第15講 政策シミュレーション

情報経済システム論:第15回
担当教員 黒田敏史
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情報経済システム論
1
政策シミュレーション
• 構造推定アプローチによる政策シミュレーショ
ン
– 構造推定により消費者の需要関数を推定する事
で、外生的な変化に対する消費者余剰の変化を
検証することが可能になる
– 日本の通信市場における以下の2つの例を紹介す
る
• 1・Kuroda (2009) "Does net neutrality contribute to the
migration to FTTH? a lesson from Japan’s experience“
• 2・黒田敏史,「両面市場モデルによる携帯電話コンテ
ンツ配信プラットフォームの価格構造の分析」東京経済
学会誌、267、2010.
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情報経済システム論
2
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):主要な結論
– ADSL利用者の減少とFTTH利用者の増加は価格
や速度の変化ではなく、コンテンツサービスがもた
らす間接ネットワーク効果によって説明される
– 間接ネットワーク効果を考慮しない弾力性の推定
値は価格弾力性を過剰推定し、市場を過大に画
定する
– コンテンツ事業者の垂直統合へのインセンティブ
は間接ネットワーク効果の強さで劣るADSL事業
者が最も強く、垂直統合によって顧客のFTTHへの
移行を妨げる可能性がある
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情報経済システム論
3
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):分析の背景
– ブロードバンド市場の成熟
• 世界一安いアクセス料金ではあるが、2005年以降下げ
止まっている
• ブロードバンドを活用した様々なコンテンツサービスが
登場(iTunes Store、 ニコニコ動画、Final Fantasy XI)
• ADSLの加入者数が減少し、FTTHの加入者数が上昇
– 問題意識
• アクセス市場におけるADSLからFTTHへの移行をどの
ように考えるか
• ネットワーク効果がアクセス市場にどのような影響を与
えているか
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情報経済システム論
4
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):ブロードバンドとネットワーク財
– それだけでは価値を持たないコンポーネントを組
み合わせることでシステムとして機能する一連の
財をネットワーク財と呼ぶ
• ブロードバンド市場をブロードバンドアクセスとブロード
バンドコンテンツによって構成されるシステムと見なす
– 本論文の対象となるブロードバンドアクセス
• ADSL、FTTH、CATV
– 本論文の対象となるブロードバンドコンテンツ
• 音楽配信、動画共有、オンラインゲーム
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情報経済システム論
5
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):家計の行動
– 家計はADSL、CATV、FTTHのいずれか一つのブ
ロードバンドアクセスを利用する、もしくはどれも利
用しないかを加入による効用を比較して、毎期意
志決定を行うと仮定
– サービスjに加入する家計iの効用は
uij  x j    p j  N  j   j   ij  V j   ij
• アクセス間には互換性があるため、利用可能なコンテン
ツサービスは選択肢間で変わらない。( N j  N k  j  N )
• アクセス間でコンテンツから得られる効用が異なるかど
うかを検証する(  j  k  j )
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情報経済システム論
6
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):家計の行動
– Ida, Kuroda(2006)と同様にブロードバンドを利用す
るかしないかを決定してから、どのサービスに加入
するかどうかを決定するNested-Logitモデルを用い
るため、誤差項εは一般化極地分布を仮定。
– ブロードバンドアクセスサービスjが利用される確
率は
Pj  Pj|g Pg 
2016/7/9
V j /(1 )

