価格と需要 - 拓殖大学

ミクロ経済学I
(3) 価格と需要
丹野忠晋
拓殖大学政経学部
2016年4月27日
完全競争市場
 アダムスミスの見えざる手を表現できる最も理
想的な市場での競争はなんだろう?
 それが完全競争市場と呼ばれる市場だ!
 完全競争市場とは
個々の経済主体は市場で成立する価格に影響を
及ぼすことができない市場を言う
 市場価格を与えられたものとして行動する
 競争が行き着いた究極の状態,理想
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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プライステイカー
 完全競争市場での経済主体をプライステイカー
あるいは価格受容者と呼ぶ
 例えばお米を作っている農家を想像
 ある農家の取引量と日本全体の消費量を比較す
るとその農家のお米の生産量は小さい
 一年間のお米の消費量も日本全体から比べると
ほんの小さな部分
 個々の取引は米の価格に直接的な影響を及ぼせ
ない
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
3
一物一価の法則

完全競争における自由な競争は,同一の財には
同一の価格が付けられていく

もし異なる価格を消費者が知っていれば安い財
に殺到するだろう

価格は単一の価格に近づく一物一価の法則

市場で付く価格で誰でも自由に売買ができる競
争は自由で民主的な制度

競争の機能を理解するために最初は完全競争を
主に考えていく
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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取引で重要な価格

価格,賃金,利子は大きなインセンティブ

価格により財・サービスの量はどう決まる?

手持ちのお金以上の財は購入できない

重要なのは価格

価格は財やサービスを一単位他者に提供した
ときに受け取る報酬を意味.価格の英語は?
price

頭文字を取って記号Pで省略
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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価格の役割





ガソリン価格の上昇→電車を使う
上昇理由を知る必要ない
普通に反応すれば節約できる
生存に必要な水の価格はなぜ低い?
重要なものなのになぜ低い価格? ここが重要
価格
所得
嗜好(好み) etc
買い物行動
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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市場を売り手と買い手に分ける
買い手
買い手
価
格
買い手





売り手
売り手
売り手
みんな価格を見て反応している
完全競争市場では各経済主体は価格に影響を
及ぼすことはできません
買おうとする人と売ろうとする人のバランス
が価格を定める
後で学ぶが価格は需要と供給によって決まる
セリ人のような価格調整者がいると想定
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
7
個別需要

個々の買い手の購入意欲を最初に分析

プレイした後にイチローはかき氷を食べる

需要は与えられた価格の下で家計や企業が購入
しようとする財サービスの数量を表す

需要は英語で Demand なので D で省略

数量は英語で Quantity なのでQで省略

価格と需要量に注目して他の要因を一定に保つ
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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イチローのかき氷の需要表
•
•
•
イチローはか
き氷の値段
が一杯200円
の時に2杯購
入する
価格が100円
に下がれば6
杯食べる
1/2杯なども
可能とする
2016/4/27
価格
500円
需要量
0杯
300円
1杯
200円
2杯
150円
3杯
125円
4杯
100円
6杯
75円
9杯
50円
15杯
ミクロ経済学I 3
9
個別需要曲線

安ければ沢山買うが,高ければ余り買わない

個別需要曲線は,ある経済主体の様々な価格
の下で需要量がいくらかになるかをグラフに
表したもの

縦軸に価格 P を取る

横軸に数量 Q を取る

イチローがどのくらいかき氷を食べるのか需
要表からその曲線を描いてみよう
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
10
2016/4/27
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11
需要曲線の見方
かき氷の価格
イチローのかき氷
に対する需要曲線
価格から数量を見る
100円
かき氷の数量
6杯
2016/4/27
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需要曲線

需要曲線は右下がり=負の相関関係

価格が上がれば需要量は減ることを需要の法則

価格が上昇すれば購入コストが増え,節約する

縦軸の価格から横軸の数量を見る

各経済主体は個別需要曲線を持っていると考える

甘い物好きと辛い物好きでは需要曲線は異なる
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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価格下落の効果
かき氷の価格
イチローのかき氷
に対する需要曲線
200円
右下がりは価格が下落すると
需要が増えることを意味する
100円
かき氷の数量
2杯
2016/4/27
6杯
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甘い物好きの石川遼のかき氷の需要表
•
•
石川遼はか
き氷の値段
が一杯200
円の時に3
杯購入する
価格が100
円に下がれ
ば8杯食べ
る
2016/4/27
価格
500円
需要量
0杯
300円
2杯
200円
3杯
150円
4杯
125円
6杯
100円
8杯
75円
11杯
50円
18杯
ミクロ経済学I 3
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甘い物好きの石川遼の需要曲線
かき氷の価格
石川遼のかき氷
に対する需要曲線
イチローより右に
需要曲線がある
75円
11杯
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
かき氷の数量
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2人の需要曲線の比較
かき氷の価格
どんな価格でも石川遼の
需要が大きい
石川遼のかき氷
に対する需要曲線
75円
イチローのかき氷
に対する需要曲線
かき氷の数量
少い 9杯
2016/4/27
多い11杯
ミクロ経済学I 3
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市場全体の需要曲線

人々の動きが足し合わさって経済全体の動き

世の中にはイチローと石川遼しかいないとする

かき氷価格が75円のときイチローの需要は9杯

その時,石川遼の需要は11杯である

市場全体では20杯(=9+11)のかき氷の需要

市場全体の需要曲線はどうなるだろうか?
2016/4/27
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市場需要曲線


個人の力が集計されて市場全体の動きになる
市場需要曲線とは市場全体の様々な価格の下で
需要量がいくらになるかをグラフに表したもの

個別需要曲線は右下がりなので市場需要曲線も右
下がり

個別と市場を略す場合があるので注意
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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市場需要曲線の作り方
P
石川遼の
需要曲線 P
イチローの
需要曲線 P
かき氷の
市場需要曲線
75円
9
2016/4/27
Q
11
Q
ミクロ経済学I 3
20
Q
20
市場需要曲線の作り方
 個別需要曲線を水平に足し合わせる
 各価格に対して個別の需要量を足し合わせる
 イチローと石川遼の例では,価格75円で
9+11=20
 合計20個の市場全体の需要
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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需要曲線のシフト

価格以外の他の要因が変化したらどうなるか?

