「表見的」取締役の 前提問題② まず確認しておきたい!!! 有限責任の根拠-伝統的理解- 「株主有限責任原則は、株主の責任 を出資額に限定することにより、社会に 存在する多数の小口の資金を集中し、 大規模な企業経営を可能にするために 認められた政策的な制度」 取引 遊休資本 取引 取引責任の追求 株式 所有して いるという 権利のこと 株主 × 非産業資本活動の世界の住人 に固有の制度として捉えると… もともと産業資本活動の世界で暮らしている 者(例えば個人企業)などには、個人資産と 営業資産の分離は認められていない。 もともと産業資本活動の世界で暮らしている 者が作り上げた「会社」(合名会社)などでは、 個人資産と分けた出資ができない。 しかし… 取引 取引リスクの転嫁! 株式 所有して いるという 権利のこと 株主 責任の転嫁を しているだけではないのか?! 社会から企業経営に伴う危険が消滅したわけで はなく、単に株主から会社債権者に転嫁されたに すぎない! だからこそ、非産業資本活動の世界の住人から 資金を調達しようとしていない個人企業の「法人 なり」や法人株主の擁する閉鎖会社について、有 限責任を「おかしい」と感じる。 株主と債権者の利害対立 -Law & Economicsの立場からのシミュレーション- 現在の会社の総資産は80億円、負債総額が100億 円としよう(したがって債務超過状態である)。しかし、 およそ回復の見込みがないわけではない。仮に、今 遂行中のプロジェクトをこのまま継続した場合、うま く行けば資産は120億円になり、失敗すれば0にな るとする。成功の確率は50%と予想されるとする。 会社は事業を継続すべきかそれとも直ちに清算す べきか?(藤田・法学教室262号) これによると… 今直ちに清算した場合 債権者の取り分:80億円 株主の取り分:0円 事業を継続した場合 債権者の期待利益 100×0.5+0×0.5=50億円 株主の期待利益 (120-100)×0.5+0×0.5=10億円 有限責任のジレンマ 一方で、近代的株式会社で、出資者を募るた めにどうしても必要な「えさ」 他方で、会社債権者と株主との深刻な利害 対立をもたらし、場合によっては株主の無責 任な放埒をひきおこす強引な政策 さて、個人企業の法人成り問題! *個人産業資本の無理な会社資本化 何が問題? 個人企業主が有限責任を享受できること! 有限責任の本来の根拠 覚えてる? 「株主有限責任原則は、株主の責任を出資額に限定す ることにより、社会に存在する多数の小口の資金を集中し、 大規模な企業経営を可能にするために認められた政策的 な制度」 これはダメだろ! これは、規格外の株式会社!! このため、「株式会社」という存在 (法人格)そのものを否定する 様々な法律規制を回避 会社の実質が全く個人 しようとして株式会社を 利用する 企業と認められる場合 (会社と株主の業務・財 産が全般的に近藤され ている、株主総会など の組織的制度が無視さ れるetc) でも… 法律に適っている限り株式会社の設立は禁止されて いない。現に会社法は一人会社の設立を容易にした ではないか! 法人格の否認というシステ ムは、自己矛盾!! なるべく穏便に… 別の方法で… *会社法429条 仙台工作社事件 昭和45年3月26日仙台地裁判決 *形骸事例の変形? 完全親会社 支配している 雇用契約 × 潰しちゃった!? 【そして…】 ① 法人格否認の法理の衰退… ② 429条(旧266条ノ3)の責任理論の隆盛 *名目的取締役、表見的取締役への責任追 及の問題へ… 実質的個人企業 自分を取締役に選出 全株式を引き受けている =一人株主総会 この法的構図、拡張されると… 実質的企業主 Directors サラリーマンの息子 先生やってる娘 Officers 代表取締役社長!
© Copyright 2024 ExpyDoc