e
Vk /(1 )
e
kg
 e
   e
kg
g

Vk /(1 ) 1
kg
情報経済システム論

 k /(1 ) (1 )
7
政策シミュレーション
• Kuroda (2009)
– パネルデータを用いるため、Berry(1994)に従い選
択確率を線形回帰式に変形する
ln Pj  ln P0  x j    p j  N  j   ln( Pj| g )   j
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情報経済システム論
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政策シミュレーション
ブロードバンドアクセス契約者数の推移
ブロードバンドサービス数の推移
16,000,000
700
14,000,000
600
12,000,000
500
10,000,000
400
8,000,000
300
6,000,000
200
4,000,000
100
2,000,000
0
0
2005Q3
2005Q3
2006Q1
ADSL
2006Q3
FTTH
2007Q1
CATV
2007Q3
2006Q1
2006Q3
音楽配信事業者数
オンラインゲームタイトル数
2007Q1
2007Q3
動画共有サイト数
• ブロードバンド加入者数には、総務省公表の2005年第3四半期から2007年
代第4四半期までの10期にわたる県別加入者数を利用
• 音楽配信事業者数は日本音楽著作権協会許諾数に日本レコード協会発
表のオンライン販売額に占める固定インターネット比率割合を乗じて推定。
動画共有サイト数は「インターネット白書2007」、オンラインゲームは「オ
ンラインゲーム白書」よりカウント。
9
政策シミュレーション
ブロードバンドアクセスサービスの料金と速度の地域差
ブロードバンドアクセスサービスの料金と速度の推移
(円・実質)
(M bps・名目)
6,000
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
2005Q 3
2006Q 1
ADSL
C ATV
2006Q 3
FT T H
2007Q 1
ADSL
2007Q 3
C ATV
FT T H
(円・実質)
7,000
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
北
海
道
ADSL
•
•
(M bps・名目)
宮
城
県
東
京
都
C ATV
富
山
県
愛
知
県
FT T H
大
阪
府
広
島
県
ADSL
香
川
県
福
岡
県
C ATV
沖
縄
県
FT T H
各回線種別・都道府県別のサービス料金、速度に関しては、各都道府県毎の県庁所在
地で利用可能なビット単価の最も安いサービスの料金を物価水準で実質化
FTTH料金は「平成15年住宅・土地統計調査」の集合住宅比率を用いて、戸建て向け料
金と集合住宅向け料金を加重平均
10
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):操作変数
– ブロードバンド加入方程式に含まれている説明変数のうち、価格、ブ
ロードバンド加入シェア、補完財数(音楽配信・動画共有サイト・オンラ
インゲーム)は誤差項と相関を持った内生変数であるため、少なくとも5
つの独立した操作変数が必要
– 補完財参入式も、右辺のブロードバンド加入数が内生変数である。
– ブロードバンドの費用面のデータを表す中継光ファイバのアクセス
チャージ、DSLアクセスチャージを操作変数として利用
– オンラインで配信されていない音楽・動画・ゲームの販売数量はブロー
ドバンド加入率には影響しないが、ブロードバンドコンテンツ市場への
参入行動には影響を与えると考えられるため操作変数として用いた
– 音楽・動画の販売数量は日本レコード協会提供の公開している四半期
データを、ゲームはテレビゲーム産業白書に掲載されている家庭用
ゲームソフトの月次販売本数を利用。
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情報経済システム論
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政策シミュレーション
• Kuroda (2009):アクセス加入式推定結果
N
R-squared
Adjusted R-squared
料金
Mbps
音楽配信(ADSL)
音楽配信(CATV)
音楽配信(FTTH)
動画共有(ADSL)
動画共有(CATV)
動画共有(FTTH)
オンラインゲーム(ADSL)
オンラインゲーム(CATV)
オンラインゲーム(FTTH)
σ
*
は95%水準で有意
**
は99%水準で有意
OSL
1410
0.9971
0.9968
-0.0586 **
0.0006 *
0.0001
0.0002 **
0.0006 **
0.0020
0.0056 **
0.0201 **
0.0017 **
0.0022 **
0.0084 **
2SLS(1)
1410
0.0180
0.0002
0.0000
0.0000
0.0000
0.0012
0.0012
0.0012
0.0005
0.0005
0.0005
-4.6178 2.9417
0.0896** 0.0126
2SLS(2)
1410
-0.8861 ** 0.2539
0.0072 ** 0.0020
-0.0001 0.0002
0.0002 0.0002
0.0001 0.0002
-0.0032 0.0040
0.0008 0.0030
0.0134 ** 0.0047
0.0043 ** 0.0013
0.0028 * 0.0013
0.0115 ** 0.0028
0.0353 0.3476
– OLSと2SLSでモデルを推定。2SLS(1)は補完財を効用に含
めない場合の推定結果。また、アクセス間で間接ネット
ワーク効果を現すパラメータが同一とする仮説についてF
検定を行ったところ、1%水準で棄却。
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情報経済システム論
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政策シミュレーション
• Kuroda (2009):価格弾力性・速度弾力性
価格弾力性
ADSL
CATV
FTTH
自己価格弾力性
2005Q3
2005Q4
2001Q1
2006Q2
2006Q3
2006Q4
2007Q1
2007Q2
2007Q3
2007Q4
ADSL
-2.6411
0.3049
0.4706
ADSL
-2.6401
-2.6560
-2.6310
-2.6474
-2.6307
-2.6095
-2.6581
-2.6665
-2.6549
-2.6167
CATV
1.1104
-3.7409
0.5326
CATV
-3.8020
-3.7816
-3.7476
-3.6988
-3.7156
-3.7451
-3.7308
-3.6930
-3.7158
-3.7786
FTTH
1.2565
0.3815
-3.9787
FTTH
-4.3065
-4.2722
-4.1682
-4.0815
-4.0003
-3.9163
-3.8878
-3.7699
-3.7195
-3.6643
未加入
0.8942
0.2689
0.5279
速度弾力性
ADSL
CATV
FTTH
自己速度弾力性
2005Q3
2005Q4
2001Q1
2006Q2
2006Q3
2006Q4
2007Q1
2007Q2
2007Q3
2007Q4
ADSL
0.2734
-0.0315
-0.0488
ADSL
0.2749
0.2736
0.2717
0.2723
0.2738
0.2729
0.2727
0.2728
0.2745
0.2751
CATV
-0.0613
0.2025
-0.0326
CATV
0.1856
0.1849
0.1846
0.1836
0.1841
0.1840
0.2094
0.2089
0.2331
0.2667
FTTH
-0.3509
-0.0986
1.0592
FTTH
1.1496
1.1341
1.1156
1.0962
1.0721
1.0432
1.0303
0.9979
0.9843
0.9685
未加入
-0.0927
-0.0157
-0.1704
• サンプル毎の弾力性を計算し、各期・各県の加入者数でウエイトして計算。
行が価格が変化する選択肢を表し、列は影響を受ける選択肢。
• 各サンプルの価格弾力性はE pj  [  p (1   )] p j [1   s j| g  (1   ) s j ] なる。
• 上段は自己弾力性と交差弾力性であり、下段は自己弾力性の経年変化。
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情報経済システム論
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政策シミュレーション
• Kuroda (2009):補完財弾力性
コンテンツ弾力性
ADSL
CATV
FTTH
未加入
音楽
動画
ゲーム
音楽
動画
ゲーム
音楽
動画
ゲーム
音楽
動画
ゲーム
Within
Between
-0.0379 -0.0058
-0.0397 -0.0138
0.5175 -0.3486
0.1012 -0.0058
0.0097 -0.0138
0.3357 -0.3476
0.0671 -0.0058
0.1658 -0.0138
1.3935 -0.3496
Total
-0.0437
-0.0535
0.1689
0.0954
-0.0040
-0.0119
0.0613
0.1520
1.0439
-0.0058
-0.0138
-0.3496
• 補完財弾力性は、価格・速度などの選択肢固有の属性とは異なり全選択
肢の効用が変化するため、Enj  [ xn /(1   )] k  k 1(k  j )   sk|BB  (1   )sk  となる。
• 補完財が加入数に与える影響は、未加入からの加入の効果(between)と
アクセス間での相対的なシェアの変化(within)の効果が存在する
• 弾力性比は速度・サービスの弾力性を価格弾力性で除した値であり、投資
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情報経済システム論
効率の大小を表す。
n
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):ADSLの予測値
ADSL予測値
(加入者数)
16,000,000
15,000,000
14,000,000
13,000,000
12,000,000
11,000,000
10,000,000
2005Q3
2006Q1
実現値
•
•
•
2006Q3
OLS
2007Q1
2SLS(1)
2007Q3
2SLS(2)
OLSは推定値に下方バイアスが存在する
2SLS(1)は減少傾向ではあるが、ランダムな増減を伴っており再現性が高いとは言
い難い
2SLS(2)は当てはまりが良く・増減の方向も一致している
2016/7/9
情報経済システム論
15
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):CATVの予測値
