増倍管10850は

スーパーカミオカンデ事故等報告、その二
1. 第1回原因究明等委員会以後
2. 内水槽および外水槽関連増倍管等の被害
① 内水槽
② タンクライニングおよび岩盤に関する被害
3. 原因究明:最初の増倍管の爆縮
① 最初の増倍管の同定
② 9本の履歴等
③ 交換球の目視検査及び強度等試験
④ ストック球の目視検査及び強度等試験
⑤ 増倍管保持金具の締め付け不良に関する考察
⑥ 作業手順等に関するアンケート結果
⑦ 底面ステンレス板浮き上がりに関する考察
⑧ 底面作業について
⑨ 結論
4. 原因究明:衝撃波の発生と伝播
① 再現実験
② シミュレーション結果
③ シミュレーションと再現実験との比較
④ 結論
5. 今後の対策について
① 作業手順の改良
② 衝撃波防止ケース
③ 高耐水圧増倍管の開発
6. 結論
被害のまとめ
内水槽関係
破壊増倍管数:
使用可能増倍管数:
電子回路:
高電圧回路:
ケーブル:
増倍管取り付け金具:
黒プラスチックシート:
タンク外壁:
外水槽関係
破壊増倍管数:
使用可能増倍管数:
電子回路:
高電圧回路:
波長変換板:
タイベックシート:
ケーブル:
増倍管取り付け金具
6777 (11146本中、50cm径)
4369
被害なし
被害なし
不明
多数
要全数取り替え(注1)
少量の漏水(4.2トン毎時)
1100 (1885本中、20cm径)
785
被害なし
軽微な被害
700 (1885中)(注2)
要全数取り替え(注3)
不明
多数
タンクライニングおよび岩盤に関する被害
亀裂 漏水:4.2トン/時
ソナー検査による場所の特定: 3カ所に絞るが目視では特定できず
衝撃波及び水流によるライニング、岩盤への大規模な被害はないと考えられる
壁面に対する影響
壁面での衝撃波の強さ
衝撃波 P700= 130 kg/cm2 (爆縮中心から700mmの位置)
衝撃波は距離の1.1乗に反比例すると言われている事から各部の衝撃波の到達時の瞬時圧力を予測すると以下
の様になる。
側部ライニング部
: 29 kg/cm2 × 2 = 58 kg/cm2 (2,750mm)
側部・底部隅各部
: 20 kg/cm2 × 2 = 40 kg/cm2 (3,785mm)
下部マンホール蓋板部 : 11 kg/cm2 × 2 = 22 kg/cm2 (6,500mm)
上記数値は、衝撃波の反射を考慮して、反射面での圧力が2倍になることを想定しての数値を示している。
(ただし、この数値は理想条件におかれた場合の数値であり、過大評価の可能性もある。)
水流の影響
爆縮中心近傍
:20 m/s
爆縮中心から1m: 1 m/s
爆縮中心から2m: 1 mm/s
浮力の損失
 爆縮が生じる前にPMT架構に作用していた浮力の総和420 ton が、爆縮によりその浮力を失った為に、短時間
にその荷重がPMT架構を通して底板の架構支持部に衝撃的に伝達された可能性がある。
 そのときの荷重の変化量は、浮力喪失分の420トンで架構全体が垂直上方に引っ張られていたものが、短時間
に自重分の圧縮に変化したと考えられる。
 最も簡単にかつ安全側に考えると、架構重量が総重量が約200tonであるため、420tonの変化量を起振力とし
てとらえると、約2.1 G の加速度を与えられたと仮定する事ができる。
衝撃波により破損する可能性のある箇所
底部マンホール胴部の隅肉溶接箇所
理由:瞬間的にマンホール蓋部分に衝撃圧力が作用し、マンホールの胴板が引っ張られ、そのため隅肉溶接
がせん断局部亀裂を起こす可能性。
側部・底部の隅肉溶接箇所(裏側のコンクリートが欠損している場合)
理由:可能性は低いが、底部と側部の隅角部の裏側にコンクリートの充填不足箇所が存在した場合は、上記と
同様の理由でせん断亀裂が発生する可能性がある。
流体力により破損する可能性のある箇所
側部および底部PMT架構のアンカー部
理由:破損PMTの容積を埋める為に移動した水が、流体力として架構に作用し、架構に曲げモーメントとして
作用してアンカー部に過大な応力が作用することによる亀裂の発生の可能性がある。ただし、爆縮によ
る流れの発生は局所的であり、水槽全体の30,000 ton の水量に水流を生じさせる可能性は低い為、
大きな影響を与えたとは考えにくい。
浮力の喪失による衝撃力により破損する可能性がある箇所
側部PMT架構底板支持部
理由:破損PMTの浮力損失により、衝撃的に支持架構端部に荷重が作用し、支持部の一部に亀裂が入る可
