落ち着かない磁場

落ち着かない磁場
放医研
熊田雅之
高性能定電流電磁石といえども、磁場は一定ではない。
有限の温度化ではスピンはincoherent だからである。
落ち着かない磁場
スピン波/マグノン
フォノン:結晶中ではイオンが整列して格子を形成
しているが、温度を上げるとイオンの位置が振動し始める。
これを格子振動とよぶ。結晶全体に伝播する格子振動を
粒子としてあつかったものをフォノンという。
マグノン:強磁性磁石はスピンと呼ばれる
小さな棒磁石状のものが平行に整列したもので、
温度を上げていくと平行だった隣り合うスピン
の間にわずかな方向のずれが生じ、それが結晶全体
に波状に伝播する。それをスピン波とよぶ。
マグノンとはスピン波を粒子としてあつかったもの。
落ち着かない磁場
1) Bloch Equation for magnetization of iron:
M(T)=M0 (1-3.4 10-6 K-1.5 T1.5)
M0 magnetization a zero temperature
dB/B/dT= -90 ppm/K
2) Volume effect: spin density
M0 (T)= M0 (T0)(1- 3.6 10-5(T-T0))
dB/B/dT=-36 ppm/K
落ち着かない磁場
3) Physical change of Gap length and Magnet length:
for gap,linear expansion temp.coefficient= -12 ppm /K
for axial length= +12ppm/K
4) Eddy current effect: Depends on Block or Lamination
or ramp rate…
落ち着かない磁場
許容安定度
偏向電磁石とスリットの距離 L=4m
コリメータースリット 50ミクロンの許容
このときの電流許容誤差は 20 ppm
Danfysik電源は3ppm/度なので温度環境が
1度以内ならば7ミクロン程度
にはおちつくはず
落ち着かない磁場
実験値
particle counts2
particle counts1
distribution
7000
6000
particle counts2
5000
4000
3000
2000
1000
0
-50
0
50
100
150
200
delta I (ppm)
落ち着かない磁場
250
300
350
電源の安定度(実測)
current(A)
spice1
36.81265
y = 36.812 + 6.5329e-07x R= 0.81566
current(A)
36.8126
36.81255
36.8125
36.81245
-50
0
50
100
150
t(minutes)
落ち着かない磁場
200
250
300
しかし、
B(Tesla)
countJuly25
spice1
1.49592
6500
6000
1.4959
5500
5000
1.49586
4500
1.49584
4000
1.49582
1.4958
-50
3500
0
50
100
150
t(minutes)
落ち着かない磁場
200
250
3000
300
countJuly25
B(Tesla)
1.49588
カウント数と磁場相関あり
countJuly25
y = 4.54e+07 - 3.0348e+07x R= 0.90203
spice1
6500
6000
countJuly25
5500
5000
4500
4000
3500
3000
1.4958 1.49582 1.49584 1.49586 1.49588 1.4959 1.49592
B(Tesla)
落ち着かない磁場
磁場が動いている
normCurrent(t)
NormB(t)
spice1
1.00006
1.00005
normCurrent(t)
1.00004
1.00003
1.00002
1.00001
1
0.99999
0
50
100
t(minutes)
落ち着かない磁場
150
200
1回目の実験
NormCounttJune15
NormCounttJuly25
spiceCountData
1.1
1
NormCounttJune15
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0
2000
4000
6000
8000
t1(sec)
落ち着かない磁場
10000
12000
2回目の実験
ë™íËäJénÅ@2006îN7åé28ìÝÅ@14:50:00
70000
ó±éqêîÅicpsÅj
60000
ó±éqêîÅicpsÅj
50000
40000
30000
20000
10000
0
0
5000
10000
åoâ½éûä‘ÅisecÅj
落ち着かない磁場
15000
2回目 磁場
delta B
particle count
spiceJuly28
4250
4000
3500
4200
4150
2500
2000
4100
1500
4050
1000
4000
-50
0
50
100
150
delta time
落ち着かない磁場
200
250
500
300
particle count
delta B(microGauss)
3000
拡大
delta B
particle count
4245
4000
4240
3500
4235
3000
4230
2500
4225
2000
4220
1500
4215
1000
4210
500
4205
120
140
160
180
200
220
delta time(minutes)
落ち着かない磁場
240
260
0
280
particle count
delta B(microGauss)
spiceJuly28
結論
• 鉄等をつかった磁石の磁場は原理的に温度依存性があり電流の安
定度より遥かに悪い。
•
100ppm近傍以下を考える場合磁場は不安定なものであるという
認識とその対策が必要。高エネルギー加速器コミニュテイではいま
まではこの認識がなかった。
• 磁場安定化のためにはこの温度変動対策が必要である。(熱絶縁は
有効)
• 他の要因(ヒステリシス効果やうず電流効果)も無視できない。これ
は磁石の設計(積層かブロックか)や運転法案(標準化運転とう)が
影響する
落ち着かない磁場
謝辞
• 高崎原研の宮脇信正氏には貴重な資料
の提供をいただいて感謝します。
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