CATV予測値
(加入者数)
5,000,000
4,500,000
4,000,000
3,500,000
3,000,000
2,500,000
2,000,000
2005Q3
2006Q1
実現値
2006Q3
OLS
2007Q1
2SLS(1)
2007Q3
2SLS(2)
• OLSはほぼ単調増加の傾向は再現しているが、下方バイアスを持つ
• 2SLS(1)はランダムな増減を示しているほか、直近の速度増加効果を過大
に予測しており、速度弾力性の過剰推定の影響が出ている
• 2SLS(2)は増加を予測しており、当てはまりも良い
2016/7/9
情報経済システム論
16
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):FTTHの予測値
FTTH予測値
(加入者数)
12,000,000
10,000,000
8,000,000
6,000,000
4,000,000
2,000,000
0
2005Q3
2006Q1
実現値
2006Q3
OLS
2007Q1
2SLS(1)
2007Q3
2SLS(2)
• OLSは増加を予測できているが、下方バイアスを持つ
• 2SLS(1)はFTTH加入者の増加を全く説明することができていない
• 2SLS(2)は増加を予測できており、当てはまりも良い
2016/7/9
情報経済システム論
17
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):FTTHの普及要因
料金・速度・補完財による接続サービス効用の変化
1.6
1.4
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
-0.2
ADSL
CATV
料金
速度
音楽
FTTH
動画
ゲーム
• 2005年Q3から2007年Q4までの間に生じた効用の変化を各説明変数に分
解
• 料金や速度による効用の変化は僅かであるが、コンテンツサービスによる
間接ネットワーク効果はアクセスサービスの効用に大きく影響している
2016/7/9
情報経済システム論
18
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):加入式の推定結果のまとめ
– OLSに比べて2SLSの方が当てはまりが良く、2SLS(2)はすべての選択
肢の増減をうまく再現している
– 価格弾力性は低い順にADSLの-2.641、CATVの-3.079、FTTHの3.741
– 速度弾力性は低い順にCATVの0.2025、ADSLの0.2734、FTTHの
1.059
– 速度に対する支払い意志額は8.1円/Mbps
– アクセス間で間接ネットワーク効果のパラメータが有意に異なることか
ら、コンテンツサービスの多様化がアクセス間のシェア変動を説明しう
る
– すべてのコンテンツの増加によってブロードバンド加入者数は増加する
– FTTHはすべてのコンテンツサービスの増加によって加入シェアが増え
るが、ADSLはオンラインゲーム、 CATVは音楽共有のみによって加入
シェアが増加し、その他のコンテンツによって加入シェアが減少する
2016/7/9
情報経済システム論
19
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):ネットワーク効果と価格弾力性
2SLS(1)
ADSL
CATV
FTTH
2SLS(2)
ADSL
CATV
FTTH
ADSL
CATV
FTTH
-14.5303
4.8557
6.0782
1.7478 -17.1535
2.0464
2.2272
2.1560 -20.6246
ADSL
CATV
FTTH
-2.6411
1.1104
1.2565
0.3049 -3.7409
0.3815
0.4706
0.5326 -3.9787
未加入
5.0394
1.7465
2.8031
未加入
0.8942
0.2689
0.5279
バイアス
ADSL
CATV
FTTH
Price
MC
PCM
ADSL
450.2%
473.2%
373.2%
2SLS(1)
2SLS(2)
2SLS(1)
2SLS(2)
CATV
337.3%
358.5%
304.8%
ADSL
3147.286
2930.685
1955.632
0.068822
0.378629
FTTH
未加入
383.7%
463.6%
436.4%
549.4%
418.4%
430.9%
CATV
FTTH
5214.878 4702.126
4910.865 4474.14
3820.86 3520.288
0.058297 0.048486
0.267316 0.251341
• 間接ネットワーク効果を含めないでブロードバンドアクセス式を推定した場
合、価格の下落によって当該選択肢の効用が直接的に増加する効果と、
価格下落によりブロードバンド加入者数が増加したことによって補完財市
場が拡大し、その結果補完財の多様性が増加することで生じるアクセスサ
ービスの効用増が混同されるため、価格弾力性の推定値にバイアスが生
じる。
• SSNIPテストによって市場の画定を行う場合、間接ネットワーク効果を含め
ない弾力性の推定値は市場の範囲を過大に画定する。
•2016/7/9
MCとPCMは単一財生産の独占を仮定した場合の例
20
情報経済システム論
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):
2005Q3
2005Q4
2006Q1
2006Q2
2006Q3
2006Q4
2007Q1
2007Q2
2007Q3
2007Q4
音楽(千円)
動画共有(千円)
オンラインゲーム(千円)
ADSL CATV FTTH ADSL CATV FTTH
ADSL CATV FTTH
534
-59
-50 24,614
617
-4,569 24,127 10,765
7,354
577
-53
-56 27,944
1,465
-5,341 27,087 11,984
8,650
631
-43
-68 32,733
2,526
-6,474 31,271 13,115 10,482
672
-30
-74 36,619
3,943
-7,512 34,621 14,577 12,258
710
-12
-82 40,919
5,463
-8,686 38,270 15,615 14,254
769
6
-99 46,960
7,033 -10,343 43,441 16,702 16,957
774
15 -109 48,696
7,718 -11,146 44,807 17,097 18,209
820
35 -125 53,768
9,560 -13,008 49,110 18,595 21,299
841
51 -104 54,761 11,392 -13,407 50,085 20,600 22,450
869
62 -103 57,266 12,353 -14,125 52,258 21,288 23,776
• 上記表は各アクセスを独占的に供給する仮想的な事業者がコンテンツ事
業者1社に取引制限をかけた場合のアクセス市場からの利潤増(費用は前
述の独占を想定したMCの推定値を利用)
• 仮想的ADSL独占事業者が動画共有1社を囲い込む事によるアクセス回
線からの利潤増は月額約5,727万円であり、オンラインゲーム1社を囲い込
む事による利潤増は5,226万円
• 取引制限が利潤増となるかはコンテンツ事業からの収益にも依存するが、
加入者数の最も大きいADSLはコンテンツの取引制限によって失う利益も
少ないため、最も強い取引制限のインセンティブを持つと言える
2016/7/9
情報経済システム論
21
政策シミュレーション
• Kuroda (2009):
オンラインゲームタイトルの売り上げ
タイトル数
市場規模(億円)
1タイトルあたりの平均月刊売上額(億円)
出典:「ファミ通ゲーム白書2007」
154
1830
0.99026
←代表的な動画共有サービスの一つであるニコニ
コ動画の2007年代4四半期における売り上げは
約1~1.50億円、収支は赤字
 コンテンツサービスは上位の少数の事業者が市場の殆どの利潤を得ると
言われており、平均的な事業者の価格費用マージンは低いと考えられるた
め、中位程度のコンテンツ事業者であれば囲い込みが合理的になりうる
 ADSL事業者によるコンテンツの囲い込みは利用者のFTTHへの移行を阻
害する。逆に言えば、「ネットワークの中立性」はFTTHの普及に寄与する
可能性がある。
2016/7/9
22
情報経済システム論
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):携帯電話プラットフォームの実証分析
– 手法の貢献
• 携帯電話事業者による決済代行サービスを考慮した多
面的市場のモデルを構築
• ネットワーク効果の推定結果から、携帯電話事業者の
決済代行手数料を推定
• 加入者とコンテンツ事業者の間の価格バランシングを
明らかに
– 政策効果の分析とシミュレーション
• モバイルナンバーポータビリティ(MNP)が携帯電話プ
ラットフォームに与えた影響を分析
• プラットフォームのオープン化(決済手数料への政策介
入)が加入者料金に与える影響を分析
2016/7/9
情報経済システム論
23
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):携帯電話プラットフォーム
コンテンツ事業者
決済代行手数料(pc*t)
携帯電話インターネット
利用プラットフォーム
コ
ン
テ
ン
ツ
(
N)
pc
情
報
料
(
)
コンテンツ作成支援?
プラットフォームへの加入料金(pa)
ユーザ
– ユーザとコンテンツ事業者は携帯電話事業者の提供するインターネッ
ト利用プラットフォームを通じて取引を行う
– 携帯電話事業者はユーザからプラットフォーム加入料pa、決済代行手
数料pc*tを受け取る
– プラットフォームに属するユーザとコンテンツ事業者の間には間接ネッ
2016/7/9 トワーク効果が働く
24
情報経済システム論
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):プラットフォーム利潤最大化問題
• 携帯電話事業者のプラットフォーム利潤最大化問題
• 携帯電話事業者jは、ユーザからの利用料収入と決済
代行手数料収入の合計を最大化する
 j   paj  f aj  Hs j (pa , N)   Rt j  f cj  N j (t j , Hs j )
• 利用料からの利潤
–
–
–
–
paj:ユーザのプラットフォームjの加入料金
faj:ユーザがプラットフォームjに所属するための限界費用
H:人口
sj :事業者jの加入率(価格ベクトル、コンテンツ事業者数ベクトルの関
数)
• 決済代行サービスからの利潤
2016/7/9
–
–
–
–
R:コンテンツ1種あたりの売り上げ
tj :コンテンツの売り上げから徴収する決済代行手数料(率)
fcj:1種のコンテンツがプラットフォームjに所属するための限界費用
25
情報経済システム論
Nj:コンテンツの種数(手数料、ユーザ数の関数)
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):多面的市場の1階条件
s j
N j

