ビジネスの情報 2010年6月号

毎月レポート
ビジネスの情報
(2010年6月号)
ビジネスの情報
2010年6月号
●「フィットネスクラブ」間で繰り広げられる、白熱の若者争奪戦。
さかのぼること、「東京オリンピック」(1964年)の翌年。初めて民間のスイミング クラブが誕生したのに端を発し、その
後はまさに雨後のタケノコのごとく増え続けた「フィットネスクラブ」。1989年のピークを境にクラブ数は年々減少傾向にあり、
それに伴いクラブ間の集客競争は熱を帯びてきています。
それでも市場規模は2,900億円を超え、利用者延べ人数は約2億人(2008年度調べ)と言いますから、ひと頃の爆発的人気は影
をひそめたとは言え、もはや私たちのライフスタイルにしっかり定着した感があります。
フィットネスクラブ業界の最近の傾向として、定年退職した団塊の世代の利用者が増える一方、景気低迷のあおりから出費を
控える若年層の退会が増えるという現象が見られます。部外者から見ると、客が増えるなら年代は関係ないのでは?と思いますが、
クラブ運営側にとってはどうもそう単純なことではないらしく、若い人たちが多いほど施設内に華や活気が生まれ、それがさら
なる集客への相乗効果となるとのこと。フィットネスクラブ各社は20~30歳代の新規会員の獲得や退会抑制策に知恵を絞ります。
「ルネサンス」では、今年の2月から、若い女性会員獲得のために大手芸能事務所の「オスカープロモーション」とコラボ。骨
格のゆがみを整えるオリジナルのエクササイズプログラム「ヴィーナスΣ(シグマ)」を、元「シェイプUPガールズ」の中島史
恵さんと共同で開発し、関心を集めています。
「エスフォルタ」や「ジョイフィット」などでは、10分100円のタイムユース会員システムを導入しています。営業時間内なら、
好きな時、好きなだけ、使った分だけ10分単位で課金されるという“明朗会計”。「高い会費を払っても何回通えるかわからな
いから…」と入会をためらっていた人にも最適。
最大手の「コナミスポーツ&ライフ」の特徴は、球技の対戦型プログラムが充実しているところ。アクションサッカー、フット
サル、バスケットボール、インドアビーチバレーなど、楽しみながら汗を流す実戦型式で若者の集客を図ります。
意外に低い、若い世代の、入会後の定着率。そんな彼女、彼らのココロとカラダに響く、魅力ある企画を届けることができる
か。フィットネスクラブの集客サバイバルは続きます。
※参考:日経産業新聞(2010年3月16日付)ルネサンス http://www.s-re.jp/ エスフォルタ http://www.esforta.co.jp/
ジョイフィット http://www.joyfit.jp/ コナミスポーツ&ライフ http://www.konamisportsclub.jp/
●一人1枚時代到来、全国にしみわたる「電子マネー」。
スイカ、パスモ、エディ、ワオン…あなたは、どの「電子マネー」をお使いですか?