需要曲線はある財の価格と数量の関係

他の要因が変わると需要曲線が移動する

この需要曲線の移動をシフトすると言う

例えば,甘い物よりも辛いものが好きな人が増え
た場合にかき氷の需要曲線はどうなるでしょう?
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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かき氷の需要曲線の左シフト
P
全ての価格で需要量が減る
嗜好変化後の
需要曲線
当初の需要曲線
嗜好が変化すると
需要曲線がシフトする
甘党から辛党へ
少い
2016/4/27
多い
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Q
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かき氷の需要曲線の左シフト
P
嗜好変化後の
需要曲線
当初の需要曲線
辛党が増えたとする
(嗜好の変化)
Q
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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需要曲線がシフトする要因

お小遣い前だから昼食を安いカップ麺で我慢

金持ちになるとフランス料理を食べに行く

所得の変化と関連する他の財の価格変化が重要
な需要曲線のシフト要因

通常,所得が高くなると財の需要は増加

そのような財を上級財または正常財という

パンの耳,おから,ソーセージ

所得が減少したとき需要が増える財を下級財ま
たは劣等財という
2016/4/27
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所得の増加によって上級財であるア
イスクリームの需要曲線が右シフト
P 当初の需要曲線
所得上昇後の需要曲線
需要が増加する
ならば右シフトする
バイト代が入ったので
アイスを沢山食べる
Q
2016/4/27
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需要曲線とシフトの図式
赤の関係が需要曲線
価格
他の要因が変化
したときに赤の矢
印は変わる
所得
嗜好(好み)
需要量
他の財の価格 etc
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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互いに競う財,代替財

アイスクリームの価格が高くなるとかき氷を食べ
る人が増える

かき氷でアイスクリームを代替(だいたい)する

代替とは他のもので代えること

一方の財の価格上昇が他方の財の需要量を増す場
合に,この2財は代替財の関係にあるという

バターとマーガリン,コーヒーと紅茶,電車とタ
クシー,コカコーラとペプシ,パスタとうどん
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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アイスクリームからかき氷への代替
当初のかき氷の需要曲線
か P
き
氷
の
価
格
アイスクリーム
価格上昇後の
需要曲線
かき氷の需要曲線
が右シフトする
Q
かき氷の数量
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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一緒に消費をする補完財

ダルビッシュはコーヒーに砂糖を入れる

砂糖の価格が高くなると,あたかもそれを入れて飲
むコーヒーの価格は上昇する効果

一方の財の価格上昇が他方の財の需要量を減少する
場合に,この2財は補完財の関係にあるという

牛乳とパン,スキーとストック,携帯電話機と通話
サービス,乗用車とガソリン,かき氷とイチゴシ
ロップ,ショートケーキと紅茶,シャープペンと芯
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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砂糖価格の上昇によるコーヒーの
需要曲線の変化
砂糖価格上昇後の
コ P
ー
需要曲線
ヒ
ー
の
価
格
当初のコーヒーの需要曲線
コーヒーの需要曲線が
左シフトする
Q
コーヒーの数量
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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シフトの要因のまとめ
1.
嗜好~甘党から辛党へ好みが変わる
2.
所得~リッチが消費上級財,その反対が下級財
3.
関連する財の価格
4.
1.
代替財~ライバル同士の財
2.
補完財~お互いに補う財
期待(予想)や情報
株の価格や外国為替が大きく動く理由
4.
人口構成~買い手の数
5.
信用~お金が借りられると購入増.住宅ローン
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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需要曲線のシフトと需要曲線上の動き

次の2つの変化を区別することは重要
需要曲線上の動きによって生じる変化
 価格の変化
 需要曲線は不変
2.
需要曲線のシフトによって起こる変化
 価格以外の要因の変化
1.
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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需要曲線上の動きによって生じる変化
P
需要曲線上の動き
B
P1
Q0
2016/4/27
価格の変化
A
P0
Q1
ミクロ経済学I 3
Q
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需要曲線のシフトによって起こる変化
か P
き
氷
の
価
格
需要曲線のシフトによる動き
新しい需要曲線
C
P0
D
価格以外の変化
当初の需
要曲線
Q0
2016/4/27
Q1
ミクロ経済学I 3
かき氷の数量
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需要曲線のシフトと需要曲線上の動き

両方とも数量がQ0からQ1へ増加
需要曲線上の動きによって生じる変化
 価格はP0からP1へ下落
 需要曲線は不変
2.
需要曲線のシフトによって起こる変化
 価格はP0で不変
1.
2016/4/27
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復習/1
 価格とは英語で
price
 数量を英語で
quantity
 需要を英語で
demand
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復習/2
かき氷の価格
イチローのかき氷
に対する需要曲線
価格から数量を見る
100円
需要曲線の見方
かき氷の数量
6杯
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復習/3
P
嗜好変化後の
需要曲線
当初の需要曲線
辛党が増えたとする
(嗜好の変化)
かき氷の需要曲線
の左シフト
Q
2016/4/27
ミクロ経済学I 3
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