能性がある。衝撃荷重の最大値は約420tonと推定される。
岩盤への影響
約7000本の破壊した増倍管のうち、最も岩盤に近い位置にあったものは、底部のもので、純水タンク底盤まで、2.0
mの距離であった。純水タンク底盤コンクリートの厚みが約0.5mあるので、実際の岩盤までの距離は、少なくとも
2.5mはあったことになる。ここで、安全サイドの推論をするために、底盤コンクリート構造物内を水中衝撃波が伝播す
るときの減衰がゼロであると仮定し、水-コンクリート構造物―岩盤の各接触面での衝撃波の反射、回折も無視した
場合には、およそピーク圧3.78 MPa の1次水中圧力波が岩盤に入射したことになる。
この値は、スーパーカミオカンデ空洞周辺の岩盤の引張強度である9.71 MPa の39%程度の値であり、少なくとも
安全率2.57は確保されていたことになる。
増倍管が約7000本破壊したことによるエネルギーの放出は、約80MJであると見積もられている。このエネルギー
は、真空の増倍管が破壊することにより、その中に水が入り、純水タンク内の水面が低下することにより生ずる位置
エネルギーの変化を計算したものである。この位置エネルギーの変化量は、連鎖的に破壊した増倍管の爆縮で発生
した負のバブル波による純水タンク内の水の落下運動、すなわち、2次水中圧力波の運動エネルギーと等価であると
考えることができる。
このタンク内の水の落下によって純水タンク底盤部にかかる圧力Pは、0.0123 Mpaと見積もられる。これは、岩盤
の引張強度9.71 MPa より十分に小さい値である。
増倍管6777本
の事故
1本目の破損
外的要因
坑内発破作業: × 11月12日発破はなかった
岩盤の変化
: × 岩盤変位なし、湧水量変化なし、
地震波前兆なし(注1)
タンク構造体 : × タンク壁面目視検査
の突発的変形
異常なし(注2)
アンカー部の : × 架構部アンカー強度>底部
突発的変位
水圧(50cm水柱)(注3)
工具等の
自然落下
: × 事故当時水槽内無人
坑内は許可なく立入禁止
非交換球起因
(注11)
底面作業起因
: ○ 底面作業シミュレーション
目視検査、圧力試験
加圧減圧ストレス: × 交換球圧力サイクル試験
交換球ガラス分析(注5,6)
温度変化ストレス: × 交換球温度サイクル試験、
ガラス分析(注5、6)
水中経年変化
: × 交換球圧力試験、
ガラス分析(注5,6)
加圧経年変化
: × 交換球圧力試験、
ガラス分析(注5,6)
運搬・作業中の : △ ストック球、交換球目視検査(注8)
ストレス
作業者アンケート調査(注7)
交換球起因
(注11)
底面作業起因
: ○ 底面作業シミュレーション
目視検査、圧力試験
成形不良品
: × ストック球目視検査(注9)
取り付け不良に : × トルクレンチの設定は11Nm、
よる浮上衝突
摩擦力≫浮力(注10)
取り付け不良に : × 11Nmによる締め付け応力は
よるストレス
破断応力より十分小さい(注10)
ストック時の経年 : × ストック球圧力サイクル試験、
変化
ガラス分析(注5,6)
運搬・作業中の : ○ ストック球、交換球目視検査(注8、9)
ストレス
作業者アンケート調査(注7)
連鎖反応
衝撃波
: ○ シミュレーション
再現実験 (注12)
機械的振動
: × 再現実験(注12)
衝撃波および : × 再現実験、
機械的振動
(注12)
(注)
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
地震
岩盤
タイベック
タイベック
ライニング
岩盤強度
底部浮上
底面シミュレーション
割れ球
底面作業理由
圧力等
ガラス試験(まとめのみ)
アンケートー建設
アンケートー改修
アンケートー9本球
目視ー交換球
クラック履歴
目視ーストック球
トルク
10850
10810
衝撃波実験セットアップ
誘爆実験データ
シミュレーション2
シミュレーション3
資料は、
http://www-sk.icrr.utokyo.ac.jp/~totsuka/nov-12/report-2/
に置いてある。
独法防災科学技術研究所
神岡観測点データ
震源地をSKと仮定すると発震時刻
は11時01分29.4秒となる。
茂住観測点(SKから2.3km)での地震波
10秒
事故を示す最初のデータ(ラン・イベント
番号1121-921342)の時刻は
11時01分29.25秒である。
京大防災研4観測点から求めた発震時
