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毎月レポート
ビジネスの情報
(2016年1月号)
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2016年1月号
■いま時代は“朝”がおいしい! 外食のゴールデンタイムも、夜型から朝型へ。
どうやら、年々、日本人全体が“朝型”の生活スタイルにシフトしてきているようです。別の見方をするなら、“
夜”の存在感が薄らいできたといえます。非正規雇用の拡大による深夜時間帯勤務者の増大、節約志向の高
まりや交際費のカット。加えて、若者のアルコール離れは、かつて友人・同僚らと交流の時間だった“夜”に魅
力をおぼえることなく、早く自宅に帰ってケータイやネットで情報収集や趣味を楽しむというライフスタイルを生
み、さらに政府が奨励する、早朝出勤・残業削減の朝型勤務の導入が民間企業にも波及。なかでも利用者の
減少と人件費コストの上昇などで苦戦を強いられている外食チェーンの夜間の売上高低下は顕著で、軒並み
営業時間の見直しを迫られています。
[マクドナルド]は24時間営業の店舗を削減して時間短縮へ。ファミレスの[ガスト]や[ジョナサン]も夜間の営
業時間を繰り上げ、[ロイヤルホスト]は24時間営業店を大幅に削減。特に、夜の飲食の主役的存在だった居
酒屋の落ち込みは激しく、2014年の売上高は6年連続のマイナスを更新(日本フードサービス協会)。そこで最
近浮上してきたのが、朝~昼の時間帯の有効活用です。
[コロワイド]が展開する居酒屋「北海道」では、昼間の需要を掘り起こそうと、午前11時~午後5時の宴会を“
昼宴”と名付け、プチ会席でシニア層の獲得に乗り出しました。町内会や同窓会などでの利用が多く、平均客
単価は3,700円程度。夜間の3分の2ほどですが、予約制のため食材ロスが防げる上に人員の手配も効率よく
でき、メリットは大きいといいます。
[きちり]が運営する「KICHIRI」では、幼児連れの母親たちを狙った“ママ会”のランチ宴会が人気です。個室
のじゅうたん席、子供用メニューの充実、べビーカーが置ける広い入口、授乳室も完備されています。
「はなの舞」などを展開する[チムニー]では、昼間に団体客を取り込もうと、東京と京都の大型店で修学旅行
客の受け入れを始めています。
一方、朝の時間を有効に活用しようという人たちの“朝活”ブームに乗って、ファミレス、カフェ、ファストフード
、牛丼などの各チェーンをはじめ、近頃では、回転寿司店(おかずが回る)やラーメン店(朝ラーメン)なども参入
、こぞって朝食メニューの拡充を図っています。狙うは、これまで朝食をとらなかった人たちの“胃袋”です。国
の調査では、朝、食べない人は、男性で13%、女性で9%。一年でおよそ56億食、金額では約1兆7,000億円に
相当すると推定されています。
こんな、巨大で“旨み”のある潜在市場を前に、いつまでも、朝食はご飯かパンかなどと呑気なことを言って
いる場合ではなさそうです。外食業界に限らず小売業界にはいま、夜中心の固定概念を打破し、新たな時間
軸でのサービスが求められています。
※参考:
総務省
http://www.soumu.go.jp/
日本マクドナルド
http://www.mcdonalds.co.jp/
スカイラーク
http://www.skylark.co.jp/
ロイヤルホールディングス
http://www.royal-holdings.co.jp/
コロワイド
http://www.colowide.co.jp/
きちり
http://www.kichiri.co.jp/
チムニー
http://www.chimney.co.jp/
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/
日経産業新聞(2015年10月6日付)
日経МJ(2015年10月19日付/同10月28日付)
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2016年1月号
■料理苦手なパパにも最適。目を離してもOKな「ほったらかし調理家電」。
仕事や子育てに忙しい共働き世帯の強い味方として、また“自炊男子”たちの重宝ツールとして、
最近人気上昇中なのが、「ほったらかし調理家電」と呼ばれるアイテム。材料を入れてスイッチオン
するだけ、あとは自動的に料理が出来上がるというもの。つまり、調理中に、目も手も離すことができ
、その場を離れることのできる調理家電のことです。その空いた時間を、子供の世話や他の料理作
り、洗濯や掃除など別の用途に充てられるというところが、この家電の最大のメリットであり人気の要
因。ただ、調理自体に費やす時間が縮まるということではありません。あくまでも調理に関わる時間
を立体的に使えるということで、いわゆる“あっという間に完成!”といった、“時短”を売りにした家電で
はないということです。
[シャープ]から昨秋登場した「ヘルシオ ホットクック」は、水も火も使わずに調理できる、業界初の“