2001年にエディとスイカが誕生して幕を開けた日本の「電子マネー」も、2010年1月現在で、発行枚数が1億3,000万枚を突破。
利用できる拠点数は、延べ46万6,000ヵ所と、昨年比45%増、毎月1~3万ヵ所の勢いで増え続けています。まさに国民一人1枚時
代に突入した、世界に名だたる「電子マネー」大国といえます。
「電子マネー」には、プリペイド(前払い)式とポストペイ(後払い)式があります。前者の主なものには、スイカ、イコカ、
パスモ、エディ、ナナコ、ワオンなどの6種があります。あらかじめお金をチャージするわけですが、エディ5万円、スイカ・パ
スモ・ワオンが2万円、ナナコ2万9,999円と限度額が設定されています。
ポストペイ式は、利用した分だけが課金され、クレジットカード感覚で使用できます。アイディー、クイックペイ、ピタパな
どがあり、タクシーや自販機などで利用されることが多い方式です。
これらの非接触ICカード型の電子マネー機能を携帯電話に活用したものが、「おサイフケータイ」と呼ばれるものです。
発行枚数のトップはエディで5,500万枚超、2位はスイカの2,800万枚超、以下、パスモ、ワオン、ナナコ、イコカと続きます。
利用拠点数の1位もエディの18万4,000ヵ所。2位のスイカが8万超、以下イコカ、パスモ、ワオン、ナナコの順。
そんな「電子マネー」ですが、利用できる拠点はこれまで各種交通機関をはじめコンビニやスーパー、ファストフード店、駅
ナカ店舗などに限られていましたが、最近では地方の商店街などへと急速に拡がっています。それはとりもなおさず、スイカや
パスモといった鉄道系電子マネーなら交通機関以外で、またナナコ、ワオンのような流通系電子マネーならグループ店舗以外で
利用可能な場所が増えているということになります。
例えば、発行枚数1,300万枚を超えるワオンの場合、全国8県の地元商店街が導入。「石見銀山WAONカード」や高松市の「めぐ
りんWAONカード」、また群馬県内8ヵ所のスキー場で利用できたり、長野県では「nagat(ナガット)WAONカード」を立ち上げ、
地域の活性化にひと役かっています。同様にスイカも、各地の駅周辺商店街への導入を積極的に推し進めています。
3年後には、市場規模4兆円を超えると言われるほどの巨大マーケット、「電子マネー」。運営母体の枠から飛び出して、フレ
キシブルに地域と連携しながら利用範囲を拡大中。今後も、全国津々浦々へと浸透していく“電子マネー・パワー”に注目です。
※参考:日経MJ(2010年3月5日付/同3月8日付) JR東日本 http://www.jreast.co.jp/ ビットワレット http://www.edy.jp/
セブン&アイ・ホールディングス http://www.nanaco-net.jp/ イオン http://www.waon.com/
●ミネラル水 vs 浄水器、さてどっちの水が“甘い”でしょう?
景気低迷による消費者の節約志向が、思わぬ商品の追い風となることがあるようです。
例えば「浄水器」。ご存知のように、水道水をろ過して残留塩素やカルキ臭、カビ臭などといった水道水に含まれる有機物を
除去し、安全で美味しい水をつくるための機器ですが、近頃、これまでペットボトル入りミネラルウォーターを飲んでいた人が
買い控え、その分、浄水器へ移行する人が増えてきているようです。
市場的には、ここ10年余りの普及率はほぼ横ばい、良く言えば成熟した市場と言えなくもありません。そんな状況の中、この
ところの追い風気流に乗って、各メーカーは夏に向けての新製品を続々と送り出しています。もっとも一般的でコンパクトな
「蛇口直結型」では、業界最大手、東レのトレビーノシリーズ「スーパースリム703T」。このクラス初という大きな特徴が2つあ
ります。「30%節水」と「カートリッジ交換目安ダイヤル」機能の搭載です。「節水」は、原水シャワー使用時で1ヵ月間食器
洗いをした場合、2ℓペットボトルで約593本の節水になるというもの。また、2ヵ月後のカートリッジ交換時期を使い始めに設定
表示できるという“うっかり防止”機能も。共にユーザーの声を反映して開発された製品だとのこと。
同じく「蛇口直結型」を2機種投入するのが、シェア2位の三菱レイヨン「クリンスイ」シリーズ。「MD201」は、カートリッジ
の使用残量が液晶パネルにデジタル表示され、交換時期が人目でわかります。やや遅れて発売されるのが「CB013」で、グラ
フィックデザイナーの佐藤卓氏による、デザイン性にこだわったシンプルで“美しい”浄水器。市場的にはまだ2割程度ですが、
最近注目されているのが「ポット型」と言われる、給水栓とつながずに持ち運び自在のタイプです。
パナソニックの「TK-CP40」は、新開発の密閉機構により冷蔵室への横置きを可能にしました。ドアポケットや野菜室にも収納
できて使いやすい気配り設計。また、新カートリッジの採用でろ過時間を大幅に短縮、しかも浄水能力は業界トップクラスを誇
ります。美味しさはもとより、安全性、環境性、経済性、そしてデザイン性まで……飲み水にこだわる消費者の浄水器に求める
ものは、ますます欲張りになっていくようです。
※参考:浄水器協会 http://www.jwpa.or.jp/ 東レ http://www.torayvino.com/ 三菱レイヨン http://www.cleansui.com/
パナソニック http://panasonic.jp/ 日経産業新聞(2010年3月4日付)