デジタル情報学概論

デジタル情報学概論
2006年9月21日 第1回資料
担当 重定 如彦
授業の概要
コンピュータはすべての情報をデジタル情報として
扱います。近年、騒がれているITはInformation
Technology、すなわち(デジタル)情報技術のことで
す。IT社会においては、今後ますます以下のような
知識が重要になってくると考えられます



デジタル情報を使えば何ができるのか?
デジタル情報を使った様々なシステムの仕組み
デジタル情報を利用する際に気をつけなければなら
ない事は何か?
授業の予定と教科書





デジタルとは何か?
ITを支える様々なデジタル基礎技術
デジタルと社会・生活・文化
デジタルコンテンツ
デジタルとビジネス
教科書
「デジタル情報学概論」
奥川峻史 桜井 哲真 著 共立出版
成績と評価

成績は「レポート」「期末テスト」の総合評価

本年度は出席はとりません

レポートや、授業に関する意見は、
電子メールで [email protected]
宛に提出してください。
IT社会とデジタル情報技術
今日のIT社会では、インターネット、カーナビ、天気予報、
電子商取引など様々なITを使った技術を身近に利用できます
これらのIT社会の技術はすべて、デジタル情報技術に支えら
れています。デジタル情報技術の中で特に重要な技術には
以下のようなものがあります
 情報の符号化
どのようにして、身の回りの情報をデジタル情報に変換するか
 正確で高速なデジタル情報の通信
デジタル化した情報をどうやって正確に、なおかつ高速に離れた
場所に伝達するか
デジタルとは何か?
デジタル [digital]
物質・システムなどの状態を、離散的な数字・文字
などの信号によって表現すること。ディジタル
(大字林より)
わかりやすく言うと、世の中のありとあらゆるものを
「数字で表す」ということです。デジタルで表されたも
ののことを「デジタル情報」と呼びます
アナログ
デジタルに対し、アナログという言葉があります
アナログ [analog]
物質・システムなどの状態を連続的に変化する
物理量によって表現すること
(大字林より)
自然に存在する身の回りにあるものの状態はほと
んどすべてアナログです。例えば、鉛筆の長さ、
リンゴの色などは「アナログ情報」です
デジタルとアナログ
デジタルとアナログは、「整数」と「実数」の関係に似ています

整数、デジタル
1,2,3のように、飛び飛びの値をとります。このように連続
でない値をとるもののことを「離散的」であると呼びます

実数、アナログ
実数やアナログは整数のように、飛び飛びの値ではあり
ません。このようなもののことを「連続的」であると呼びます
整数
実数
アナログ情報の特徴(その1)

正確な値を測定することができない
例:鉛筆の長さを正確に測定することは不可能
 定規で測った場合、mmまでしか測定不能
 たとえ、電子顕微鏡で測ったとしても電子顕微鏡で
判別できる範囲の長さまでしか測定できない

正確にコピーすることができない
全く同じものを作ることは不可能
 ある鉛筆と全く同じ長さの鉛筆を作ることは、そもそも
元の鉛筆の正確な長さが測定不能なので不可能
 ビデオを何度もダビングすると画像が汚くなる
アナログ情報の特徴(その2)

情報の伝達に向いていない
正確にコピーすることができないということは、アナログ
情報を使って正確に情報を伝達することは困難
 伝言ゲームは大抵の場合うまくいかない
 噂話はどんどん内容が変わっていく
 昔話などの伝承が、地域によって異なる
情報のコピーや伝達の際に、元の情報と異なった情報が
伝達されることを「情報の劣化」と呼ぶ
符号化
コンピュータで情報を扱うためには、アナログ情報を
デジタル情報に変換する必要があります
これを符号化(コード化、AD変換(Analog to Digital
Conversion)と呼ぶ場合もある)と呼びます
コンピュータがアナログ情報を扱えない理由


アナログ情報を扱うためには無限のデータ(メモリ)が必要
そもそも正確な測定が不可能なものをコンピュータの中で
正確に表現することはできない
符号化と誤差
符号化では、アナログ情報を何らかの方法で、数字(=デジ
タル情報)に置き換えます。この時、多くの場合、元のアナロ
グ情報と変換後のデジタル情報の間に誤差が生じます
例:鉛筆の長さを0.01cmの単位まで測定し四捨五入する
アナログ情報
12.345・・・cm
符号化
デジタル情報
12.3cm
この場合、本来の鉛筆の長さとデジタル化された鉛筆の
長さを比べると最大0.05cmの誤差が発生します
符号化と精度

符号化を行う際には、変換時の精度が重要になります
タンスの幅を例に挙げてみましょう
精度が高すぎる場合
デジタル情報のデータのサイズ(量)が大きくなりすぎる
タンスの幅を123.45678cmのように表記しても無駄でしかない

精度が低すぎる場合
誤差が大きくなり、元のアナログ情報を正しく再現できなくなる
約123.45cmのタンスの幅を10cmの位で四捨五入し、100cmと表記すると、
元のサイズ後23cmも誤差が発生してしまい、使い物にならなくなる

実際には?
適切な精度を見極めることが重要
タンスの場合、0.1mmの単位の情報が必要な場合はほとんどないので、
0.1mmの位を四捨五入し、123.4cmとすれば充分である
符号化の例(文字の符号化)
文字は文字コード表という表を使って数字に変換します
文字コード表では、一つ一つの文字に数字が割り当てられ
ており、その数字を使ってコンピュータは文字を表します
ASCII文字コード表を使って「HEAD」を符号化した例:
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
65 66 67 68 69 70 71 72 73 74
ASCII文字コード表の一部
HEAD
符号化
72 69 65 68
文字の変換と精度
一見、文字の変換に精度はないように思えるかもし
れませんが、文字の変換にも様々な精度があります