は11時01分29.5秒でイベント時刻と
よく一致する。
事故直前に何らかの前兆現象はなかった。
事故前に前兆となる地震波形は観測されな
かった。
底面浮き上がりによるアンカー部突発的
変位
底面浮き上がりによるアンカー部突発的変位
増倍管も2cm浮き上がった
としたとき増倍管にかかる力
の推計
底面アンカーが引き抜か
れたとしても増倍管1本
にかかる荷重は0.5kg
増倍管起因
B部
R3600-05
¡–@
}
ネック部
HEAT SH RINKABLE TU BE
15
ƒÓ116
}2 70
ƒÓ92
}5
ƒÓ254
}5
0
ボトム部
5
R
5
0
6
188
ASSY部
R
A部
1
9
ƒÓ 460 M IN.
15
R
R3
R
ƒÓ508
}5
C部
CABLE LENGTH
Meters-long
01/12/05
195
87
610
} 10
+1 2
695
-1 0
HAMAMATSU
88
’PˆÊ
F mm
ダイノード部とASSY部
20インチバルブの化学組成
Element
SiO2
Al2O3
K2O
Na2O
B2O3
Total
GJ1
Wt. (%)
92.379
2.620
0.069
3.235
1.697
100.000
Wt. (%)
92.384
2.620
0.063
3.272
1.661
100.000
GJ2
GJ3
Wt. (%) Wt. (%) Wt. (%) Wt. (%) Wt. (%)
92.006 92.255 92.807 92.094 92.430
2.631
2.601
2.652
2.598
2.659
0.072
0.057
0.052
0.047
0.066
3.256
3.338
3.354
3.256
3.243
2.035
1.749
1.135
2.005
1.602
100.000 100.000 100.000 100.000 100.000
GJ4
Wt. (%) Wt. (%) Wt. (%)
92.905 92.074 92.601
2.595
2.628
2.723
0.062
0.061
0.160
3.209
3.285
3.055
1.228
1.951
1.461
100.000 100.000 100.000
Wt. (%) Wt. (%)
92.670 92.931
2.690
2.725
0.171
0.164
3.029
2.955
1.440
1.225
100.000 100.000
Element
SiO2
Al2O3
K2O
Na2O
B2O3
Total
B1
Wt. (%)
92.605
2.642
0.037
2.929
1.787
100.000
Wt. (%)
92.504
2.643
0.039
3.123
1.691
100.000
B2
B3
Wt. (%) Wt. (%) Wt. (%) Wt. (%) Wt. (%)
92.539 92.778 92.654 92.962 92.776
2.667
2.608
2.658
2.652
2.654
0.036
0.041
0.031
0.037
0.035
3.221
3.239
3.168
3.270
3.204
1.538
1.333
1.490
1.079
1.331
100.000 100.000 100.000 100.000 100.000
B4
Wt. (%) Wt. (%) Wt. (%)
92.452 92.686 92.776
2.699
2.633
2.654
0.030
0.033
0.035
3.232
3.173
3.204
1.586
1.475
1.331
100.000 100.000 100.000
Wt. (%) Wt. (%)
92.452 92.686
2.699
2.633
0.030
0.033
3.232
3.173
1.586
1.475
100.000 100.000
測定試料: B : Blank, 空気中保管品 tube# JK7874
測定部位 2
GJ : 交換球(底面部に設置) tube# GJ4465
測定部位 3
測定部位: 4箇所 右下図参照
測定部位 1
測定結果: 上表にしめす
HPKのコメント:
各試料について、組成におおきな差異はみとめられないと判断する。
測定部位 4
20インチバルブの力学的特性
試料名 #
B-1 1
2
3
4
5
B-2 1
2
3
4
5
B-3 1
2
3
4
5
B-4 1
2
3
