講演スライド

エージェント指向コンピューティング
日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業
「知能情報・高度情報処理」分野
『エージェント指向コンピューティング』
2001.3.7
Ichiro Satoh
講演概要
1. 全体説明
2. ソフトウェアエージェント (佐藤一郎・お茶の水女子大学)
3. フィジカルエージェント (大西公平・慶應義塾大学)
Ichiro Satoh
「エージェント指向コンピューティング」
プロジェクト
目標と経過
 プログラム、情報サイト、機械、ロボット、人間等との複雑な相互作用
を伴うコンピューティングシステムに利用可能な、自律的に行動するこ
とのできる、「エージェント」と呼ばれるソフトウェア、ハードウェア、およ
びそれらの実行システム、モデル、基礎理論等を実現するための研
究分野を「エージェント指向コンピューティング」と呼ぶ。
 本プロジェクトの研究目標は、エージェント指向コンピューティングの
分野において、ソフトウェア、ハードウェアの両面から新しいコンピュー
ティングシステムを提案し、応用の道を探ることにある。そのために当
初3年間は基礎研究を、後半の2年間はシステムの設計、実装と応
用のための研究を基本として、研究を行なってきた。
Ichiro Satoh
研究体制(平成13年3月現在)
プロジェクトリーダー:
安西祐一郎 (慶應義塾大学理工学部)
コアメンバー:
大西公平・山本喜一・天野英晴
1. ソフトウェアエージェント
プロジェクトメンバー: 佐藤一郎 (お茶の水女子大学理学部)
山本喜一 (慶應義塾大学理工学部)
斎藤博昭 (慶應義塾大学理工学部)
2. フィジカルエージェント
プロジェクトメンバー: 大西公平 (慶應義塾大学理工学部)
矢向高弘 (慶應義塾大学理工学部)
山崎信行 (慶應義塾大学理工学部)
天野英晴 (慶應義塾大学理工学部)
藤本康孝 (横浜国立大学工学部)
Ichiro Satoh
研究成果(平成11年度~平成12年
度)
応用研究 (平成11年度の研究成果)

AgentSpaceの整備、およびエージェント再利用・エージェント間協
調等のためのAgentPoolの開発

リアルタイムエージェントの協調機構の開発(時刻管理問題への対応、
レスポンシブリンク等による通信品質の確保)

フィジカルエージェント: 高性能のバイラテラル制御を行なうフィジカ
ルエージェントの開発

リアルタイムエージェントシステムの基盤構築(レスポンシブプロセッ
サの開発、リアルタイムOS μ-PULSERの開発とレスポンシブプロ
セッサへの実装)
Ichiro Satoh
研究成果(平成11年度~平成12年
度)
応用研究・評価 (平成12年度の研究成果)
(A)ソフトウェアエージェント:
 モバイルエージェント
 ユーザインタフェースと画像処理
 インタフェースエージェント
(B)フィジカルエージェント:
 フィジカルエージェント
 リアルタイムエージェント
 レスポンシブプロセッサのリアルタイムエージェントへの応用
国際シンポジウムの開催
International Symposium on Agent-oriented Computing and Its
Applications(平成13年2月23日)を開催し、ソフトウェアエージェントとフィ
ジカルエージェントに関する本プロジェクトの研究成果の一部を発表した。
Ichiro Satoh
エージェント指向コンピューティング
ー ソフトウェアエージェントプロジェクト ー
日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業
「知能情報・高度情報処理」分野
『エージェント指向コンピューティング』
2001.3.7
Ichiro Satoh
「ソフトウェアエージェント」プロジェクト
目標と経過(平成11年度~平成12年度)
エージェント指向コンピューティングに基づく実用システムの
設計・実装及びその応用
 モバイルエージェント
佐藤一郎 (お茶の水女子大学理学部)
 ユーザインタフェースと画像処理
山本喜一 (慶應義塾大学理工学部)
 自然言語処理によるインタフェースエージェント
斎藤博昭 (慶應義塾大学理工学部)
Ichiro Satoh
エージェント指向コンピューティング
ー ソフトウェアエージェントプロジェクト ー
「モバイルエージェント」
日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業
「知能情報・高度情報処理」分野
『エージェント指向コンピューティング』
佐藤一郎
お茶の水女子大学理学部情報科学科
Ichiro Satoh
モバイルエージェント


