基調講演(内田義則氏)pp - 平和とくらしを守る北九州市民の会

市民の会・介護を考える会
介護シンポジウム
基調講演
2016年4月23日(土)
内田 義則(ケアハウスらいふ戸畑)
はじめに(本日の内容)
①北九州市の超高齢と少子化
②介護保険16年の軌跡
(2015年法「改正」と介護報酬改定)
③2016年10月 北九州市地域総合事業の要点
④これから(2年半後と2025年)の介護保険はどうなる
⑤介護問題の課題を考える(おわりにかえて)
北九州市の超高齢化社会と少子化
• 全国政令市中、トップの高齢化率
• 今後は大都市圏域の急増に比べれば緩やかな増加
• 市内一様には語れない(旧五市合併の歴史等)
• 地理、面積を見ても戸畑区や小倉南区では全然違う
• 生活圏域それぞれにも特徴がある
• 北九州市の行政、住民組織、社会福祉協議会や市民セン
ター毎の組織や社会資源等の理解が大切
• 統括支援センターと地域包括支援センターの役割が重要
2016/7/9
75歳以上の増と子ども、働き手の著減
• 高齢化率は30%へ、今後の人口減少の中でも75歳
以上は増加する
• 世帯の半数以上が高齢化単身もしくは高齢者世帯
(夫婦)
• 要介護認定者の増加(前期高齢者の約6倍)、重度化
と認知症増が見込まれる
• 顕著な子ども、生産労働人口の減少 → 介護の担い
手がいない
2016/7/9
地域のなかで
•1ヶ月間誰とも話していない、誰も相談できる人はいない高齢者
大都市部では5%~7% 過疎・僻地
•実は「核家族化」→「家族の個人化」といわれる状況は1970年代から
はじまっている。加えて、今後の人口減=少子超高齢多死社会、生産
労働人口の著減のなかで2050年には高齢化率は40%と予測
•家族、地域の機能不全と無縁社会
•寿命の遷延化、単身化、縁者の減少の方向は避けられない現実
•地域や近隣のなかでこうした社会的孤立や縁者の減少、身よりなし
に対応するソーシャル・サポート・ネットワーク、ソーシャルインクルー
ジョンが重要
介護保険法の16年
-「介護の社会化は幻想」か?ー
日本の介護保険の基本的特徴
①「公費(税方式)か保険か」 →社会保険方式を採用 継続する論争
②「保険料と公費が2分の1ずつ負担」 →給付増が負担増に
③「要介護認定制度と給付限度額」
→要介護度別給付上限(キャップ制)
④「ケア・マネジメントと給付管理を結合」
→コスト削減のゲートキーパー
⑤「現物給付ではなく費用の支給」 → 足りないサービスは自費購入
⑥「定率1割負担(一部2割)」 → 応能負担ではなく応益負担
2016/7/9 QOLは別
社会福祉法「改正」 2000年
-地域福祉の担い手は?ー
• 「措置から契約へ」 向己決定権や選択権があるといわれる
• 第4条 地域福祉の推進
→地域福祉の主体
地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会
福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを
必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活
を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加す
る機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければな
らない。
2016/7/9
軌跡をたどる
「介護の社会化
から幻想」へ
• ★介護保険計画は3年毎に策定
• ★介護報酬は3年毎に改定
• 2003年 地域包括ケア登場『2015年の高齢者介護』(高齢者介護研究会)
軌跡をたどる
• 2006年 予防給付(要支援1、2)導入 地域包括支援センター創設
• 2010年 『地域包括ケア報告書』(第1次)
• 2011年 「高齢者の住まい法」改正 サービス付き高齢者向け住宅登場
• 2012年 介護報酬改定 重点化と効率化
定期巡回随時対応訪問看護介護の登場
• 2014年 地域包括ケア報告書(第2次)
2016/7/9
税と社会保障の一体改革 2 013年~
• 社会保障推進国民会議 社会保障改革のプログラム法
• 2014年4月 消費税8% 2017年4月10%へ
• 医療介護一括推進法 19本の法案が一つ。短い審議期間
• 2014年6月18日 参院での審議打ち切り(強行採決)、与党
の賛成多数で成立 法律の施行は2014年10月~順次
• 人材確保法案 全会一致で成立 月1万円以上の賃上げ
2016/7/9
2015年介護保険法「改正」と介護報酬改定
• 介護保険2割負担(一部ー収入280万円以上の上位層約2割)
• 特養ホームの補足給付(ホテルコスト)に資産要件
• 特養入所を原則要介護3以上に
• 予防給付(通所介護、訪問介護)の自治体地域支援事業化
• *平成29年度までに→北九州市は平成28年度10月
• ★2015年度介護報酬の改定 マイナス2.27%改定
•
→ 基本単価を抑制 加算(処遇改善、特定加算等)で誘導
• ★福祉人材確保は「すそ野(無資格者)の拡大」へ
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北九州市介護予防・日常生活支援総合事業
(2016年10月)
• 要介護認定更新者から順次移行(介護給付から切り離し)
• まずは予防給付型、生活支援型(基準緩和サービス)から
生活支援型(A型)は78% 質量の確保はできるのか?
• 市窓口で介護保険申請、要介護認定を先行させるしくみに
• 最長2年間の要支援認定有効期間が可能に
• いのちをつなぐネットワーク推進課から地域福祉推進課へ
2016/7/9
財務省の社会保障改革工程表(2015年10月9日)
<2016年末までに結論、速やかに実施>
○高額介護サービ費用制度の負担額限度額引き上げ ○福祉用具貸与・住宅改修の価格・
貸与品の見直し
<2017年通常国会に法案提出>
〇介護給付費の地域差是正のため、自治体が給付費を適正化できる仕組み の導入
〇財源調整交付金の国庫負担金の割合を引き下げ、2号保険料源調整交付金に傾斜配分
〇65~75歳の利用者負担を原則2割負担化
〇介護納付金の総報酬化
〇軽度者の生活援助の原則自己負担化
〇軽度者の福祉用具貸与の原則自己負担化 〇医療・介護を通じた居住費負担の公平化
〇要介護1.2の通所介護を地域支援事業に移行
<できる限り早期に検討・具体化>
〇75歳以上の原則2割負担化
今後検討される介護保険の方向性
2年半後⇒2025年v経済財政諮問会議 厚労省
○軽度者の市町村事業への移管
⇒要支援から要介護2までに
○市町村事業にとどまらず自己負担(廃止)に
⇒福祉用具も
○重度者は2割以上自己負担と軽度者は全額自己負担
○高額介護サービス費のさらなる引き上げ
○包括払いのサービスの拡大
2016/7/9
介護問題の課題を考える(おわりにかえて)
①自助・互助から公助へ(立憲主義、生存権)
→ 地方自治体の本来使命を
②福祉従事者の低位な労働条件や安易な
「ボランティア」化を許さない → 処遇改善
③高齢者を格差と貧困から守る
→ 住宅や「関係性の貧困」への支援が重要
④少子化対策、ワークライフバランスの大切さ
→子どもが生まれ、育つ地域
→女性が働きつづけられる職場、地域