 (t j R  f c )
 paj  f a   s j /
paj
Hs j


t R  f   RN / N j  H ( p  f ) s j
c
j
a
a
j

t
N j
j

– 2式を解いて、利潤最大化を行った際のマージンを得る


s j
N j N j 
 RN j
/
 paj  f a    s j /

paj
Hs j t j 




N j
s j s j 

t j R  f c    RN j / t  Hs j N / p 
j
j
aj 



s j N j 
1  H

N j Hs j 


s j N j 
1  H


N

Hs
j
j 

ネットワーク効果によるマークアップ
市場支配力によるマークアップ
ネットワーク効果による値引き
2016/7/9
情報経済システム論
26
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):マージンの推定に必要な情報
– 加入者マージン
• プラットフォームへの加入率→TCAデータより観察可能
• 加入需要の価格弾力性(限界効果)→ユーザ行動を推
定
• 加入需要のコンテンツ弾力性(限界効果)→ユーザ行動
を推定
– 決済代行サービスマージン
• 1コンテンツあたりの売り上げ→総市場規模と企業数を
観察可能
• 決済手数料→NTTドコモの9%のみが知られている
• コンテンツ数の手数料弾力性(限界効果)→企業行動を
推定
2016/7/9
情報経済システム論
27
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):ユーザ行動
• プラットフォーム選択
– プラットフォームjに所属する効用を u j  V j ( p j , N j )  e j
と置く
– 消費者は、最も効用の大きいプラットフォームに加入すると
仮定
– 消費者がプラットフォームjに加入する確率は、
s j  P(u j  uk  j )
– 誤差項の分布を仮定する事で、プラットフォームjの選択確
率を得る
2016/7/9
情報経済システム論
28
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):コンテンツ消費
• コンテンツの消費は、加入するプラットフォームによらず、一定額Ex
を支払うと仮定する
• 事業者毎の一人あたりコンテンツ売り上げについての情報が無い
ため
• ユーザはコンテンツ支出額が一定であっても、多様性から効用を得
るとする
• 支出額一定の下、コンテンツiを xi だけ消費することから得られる
部分効用 X j を最大化する問題を考える
1
Nj
 Nj  
max X j   xi  s.t. E X   pci xi
1
 1

• pci:コンテンツiの価格、ρ:コンテンツ間の代替性 (0<ρ<1)
2016/7/9
情報経済システム論
29
分析モデル
• 部分効用最大化
– 1階条件より xi   pci  
1
 1
X
– 予算制約条件から、xi  pci
– 価格指数



 1
PX    N pci 


j


1
 1
 1

Nj
p
EX

 1
ci
1
と置く
– コンテンツ事業者の対称性(pci  pc )を仮定すると、
1

 1
 1
c
X
xi  p
P
EX
– コンテンツによる部分効用は、

X j  Njx


1

1
1


1
 1
c
 Nj x  Nj p
PX

 1
1
EX  N j

1
pc1E X
となり、 0  1  1   より、部分効用はコンテンツ数の非線形単調増
加関数
30
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):コンテンツ事業者の行動
– プラットフォームjに所属するコンテンツ事業者は、1種のコ
ンテンツを作成し、価格の一定割合tjを決済代行手数料と
して支払う
 i   pc (1  t j )  m1  xi  f
– 利潤最大化の1階条件より、 pc  m1 (1  t j ) 
– 利潤が0になるまで参入が生じるとすると、均衡状態におけ
る各企業の生産量は、 x*  f  m (1   )
*
– 市場均衡条件
• プラットフォームの所属人数njと一人あたり支出Exを所与とすると、
*
*
市場均衡では総支出=総収入が成立するので、N j pc x  n j EX
• よって、均衡における企業数 N 
*
j
2016/7/9
(1  t j )
情報経済システム論
f
(1   ) EX n j を得る
31
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):ユーザのプラットフォーム選択
– Berry(1994)に習い、誤差項に入れ子ロジットモデルの分布を仮定し、
得られた選択確率を線形モデルに変形する
– log( s )  log( s )  V p , N   log( s )  
j
0
j