エージェントは自律的に移動先コンピュータを選択・移動
移動先では、移動前の状態から処理を継続
モーバイル
エージェント
処理を休止
直列化エージェント
コード
コード
状態
状態
移動
モーバイル
エージェント
コード
処理を継続
状態
ネットワーク
コンピュータA
コンピュータB
移動後は通信回線を切断可能
Ichiro Satoh
目的
組込み機器、センサーネットワークなどの多様な計算環境に
対応できる実用的なモーバイルエージェントシステムを設計・実装
 OS・ハードウェアに非依存
 分散システム開発の容易化
 多様なアプリケーションの提供
 モバイルエージェントのタスク割り当て機構
 モバイルエージェントによる人間対環境インターフェースの実現
 ソースオープン
→ AgentSpace システム
Ichiro Satoh
AgentSpace: システム構成
AgentSpace [佐藤, 1997]:
Java(JDK1.1以上)上に実現(100% pure Java)
Mobile
Agent
Mobile
Agent
Mobile
Agent
Mobile
Agent
Runtime System
Runtime System
Java Virtual Machine
Java Virtual Machine
OS / Hardware
Computer A
Mobile
Agent
OS / Hardware
migration
Each agent moves with its state and code.
Computer B
Network
Ichiro Satoh
AgentSpace: エージェント
エージェントはコンピュータ間移動、複製、永続化を行いながら処理を継続
duplication
creation
migration
Mobile
Agent
migration
Computer A
dismissal
terminate
Mobile
Agent
Mobile
Agent
Computer C
Mobile
Agent
Computer B
suspension
persistent
agent
file
resumption
Mobile
Agent
Computer D
Ichiro Satoh
AgentSpace: 機能
多様な計算環境(携帯端末や無線通信など)に対応したエージェント実行・移動





多様なハードウェア・OSに対応
仮想機械(Java言語VM)によるシステム及びエージェントの実行
多様なデータ通信プロトコルに対応
一回の一方向データ転送でも転送可能
TCP、UDP、SMTP、HTTP、FTP、etc などを利用可能
耐通信切断
接続可能範囲で移動し、接続回復後に移動を再開
時間制約をともったエージェント移動
所定時間間隔によるエージェントの巡回機構
移動の高速化・セキュリティ
エージェント圧縮及びデータ通信プロトコルへ最適化、暗号化
到着エージェントに対するKerberosベースの認証機構
ケーパビリティによるエージェント間制御
Ichiro Satoh
AgentSpace:現状
実行環境
Java言語(JDK Ver.1.1以上)が動作するコンピュータで動作可能
外部組織による利用・拡張実績
農林水産省(農業試験場)、東北大、筑波大、東大、東工大、
電通大、静岡大、名大、JAIST、NAIST、他多数
配布
オープンソースソフトウェアとして公開
下記のホームページよりダウンロード可能(ソースを含む)
http://islab.is.ocha.ac.jp/agent/index.html
Ichiro Satoh
モバイルエージェントのタスク割り当て機構
タスク処理が終了したモバイルエージェントが集まる空間を提供
ユーザはエージェントプールにタスクを提示
 モバイルエージェントによる入札
 エージェントプールによるタスク割り当て
移動
タスク依頼
タスク
依頼側
エージェント
タスク終了
エージェント
待機中
モバイル
待機中
エージェント
エージェント
モバイル
待機中
プール
エージェント
モバイル
マネジャー 入札
エージェント
エージェントプール
選択基準例:
• 移動経路に対する移動箇所及び時間に関する代数的順序関係を導入
Ichiro Satoh
移動透過リソース


移動透過性をもつJava言語ファイルアクセスライブラリ
移動後も移動前のファイルへの読み書きを継続
移動透過性をもつJava言語TCPクライアントソケット
エージェント移動時にはTCP通信を自動切断・再接続
TCP
サーバ
移動中のパケットを
保持・転送
TCP
サーバ
TCP接続も移動
移動
モバイルエージェント
(TCPクライアント)
Mobile TCP layer
移動中のパケットを
保持・転送
TCP切断
TCP再接続
移動
TCP
クライアント
TCP layer
Ichiro Satoh
その他の研究成果