4
5
測定値
/ M Pa
92.8
125
107
102
112
118
100
131
110
112
108
115
128
96.5
101
118
119
114
136
74.1
平均値 標準偏差 変動
/ M Pa / M Pa 係数
108
12.0
0.1
114
11.4
0.1
110
12.4
0.1
112
22.9
0.2
測定値 平均値 標準偏差 変動
試料名 # / M Pa / M Pa / M Pa 係数
GJ-1 1 134
112
27.7
0.2
2 112
3
74
4 143
5 98.3
GJ-2 1 105
121
11.6
0.1
2 118
3 117
4 135
5 129
GJ-3 1 122
120
19.7
0.2
2 86.3
3 124
4 133
5 135
GJ-4 1 124
115
10.4
0.1
2 114
3 100
4 110
5 125
測定試料 :
B : Blank、 空気中保管品 tube# JK7874
GJ : 交換球(底面部に設置) tube# GJ4465
CD : ストック球 tube# CD7830
測定部位 :
右図 参照
測定結果 :
上表にしめす。
測定値 平均値 標準偏差 変動
試料名 # / M Pa / M Pa / M Pa 係数
CD-1 1 90.6
106
31.6
0.3
2 79.4
3
121
4
154
5 83.3
CD-2 1
114
126
15.4
0.1
2
149
3
110
4
126
5
130
CD-3 1
116
108
25.9
0.2
2
124
3 78.2
4 84.1
5
138
CD-4 1 96.5
119
17.4
0.1
2
109
3
142
変動係数
4
119
= 標準偏差/平均値
5
128
測定部位 2
測定部位 3
測定部位 1
東レリサーチセンターのコメント :
試料間、測定部位による曲げ強度を比較した場合、測定値のばらつきを考慮すれば、
全ての試料、および測定部位の違いによる曲げ強度値に差は見られなかった。
* 通常の板ガラスの強度:
50から100MPa (500~1000kgf/cm2)程度の平均強度
ガラスの事典 朝倉書店 p342
測定部位
4
8インチバルブの力学的特性
試料名 #
8-A 1
2
3
4
5
8-B 1
2
3
4
5
測定値
/ M Pa
122
130
106
118
140
119
94.4
91
107
130
平均値 標準偏差 変動
/ M Pa
/ M Pa 係数
123
12.8
0.1
108
16.4
変動係数
= 標準偏差/平均値
0.2
測定試料: 8-A: 8インチPMT tube #YA416
8-B: 8インチPMT tube #75.12 光電面抜け(ガラスバルブ破損)
測定部位: 右図 参照
測定部位
測定結果: 上表にしめす。
東レリサーチセンターのコメント:
試料間による曲げ強度を比較した場合、測定値のばらつきを考慮すれば
試料間の違いによる曲げ強度値に差は見られなかった。
* 通常の板ガラスの強度 : 50から100MPa (500~1000kgf/cm2)程度の平均強度
ガラスの事典 朝倉書店 p342
20インチバルブのX線解析
測定試料: B : Blank、 空気中保管品 tube# JK7874
GJ : 交換球(底面部に設置) tube# GJ4465
測定部位: 4箇所 右下図参照
測定結果: 広角X線回折プロファイル マルチプロット参照
東レリサーチセンターのコメント:
いずれの試料にも、結晶に起因する回折ピークは観測されなかった。
したがって、X線回折法で検出されるような結晶構造は形成されていないと考える。
測定部位 2
測定部位 3
測定部位 1
測定部位 4
9本爆縮候補球の履歴ー1
(平成13年11月28日現在)
増倍管 シリアル バルブ先端 バルブ側面肉厚
バルブ後部肉厚 ステム形状 バルブ
参照2
番号
番号 肉厚(mm)
(mm)
(mm)
後部外径
参照1 イ / ロ /ハ/ ニ 参照1 イ / ロ /ハ/ ニ
(mm)
10767 CD7089
3.4
2.8/2.6/2.6/2.6
3.4/3.7/4.0/3.9 アールタイプ
253.4
10768 AB7389
4.8
3.1/3.2/3.1/3.2
4.1/4.1/4.2/4.1 アールタイプ
253.2
10769 CD7048
5.4
3.2/2.7/3.3/2.8