日本語の文章をローマ字に変換する
日本語の文章をひらがな、カタカナに変換する
日本語の文章を漢字かな混じりの文章に変換する
変換の際に、フォント(明朝体、草書体、etc.)の
情報や、文字の大きさ、色などの情報含める
小
精
度
大
符号化の例(画像の符号化その1)
画像を符号化する場合、点と色の2種類の情報を符号化します

点の符号化
デジタル画像では、画像を色のついた細かい点の集まりとみなします
例えば、最近のパソコンのディスプレイの多くは横1024、縦768
以上の点で構成されているものが多いようです
点を細かくすればするほど精度が上がります
下の右の画像は、左の画像の縦横の点の数を1/3にしたものです
当然点の数が多いので、左の図のほうが鮮明な画像になりますが、そ
のかわり、画像データのサイズは9倍になります
符号化の例(画像の符号化その2)

色の符号化
画像のそれぞれの点の色は光の3原色である「赤」と「緑」と「青」の強さ
で表します。それぞれの色の強さは数字で表されます。精度は色の強さを
細かく表現すればするほどあがります
最近のデジタル画像の多くは、それぞれの色の強さを0~255の256段
階で表します。一つの点につき256*256*256=約1600万色の色を
表現することが可能です
下の左の画像は、一つの点の色を1600万色(24ビット)で、右の画像は
色16色(4ビット)で表したものです。左の図のほうが色が鮮明な画像にな
りますが、そのかわり、画像データのサイズは左のほうが6倍になります
その他の符号化の例

音の符号化
音は波で表すことができます。音の符号化では、波の強さを
数字で表します。

動画の符号化
コンピュータの動画は、パラパラマンガの要領で画像を次々
に表示するものです。従って、動画の符号化は、動画を複数
のデジタル画像に変換するという作業を行います。音声付の
動画の場合、画像だけでなく、音の符号化も同時に行います
デジタル情報の利点(その1)

コピーしても情報が劣化しない
デジタル情報は、アナログ情報と異なり、情報がはっきりとした
数字で表されます。従って、デジタル情報は、正確に情報を
複製することが可能です。
アナログ情報は、コピーするたびにどんどん情報が劣化して
いきますが、符号化を行えば、いくらコピーしてもデジタル
情報は劣化しません。ただしコピーしたときに劣化が起きない
為の工夫が必要。アナログ情報にはそのような工夫はない。
もちろん、符号化の際に誤差が発生しますが、大抵の場合、
適切な精度で符号化を行えば誤差は問題になりません
コピーしても劣化しない例

コンピュータのファイル
コンピュータでは、「文章データ」、「画像データ」、「音データ」、
「コンピュータソフト」など様々なものがファイルに保存されま
すが、このファイルは非常に簡単な操作でいくらでもコピーす
ることが可能です。そして、コピーしたファイルは元のファイル
と寸分たがわない性質を持ちます

音楽CDやDVD
音楽CDやDVDでは、音楽データや動画データがデジタル
データで保存されています。従ってCDやDVDはビデオテープ
と異なりいくらコピーしても情報が劣化することはありません
デジタル情報の利点(その2)

情報を正確に伝達するのに適している
情報を正確にコピーすることができるということは、情報の伝
達を正確に行うことができるという事です
情報の正確で高速な伝達は大昔からの人類の夢の一つでし
た。昔は遠く離れた場所同士で情報をやりとりする際に、狼煙
(のろし)などが使われていましたが、煙の色や本数で情報を
やりとりした狼煙も実はデジタル情報の一種です
無線や電気、そしてコンピュータの発明によって、デジタル情
報をより正確に、早く伝達することができるようになりました
情報の伝達の例
みなさんにとって、高速なデジタル情報の伝達の最も身近な例がイン
ターネットのウェブページや電子メールでしょう
ウェブページを見た時(注:電子メールの場合も同様です)には、ウェブ
ページのデジタル情報をパソコンに送り届ける為に、膨大な数のコピー操
作が行われます。インターネットが正しく動作するのは、情報が劣化しな
いというデジタル情報の性質のおかげなのです
インターネット
デジタル情報(ウェブページや電子メール)のコピー
デジタル情報の欠点

不正コピーと著作権侵害
コピーがいくらでも可能であるとデジタル情報の利点は、
逆に欠点となる場合があります
コンピュータソフトや、音楽情報の不正コピーが近年問題に
なっていますが、これはデジタル情報が簡単に、正確に、いく
らでもコピーすることができるという性質のためです
不正コピーや著作権侵害がまかり通ってしまうと、クリエイ
ターの制作意欲や、生活が脅かされてしまうため、法律や
様々な工夫で対策がとられています。不正コピーの実際の損
害額は数兆円にも及ぶと言われています
授業の資料について
授業で使用したこのPowerPointの資料は授業の終了後、
私のホームページに置きます。資料が欲しい人は以下の
URLへ行って下さい。
http://www.edu.i.hosei.ac.jp/~sigesada/
なお、印刷する場合は、そのまま行うと紙が大量に消費
されてしまうので、学校のプリンタを使って印刷する場合は、
なるべく印刷の設定で「印刷対象」を「配布資料」にし、
「1ページあたりのスライド数」を「6枚」程度にするように設
定をおこなってから印刷を行うようにしてください