の400MHzウインドプロファイラ

400 MHz帯ウィンドプロファイラ
・RASS観測による亜熱帯域温度微細
構造の観測
古本淳一,大西正典,津田敏隆(京大生存研)
佐藤晋介,村山泰啓,井口俊夫(NICT)
沖縄の400MHz ウインドプロファイラ
沖縄 : 大量のエネルギーや水蒸気 を輸送する台風の高頻度通過地域
気象擾乱時の風速、大気温度、水蒸気の時空間分布を高精度かつ高時間、高度
分解能観測が重要
NICT沖縄亜熱帯計測技術センター大宜味大気観測施設(128.16E, 26.68N)
の400MHzウインドプロファイラ
レーダー形式
パルスドップラーレーダー
送信周波数
443.0MHz
送信電力
ピーク20kW
最大平均2kW
パルス幅
1.33, 2.0, 4.0 mm
ビーム走査
方位角 東西、南北方向
天頂角0-15度(通常10.5度)
RASSによる時間連続温度プロファイルの取得と水蒸気推定を
目指す。
ウインドプロファイラ・RASS観測
• MU(Middle and Upper
atmosphere) レーダー
中心周波数46.5MHz
アンテナ開口8330m2
観測最低高度 1.5km~
• L 帯下部対流圏レーダー
(LTR)
中心周波数1.35GHz
観測最低高度 0.2km~
大気境界層から対流圏中部までの推定が重要。
2レーダーを組み合わせ高度0.2km-7.5kmでの水蒸気推定に成
功。(Imura et al., 2007)
大気境界層から対流圏中部の風速、温度、水蒸気観測を1台の400MHzウイン
ドプロファイラを用いて実現する。
RASSによる気温推定
• 大気レーダー:乱流散乱エコーのドップラーシフトから風速を測定
• RASS (Radio Acoustic Sounding System)
音波と電波を併用して
大気温度を測定
cs  K d Tv
・
音波は背景風に
より流される。
ca = cs+vr
ca: 見かけの音速(m/s)
vr 背景の風速(m/s)
cs 音速(m/s)
Kd 定数
Tv 仮温度(K)
強いRASSエコーを得るため
にはブラッグ条件
ka  2ke
k a:音波波数 k:電波波数
e
が必要
ホーンスピーカーの開発
•高効率ドライバ JBL2450H(効率1.3dB/W, 定格100W, インピーダンス8Ω)
•ウインドプロファイラのビーム走査範囲内にできるだけ音波を集中させる。
•全幅30度の音波ビーム幅を持つホーン
•風向風速変化に応じ最適なスピーカー位置が変化するので可動性を考慮。
ホーン開口部
135dB
音圧レベル(dB)
ドライバ
入力電力ー音圧レベル特性
131.3dB
127.3dB
100dB
電力(W)
定格電力(100 W)において
音圧レベル131dB
ホーンスピーカーの最適配置
400MHz-WPRによる季節毎の風向風速
風速
風向
スピーカーの位置候補
•
•
•
将来的に無人で定常的に観測することを目的に、季節によらずエコーが取得できるよう
に15台のホーンスピーカーの位置を決定。
2005年9月-2006年8月のWPRの東西・南北風の月平均プロファイルをレイトレイシング
に用いた。
スピーカーの位置は、アンテナ中心から距離7, 14, 21m、角度は45度刻みの組み合わ
せで24位置。
ホーンスピーカーの最適配置
 どの季節にも均等に配置を振り分る。
 観測可能最高高度を高いだけでなく、より強いエコーが得
られる配置も選択する。
ホーンスピ-カー最適位置
WPR
合計15台
ホーンスピーカーの最適配置
音波のレイトレイシング
音波のレイトレイシング結果例
スピーカーの最適配置
北
21m
14m
7m
WPR
西
東
合計15台
南
2006年11月のRASS試験観測
2006年11月7日15時~9日14時:新開発ホーンスピーカー2台を用いたRASSとラジ
オゾンデの同時観測実験を大宜味観測所にて実施
400MHz-WPR
RASS観測、乱流観測(2パラメータ)の切り替え観測
(時間分解能2.5分)、2台のホーンスピーカーを使用
ラジオゾンデ観測
11月7日~8日の9:00, 12:00, 15:00, 18:00, 21:00、
9日の11:00に明星電気との共同でラジオゾンデ放球。