j
j

j| g
j
• s0はどの携帯電話プラットフォームにも所属しない確率
• sj|gは選択肢グループgに所属したときに、選択肢jに所属する確率
•  j に正規分布を仮定
• コンテンツ数
– コンテンツ市場の均衡より、未知数n j  (1  t j )(1   ) EX / f とおき、
nと独立な正規分布に従うショックを j とおく
N j  n j n j   j
• これら2式からなる構造モデルの推定を行う
2016/7/9
情報経済システム論
32
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):推定の流れ
– ユーザのプラットフォーム選択行動、コンテンツ企業の行動
を表す2式の構造モデルを、3SLSを用いて推定する
– 推定の手続き
– 1・関数型の選択
• プラットフォーム選択行動における価格・コンテンツの関数型を選
択
• 価格:線形、対数
• コンテンツ数:線形、対数、二乗、事業者間の同一制約の有無
– 2・入れ子構造の選択
• ユーザのプラットフォーム選択行動を表す入れ子構造のうち、最も
当てはまりの高いモデルを用いる
– 3・MNPの効果の検定
2016/7/9
• MNPの導入が、ユーザのプラットフォーム選択行動、コンテンツ数
33
情報経済システム論
に与えた影響の有無を検定する
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):推定の流れ
– 入れ子構造の選択
• 選択肢は、未加入、NTT、KDDI、ソフトバンクそれぞれ
における、ネット接続有り(NTT, KDDI, SB)、無し(NTTN,
KDDIN, SBN)の2通りの合計7選択肢
• 入れ子の構造
– MNL:誤差項の相関無し
– 入れ子1:未加入、加入[NTT, NTTN, KDDI, KDDIN, SB,
SBN)
– 入れ子2:未加入、ネット無し[NTT, KDDI , SB]、ネット有り
[NTTN, KDDIN, SBN]
– 入れ子3:未加入、NTT[NTT, NTTN], KDDI[KDDI, KDDIN],
SB[SB, SBN]
2016/7/9
情報経済システム論
34
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):契約者数と公式サイト数
(加入者数)
携帯電話加入者数と公式サイト数の推移
(サイト数)
60,000,000
16,000
14,000
50,000,000
12,000
40,000,000
10,000
30,000,000
8,000
6,000
20,000,000
4,000
10,000,000
2,000
0
2002.06
2002.09
2002.12
2003.03
2003.06
2003.09
2003.12
2004.03
2004.06
2004.09
2004.12
2005.03
2005.06
2005.09
2005.12
2006.03
2006.06
2006.09
2006.12
2007.03
2007.06
2007.09
2007.12
2008.03
2008.06
2008.09
0
iモードサイト数
EZWebサイト数
Yahoo!ケータイサイト数
ドコモ加入者数
KDDI加入者数
Softbank加入者数
– 分析期間は2002年4月から2009年3月末
– 携帯電話加入者数は(社)電気通信事業者協会(TCA)が公表する毎
月の契約者数を利用
– 公式サイト数は各社IR資料、並びに総務省による競争評価にて公表さ
れたデータを利用
2016/7/9
情報経済システム論
35
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):契約者数データ
携帯電話インターネットサービス契約者数
(契約)
120,000,000
100,000,000
80,000,000
60,000,000
40,000,000
20,000,000
20
00
.0
20 6
00
.1
20 2
01
.
20 06
01
.1
20 2
02
.0
20 6
02
.1
20 2
03
.0
20 6
03
.1
20 2
04
.
20 06
04
.1
20 2
05
.0
20 6
05
.1
20 2
06
.0
20 6
06
.
20 12
07
.0
20 6
07
.1
20 2
08
.0
6
0
出展:
TCA
i
モード
EZweb
3社合計
携帯電話契約者数
Yahoo!ケータイ
– TCAは毎月の事業者毎の携帯電話からのインターネット接続契約数も
公表
– 2008年9月時点で携帯電話契約者の86%がネット接続も利用
2016/7/9
情報経済システム論
36
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):契約者数と公式サイト数
携帯電話解約率の推移
2.00%
1.80%
1.60%
1.40%
1.20%
1.00%
0.80%
0.60%
0.40%
0.20%
0.00%
2001.3 2002.3 2003.3 2004.3 2005.3 2006.3 2007.3 2008.3 2008.9
出展:各社IR
NTTドコモ
KDDI
ソフトバンク
– MNP導入後の解約率の下落は一時的であり、導入後も各
社の解約率は低下傾向
2016/7/9
情報経済システム論
37
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):データと出典の一覧
携帯電話加入需要方程式
被説明変数
シェア
説明変数
定義
出展
事業者毎の加入数を人口で除して作成
TC A/人口推計
操作変数
出典
マイライン登録者数
(グループ企業の毎 マイライン事業
月の契約者数を利 者協議会
用)
料金
ARPU (月間一人あたり売り上げ)を利
用、ネット接続未利用者は音声のみの
ARPU を利用
各社IR
公式サイト数
各社公式サイト数(ドコモは
FO M A+M O VA向けを加入者数で加重平
均)
各社IR/総務省 可処分所得
家計調査
ブロードバンド加入
者数
総務省
グループ内シェア
コンテンツ参入方程式
被説明変数
公式サイト数
各社公式サイト数(ドコモは
FO M A+M O VA向けを加入者数で加重平
均)
各社IR
説明変数
携帯電話加入数
事業者毎の加入数
TC A
着信接続料金(事
業者毎の毎年の
データを利用)
総務省資料
上記変数の2乗と交差項も操作変数として利用
2016/7/9
情報経済システム論
38
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):記述統計
変数
選択確率
料金(円)
コンテンツ(数)
着信接続料金(円)
マイライン登録率
可処分所得(円)
ブロードバンド加入者数(万)
M N Pダミー
平均
分散
最小
最大
0.118515 0.117972 0.0137817 0.379988
5521.07
1398.52
2005.96
8157.63
2470.39
3321.94
0
15560.1
43.962
5.0342
31.5482
52.4324
0.274658
0.2729 0.0332703 0.715006
288679
29969.5
238548
374797
2040.35
795.019
373.92
3031.22
0.391304 0.488574
0
1
選択確率
選択確率
料金(円)
コンテンツ(数)
着信接続料金(円)
マイライン登録率
可処分所得(円)
ブロードバンド加入者数(万)
M N Pダミー
2016/7/9
1
0.58809
0.8372
-0.39781
0.49178
-0.00054
0.10537
0.08543
料金
コンテンツ
0.58809
1
0.3775
0.30536
0.23445
0.01019
-0.60914
-0.53761
0.8372
0.3775
1
-0.42211
0.21978
-0.01893
0.3433
0.33084
着信接続料 マイライン登
ブロードバン
可処分所得
M NP
金
録率
ド
-0.39781
0.49178
-0.00054
0.10537
0.08543
0.30536
0.23445
0.01019
-0.60914
-0.53761
-0.42211
0.21978
-0.01893
0.3433
0.33084
1
-0.63115
0.0352
-0.69857
-0.57266
-0.63115
1
0.00318
-0.02013
-0.02356
0.0352
0.00318
1
0.00889
0.03599
-0.69857
-0.02013
0.00889
1
0.76744
-0.57266
-0.02356
0.03599
0.76744
1
情報経済システム論
39
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):関数型の選択(料金線形)
Ln(Sj)-Ln(S0)
R-squared
Adjusted R-squared
NTT
KDDI
SB
NTTN
KDDIN
SBN
RP
CONTENTS
Contents*NTT
Contents*KDDI
Contents*SB
LNS
Model1
対数
0.970775
0.970322
0.020988
-0.08968
-1.11607
2.024661
1.26859
1.495353
-0.00038
0.078386
Model2
対数
0.973856
0.973333
0.233
-0.987