3.2/3.8/3.8/3.7 アールタイプ
253
10809 AB5293
4.8
3.5/3.5/3.4/3.3
3.8/3.9/3.5/3.3 アールタイプ
253
10810 GJ4324
3.9
2.6/2.4/2.2/2.1
3.2/3.2/3.0/2.8 アールタイプ
253
10811 GJ4067
5.3
3.2/2.7/2.7/2.7
4.4/4.1/4.0/4.3 フラット混在
253.9
10850 AB7979
5.1
2.0/2.1/2.9/2.4
3.2/3.1/2.8/3.5 アールタイプ
253.5
10851 GJ4198
5
2.6/2.6/2.5/2.6
4.1/4.0/4.5/4.6 フラット混在
253.5
10852 KM4188
6
2.8/3.2/4.8/2.6
4.0/4.4/4.6/3.8 アールタイプ
253
【
○
○
○
○
コメント】
出荷時製品に関し異常箇所はなかった
3個球制 作者、並び に取付者に聞き取り 調査を実施予定
3個球とは、取り付け枠に3個の増倍管を取り付けたもの
底面作業による増倍管への加重の影響は12月にシミュレーションを行い調査する
ガラス厚許容範囲:
先端(A部) 2.5-7mm
側面(B部) 2.0-5mm
後部(C部) 2.0-5mm
出荷日
排気日
94. 5.10
95 .3.29
95. 3.29
93. 2.15
92.11.11
92.11.11
96.11.18
92.12.10
92.11.26
94.4.11
95. 2. 7
95. 3. 9
93. 2. 5
92. 8.26
92. 7.13
96. 6. 4
92. 7.31
92.10.27
取付位置 3個球シリアル
番号
1BP6P3C-W
1BP7P3C-U
1BP7P3C-V
1BP6P3D-W
1BP7P3D-U
1BP7P3D-V
1BP7P4A-W
1BP7P4A-U
1BP7P4A-V
3000
3006
3006
3020
3020
3020
3097
3097
3097
9本爆縮候補球の履歴ー2
①肉厚測定位置、および測定
96.9.27
96.9.28
96.9.28
96.9.29
96.9.29
96.9.29
96.10.5
96.10.5
96.10.5
中畑、奥村
中畑、奥村
中畑、奥村
伊藤、太田
伊藤、太田
伊藤、太田
伊藤、太田
伊藤、太田
伊藤、太田
96.10.24
96.10.24
96.10.24
96.10.24
96.10.24
96.10.24
96.10.23
96.10.23
96.10.23
参照3
参照3
参照3
参照3
参照3
参照3
参照3
参照3
参照3
01.8.30, 8.31 01.8.30
01.8.30
01.8.30
01.8.30
01.8.30
01.9.1
01.9.1
01.9.1
01.9.1
01.9.1
01.9.1
01.9.1
01.8.30 01.9.1
01.9.1
10725交換時に加重
10725交換時に加重
10725交換時に加重
10850交換時に加重
10850交換時に加重
交換球、2001.8.30
10850交換時に加重
箇所はB、Cでそれぞれ4カ所。(下図)
②アールタイプ、フラットタイプは
増倍管のボトム部の形状の違い
による。フラットな形状だと応力
集中しやすくなる。
尚、その後のASSY付き品による
圧力試験によりASSY付き品で
あればフラットでも規格(6気圧)
を満足することが確認されている。
(浜松ホトニクス平成4年6月2日
の報告書より)
③井上、作田、春日、宮野、山口
 仕様:6.5気圧24時間の後目視検査
同一条件で9本(上、側、底からそれぞれ3本)
 最初の5本、ステム部を上にして試験。(ステム部が上部圧力フランジに接触して浮力を保持。
ステム部に力がかかる。)
交
換
球
圧
力
テ
ス
ト

pmt番号
場所
目視
備考
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------LM7606 2TM1P6D-W
OK
ZW1249 1W1606A-U
OK
LA0508
1W1702D-V
OK
EF6670 4TP6M1C-V
OK
AF4164 2TM3P2C-U
Crack
ステム部。上記浮力のため破損。
KM4376 1BP7P3B-U
OK
 これ以降、pmt光電面を上にし、浮力を慎重に散らす(これが昔の出荷時の方法)。
