが、単に電荷の保存則のようだ。 Holeとelectronの寄与を分けてみると数stripに広がっている(真中のグラフ)。キャンセルが働いて、誘導電荷 の合計=到達電荷の合計となっている。 2016/7/9 10 Strip毎のinduced chargeの分布(2) プログラムチェックのため磁場を 50 Teslaにあげて振る舞いをみた。 やはり最終的な電荷分布はストリップに到達した hole の電荷分布(右端のグラフ)と一致している。 誘導電荷のストリップ分布 e, h 毎の誘導電荷のストリップ分布 strip面に到達したholeの電荷分布 B = 50 Tesla と仮定したから、hole の Lorentz angle は プログラムチェックのため磁場を 50 Teslaにあ げて振る舞いをみた。やはり最終的な電荷分布はストリップに到達した hole の電荷分布(右端グラフ) と一致している ! 2016/7/9 11 Induced currentの時間分布 合計したinduced chargeはストリップに到達したholeの分布と同じだが、その時間分布は違うはずなの で計算した(Program: strip_current.C)。確かに時間分布は違っていた。 全ストリップ合計の電流分布 2016/7/9 strip 0,1,2 の電流分布 strip面に到達したholeの電流分布 12 Information: All programs, report and graphs can be picked up at http://atlas.kek.jp/si-soft/Induced 2016/7/9 13
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