毎月レポート ビジネスの情報 (2008年8月号) ビジネスの情報 2008年8月号 ■“暮らしに役立つ”自販機、じわじわと増加中。 日本を訪れる外国人観光客がまず驚くのが、街中のいたるところで目にする自動販売機の多さだといいます。その 数、全国で約540万5000台、年間売り上げ約7兆円(07年度:日本自動販売協会)! その一方で、「電気のムダ遣い」 「場所をとり過ぎる」などと環境面で批判されたり、私たちの生活に密着しているにもかかわらず肩身の狭い思いを している自動販売機。そんな状況の中、このところ「社会貢献」の役割を担う自販機が広がりつつあります。 [AEDが内蔵された自販機] 缶ジュースやコーヒーなどの自販機に、AED(自動体外式除細動器)のオレンジ色の箱が“同居”しています。自販 機表面には大きくハートのマークとAEDの文字が。30万円前後するAEDの購入費は自販機業者が全額負担。その代わり 新規で自販機の設置場所を確保できるという「置かせてもらう側」と、無料でAEDが整備できる「置かせてあげる側」 の相互メリットが成り立っています。現在、主に官公庁や学校施設などに拡大中です。 [災害時無償提供自販機] 地震などで停電した際にもバッテリーで稼動し、ボタンを押すと無料で飲料水の入った缶が出てくるという自販機 です。1台に約500缶がストックされており、学校、病院、大企業などで導入が進んでいます。サントリーフーズでは、 07年に約1700台を導入、08年はさらに1000台を予定しています。 [ボランティア・ベンダー] 飲み物を1本購入(120円)すると、その中から自動的に3円が『WWF(世界自然保護基金)ジャパン』などの団体に 寄付されるというシステムです。内訳は、1本につき、飲料メーカー・設置者・自販機業者(「八洋」)が各1円、計3 円を拠出するという仕組みです。 [住所表示ステッカー] 05年から、屋外の自販機を対象に設置場所の住所が貼られています。外出時、119番など緊急通報するときに、いま いる自分の居場所を自販機が教えてくれるというわけです。 設置場所の争奪競争など、もはや飽和状態といわれる自販機業界ですが、私たちの暮らしに“役立つ顔”を付加す ることで、新たな活路を見い出そうとしています。 ※参考:朝日新聞 サントリーフーズ http://www.suntoryfoogs.co.jp/ 八洋 http://www.hachiyoh.co.jp/ ■「お一人様」客をゲットせよ! 飲食店にとって、これまでは歓迎されざる存在だった一人客も、昨今は店の売り上げを左右するほど重要な存在に なってきたようです。 晩婚化や高齢化に伴って一人暮らし世帯が年々増加し、いまや世帯全体の約3割にまで達しています。加えて、結婚 後も共働きしている夫婦が、帰宅前にそれぞれで食事、などという光景も珍しくありません。 多くの飲食店では、もはや一人客を敬遠していては売り上げが確保できないとばかり、「お一人様」客の取り込み に積極的に対応し始めています。それは、これまで一人客になじまないとされてきた「焼肉店」や「中国料理店」も 例外ではないようです。 大阪に本社のある某焼肉チェーンでは、ホームページで「女性一名様大歓迎」とアピール。新宿にオープンした店 では、焼肉店には珍しい15mほどの長さのカウンターが目を引きます。ここに設けられた24席が「お一人様」席です。 炭火が入った七輪で、一人ずつ自分のペースで肉を焼きながら食事が楽しめるという演出です。また、どの料理もリ クエストすればハーフサイズOKと、メニュー上のきめ細やかな工夫も一人客に好評です。「一人で来た後に友達連れ で再訪するなど、口コミによる宣伝効果も大きい」(本部スタッフ)。 また、東京・銀座の某中国料理店では、あって当然の円卓がなく、カウンター席が設けられています。オープン キッチンに立つシェフがお客の要望を直接聞いて料理を提供。もちろん量もお好みのポーションで対応してくれます。 今後は高齢者の「お一人様」客も増えることが見込まれます。店づくりのハード面だけではなく、接客などのソフ ト面の充実がますます望まれることでしょう。 ※参考:日経MJ(日経流通新聞) ■いまどきのヤングパパたちは、父親であることを楽しんでいる! 父親像が変わってきた!? 『第一回 子育てに関する調査2008』(電通ジセダイ育成委員会)によると、育児面での父親の役割が着実に広がっ ているとともに、30代の父親たちは“パパ力(ぢから)”ともいうべき、子育てへの前向きな取り組み、自分で対処 する能力などを、ごく自然に身につけているようです。 30代前半の父親の「出産立ち会い」率は69%と高く、誕生前から「父親学級に参加」(41%)したり、自ら「ネッ トなどで関連情報をこまめにチェック」(32%)したりと、若い父親ほど育児に積極的に参加し、“親学”を学んで います。 また、0~3歳までの子供を持つ30代前半の父親の場合、58%が「休日に子供を散歩や公園に連れていく」のは自分 の役割だと思い、なんと92%もの父親が「休日に風呂に入れる」という高い数字を示しています。 そんな、父親であることを満喫している“いまどきのヤングパパ”たちをターゲットに、いま新たなヒット商品や サービスが生まれています。 例えば、パパが子供を連れて外に出かけるためのベビーカーやパパ専用の子育てバッグなど、父親が自ら選ぶこだ わりよう。それはきっと、愛する我が子のためであると同時に、父親となった歓びと責任を演出する自分のためでも あるのでしょう。 一方で、3歳までは「食の安全」を、4歳以上になると「子供同士のいじめ」「通学途上の安全」などを危惧する親 が増えます。「無添加おやつ」や「防犯ベル付き携帯電話」といった商品や「送迎サービス」など、皮肉にも子供を 育てる上での不安が新たな消費を生んでいるといえます。 少子化の時代にはそれなりに、従来型の子育て市場とは違った新たな市場が創られていく兆しが、いま見え始めて います。 ※参考:フジサンケイ ビジネスアイ 日経MJ(日経流通新聞)
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