モバイルエージェントの動的継承機構
移動先計算環境の相違を吸収
ランタイムシステムの動的ローディング機構
到着したモバイルエージェントに必要な実行システムを転送・稼働
各種計算リソースの移動透過機構
TCP通信ソケット、ファイルなどを移動先に転送・継続
モバイルエージェント間協調機構
KQMLベースのモバイルエージェントの協調プロトコル
Webベースのモバイルエージェント操作・監視
Webブラウザからモバイルエージェント操作・利用
Ichiro Satoh
AgentSpace:アプリケーション
モーバイルエージェントの広範な応用事例を調査・実装
 分散検索
 ワークフローマネージメントシステム
赤字項目は8日に
 デスクトップテレポーション
デモンストレーションを予定
 アクティブネットワーク
 負荷分散・耐故障性
 パーソナルアシスタンス
 遠隔フィルタリング・機器制御
 分散リアルタイムシステム、他
コンテキスト(位置)に依存したユーザサービスシステムを提案
 人や物の物理的な移動とエージェントの論理的な移動を融合
Ichiro Satoh
人間・環境インターフェース
ユーザ移動に追跡移動するモバイルエージェントを導入
 位置依存情報及び各ユーザに特化したサービスを提供
 ユーザの近傍コンピュータに移動し、機器の携帯を不要化
the movement
of the user
User-Assistant
Agent
Computer B
User-Assistant
Agent
agent
migration
Computer A
Computer C
アプリケーション
道案内、ユーザデータの移送、ホームオートメーション他
Ichiro Satoh
コンテキスト依存モバイルエージェント
ユーザ位置の特定機構
 画像処理によるユーザ位置特定 [山本、慶大]
 赤外線センサによるユーザ位置特定 [佐藤、お茶大]
対話的ユーザサービスのフレームワーク
 自然言語処理 [斎藤、慶大]
位置依存ディレクトリサービスシステム
 物理位置とコンピュータ位置間の対応付け
Ichiro Satoh
ユーザ追随モバイルエージェント
ユーザ移動に応じてエージェントを近傍コンピュータに移動
赤外線を利用した位置センサによりユーザ位置を特定
EIRIS
Server
IR receiver
IR receiver
IR transmitter
the movement
of the user
User-Assistant
Agent
Computer
in location A
agent
migration
IR transmitter
IR receiver
赤外線を利用した位置センシング
システムEIRIS System (ELPAS社)
User-Assistant
Agent
Computer
in location B
Computer
in location C
events: enter/leave + receiver number
Ichiro Satoh
移動ユーザ補助エージェント


画像認識によるユーザ位置を特定(ユーザは機器を携帯しない)
ユーザのエージェントをユーザ物理位置に近傍コンピュータに移動させ
て継続的にサービスを提供(プライバシーの保護)
CCD
Camera
User-Assistant
the movement
of the user
CCD
Camera
Agent
Computer B
User-Assistant
Agent
CCD
Camera
agent
migration
Computer A
Computer C
デモンストレーション:病院向けの患者案内システム
Ichiro Satoh
患者案内システム
カメラ
受付
方向指示
ディスプレー
カメラ
方向指示ディスプレー
カメラ
患者
ユーザエージェント(含カルテ)
Ichiro Satoh
移動ユーザ補助エージェント
音声対話
 音声から単語・属性を解析して自然言語処理
 頑健な対話、不完全発話にも対応
 年齢等に応じて音声やレスポンスを変更
ユーザ補助モバイルエージェント
 ユーザの移動に応じて所定のコンピュータに移動
 方向案内、患者データの移送などのユーザ補助を提供
詳しくはデモンストレーションを御覧下さい
Ichiro Satoh
まとめ




モーバイルエージェントシステム(AgentSpace)を設計・実装
 多様な計算環境に対応
 オープンソフトウェアとして豊富な利用実績
モバイルエージェントを前提とした分散ソフトウェア開発
 エージェントのタスク割り当て機構
 移動透過リソース機構他
画像処理による移動ユーザの捕捉
移動ユーザへのユーザ補助システムの設計・実装
Ichiro Satoh