12月9日(水):第11回: イノベーションマネジメント

ビジネス入門
第10回:12月9日
イノベーションマネジメント
工学系研究科
技術経営戦略学専攻教授
工学部システム創成学科C(知能社会システム)
元橋一之
http://www.mo.t.u-tokyo.ac.jp
ビジネス入門のゴール:
企業価値とは何か?それを高めるため
にはどうしたらいいか?
• 日本のIT企業は企業価値が低い
– 売上高利益率が低い
– なぜか?IBM、Google、Microsoftなどとの違いは何
か?
• 企業価値を高めるためには?
– 企業の仕組みについて理解する
– 企業価値とは何か?
– 企業価値を高めるためには?
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経営戦略
グローバル戦略
マーケティング
技術経営マネジメント
技術経営とは?
技術的発見・アイディア
• 遺伝子機能
• 情報検索アルゴリズム
• デザイン、軽量>機能
イノベーション
経済価値化・収益化
• バイオ医薬・遺伝子治療
• Google
• i-pod
イノベーションマネジメント
• 資金(ベンチャーファイナンス)
• 市場(テクノロジーマーケティング)
• 組織(研究所と事業部門リンケージ)
• 知財(ライセンシング)
• 技術企画(ポートフォリオ、ロードマップ)
分析データ
分析ツール
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特許・論文データ
有証・財務諸表
政府・業界統計
インタビュー
評価・分析
計量モデル分析
多変量解析
ネットワーク分析
ケーススタディ
技術シーズ主導型MOT
マーケット主導型MOT
技術経営と経営資源
既存の技術的資産
新規の技術的資産
既存の顧客資産
純粋な搾取
Pure Exploitation
顧客資産優位性の活用
Leveraging Customer
Competence
新規の顧客資産
技術資産優位性の活用
Leveraging Technology
Competence
純粋な探索
Pure Exploration
技術資産:製造技術、品質管理、知財、研究人材
顧客資産:既存顧客ベース(顧客ロイヤルティ)、チャンネル、ブランド
技術経営戦略の策定方法
ITイノベーションの特性
「自動車産業において、GMがコンピュータ業界のよう
に常に競争にさらされていたら、自動車は現在1台25ド
ルになって燃費は1000マイルになっただろう」(ビル・
ゲイツ)
→技術革新のスピードの速さ
→破壊的なイノベーション(←漸進的なイノベーション)
→これをどうマネージするか?
– イノベーションのディレンマ
– キャスム(Chasm)
– プラットフォームリーダーシップ
技術革新と破壊的イノベーション
技術スピード>顧客の要求スピード→モジュール型製品
ハードディスクの世代交代
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14インチ:メモレックス
8インチ:シュガート・アソシエーツ、マイクロポリス
5インチ:シーゲート、ミニスクライブ
3.5インチ:コナー・ペリフェラルズ
(シーゲート、ミニスクライブからスピンアウト)
HDの技術特性としては、
• 破壊的技術革新が比較的容易(HDコンポーネントの
パッケージング)
• 既存顧客の要求によるプロセスイノベーションの継続的な要求
• 既存企業の衰退と新規参入企業の登場の繰り返し
ハードディスクの競争フェーズ
IBMの凋落と新興企業の進出
テクノロジーマーケティングに関する
Technology Life Cycle
“Grossing the Chasm” by Geoffrey Moore
Technology Life Cycleとは?
• Innovator:技術指向、Technology WizKids
• Early Adoptor:新たな技術を用いて問題解
決を指向(技術指向とは異なる)
• Early Majority:他社の導入事例を確認し
導入を決断(ネットワーク効果の開始)
• Late Majority:業界標準をまって最も低コス
トで導入を実施
• Laggard:ハイテク製品を導入しない人
Where is chasm in TLC?
例: PDAによる電子メール、PC音声処理機能、
電子ブック、インターネットが登場する前のパソコン
Early AdopterとEarly Majorityの違い
ハイテクプロダクトは
• Early Adopter(Visionary)にとって変革の手段
• Early Majorityにとって生産性向上の手段
Visionaryの役割:キラーアプリケーションの提供
• クラリファイ(CTIソフト)におけるシスコシステムズ
• パソコンにおける電子メール(インターネット)
• 音声認識ソフト?
• 電子ブック?
DilemmaやChasmをどう乗り越えるか?
• 合理的な判断に潜むDilemma
– ベンチャー企業によるダイナミックなイノベーション
– 大企業としての対応:社内ベンチャー?
• Technology WizKids→CEOへの転換期に存在
するChasm
– 起業者と経営者によるチーム(例えばマークアンド
リーセンとジムクラーク、ビルゲイツとスティーブバル
マー)
– (技術?)経営のプロフェッショナリティの必要性
ミニケース:インテル
• 1968年創業:ロバート・ノイスとゴードン・ムーアに
より創業(MOSプロセス半導体技術)
• メモリ(DRAM)事業のトップランナーからマクロ
プロセッサ事業への転換
• ムーアの法則とOnly Paranoia Survive (アンディ・
グローブ):強力なトップダウンで半導体の技術
革新をドライブ
• 周辺事業の失敗→Platform leadership
• ムーアの法則の限界、AMDとの競争、インター
ネット時代への対応
ITイノベーションとムーアの法則
Gordon Moore, Electronics, 39(9), 1965
ムーアの法則(最新の状況)
(インテルHPから引用)
半導体ロードマップ
Minimum Feature Size (nm)
(DRAM Half Pitch)
500
92
95
97
99
02
05
08
11
1992 NTRS
1994 NTRS
350
250
1997 NTRS
180
1998 / 1999 ITRS
130
100
International SEMATECH
2000 Plan
70
50
Area for Future
Acceleration
35
25
92
95
97
99
02
05
08
11
Semiconductor Roadmap Acceleration
Jorgenson presidential address (2001)
営業利益率の推移
営業利益率:インテル
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
1988
1986
1984
1982
1980
1978
1976
1974
1972
メモリ→ロジック
『インテルの戦略』(ロバート・バーゲルマン)
メモリとロジックの特性比較
『インテルの戦略』(ロバート・バーゲルマン)
インテルのPlatform Leadership
(by Michael Cusumano)
インテルのテクノロジードライブ
戦略のかげり
• 微細化=高速化の限界(ムーアの法則)
– 半導体の微細化以外の部分で高速化を実現(ダブル
コア、マルチスレッド技術等)
• 半導体需要の多様化
– PCからPDA、携帯電話などへの広がり
• 市場競争の激化
– AMDの追随(32ビット→64ビットのマネジメント)
• インテルの今後の戦略は?