-14.477
3.097
2.031
2.423
-21.089
1.093
Model3
線形
0.944815
0.943961
-0.14315
-0.25002
-1.24995
3.621107
-1.51923
-7.33675
-0.00034
-1.091
-1.891
-11.217
3.616
-1.918
-2.277
-13.152
-0.11061
0.408823
1.122859
-1.005
4.524
2.958
0.352573
0.222669
-0.85989
2.990574
2.142881
2.32358
-0.00043
-4.40E-05
Model4
線形
0.975309
0.974815
3.515
2.199
-9.987
22.781
21.07
26.479
-21.839
-3.138
Model5
2乗
0.943081
0.942199
-0.14363
-0.2499
-1.24954
2.744493
1.422801
1.079369
-0.00035
-1.265
-2.184
-12.939
20.931
10.751
2.946
-15.244
-1.18E-05
9.90E-05
0.000223
-0.88
4.865
3.043
0.364058
0.229243
-0.85624
2.863052
2.007736
2.174842
-0.00043
-3.45E-09
Model6
2乗
0.971553
0.970984
4.489
2.794
-12.217
38.59
37.33
47.267
-27.405
-4.693
-0.02856
-0.14105
-1.16087
2.743028
1.683142
1.756506
-0.00036
-0.299
-1.466
-14.258
36.128
20.724
9.914
-19.235
-1.42E-09
7.80E-09
1.55E-08
-2.084
4.214
2.298
Contents
R-squared
Adjusted R-squared
0.108331
0.104429
SUBSD
SUBSK
SUBSS
4.63E-05 1.47E+01 4.55E-05 1.45E+01 4.64E-05 1.48E+01 4.56E-05 1.45E+01 4.64E-05 1.48E+01 4.58E-05
6.23E-05 9.90E+00 6.37E-05 1.01E+01 6.14E-05 9.77E+00 6.37E-05 1.01E+01 6.16E-05 9.80E+00 6.35E-05
6.60E-05 5.61E+00 6.65E-05 5.65E+00 6.61E-05 5.62E+00 6.65E-05 5.65E+00 6.61E-05 5.63E+00 6.64E-05
2016/7/9
0.108632
0.104731
0.108126
0.104223
情報経済システム論
0.108626
0.104725
0.108166
0.104263
0.108595
0.104694
40
14.547
10.084
5.649
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):関数型の選択(料金対数)
Ln(Sj)-Ln(S0)
R-squared
Adjusted R-squared
NTT
KDDI
SB
NTTN
KDDIN
SBN
LRP
CONTENTS
Contents*NTT
Contents*KDDI
Contents*SB
LNS
Model7
対数
0.98504
0.984808
11.08635
10.98921
9.969804
-0.94358
-1.57621
-1.18727
-1.52704
0.403385
Model8
対数
0.983512
0.983183
24.922
24.671
22.913
-2.362
-4.125
-3.104
-29.149
9.104
Model9
線形
0.96361
0.963047
11.67716
11.57179
10.53133
2.013796
-2.78283
-0.47539
-1.59293
16.65
16.477
15.352
3.283
-5.674
-0.188
-19.28
0.058051
0.546076
0.315286
0.855
9.684
1.059
13.00233
12.888
11.81427
2.401886
1.684786
2.091909
-1.74616
1.88E-05
Model10
線形
0.97661
0.976142
21.726
21.503
20.178
25.471
23.028
30.066
-24.775
1.785
Model11
2乗
0.944587
0.943728
12.52412
12.41427
11.35
2.551902
1.228072
2.355884
-1.69053
16.87
16.701
15.632
26.633
12.649
6.771
-19.332
-5.41E-06
0.000115
-3.65E-05
-0.536
7.483
-0.527
14.12318
13.99331
12.88608
2.543848
1.778775
2.166911
-1.87261
-1.14E-09
Model12
2乗
0.959964
0.959163
24.175
23.907
22.542
39.193
37.462
47.252
-27.225
-1.682
13.72738
13.60744
12.50746
2.58633
1.532975
2.566969
-1.82795
17.419
17.246
16.23
36.997
20.458
12.353
-19.695
-1.64E-09
8.57E-09
-1.68E-08
-2.493
4.846
-2.15
Contents
R-squared
Adjusted R-squared
0.108515
0.104613
SUBSD
SUBSK
SUBSS
4.59E-05 1.46E+01 4.55E-05 1.45E+01 4.61E-05 1.46E+01 4.55E-05 1.45E+01 4.59E-05 1.46E+01 4.55E-05
6.27E-05 9.96E+00 6.38E-05 1.01E+01 6.10E-05 9.70E+00 6.38E-05
10.126 6.02E-05 9.58E+00 6.34E-05
6.64E-05 5.65E+00 6.65E-05 5.66E+00 6.68E-05 5.68E+00 6.65E-05 5.65E+00 6.72E-05 5.71E+00 6.63E-05
2016/7/9
0.108631
0.104731
0.108151
0.104248
情報経済システム論
0.108632
0.104732
0.107949
0.104045
0.108623
0.104722
41
14.483
10.066
5.641
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):入れ子の選択
Ln(Sj)-Ln(S0)
R-squared
Adjusted R-squared
NTT
KDDI
SB
NTTN
KDDIN
SBN
Log(RP)
Log(CONTENTS)
Log(Contents)*NTT
Log(Contents)*KDDI
Log(Contents)*SB
LNS
入れ子1
NL(NSUB, SUB)
0.987253
0.987027
11.06501
11.06244
10.57721
-5.15191
-5.21532
-5.0675
-1.32012
0.744416
36.14
36.101
34.896
-11.903
-13.587
-12.677
-31.731
19.427
入れ子1
入れ子2
入れ子2
NL(NSUB, NTT, KDDI, SB)
0.992428
0.995459
0.992294
0.995358
0.99593
0.99584
12.65939
12.62066
11.94128
-1.33657
-3.96499
2.27163
-1.55819
29.085
28.809
26.635
-2.47
-12.342
1.468
-31.731
10.75778
10.47516
9.586393
-3.38924
-3.73138
-3.46705
-1.41203
0.616111
32.995
30.4
29.395
-5.529
-6.926
-6.131
-28.923
11.795
11.96815
11.57188
10.71263
-1.20758
-5.54511
-0.2818
-1.50698
入れ子3
入れ子3
NL(NSUB, ネット有り, ネット無し)
0.994062
0.986175
0.993956
0.985867
27.554
26.692
25.285
-2.315
-11.911
-0.18
-28.519
8.142574
8.651977
8.519869
-3.85799
-4.89524
-5.36482
-0.94928
0.548307
19.839
23.357
26.926
-10.144
-12.131
-11.322
-14.197
17.479
10.36193
10.6592
10.1944
0.234649
-4.28349
0.073328
-1.28213
15.597
16.74
17.019
0.364
-8.176
0.033
-13.435