さらに9本、同一条件で。

pmt番号
場所
目視
備考
 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------KM4361 1BP6P4A-W
OK
KM4781 2W1518A-U
OK
AB5004 1BP5P4D-V
OK
LM7338 3TM6M4D-W
OK
JK5676 1W0808B-V
OK
KM4050 1BP1P6B-U
OK
AB7308 2TM2P5D-V
OK
AF4077 2TM3P2C-V
OK
AB5375 3W1421D-W
OK
 以上で圧力テスト終了。上面、側面、底面に設置され5年間水中にあった9本を出荷時と
同等な圧力試験を行った結果、すべて圧力試験をパスした。
25度C
温度サイクル
常温
5度C
温度範囲: 5 deg -- 30 deg
温度変化:1 deg / min
放置時間: 各3時間
サイクル数: 2サイクル (JIS C 0025-1988)
3時間
3時間
(1サイクル)

pmt番号
場所
目視
圧力テスト
備考
------------------------------------------------------------------------------------------------------------AB6306
2TM5P1D-U
OK
OK
CD6402
4TP1M2C-U
OK
OK
AF4124
1TP4P4A-UOK
OK
OK
CD7014
1W1105C-UOK
OK
OK
JK5192
1W1307B-VOK
OK
OK
JK5736
2BM3P3A-V
OK
OK
GJ4013
1BP1P2A-U
OK
OK
KM4679
1BP1P3B-W
OK
OK
LM6199
1W1001B-UOK
OK
OK
以上で温度サイクル完了。すべての増倍管が温度サイクル後の圧力試験をパスした。
6.5気圧
圧力サイクル試験
大気圧
大気圧
1時間
目視検査
(1サイクル)
使用PMT: 側面 1本 底面 2本
条件
: 6.5気圧加圧放置1時間後
に圧力開放し外観検査
サイクル数: 4回

pmt番号
場所
圧力サイクルテスト
備考
------------------------------------------------------------------------------------------------------------LM6199 1W1001B-U
OK
JK5481 4BP1M4B-W
OK
JK7150 4BP3M3C-V
OK
 以上で圧力サイクル完了。上の増倍管3本に関して、
圧力の増減ストレスによる増倍管の機械的強度の劣化は認められず、6気圧の保証耐圧を保持した。
ストック球の圧力サイクル試験
ストックされていた増倍管のうち大口径部(B部)ガラス厚の薄いものを選んで圧力サイクル試験を行う。
圧力サイクルの仕様は上記と同じ。

pmt番号
圧力サイクル
ガラス厚
B部min
C部min
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------AB7987
OK
2.0
2.6
CD7888
OK
2.0
2.8
LM7266
OK
2.0
2.2
JK7919
OK
2.0
2.8
GH7936
OK
2.4
2.0
GH7866
OK
2.0
2.5
GH7813
OK
2.0
2.5
JK7883
OK
2.0
2.5
GH7868
OK
2.0
2.4
 ストック球のうち特にガラス厚の薄い増倍管9本はすべて圧力サイクル試験をパスした。
爆縮候補球10850(交換球)
図3.イベント921483
図4.イベント921483底部拡大図
図5.イベント921483の底部拡大図と各増倍管を中心とした小円(点線)、大円(実線)
図6.小円内の増倍管数とリング内の増倍管数の値。
9本の増倍管それぞれに対して示す。
増倍管10767
増倍管10809
増倍管10850
増倍管10768
増倍管10810
増倍管10851
図11.図9と同様の信号頻度マップで、増倍管10850の周りについて実際の頻度数を示した。
増倍管10850は、[横軸:12.5, 縦軸:7.5]の位置。
図12. 事故の最初のイベントからの時刻と各増倍管が信号を与えた場合のTの値。
イベント数・200秒
図 11 増倍管10810(非交換球)のヒットの履歴。 (前兆現象か?)
