高校生のキャンプの目的 高校生の生きる力を育成するために 1.さまざまな人々との交流を通して 自己理解を深めるとともに他者理解を行う 2.障がい児への支援を通して、支援の方法や 技術を学ぶ 3.キャンプを通して、コミュニケーションの能力 の向上を図るとともにリーダーとしての資質を 高める 福祉教育の観点から • 外部機関との連携 • 高大連携 • 福祉マインドの育成 →効果の測定方法としては、レポート エゴグラム(交流分析)を用いて、実施前 実施後の比較検討を行う • 学校間における連携 • 障がい児やリーダーとの交流を通した自己変 容 成果と課題 • 成果 アンケートより ① 障がいに関する概念の変化 ② コミュニケーション技術の向上 ③ 多角的な視点の育成 ④ プログラムの運営能力の向上 ⑤ 福祉マインドの育成 成果と課題 • 課題 ① 授業(コミュニケーション技術2)との関連 ② 活動の継続性 ③ 次年度以降の取り組み ④ 体験を今後、どう深めていくか ⑤ 後継者の問題 効果の測定について • 高校生が障がい児のキャンプにボランティア で、参加することによって、どのような変化が 生じるかを測定したい →交流分析の手法(エゴグラム)用いて分析 エゴグラムとは1 • J.デュセイというアメリカの心理学者によって 開発された。 • 「エゴグラムとは、それぞれのパーソナリティ の各部分同士の関係と、外部に放出している 心的エネルギーの量を棒グラフで示したも の」と定義している。 エゴグラムとは2 • 自我状態の一つ一つの部分 が心のエネルギーとしてとら え、それを数量化することで、 心の働きを理解しやすくしよう と考えた。 なぜ、交流分析(エゴグラム)か?1 • 誰かを理解しようとするとき、自分自身と切り 離して、相手のことを全く客観的に理解するこ とはできない。 →理解しようとする主体としての自分の心の 働きが大きく影響してくる。 →自分への気づきの経験を通して、相手のあり 方に気づくことができる。 なぜ、交流分析(エゴグラム)か?2 ①理論が平易な用語で整理されており、 体系的に学習しやすい ②「今、ここ」に焦点が当てられた理論 体系である ③関係性の理解に役立つ 「自我状態」(3つの私)とは • 交流分析では、人はみな心の中に、 親から影響を受けてきた部分→P 大人に成長するにつれて 現実適応してきた→A 子供の部分のままである →C という3つの部分があり、それによって 人格が形成されている 親の自我状態→P • CP(Critical Parent) おやじ 自分や他人への厳しさや理想の高さ 責任感・正義感などをあらわす • NP(Nurturing Parent) おふくろ 周囲に対する思いやりの気持ちや養育的、 肯定的な態度をあらわす 大人の自我状態→A • A(Adult) 大人 現実的、客観的に物事を見る「大人」の目 感情や思い込みにとらわれず、「今、ここ」の 事実にそって物事を考えたり、複数のデータ や情報を集めて、それらを総合的に判断し たりして、論理的、理性的に物事に対応して いく部分 子どもの自我状態 • FC(Free Child) 自然なありのままの感情を表現する態度や 自由な発想で新しいものを創造する力 • AC(Adapted Child) 人の注意を聞いたり規則を守ったりするなど 周囲に合わせた態度や我慢強さを表す エゴグラムとは • 5つの自我状態が相互に関連しあって働いて いる • こうした、相互の関係をつかみやすくするため に開発されたのがエゴグラムである まとめ フレンドシップキャンプの 意義と願い 仮説1 • エゴグラムにおいて、実施前と実施後を比較 すれば、NP(養育的)の値が高くなるのでは ないか? • エゴグラムにおいて、実施前と実施後を比較 すれば、FC(自由な)が抑えられ、AC(順応 的)の値が高くなるのではないか? 参加者のエゴグラムの変化(N=46) 参加者のエゴグラムの変化(N=46) 仮説1の検証1 • NPの値は、わずかに上昇していた。 • 但し、生活福祉コースの生徒や部活動でマネ ージャーなどをしている生徒はもともと高い( 実施前の満点者が18名いた) • FCの値が上昇した。(学校版では、4ポイント 、家庭版では1ポイント)→最後のお楽しみの 時間の影響が考えられるのと、早く家に帰っ て自由にふるまいたい・・・? 