情報化社会と人間第1章

明治大学情報科学センター編
人間と情報
情報化社会を生き抜くために
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目次
はじめに
第1章 情報の量と意味
1. 情報は数えられるか
2. 情報という用語のあいまいさ
3. 情報伝達の図式化
4. 情報の意味の相対性
5. 意味は状況・文脈で決まる
6. コンピュータ翻訳の難しさ
7. マスメディアにおける文脈
8. ニュースの穴
9. ホームページ情報の文脈
10. ホームページ情報の浅さ
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はじめに
情報化社会の不安
大量の情報によって押しつぶされてしまうので
はないか?
原因:情報産業に対する理解不足ではない
原因は人間のほうに内在
情報流通が中核的な社会に関与する人間の
不安の解消が必要
社会は人間が形成するという主体的な意識の
喚起が必要
コンピュータは人間の道具としての存在である
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
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第1章
情報の量と意味
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情報は数えられるか
専制君主X氏のコイン投げ
表がでれば宣戦布告
裏が出れば平和条約
スパイのY氏にとっての情報の量は?
表が出れば関連諸国に知らせねばならない
裏が出れば緊急の行動は必要ない
伝達される情報は1bit(0か1)情報の最小単位
戦争か平和かは情報の最小単位なのか?
受け手(スパイ)が活用できる情報もできない情
報も同じ1bitなのか?
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
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情報という用語のあいさまいさ
コンピュータ技術者の「情報量」=データ
コンピュータのCPUが一度に処理できるデータ量
携帯電話が1秒間に伝送できるデータ量(32kbps)
フロッピーに記録できるデータ量(1MB)
人間や社会に関する議論ででてくる「情報」
=「内容のある情報」意味の重要性
情報がどのくらいの価値をもつか
情報=意味や価値のある情報
量として数えられるものは「情報」ではなく「データ」

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情報伝達の図式化

情報伝達のモデル
二つの玉子がパイプで結ばれた形状
玉子の大きさに比べてパイプは非常に細い
玉子は受け手と送り手がそれぞれ保有している知識
情報伝達が可能なとき双方の知識はおおよそ共通
データ形式→状況・文脈→社会・文化(中から外へ)
送られるデータは共通知識のもとで意味をなす
共通知識に比べ送られるデータはわずか
送り手はデータに意味をこめる工夫が必要
受け手はデータから意味を汲み取る想像量が必要
コンピュータ技術者の「情報量」
=玉子部分を切り離してパイプの部分のみを対象
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情報の意味の相対性
情報の意味=パイプ部分だけでなく玉子部分の考察!
受け手にとっての意味
受け手のもつ背景知識により受け取る情報の重大さは大
きくことなる
情報はデータ自体が絶対な意味をもつのではない
受けて・送り手に依存した相対的意味をもつ

「54321」と「65535」はどちらが意味があるか?
意味は受け手が自分が持っている知識に基づいて生成
送り手が送ったのとは違った意味を独自に生成
「立入禁止」はは入れる
探す価値のあるものがその中にあることを意味する
物理的には入れないところには書く必要も無い
物理的には入れるが制度的に入れない
情報がないのに情報がある 便りがないのがいい知らせ
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意味は状況・文脈で決まる
• 水はナスの細胞の中にある
• 私はキツネ(おとぎ話か蕎麦屋の会話か)
状況・文脈が流動的な概念の意味を固定する
一つの言葉が多くの意味を持つ(言語の多義性)
→文脈によって指示対象を限定するしかない
文脈が不要な多義性のない状態は理想か?
無限個数の名称が必要
われわれにはそうした言語は習得不能
社会制度・文化風習にも注目が必要
外国文学の例
=外国の歴史・文化・宗教がわからないと作品が理解で
きない
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コンピュータ翻訳の難しさ
1980年代=自動翻訳のブーム→下火
状況・文脈に基づく判断がコンピュータには理解
不能
言語間の翻訳は単なる単語の置き換えではない
hot water →water は「水」か「湯」か
指示語や代名詞の扱い
「54321」に人間がなぜ反応するのか
「私の右前方にあるもの」=人間にとっての「右前方」
•人間の知能は結局のところ機械には実現できない
•人間の理解力は機械の能力を上回っている
こうした議論は正しいのか?
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マスメディアにおける文脈
マスメディア:
広く一般市民に向けて情報を伝達するメディア
情報媒体だけではなく情報の送り手を含める
「メディアはメッセージである」(マクルーハン)
われわれはメディアに向かいあうとき、メディアに応
じた特有の構え(スタンス)をなす
新聞:漠然とした信頼感
テレビ:映画に似た白々しさ
ラジオのディスクジョッキー:近親感
メディアに対する特有の構えが文脈
その文脈を通してメディアの内容をうけとる
メディアそれ自体が何らかのメッセージをもつ
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ニュース性の穴
報道=マスメディアの大きな機能の一つ
客観性を旨とする
真に客観的な報道はあり得ない
編集過程に必ず主観性がはいる
意識的に特定の情報を提供しない
受け手に偏った印象を抱かせる
ニュース性=ニュースの取捨選択
ありそうも無いことこそニュースになる
犬が人を噛んだ/人が犬を噛んだ
取り上げられたことをよく起きることだと思い込む
→めったいないことをよく起きると思い込む危険
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ホームページ情報の文脈
•ホームページ
画像などを含んだテキストによって構成される
パージの集まり
ページはリンク情報によって他のページを関連
付けられる→ハイパーテキスト
•WWW
ホームパージがインターネットを関して結ばれ、
膨大な集合体を形成
•ハイパーテキストの構成=段階構造
参照単位はページごと=文脈の破壊の危険
どこからどうリンクが貼られるかわからない
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ホームページ情報の浅さ
読み手の事前知識は期待できない
直接的で明瞭な表現に限定されがち
時間的順序関係がほとんどない(新聞との違い)
「一見さん」ばかりが大勢来る世界の想定が必要
文脈性の低い、文化の厚みの無い希薄な内容
ホームページの自動翻訳
★ホームページ情報の厚みを増すために!
ページの参照関係への留意
•読み手に文脈を与えるWWW空間作りが必要
•読み手も参照関係への留意が必要
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