上からラン番号11104、11105となり一番下が11108となっている。
11106の終盤(10月10日20時35分頃)からノイズが発生していることがわかる。
図 20 ラン番号11211の爆縮関連増倍管の
ヒット履歴。爆縮前でも増倍管10810にバー
ストノイズが見られる。
10767
10809
10850
10851
10768
10769
10810
10811
10852
最初の爆縮球は、
10850(交換球)か10810(非交換球)
のどちらか
作業・運搬中のストレス
クラックの入った増倍管
CD6512
当時のログブックのコピー
クラックの入った増倍管CD6512




CD6512はスーパーカミオカンデ建設時に損傷を受けた
水深12.9mに設置されていた
水深が浅いため破壊を免れたと思われる
改修時に増倍管10850が損傷を受けた可能性は否定でき
ない
底面作業
底面シミュレーション
|
コンテナ ハウス
|
----------------------------------------------------------------JK7690
GJ4215
GH7620
LM7126
GH7646
LM7043
KM4151
JK7451
AF4395
JK7344
GH5313
CD5194
底面シミュレーション球GJ4215が圧力検査で割れ
 pmt番号 場 所
11/28目視
12/11目視
圧力テスト
--------------------------------------------------------------------------------------------------------AF4395
1BP4P5A-W
キズなし
キズなし
OK
CD5194
2BM6P4B-U
キズなし
キズなし
OK
GH5313
2BM4P4A-V
キズなし
キズなし
OK
GH7620
2BM7P3C-V
キズなし
キズなし
OK
KM4151
1BP6P3A-V
キズなし
キズなし
OK
JK7451
2BM7P2D-U
キズなし
キズなし
OK
JK7344
1BP4P1B-U
キズなし
キズなし
OK
GH7646
3BM4M3A-W
キズなし
キズなし
OK
LM7043
3BM1M6C-W
キズなし
キズなし
OK
JK7690
3BM6M5C-W
キズなし
キズなし
OK
LM7216
3BM3M2C-U
キズなし
キズなし
OK
GJ4215
1BP2P4D-W
キズ1ヶ所
発送時と同じ
割れ!
アルミ蒸着部境 キズ確認
 GJ4215がネック部円周上に沿って破断。増倍管軸方向のストレスに
よるものと思われる。底面作業が目視では見つけられないストレスを与えた
ことが明らかになった。
底面作業の影響




底面作業により増倍管に縦向きのストレスがかかった
ストレスは目視では発見されないほどの微少
ストレスが残り加圧された時点でネック部で破断した
同様なことが回収作業時及びその後の純水注入時に起こっ
た可能性が大きい
衝撃波発生についてー1
normalized pressure, pa / pair
p∞ = 100[kPa]
p∞ = 200[kPa]
p∞ = 500[kPa]
100
10
0
Bubble radius, Rb0
250[mm]
Temperature
293[K]
Vapor pressure inside a bubble
2.3[kPa]
Air pressure inside a bubble
10[Pa]
Ambient pressure
100, 200,
500[kPa]
5
10
15
time [ms]
20
25
30
接点No.22815
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
水深20m
水深30m
0
5
10
15
時間(mS)
MPa
接点No.19185
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
水深20m
水深30m
0
5
10
15
時間(mS)
接点No.11269
MPa
圧力時刻歴(PMT底部水平位置48cm)
MPa
衝撃波発生についてー2
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