9:00, 15:00, 21:00はVaisala+明星電気ゾンデ同時飛翔
12:00, 18:00は明星ゾンデのみの放球
高度(km)
4
RASSエコー
4
乱流散乱エコー
3
3
2
2
1
1
-10 -5
0
5
ドップラー 速度 (m/s)
高度分解能
150m
-10 -5
0
5
ドップラー 速度 (m/s)
温度プロファイル
実線:RASS
(一時間平均値)
破線:ラジオゾンデ
RASSとゾンデの差
r.m.s誤差は0.5K以下
高度0.5-3.0kmで逆転層構造を含めてラジオゾンデ観測値とよく
一致
RASSによる時間連続温度プロファイル
RASS
ラジオゾンデ
1時間平均値
放球間隔3時間
まとめ
• 沖縄の400MHz帯ウインドプロファイラレーダーを用いて温度
プロファイル推定を行い、大気境界層から中部対流圏までの
風速、温度、湿度プロファイルを同時に得ることを目的として、
本レーダーを用いたRASS観測システムを開発した。
• レーダービームの走査可能域に音波を集中させるように音波
ビームを狭めた高出力ホーンスピーカーを作成し、季節によら
ず良好なRASSエコーの取得できるように15台のホーンを配置
した。
• 2006年11月7日~9日の新開発ホーンスピーカー2台を用いた
RASSとラジオゾンデの同時観測実験から得られた仮温度プロ
ファイルはラジオゾンデ観測値とよく一致した。また時間連続
温度プロファイルではラジオゾンデ観測では見られない微細な
温度の時間変動がみられた。
• 謝辞:明星電気清水さんにはラジオゾンデデータをご提供を頂
きました。
3.3. IF周波数オフセットの切り替え
RASS観測では300m/sを超える音波の
ドップラー速度を検出
広いスペクトルウインドウを用いるとエ
コー強度や周波数分解能が低下
受信IF周波数を1kHz程度ずらして音速
のドップラーシフトを0ドップラー付近に移
動することで狭いスペクトルウインドウを
用いた観測が可能
レーダーの観測開始、終了信号を取り出し
それらをカウントすることで、RASS観測モード時
にIFオフセット切り替え。
H8-3048
マイコンボード
2. 400MHzウインドプロファイラ
•
•
400MHz帯ウインドプロファイラ35台からなるプロファイラネットワークが構築
された。うち11台にはRASS機能が付加されている。
風速データは米国気象局等に配信されているが、温度・水蒸気は未配信。
(Benjamin, et al. 2004)
本研究では、
400MHzウインドプロファイラ・RASS観測
により得られた温度、水蒸気を気象予
報官署にデータ配信することも将来的な
目標。
•同機種が気象研究所に1台導入。RASS機能なし
音波発射装置の出力特性
入力電力ー音圧レベル特性
音圧計
音圧レベル(dB)
135dB
131.3dB
1m
127.3dB
100dB
音圧測定
電力(W)
周波数ー音圧レベル特性
定格電力(100 W)において
音圧レベル131dB
音圧レベル(dB)
130dB
平均126.4dB
使用周波数域
110dB
960Hz
1020Hz
入力40Wとしたときの周波数特性
試験:使用周波数域(960-1020Hz)
で3dB以内の変動。
周波数(Hz)
ホーンスピーカーの最適配置


どの季節にも均等に配置を振り分る。
観測可能最高高度を高いだけでなく、より強いエコーが得られる配置も
選択する。
最高高度が
大きい順に
24配置を並べる
冬
1
2
3
・・・
24
春
1
2
3
・・・
24
秋
1
2
3
・・・
24
夏
1
2
3
・・・
24
矢印の順番に探索して配置を選択。
既に選択された配置の場合は次候補に
移る。
1.
各月の最高高度と最短距離の
季節平均を導出。春(3,4,5月)、夏
(6,7,8月)、秋(9,10,11月)、冬(12,1,2月)
最短距離が
小さい順に
24配置を並べる
冬
1
2
3
・・・
24
春
1
2
3
・・・
24
秋
1
2
3
・・・
24
夏
1
2
3
・・・
24
2.
配置を大きな最高高度を持つ順
番と小さな最短距離を持つ順番
で並べる。
3.
図の矢印の順番で15配置を選
択するまで選択してゆく。