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次世代インターネット
プロトコル
IPv6
1998年6月3日
佐野 晋
(NEC)
IP - インターネットプロトコル

RFC791,1981年9月
いわゆる IP Version 4
 インターネットの根幹をなすプロトコル


インターネットノード間の通信
32ビットアドレスによるノードの識別
 パケット転送,経路制御
 フラグメンテーション・リアセンブル

1998. Susumu Sano
次世代インターネットプロトコル
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インターネットプロトコルスタック
アプリケーション
socket
TCP - 伝送制御プロトコル
UDP - ユーザデータグラムプロトコル
IP - インターネットプロトコル
if
データリンク プロトコル
物理プロトコル
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IP - インターネット・プロトコル

IPパケット
始点アドレス 終点アドレス

データ
IPとTCP
APP
TCP
IP
IP
net-A
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APP
TCP
IP
net-B
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4
インタネットの急激な成長
 アドレスの枯渇,経路情報の爆発的な
増加
32ビットの限界
 フラットなアドレス階層と経路情報

 新しい適用分野,新しい要求





プラグ&プレイ
モバイル
セキュリティ
リアルタイム
マルチキャスト
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IPng と IPv6
 1992年
IP Next Generation 検討開始
 1994年 SIPP16をベースにIPv6を決定
7月 IETFトロント会議
 11月 インターネットドラフト発行

 1995年12月
RFC1884
 1997年11月 改定ドラフト
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6
IPv6のIPv4との違い
 アドレス空間の拡大
32ビット→128ビット
 アドレスハイアラーキ
 各種タイプ

 ヘッダフォーマットの簡略化
拡張ヘッダ,オプション
 統一した形式,処理が単純
 経路上での処理を少なく

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IPv6のIPv4との違い - つづき
 単純化,処理高速化への対応
8バイトアライメント
 IPチェックサムなし
 TTL(Time to Live)からHop Limit へ
 経路上での細分化なし

 オプションと機能の拡張性

柔軟性,拡張性のあるオプション形式
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IPv4との違い - つづき
 フローラベル機能の導入
パケットのラベルづけ
 非標準のQOS,実時間サービス

 認証,プライバシ機能の導入
認証機構,改ざん防止機構
 機密機構

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IPv6ヘッダフォーマット
Ver6
Prio
Flow Label
Payload Length
Next Header
Hop Limit
Source Address
Destination Address
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IPv4ヘッダフォーマット
Ver4
IHL Type of service
Identification
Time To Live
Total Length
Fragmentation Offset
Flgs
Header Checksum
Protocol
Source Address
Destination Address
Options
イタリックは IPv6 のヘッダからなくなったフィールド
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IPv6パケット
IPパケット
IPv6ヘッダ
IPv6拡張ヘッダ
ペイロード
ホップバイホップ・オプション・ヘッダ*
ルーティング・ヘッダ(Type0)
フラグメント・ヘッダ
終点オプション・ヘッダ**
認証ヘッダ
カプセル化セキュリティ・ペイロード
この順を推奨
*)すべての中継点で処理
**)終点でのみ処理
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128ビットの広さ

IPv4
 232=
4,294,967,296 =
4.3×10
 IPv6
 2128 =
9
340,282,366,920,938,463,463,374,607,431,768,211,456 =
3.4 ×1038

一人あたり 3.4×1027個

陸地1cm2あたり 2.2×1020個
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アドレス種別

先頭ビット,FP(Format Prefix)で種別を指定

全体の85%は未定義
目的
プレフィックス
占有空間
Reserved
Unassigned
Reserved for NSAP Allocation
Reserved for IPX Allocation
Unassigned
Unassigned
Unassigned
Aggregatable Global Unicast
Addresses
Unassigned
Unassigned
Unassigned
0000
0000
0000
0000
0000
0000
0001
1/256
1/256
1/128
1/128
1/128
1/32
1/16
1998. Susumu Sano
001
010
011
100
次世代インターネットプロトコル
0000
0001
001
010
011
1
1/8
1/8
1/8
1/8
14
アドレス種別 (つづき)
目的
プレフィックス
Unassigned
Unassigned
Unassigned
Unassigned
Unassigned
Unassigned
Unassigned
Link Local Use Addresses
Site Local Use Addresses
Multicast Addresses
101
110
1110
1111
1111
1111
1111
1111
1111
1111
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0
10
110
1110
1110
1110
1111
占有空間
1/8
1/8
1/16
1/32
1/64
1/128
0 1/512
10 1/1024
11 1/1024
1/256
15
集約可能なユニキャストアドレス

Aggregatable Global Unicast Address



Provider Based Address
Exchange Point Base Address
トポロジに依存した階層アドレス
3
13 bits
001
TLA
8
24 bits
16 bits
64 bits
NLA
SLA
Interface ID
Public Topology



Site Topology
TLA: Top-Level Aggregation ID
NLA: Next-Level Aggregation ID
SLA: Site-Level Aggregation ID
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プラグ&プレイ

ND - Neighbor Discovery Protocol





ICMPの一部として実装
データリンク層アドレス解決 (ARP)
ネットワークパラメータの検索
隣接ルータ発見
DHCP- Dynamic Host Configuration
Protocol


アドレスの自動割り当て
DNSとの連携 … 動的DNS
 アドレスとホスト名との対応を動的に
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2つのセキュリティ メカニズム
 ネットワークレベルでの提供
 AH

- Authentication Header
認証と完全性を提供
 ESP

- Encapsulating Security Payload
認証と完全性と機密性を保全
 エンドエンドモード,

トンネルモード
メカニズムとアルゴリズムの独立

アルゴリズムは選択可能
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ネットワーク層のセキュリティ機能は

欠点



すべてのネットワークコードの変更が必要
通信当事者間の機密保護ができない
e.g.メイル
利点



V6で必須機能とすることで,基盤確立
個別のアプリケーションで対応する必要なし
ネットワークレベルでのみ対応可能な攻撃からの防御
e.g. TCPへのリセット攻撃
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移行のストーリ

現在


初期




IPv4オンリノードのみ
IPv4/v6デュアルノード
IPv6アドレスフォーマットのIPv4アドレス
IPv4ネットワークインフラ上でのIPv6のトンネリング
後期



IPv6インフラとIPv4インフラの混在
IPv4/v6の相互変換
IPv6ノードの展開
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20
デュアルノード,変換ルータ

IPv6/IPv4 (dual) node


IPv4 と IPv6 の両方が実装されたノード
トンネル機能も実装
Telnet, FTP, SMTP, ...
TCP, UDP
IPv4
IPv6
Ethernet, FDDI, ...

IPv6/IPv4 ヘッダ変換ルータ

IPv6/IPv4ヘッダ変換を行なうIPv6/IPv4ノード
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IPv6の現状

各種実装,製品の登場
http://playground.sun.com/ipng/

実験ネットワーク 6BONE
http://www.6bone.net/
 テストアドレスの割り当て
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IPv6導入によって解決するもの
アドレスの不足 ○
 経路爆発
△
 セキュリティ
△
 モバイル
△
 マルチキャスト ?
 リアルタイム
?
 運用問題
○・×
 新サービス
?

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128ビットは広い
移行がうまくいけば
鍵管理、運用の問題
スケーラビリティ
IPv4と変わらず
IPv4と変わらず
リナンバリングの問題
IPv4と変わらず
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ただし

IPv6の導入は必須



アドレス問題 … 32ビットの割り当てに限界
拡張性 …IPv4に拡張性なし
IPv6をベースに積極的な技術開発を




高機能
高信頼
スケーラビリティ
運用技術
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24
S.Sano