仮説1の検証2と結論 • ACの値は、かなり上昇した。 結論 フレンドシップキャンプの参加者は、基本的に NP値が高い。キャンプ参加後に、わずかであ るがNP値が上昇していることから、養育的態 度が育っていると考えられる。また、AC値の上 昇から、キャンプ活動で集団行動や周りの状況 に合わせるコミュニケーション能力の育成が図 られた 仮説2 • 障がい児のキャンプに参加することにより、 小集団における自己理解が進むとともに キャンプの参加者・施設のリーダー・職員・ スーパーバイザー・看護師などの多様な人間 関係に触れることにより、他者理解が進むと 考えられる。 仮説2の検証1 提出された実習ノートの記録から • 普段の自分なら、すぐに面倒くさいといいます が、友達と一緒だったり、誰かの為に何かを するとなると、とてもやる気が出るようになり ました。 • リーダーがいかに子どもたちを楽しませようと 頑張っていた姿と、子どもたちのキラキラ笑 顔が印象に残っています。 仮説2の検証2と結論 • 自分自身の動き方について、意外と動くこと ができたと思います。 • 指示されてから動くのではなく、自分の目で 周りを見て、行動に移すということを学ぶこと ができました。 • 将来看護師になりたいと、このキャンプを経 験し改めて確認することができました。 • この経験は、私にとって一生の宝物だ。 仮説3 • フレンドシップキャンプの役割の一翼を担う ことにより、キャンプの意義を考え、また、参 加者や保護者の願いや思いを考えることで 福祉マインドが育成される。 • この体験を通して、社会全体の障がい者の 立場を理解し、今後の社会福祉における自己 の態度の決定、生きる力の育成につながると 考えられる。 仮説3の検証 • 「人の為に何かをする」ってゆうのが、どれほ ど大切かということが分かりました。 • このボランティアに参加して学べたことは、こ れから生きていくうえでとても大切だと思いま す。裏方の人を考えることができるということ は、人に対する感謝の気持ちをより豊かにす ると思います。 • 自分もありがとうと言われる人を目指したい。 生徒の心の動きと フレンドシップキャンプの構造 • 阪神淡路大震災からまもなく、20年が経とう としている。震災という特殊な環境の中だけ なく、日常生活の中にも、「コミュニケーション 」に関わる今日的な課題は、山積している。 • フレンドシップキャンプは、六甲アイランド高 校が参加して3年目を迎える。このキャンプの 参加を通して、コミュニケーション能力を高め 、福祉マインドを育成し、生きる力を育てると いう大きな目標を掲げている。 • この目標を達成するためのスタートは、自己 理解であり、その次に他者理解がある。学校 内の教育活動では、ありえない特殊な環境の 下で、自分のわがままを捨てることから、この キャンプは始まる。1泊2日の滅私奉公? • 表舞台に立つこともなく、直接、障がい者とは 触れ合う機会も少ない。 • このキャンプでの自分の存在は?あまり親し くない同級生ともうまくやっていけるのだろう か? • とりあえず、言われたことをやってみる。周り の様子を観察する。自分と他人の動きを比較 する。やっぱり、完全に裏方だ。 • でも、仕事を通して、日ごろ離さない同級生と 話ができた。 • 大学生のリーダーや子どもたち、職員さんか ら、感謝された。 • 途中で自分自身も、このキャンプの参加者で あることに気づいたとき、何かが生まれる。 まとめ • 見返りを求めず誰かの為に誰かが動き、支 援する。ボランティアの原点である。 • 「ありがとう」その一言で、生徒が救われる。 • 仕事の指示や方法について説明はするが、 個人の動きについては生徒の主体性に任せ る。 • 経験から育つ知識や態度 • 感謝される経験と感謝する経験 最後に • いつも、高校生を温かく受け入れて下さって いる海洋センターの職員の坂口さん・村田く ん・武村さんありがとうございます。 • また、今回、3回も私に付き合ってくれた杉田 先生、本当にありがとう。これからもよろしく! • そして、フレンドシップキャンプに対し、ご理解 とご協力をいただいている木津校長先生をは じめ管理職の皆様方に感謝申し上げます。 ご静聴ありがとうございました
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