電気無水鍋”。セットした食材から出る蒸気を水滴にして鍋の中を循環させるという調理システムの
ため、途中のかき混ぜや火加減などは不要ですべておまかせ。「ホットクック」という製品名には、「
ほっとく」の意味も込められているとか。
食材を入れ、時間と温度の設定だけをしてスイッチを入れたら、出来上がるまでは一切ノータッチと
いう「圧力IHなべ」が[象印マホービン]から登場しました。同社お家芸の圧力技術を導入して開発さ
れた、炊飯器感覚で使えるIH式圧力鍋で、加熱途中の吹きこぼれの心配無用、かき混ぜも不要で
す。
油を使わずに揚げる・炒める・煮込むが1台でできる「アクティフライ」(ティファール)も、食材を入れ
てスタートボタンを押すだけで、あとは“ほったらかし”でOK。油汚れ、油処理の心配もなく、特に幼
児がいる家庭では歓迎されています。
「ヘルシーコトコト」(レコルト)は、水を沸騰させた熱とその蒸気で調理する“湯せん加熱式”の調理
家電。調理鍋と調理トレイを上下にセットし、鍋部分でご飯、トレイ部分でカレーというように、一人分
の料理を2品同時に調理できます。火加減調整をはじめ、焦げつきや吹きこぼれの心配もなく、出来
上がるまでは“ほったらかし”。
火不用、技術不問の「ほったらかし調理家電」は、男性やシニア、子供といった、これまで料理とは
無縁の人たちをキッチンに向かわせるきっかけとなるかもしれません。
※参考:
シャープ
象印マホービン
ティファール
レコルト
日経МJ(2015年10月2日付)
http://www.sharp.co.jp/
https://www.zojirushi.co.jp/
http://www.t-fal.co.jp/
http://recolte-jp.com/
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2016年1月号
■時代のニーズは待ったなし。加速する、スーパーの「店舗」と「倉庫」の融合。
これだけスマホやタブレット端末が浸透し、EC(電子商取引)が日常的になってくると、店舗(小売店)の存
在意義や担うべき役割が変わってくるのも当然の流れといえます。これまで小売店は、商品を消費者の
手に届ける“終着駅”でした。しかしいまや、単なる物流の“中間地点”、あるいは“配送拠点”としての役
割が色濃く、様変わりしようとしています。
昨春、業界初であり、[セブン&アイ・ホールディングス]としても初となるネットスーパー専用店舗「イトー
ヨーカドー西日暮里店」がオープンして話題となりました。1階の“路面販売店”と呼ばれる部分は、店舗は
あるにはあるが、といった程度の規模。大部分を配送専用施設で占められています。全長600mのコンベ
アや専用ハンディターミナルなどの導入で、受注からピッキング、配送管理に至るまですべてシステム制
御。一日の配送は、午前10時から午後11時30分まで業界最大の23便で、2,000件までの対応を可能にし
ました(既存店の約5倍)。
米ウォルマート傘下の[西友]も、今年5月をメドにネット販売機能に特化した新タイプの店舗を出店しま
す。1階を通常の食品スーパーとし(売場面積は標準店舗の約半分)、同等以上の広さの2階部分にネット
販売用の在庫を保管する倉庫と配送作業スペースを併設。一日の配送能力を従来型店舗の3~4倍に
引き上げます。ネット通販に精通したウォルマートグループにとっても、ネット専用の倉庫併設店舗は初
の試みとなり注目されています。
昨年8月には、[楽天]が、最短20分の即時配送サービス「楽びん」を始動しました(東京都内4区対象)。
客と配送スタッフとシステム本部の三者をスマホを介して連携するシステムを開発。商品を積み込んだ専
用配送車が対象エリアを巡回。商品の受け取りは、自宅やオフィスだけでなく、出先のお店や公園など、
発注者が直接受け取れる場所ならどこへでも届けてくれます。
[ローソン]は昨春、[佐川急便](SGホールディングス)と提携し、ネット通販などで購入した商品をローソ
ンで24時間受け取り可能なサービスを開始。
ソフトバンクグループの[SBイノベンチャー]は、ネットで購入したものならどの商品でも指定日・指定時
間に受け取れるサービス「Scatch!(スキャッチ)」を、昨春、東京都内の4区で先行スタートしました。
リアル店舗とネットの融合で、いつでもどこからでも業態間の垣根なく買い物ができるという“オムニチャ
ネル”化が進んで店舗以外で購入商品が受け取れるようになったいま、小売業界には、店舗や物流の在
り方そのものの見直しが急がれています。
※参考:
イトーヨーカ堂
西友
楽天
ローソン
SGホールディングス
SBイノベンチャー
日経МJ(2015年10月5日付)
http://www.itoyokado.co.jp/
http://www.seiyu.co.jp/
http://rakuten.co.jp/
http://www.lawson.co.jp/
http://www.sg-hldgs.co.jp/
http://www.softbank.jp/