水深20m
水深30m
0
5
10
時間(mS)
15
実験セットアップ
ビデオカメラ
ひずみ計
セットアップ
圧力計
プッシャー
第2回目セットアップ
第3回目セットアップ
第2回テスト
実験データ
第3回テスト
第2回テスト
PMT-5
12ms
PMT-8
17ms
18ms
PMT-9
PMT-4
14ms
10ms
PMT-7
8ms
PMT-6
13ms
PMT-2
11ms PMT-1
13ms
PMT1
PMT2
PMT3
PMT4
PMT5
PMT6
PMT7
PMT8
PMT9
PMT-3
第3回テスト
PMT-5
14ms
PMT-8
18ms
18ms
PMT-1
PMT-4
PMT-7
11
ms
15ms PMT-9
15ms
PMT-2
11ms
9ms
PMT-6
PMT-3
PMT1
PMT2
PMT3
PMT4
PMT5
PMT6
PMT7
PMT8
PMT9
ピー
ク間
時間
(ms)
コメント
最大
圧力
(MPa
)
ピー
ク半
値幅
(ms)
ピー
ク数
PMT8
0.5
0.02
不明
PMT6
1.4
0.03
2
0.15
1つ目のパルスは小さい(0.5MPa程度)
PMT2
1.2
0.05
2
0.1
2つ目のパルスは複数パルスが重なっている可能性あり
PMT9
2.4
0.05
2
0.25
PMT4
2.2
0.03
2
0.5
PMT1
1.2
(0.2)
(1)
複数パルスが連続している可能性あり
PMT3,7
1.5
0.02
不明
シグナルが密集している
PMT8
1.2
0.03
1
PMT1,4
1.9
0.05
不明
PMT7
1.0
0.07
4
0.5
PMT9
1.8
0.07
3
0.7
PMT2
1.8
0.03
2
0.05
PMT6
1.4
(0.6)
(1)
PMT3
3.0
0.1
2
0.2
1.6
0.05
2.2
0.3
Test9-2
パルス波高が小さい
2パルスがきれいに分離している
Test9-3
平均
シグナルが密集している
3パルスがきれいに分離している
複数パルスが連続している可能性あり
実験結果
水深30mの環境下では0.7m間隔で配置された20inch PMTの破壊は連鎖的に広がる。
最初の爆縮で必ずしも周囲の全てのPMTが誘爆するわけではない。
観測された衝撃波発生の時間間隔は10~20ms程度で、誘爆連鎖の後半では短くなる。
即ち、最初の爆縮で破壊に至らなかった場合でもPMTにはダメージが蓄積される。
衝撃波によるPMT爆縮には何種類かあることがわかった。今回確認できたものは以下で
ある。
衝撃波を受けた側の光電面最大径近傍からひびが入り始め、光電面全体にひびが入った後で
大口径部分が潰れるように爆縮に転じる。
衝撃波を受けた側の光電面最大径近傍からネック部分にかけてひびが入り始め、ネック部分
が最初に破壊し、ネック部分がきのこ雲のように入り込むように爆縮をはじめる。引き続きダイ
ノード部分が強く引き上げられる。
大口径以外の場所(ネック部分かステム部分か不明)が破壊され、光電面の下降かダイノード
部の上昇を伴い爆縮が始まる。
観測された圧力パルスの平均の強さは0.45mの距離で約5.6MPaであった。
パルスの平均の幅は約0.05msであった。
観測された1つのPMT破壊で生じる圧力パルスの平均の数は2.2個で、時間差の平均は
0.3msであった。
現地対策班による調査の結論
今回の事故は、まず底面にあった増倍管(改修時交換球10850または非交換球
10810がもっとも疑わしい)が爆縮し衝撃波が発生、その衝撃波が隣接する増倍
管
を破壊しさらに衝撃波を発生する、という一連の連鎖反応によって起きたものである。
最初の爆縮は、改修時の底面作業の際受けたストレスによりネック部の強度が
弱まり、30mの水深で破断したか、あるいはスーパーカミオカンデ改修時にASSY
部等に損傷を受けた増倍管が30mの水深で破断した可能性がある。
シミュレーションによると、衝撃波は約50cm離れた隣の増倍管のガラス部位置で、
0.05ミリ秒、130気圧程度のパルスとなって到着する。ただしこれらの値はシミュ
レーションの詳細に依存する。
スーパーカミオカンデ底部において事故当時と同じ条件で衝撃波発生・伝播の再現
実験を行ったところ、増倍管爆縮による衝撃波が隣接増倍管を破壊することが確か
められた。