2.223
11.376
0.061
4.929
0.658501
0.340757
0.619816
-0.09593
10.811 0.479123
6.832
18.388
-0.514
6.975 0.319562
0.322471
0.807329
0.203246
3.888 0.496962
6.671
17.34
1.099
7.099 0.893623
0.135766
0.557437
0.016211
10.067 0.597548
Contents
R-squared
Adjusted R-squared
0.108451
0.10455
0.108638
0.104737
0.108343
0.10444
0.108638
0.104737
0.108577
0.104676
0.108637
0.104736
SUBSD
SUBSK
SUBSS
4.48E-05 1.42E+01 4.53E-05 1.44E+01 4.44E-05 1.41E+01 4.53E-05 1.44E+01 4.57E-05
6.52E-05 1.04E+01 6.37E-05 1.01E+01 6.54E-05 1.04E+01 6.36E-05 1.01E+01 6.28E-05
6.53E-05 5.55E+00 6.65E-05 5.65E+00 6.64E-05 5.65E+00 6.64E-05 5.65E+00 6.65E-05
14.501 4.53E-05
9.977 6.36E-05
5.656 6.65E-05
2016/7/9
情報経済システム論
42
14.385
10.097
5.651
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):MNPの効果
加入需要への影響
Ln(Sj)-Ln(S0)
R-squared
Adjusted R-squared
NTT
KDDI
SB
NTTN
KDDIN
SBN
RP
CONTENTS
Contents*NTT
Contents*KDDI
Contents*SB
LNS
RPM
Contents
R-squared
Adjusted R-squared
SUBSD
SUBSK
SUBSS
0.987129
0.986872
11.0702
11.06792
10.58294
-5.16178
-5.22514
-5.07746
-1.32076
0.745751
0.658683
-4.93E-05
0.108453
0.104551
加入需要への影響
コンテンツ数への影響 コンテンツ数への影響 両方への影響
0.99536
0.995246
30.965
30.878
29.589
-11.013
-12.511
-11.714
-29.18
17.507
12.46636
12.42043
11.71262
-0.70562
-3.61605
2.905004
-1.54834
0.988815
0.988616
27.243
26.956
24.765
-1.151
-9.826
1.769
-30.419
10.64456
10.63895
10.14031
-4.81796
-4.91772
-4.76122
-1.28157
0.712611
2.75E-01
4.764
0.582139 1.50E+01
-0.166 -8.42E-01
10.578 0.439306 6.08E+00 0.624761
-0.026 0.002841
1.767
0.108639
0.104738
0.995976
0.995886
32.45
32.366
31.048
-11.112
-12.731
-11.849
-29.993
18.226
12.67792
12.6405
11.96583
-1.41981
-3.99418
2.233697
-1.55857
両方への影響
0.986996
0.986736
29.154
28.881
26.715
-2.625
-12.444
1.445
-31.768
11.01718
11.01569
10.52632
-5.18765
-5.26035
-5.10891
-1.31729
0.75264
0.99546
0.995349
28.56
28.464
27.212
-10.786
-12.234
-11.455
-27.609
17.026
12.47678
12.43164
11.72864
-0.78645
-3.60868
2.863
-1.54731
27.399
27.111
24.922
-1.283
-9.85
1.749
-30.527
4.888
15.009
-0.827
6.213
2.314
0.34933
0.622683
-9.23E-02
10.351 4.85E-01
7.009
18.489
-0.495
7.073 0.646269
-0.00469
0.28219
0.579867
-0.16263
10.103 0.447112
-2.265 0.003721
0.189864
0.180942
0.181975
0.172966
0.189652
0.180728
0.180033
0.171002
4.48E-05 1.42E+01 4.53E-05 1.44E+01 3.61E-05 9.29E+00 3.15E-05 7.72E+00 3.46E-05 8.78E+00 3.17E-05
6.52E-05 1.04E+01 6.38E-05 1.01E+01 4.44E-05 5.56E+00 4.90E-05 5.85E+00 4.17E-05 5.16E+00 4.77E-05
6.53E-05 5.55E+00 6.65E-05 5.65E+00 2.90E-05 1.85E+00 2.24E-05 1.39E+00 2.53E-05 1.61E+00 2.35E-05
1.87E-05 3.54E+00 2.99E-05
4.972 2.22E-05
4.078 2.95E-05
4.27E-05
4.06 3.01E-05
2.503 4.80E-05
4.444 3.30E-05
7.00E-05
3.33 8.50E-05
3.79 7.72E-05
3.638 8.31E-05
2016/7/9
情報経済システム論
43
7.771
5.695
1.455
4.906
2.758
3.712
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):
全期間
N TT
KD D I
SB
N TTN
KD D IN
SB N
加入率
シェア
料金
コンテンツ数
0.0609
0.1072
3855
0
0.0455
0.0763
3887
0
0.0227
0.0375
3830
0
0.3280
0.4826
6088
6065
0.1505
0.2113
6815
4625
0.1112
0.1449
4857
4826
加入需要の価格弾力性
N TT
KD D I
SB
N TTN
KD D IN
SB N
未加入
N TT
KD D I
SB
N TTN
KD D IN
SB N
-2.7762
0.1832
0.0905
1.2207
0.5453
0.3864
0.2525
-2.8455
0.0905
1.2207
0.5453
0.3864
0.2525
0.1832
-2.9382
1.2207
0.5453
0.3864
0.2525
0.1832
0.0905
-1.8080
0.5453
0.3864
0.2525
0.1832
0.0905
1.2207
-2.4834
0.3864
0.2525
0.1832
0.0905
1.2207
0.5453
-2.6423
0.0949
0.0709
0.0353
0.5113
0.2346
0.1734
加入需要のコンテンツ弾力性
N TT
KD D I
SB
N TTN
KD D IN
SB N
未加入
2016/7/9
N TTN
-0.2736
-0.2736
-0.2736
0.4052
-0.2736
-0.2736
-0.1146
KD D IN
SB N
-0.2179
0.0229
-0.2179
0.0229
-0.2179
0.0229
-0.2179
0.0229
0.9922
0.0229
-0.2179 -0.1564
-0.0937
0.0103
コンテンツの加入者弾力性
N TTN
KD D IN
SB N
情報経済システム論
全期間
M N P前
M N P後
0.2734
0.2788
0.2730
0.2367
0.1952
0.2756
0.1345
0.0701
0.2937
44
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):政策シミュレーション
– キャリブレーション
– 1社あたりの販売額
• 携帯電話コンテンツ事業者の業界団体である、モバイルコンテンツフォーラ
ム(MCF)による、毎年のコンテンツ市場の市場規模の調査結果を利用
• 分析期間中の1社あたり一月売り上げの平均は1,722,692円
• (2002年:3,191,114円、2009年1,477,513円)
– 手数料
• NTTドコモはiモード開始時における、決済代行手数料を9%と公表
• その後の変更や相対による割引の有無については不明、他事業者の水準
についても不明
• NTTドコモの手数料を9%と仮定し、一人あたり支出、コンテンツの代替性、
コンテンツ作成の固定費用が事業者間で等しいとし、コンテンツ数の加入
者係数の比から、他事業者の決済手数料水準を推定
•
2016/7/9
k
 j (1  t j )(1   ) Ex
f

より、 tk  1  1  t j
j
k
f
(1  tk )(1   ) Ex

情報経済システム論

45
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):手数料の推定結果
– MNP前後でNTTドコモが9%を継続した場合と、手数料を変更した場
合の2通りを計算
M N P後
M N P後
(N TT変更無し) (N TT変更有り)
0.0900
0.0900
-0.7736
-0.4137
-0.1704
-1.2812
0.3534
-0.5899
-2.0989
M N P前
N TT
KD D I
SB
– コンテンツ数の加入者弾力性から導かれた手数料水準では、 KDDIは
MNP以前より負の決済代行手数料により、加入者からの黒字でコンテ
ンツ事業者への決済代行サービスの赤字を賄っていたと考えられる
– MNPによるコンテンツ数の加入者数係数の変化が決済代行手数料の
変化のみによるとすると、非常に大きな値引きが行われたと考えられる
– この変化を手数料のみによると考えるのはやや困難であり、コンテンツ
作成費への補助や、一人あたり支出額等の影響を割り引く必要がある
2016/7/9
情報経済システム論
46
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):マージン/限界費用の推定
– 1加入者・1コンテンツからのマージンを、推定されたモデルパラメータ
から算出する


s j
N j N j 
 RN j
/
 paj  f a    s j /

paj
Hs j t j 




N j
s j s j 

t j R  f c    RN j / t  Hs j N / p 
j
j
aj 



s j N j 
1  H

N j Hs j 


s j N j 
1  H


N

Hs
j
j 

– 手数料の値上げによるコンテンツ数の変化は、コンテンツ
数の加入者係数を用いて、N   1    Exn /  f  T     n
t
1 t
となる
– NTTドコモの手数料は9%、KDDI,SBの手数料は、NTTドコ
モの手数料が9%でMNP前後で一定の場合の推定値を用
いる
nj
j
j
j
2016/7/9
情報経済システム論
j
j
47
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):マージン/限界費用の推定
– 加入需要のマージン
マージン
N TT
KD D I
SB
N TT_W N
KD D I_W N
SB _W N
¥4,377
¥3,073
¥2,043
¥4,687
¥6,253
¥1,356
市場支配力
ネットワーク効果
ネットワーク効果
水平的外部性
価格
による値引き
によるマークアップ
¥1,389
¥1,366
¥1,303
¥3,367
¥2,744
¥1,838
¥0
¥0
¥0
¥-216
¥-376
¥-534
¥1,650
¥584
¥278
¥1,017
¥2,417
¥80
0.6942
0.6346
0.7740
0.8892
0.7652
1.0210
¥3,855
¥3,887
¥3,830
¥6,088
¥6,815
¥4,857
限界費用
¥-521
¥814
¥1,787
¥1,401
¥561
¥3,501
• 水平的外部性は消費者の加入需要において、ネット有りサービス
とネット無しサービスを生産していることによるマージン(Appendix
参照)
– 決済手数料からのマージン
マージン
N TT
KD D I
SB
2016/7/9
市場支配力
¥-5,764,529 ¥5,734,925
¥-18,139,016 ¥6,623,464
¥12,245,984 ¥11,654,258
ネット未加入者 ネット加入者
限界費用
¥1,524,476 ¥-13,023,930
¥5,919,572
¥835,268 ¥-25,597,748 ¥18,294,058
¥-27,834
¥619,559 ¥-12,090,941
情報経済システム論
48
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):価格バランシングの分析結果
– 加入者がコンテンツ事業者に与えるネットワーク効
果による値引き分は、NTT216円、KDDI376円、
SB534円
– コンテンツ事業者が加入者に与えるネットワーク効
果による値引きは大きく、加入者から得られる収
入で、決済代行サービスの赤字分を埋め合わせて
いる
– ただし、この推定結果では補助金額が非常に大き
い(コンテンツ事業者1社あたりの販売額の数倍に
及ぶ)
2016/7/9
情報経済システム論
49
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):MNP前後におけるマークアップの変化
M N P前
加入者
N TT
KD D I
SB
N TT_W N
KD D I_W N
SB _W N
コンテンツ
N TT
KD D I
SB
M N P後
加入者
N TT
KD D I
SB
N TT_W N
KD D I_W N
SB _W N
コンテンツ
N TT
KD D I
SB
2016/7/9
ネットワー
ネットワー
市場支配 ク効果に 水平的外 ク効果に
マージン
よるマー
よる値引 部性
力
クアップ
き
¥4,075
¥3,511
¥2,397
¥4,270
¥4,661
¥2,245
¥1,407
¥1,369
¥1,415
¥2,652
¥1,905
¥2,491
¥0
¥0
¥0
¥-205
¥-738
¥-432
¥1,157
¥292
¥298
¥1,305
¥2,539
¥212
0.63
0.47
0.71
0.88
0.80
1.01
-7407304 6847242 2161032 -1.6E+07
-3214943 15194642 1065928 -1.9E+07
20441703 19356535 -37949.6 1123117
¥3,626
¥2,590
¥1,641
¥4,405
¥5,821
¥701
¥1,344
¥1,359
¥1,013
¥3,496
¥2,566
¥1,719
¥0
¥0
¥0
¥-305
¥-513
¥-892
¥1,555
¥586
¥229
¥743
¥2,251
¥-93
変化率
ネットワー
ネットワー
市場支配 ク効果に 水平的外 ク効果に
マージン
よるマー
よる値引 部性
力
クアップ
き
N TT
KD D I
SB
N TT_W N
KD D I_W N
SB _W N
-11.02%
-26.24%
-31.54%
3.15%
24.89%
-68.76%
-4.42%
-0.69%
-28.39%
31.84%
34.68%
-31.00%
34.44%
0.00%
0.00% 100.56%
0.00% -23.05%
49.19% -43.05%
-30.54% -11.34%
106.30% -144.16%
N TT
KD D I
SB
-73.14%
236.64%
-82.06%
-25.04%
-48.00%
-82.48%
-75.69%
-57.65%
-39.84%
27.12%
58.79%
5.96%
1.65%
-7.01%
3.42%
-53.41%
-1.54%
-73.36%
0.80
0.75
0.76
0.89
0.74
1.05
-1989641 5132824 525333.3 -7647799
-1.1E+07 7900554 451435.8 -1.9E+07
3667147 3390832 -22831.1 299145.8
情報経済システム論
50
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):MNP導入の効果の分析
– MNPの導入は、NTT・KDDIの市場支配力によるマージンを低下させ
ず
– 他方、決済手数料の引き下げを通じて、NTT・SBにおける決済代行
サービス側のマージンが低下(補助金が増加)、KDDIの補助金は減
少(ただし、依然としてNTT・KDDIのマージンは負)
– 決済手数料の引き下げの結果、消費者はコンテンツ数の増加による便
益を得ている
– コンテンツの増加による便益に相当する加入料金の低下は、NTTでは
¥847.42円、KDDIでは¥1,056.44。(SBは係数が有意ではないのため省
略)
– 従って、MNPの導入は加入市場における価格競争に影響を与えな
かったが、コンテンツ事業者へのwaterbed effectを経由したネットワーク
効果によって、消費者に便益をもたらしたといえる
2016/7/9
情報経済システム論
51
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):プラットフォームのオープン化
– 携帯電話プラットフォームのオープン化の効果を分析する
ため、携帯電話事業者による決済代行サービスがアンバ
ンドリングされた場合の影響を分析
• 各事業者は決済手数料による収入を得られず、コンテンツ事業者
は他の決済事業者を利用するため、コンテンツ数は不変と仮定
• 水平的外部性によるマークアップの低下が、手数料収入分を考慮
しなくなったことによる値上げを上回るため、加入料金は下がる
• 水平的外部性によるマークアップの大幅な減少は、インターネット
利用サービスから未利用サービスへの顧客の代替を防ぐため(?)
N TT
KD D I
SB
N TTN
KD D IN
SB N
2016/7/9
プラットフォーム
プラットフォーム
(市場支配力) (水平的外部性)(マークアップ)
w aterbed effect
分離後のマージン
分離後の価格
¥1,518
¥1,389
¥36
0.9386
¥997
¥-2,859
¥1,416
¥1,366
¥30
0.9859
¥2,230
¥-1,656
¥1,318
¥1,303
¥9
0.9955
¥3,106
¥-724
¥3,648
¥3,367
¥57
0.9386
¥5,049
¥-1,039
¥2,838
¥2,744
¥53
0.9859
¥3,399
¥-3,416
¥1,858
¥1,838
¥12
0.9955
¥5,359
¥502
情報経済システム論
52
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):結論
– 携帯電話事業者によるインターネット利用プラットフォーム
は、加入者とコンテンツ事業者の間にネットワーク効果が
働く多面的市場となっている
– 携帯電話事業者によるネットワーク効果を考慮した値付け
の結果、NTT、KDDIに関してはコンテンツ事業者の課金
代行サービスの赤字を、加入者からの黒字で補っている
– プラットフォームのオープン化により、携帯電話事業者が決
済手数料収入を考慮せずに加入者料金を決定する事で、
加入者料金の値上げが行われると予想されるが、インター
ネット未利用サービスへの代替による収入減の存在により、
オープン化によって料金の値下げが行われる(?)
2016/7/9
情報経済システム論
53
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):Appendix
– 複数の加入需要が存在する場合
– 事業者の利潤
 j   paj0  f aj0  Hsaj0 (pa , N)   p1aj  f aj1  Hs1aj (pa , N)   Rt j  f c  N j (t j , Hs1aj )
– 1階条件
1
1
0
 0



s

N

s

s
aj
j
aj
aj
0
0
1
1
/
 paj  f aj    saj   paj  f aj  0  (t j R  f c )

1
0
0

p

Hs

p

p



aj
aj
aj 
aj


0
1
1



s

N

s

s
 1
aj
j
aj
aj
1
0
0
1
p

f


p

f

s

(
t
R

f
)
/
  aj
 aj
aj
aj 
aj
j
c
1
1
1 
1

p

Hs

p

p

aj
aj
aj 
aj



0
1

 N j

s

N

s
j
aj N j
1
1
 t R  f   H ( p 0  f 0 ) aj
 H ( paj  f aj )
 RN j  /

c
aj
aj
 j
N j t j
N j t j

 54t j
2016/7/9
情報経済システム論
政策シミュレーション
• Kuroda (2010):1階条件

 0 saj0  1 s1aj  s1aj saj0     saj0 s1aj 
 saj0 N j   s1aj saj0

0
0
 paj  f aj    saj / 0   saj / 1  0 / 0   / 1   1 / 1   H 
/

1
 0
 
0
1 







N

p

p

p

p

p

p

p

p

Hs


j
aj
aj 
aj
aj  
aj 
aj
aj
aj  

 

   aj

1
 1
 1 saj
1
 paj  f aj   saj / 1
paj



 N 1j N j    s1aj saj0  saj0 s1aj  
saj0 N j s1aj saj0  
saj0 N j s1aj saj0

 RN j 
/
/
/
1 H
/ 1  / 1  H
/ 0
1 
1
1
1
0

 Hs1 t j    p 0 p 0 
 p1 p1  



N

N

Hs

p

p

Hs

p
paj
j
j
aj
aj 
aj
aj  
aj
aj
aj  
aj
aj


   aj

 0 saj0  saj0 s1aj 

saj0 N j s1aj saj0  
saj0 N j s1aj saj0  
  saj / 0  1 / 1 1  H
/ 1  / 1  H
/ 0 

1
1
1
0

 p p 
 

N

N

p

Hs

p

p

Hs

p
paj  
j
j
aj
aj
aj
aj
aj
aj
aj
aj




 


s1aj N j 
s1aj saj0 

/ 1  H
1
/



 p 0 p 0 

N

Hs
j
j
aj
aj 





N j 
saj0
s1aj
0
0
1
1
 t j R  f c    RN j /
 H ( paj  f aj )
  H ( paj  f aj )



t

N
N j
j
j



2016/7/9
情報経済システム論

 
 
55